R
川崎ハロウィンパレードで娘・R(4才)が仮装していた白雪姫。

この先っぽにリンゴがついたスティックがなくなってしまった。家に帰るまで気付かなかったのである。最早どこで落としたのか分からない…。

「あーあ」

嫁はガックリ来ていた。

「ま、あれだけの人混みだったから、どうせすぐ折れるか壊れるかと思ってたし」

僕は落ち着いて答えた。落ち着いて、というのは実はフリだけで、僕は既にスティックなんかより余程重要なものをなくしていたことに気付いており、密かに脂汗を流していたのである。

それは、定期券。なくした場所は川崎駅の精算機で間違いない。定期券で乗車し川崎駅で精算しようとした時に

「僕チンはハイカラでハイテクだからPSMOで精算するんだキャッシュレスファックレス~」

よしゃいいのに慣れないことをしたものだから、PASMOと精算券を取っただけですっかり全て回収した気になり定期券を忘れたに違いない。

こんなマヌケな事嫁には言えないわ…とじっと黙っていたのである。嫁の目を盗み、こっそり駅に電話したらなんと届けられているとのこと。見知らぬ親切な人ありがとう…。僕の定期は新宿や渋谷に通じ、わりとおいしい路線を乗れる。これをネコババすればいわば女湯と女子高フリーパスゲットだぜ、みたいなものである。しかも6ヶ月ほぼ丸々使える。

金額は八万円弱。それが無事だとは。アルプス八万弱、アルペン踊りも踊りたくなってくるというもの。

ついでに昨日のパレードのスタート・ゴール場所だったラチッタデッラまで足を伸ばしてみた。昨日の熱気はどこへやら。道端に止まったドリンクと軽食を売るバンに人がちらほらいるだけで、オレンジ色のライトが石畳の小道とイタリア風の建物をぼんやりと照らす。ちょっと薄暗くなったあの先の角あたりから、それこそジャック・オ・ランタンがぼうっと現われそうな。

キリコ
キリコの絵を思い出してしまった。昼間バカ騒ぎするより今この時こそハロウィンの情景にふさわしい。そう思った。ひょっとしたらRのスティックが落ちてないかな?淡い期待を抱いて来たが、一帯はやはり綺麗に掃き清められていた。

しかし僕はこんなところで何をやってるんだか。嫁に黙って再び川崎くんだりまで来て、その理由が定期を無くして、というパットしない内容。あーあ冴えないことであるよ…とトボトボ駅に向かったら

ちくらっぽ
まさかこんなところで栃木弁を見かけるとは思わなかった。「ちくらっぽ」とは栃木弁で「嘘」。今の僕にぴったりだな。嫁に嘘ついて風邪も治らないし、なんと冴えないことであるよ。

まあ定期券も戻って来たことだし、これで定期を養うことにしよう。なんつって。

どこでも使える「性器券」とかないかなーとか考えてしまった僕はやはり風邪菌が脳まで回っていると思う。

問題:栃木弁で「この馬鹿野郎!」という時はなんと罵倒するでしょう?

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ぱからん、ぱからん、ぱからん、ぱからん。

砂浜を走る白馬が蹄の音を響かせる。白馬に跨る松平健が手綱を操り…

ひひーん!

アキバ丼
暴れん坊将軍!(画像まちがい)

息子・タク(2才)もなかなかの暴れん坊かつ暴れん棒である。

僕が娘・R(4才)とタクとお風呂に入った時、湯船に入れると

「パパ、あつーい」

ふたり揃って僕に言った。てやんでえべらぼうめ、江戸っ子は熱い風呂に入(へえ)るんでい。と啖呵を切ろうとしたところ、よく考えたら僕は別に江戸っ子ではなく栃木生まれのちょっぴりエロっ子だったので

「じゃあ水で薄めるからな。ふたりでぐるぐる掻き混ぜてくれ」

水をじゃぼじゃぼと湯船に投入した。するとタクが

「たっくん、おしっこでたー」

なるほど、おしっこで薄めるのか。その発想はなかったわってバカ。最早風呂で放尿をされたぐらいではラーメンに髪の毛が入ってた程度にしか感じないのでそのまま入り続けたが、風呂に入るほんの5分前にトイレに行ったのである。その時は暴れん棒をいじくってるだけだったのに…。

「今度はトイレでおしっこできたらいいねえぇぇぇ」

これをもう何度言ったことか。

翌朝。目覚めた僕は寝床の上でタクを着替えさせた。ズボンを脱がし、おむつを脱がせるとタクはこの時を狙って僕の手から逃れ、走って行ってしまった。

「すかーと、すかーとー」

下半身が衣服から解き放たれ、上着のみヒラヒラしているさまをタクは「すかーと」と表現して喜んでいるのである。端から見ると単なるノーパン喫茶、しかも暴れん棒付きである。

タクはそれを激しく揺らしながら走り回り、嫁の布団に仰向けにばっふーんとダイブ。こちらに向いたお尻がキュートで眩しい。元気だなあと眺めていたらここで嫁が大絶叫。

「ぎゃあああ!私の寝るところに生ちんこをなすりつけないでええええ!」

嫁を恐怖のどん底に叩き落すタクの暴れん棒。暴れっぷりは最早僕のそれを超えたと言えよう。ここに次世代暴れん棒将軍が誕生したのである。惜しいことにはそのお尻の奥に見えるのが、葵の御門じゃなくて菊の御門なところ。

但し夜の暴れん棒将軍の座はまだまだ渡すわけにはいかぬ、と、子供達が寝た後張り切って嫁を成敗しようとしたところ、僕は未だ鼻水をズルズルいわせていたので

「風邪うつすな!」

バイキン扱いされて返り討ちにあったので我が家の実権を嫁に返上した。

これを大政睾丸といいます。

問題:タクが寝起きの時によく言うセリフはなんでしょう?

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川崎ハロウィンパレードに行ってきた。

僕と嫁は適当な仮装をして参加。娘・R(4才)は

チャイナ娘
一昨年はチャイナ娘。

ピノコ
去年はピノコ。

R
そして今年はスノーホワイト。白雪姫である。

タク
息子・タク(2才)は、翼の折れたエンジェルという設定(ベビーカーから降りようとしないので…)

仮装をした子供たちにはお菓子がもらえるので、ふたりはたくさんキャンディーをもらっていた。飴と飴。飴と飴と飴と飴と…

「今日はしっかり歯磨きしないとね!」

飴を舐めまくるRとタクに嫁がしっかり釘を刺していた。

今年も気合の入った仮装・コスプレをした人がたくさんおり、

天狗
天狗。

萌え
大人気だった萌え萌え美少女。でかい。

タコ車
タコみたいな四本足メカを乗り回していたお兄さん(本当に動く!)

武士と忍者
武士と忍者。えらいカッコいい。

クラウザーさん
クラウザーさん。個人的に大ヒットで

「クラウザーさん!写真撮って下さい!」

と飛びついてしまった。額には「TRICK OR SATSUGAI」

僕らは友達のちあきちゃんら美人魔女軍団と合流し、川崎の街を練り歩いた。このパレードの面白いところは、パレードの先頭をDJが乗ったフロート(トラック)がテクノやハウス、トランス等をガンガンかけながら先導するところにある。昔ベルリンに行って体感したテクノの祭典・ラブパレードを髣髴させる血湧き肉踊るイベントなのである。

今年は2台あり、僕らは1号車の後についていけ、と振り分けられ、いよいよ開始になると音楽がズコバコかかり始めた。去年一昨年はRは音楽のでかさと仮装の恐ろしさにびびって泣いていたが今年は大丈夫(途中で疲れてボーッとしていたが)

タクにいたっては初参加なのに最初から超ノリノリでさすがテクノっ子である。終わりの方には自分で歩いていた。

しかし川崎の街に出てみると音楽がダメダメで…。音がしょっちゅう止まる。無音状態がかなり長かった。踊りながらパレードするのが楽しいのに、ただ歩かされたような感じであった。トラブルでもあったのだろうか。

「今年はダメダメですねー」

ちあきちゃんと愚痴りながらお開きとなった。これが飴に対する鞭だったとしたらむご過ぎる。

パレードが終わり、Rは

「Rちゃん、お化け楽しかったよ!」

今年は仮装を怖がらなかったよ!と得意気に言っており、タクはどうだったかなーと聞いてみると

「すぶぶだい(滑り台)、たのしかった」

「いや、滑り台は今日してないし」

今日は公園とか行ってないじゃんと指摘してみると

「すぶぶだい、たのしかったの!」

と逆切れしたのでもうそれでいいことにした。タクをどこかに連れて行っても、思い出が捏造される…。

「タクをどこか連れて行く意味があるんだろうか」

「ないよ」

嫁はあっさりと言った。来年はどうしようかなあ…。

問題:家に帰ってから気付いて、ガッカリしたことはなんでしょう?

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台風のため地元のハロウィンパレードは中止になったらしい。

土曜も仕事だった僕は帰って来てから嫁から聞いた。日曜は川崎でハロウィンパレードがある。こちらは僕と娘・R(4才)だけが行く予定だったのだが

「今日ぽしゃっちゃったから、明日私もタク(1才の息子)も川崎行くわ」

結局嫁も参加することを決めた。川崎は遠いから、という理由で敬遠していた嫁だったが、元々盆踊りとかそういう祭事は好きなのである。祭事は好きなのだから情事も好きになって欲しい。

「でもこれは仮装してないとパレードに参加出来ないんだよ。お前何か用意してる?」

「うーん」

子供達の仮装は揃えていても嫁自身は特に用意していなかったようだ。嫁よ心配するなかれ。僕のコスプレコレクションを各種提供しようではないか。

「ナース服あるよ。それにすりゃいいじゃん」

「知ってるよ!セーラー服も体操着ブルマもあるのも知ってるよ!」

「では何を悩むことがある」

「着れるわけないでしょ!」

若い娘っこが着るのならともかく、とてもそんな年ではないという。

「そんなことはない。年配のナースだっているじゃないか」

「仕事で着るのと仮装するのは別」

そんなものだろうか。どうせ仮装する阿呆に見る阿呆である。同じ阿呆ならコスらにゃ損損。僕だって去年手術服着てブラックジャックのヅラをしたのである。年など気にすることはない。嫁に言った通り嫁より年配のナースだっているし、風俗で地雷踏まされりゃどう見てもそりゃ娘のセーラー服だろっていうおばさんが出て来る。もとパレードでは魔女に扮した女性もたくさんいる。体操着+ブルマにバレーボールを持てば「東洋の魔女」となり、東西の魔女として何ら遜色ない。

「じゃ、この魔女帽子かぶるだけでもいいでしょう」

嫁は黒い三角帽子を手にした。ちっ。いつの間に用意しおったのだ。無難な方面に話がまとまってしまった。あとは…Rとタクか。

「Rちゃんとたっくん、君らも明日仮装してパレードやるんだぞ。子供はお菓子貰えるぞ」

「Rちゃんやる!」

「たっくんもやる!」

よしよし、やったれやったれ。

ドレミファそらやれー。どしらそパレードー。

問題:パレードの仮装コンテストで優勝した人はどんな豪華賞品が貰えるでしょう?

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雨でぽしゃりそうなハロウィン。

一応日曜の川崎ハロウィンパレードに向け、まあそれっぽい無難な衣装を用意した。僕のぶんと、娘・R(4才)のぶん。息子・タク(2才)はちょっと可愛そうだが嫁の行く気がなく、僕ひとりでふたりの子供を連れてのパレードはさすがにきついので留守番しててもらう。

「土曜日にもあるのよ。それには行く」

嫁が言うには地元の商店街でも仮装パレードがあるんだそうだ。

「衣装買ったの?」

と聞くと

「買うなんてもったいない!作るに決まってるでしょ!」

「僕は自分のとRのを買ったよ」

「えー買っちゃったのー?もったいなーい」

確か去年も一昨年も川崎ハロウィンに出る際、嫁に「作ってくれ」と行った時には

「そんなヒマない!」

と言っていた癖に。自主的に出るイベントと僕が頼むことでは随分と違う。ああそうか、出たきゃ自分で作れってことか。しかし僕に裁縫の技術はない。針はレコード針ぐらいしか触ったことがないし、糸といえばあやとりとベーゴマぐらいしか出来ぬ。

小中学校の家庭科ぐらいではやるだろうと思うけれども、課題は全て女子にやってもらっていた。頼んでもいないバッグを作ってくれたこともあった。今思えばあれは恋のサイン…気付かなくてごめんよ美智代ちゃん。僕は不器用だから恋の赤い糸は結べなかったのさ。

西田敏行は「もしもピアノが弾けたなら」と歌った。僕も、もしも衣装が縫えたなら。

もしもー衣装がー縫えーたーならー
思いのー全てをー服ーにしてー
君にー着させるーことーだーろおー。

(中略)

だけどー僕にーはテクーがないー。
君にーはかせーるブルマもーないー。

心は、いつでも、半ー勃起

(以下略)

どんどん80年代の思い出に沈んで行ったが、そういえば嫁はどんな仮装を子供達にさせようとしているのか。

「で、タクにはどんなの着せるの?」

「黒い服に白いテープベタベタ張ってホネホネ衣装にしてやんよ」

ホラーマンってわけね。そこにRが

「えー、ほねほねやだー。こわーい」

ホネホネはいやであると異議を唱えた。おおそうじゃ。着る本人達の意向もあるだろう。

「じゃあRちゃんはどんなのがいいのかな?」

「かぼちゃー」

え。

ジャック・オ・ランタン
「あの…かぼちゃってこのジャック・オ・ランタン?」

「うん。かわいい」

「お面とかあったらかぶる?」

「かぶりたーい」

まさかジャック・オ・ランタンを可愛いと思うとは。てっきり小さな子は怖がるものだと思っていたが。カボチャーショックであることよ。

ジャック・イル・ダーク
ちなみにこの人はブラックメタルの帝王、ジャック・イル・ダーク。

代表曲:「ファッキンガム宮殿」
名言:「ファックは世界共通語だと思ってるよ…」 

こんなことならジャック・オ・ランタングッズを買って来ればよかった。渋谷LOFTにゴロゴロ売っていたのに。しかし僕は、

ジャック・オ・ランタンより
ファック・オ・チンチンの方が好きである。

問題:LOFTで仮装の服着てたマネキンを見て驚いたことは何でしょう?

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夜のおやすみタイム。

とは言っても娘・R(4才)と息子・タク(2才)はなかなか寝ないものである。最後は嫁の雷が落ちるのは分かり切ったことなのに、これが若さというものかしらん、と布団の上でじゃれ合うふたりを見ていた。

「ではもんだい」

児玉清ばりの宣言でクイズを始めるRと

「いいよー」

受ける構えのタク。

「とんぼのおひげを生やしたミッキーマウスは何でしょう?」

訳の分からない問題きたー。そんなミッキー、ディズニーランドにいたっけ?そもそもトンボってヒゲ生えてたっけ。「とんぼ」を歌った長渕剛にはヒゲがあったが21世紀っ子のRがそんなところから元ネタを引っ張ってくるはずもない。

「えー。なんだっけー」

タクもお手上げである。するとRはヒソヒソ声で

「ミッキーマウス…」

とタクに正解を耳打ちするではないか。それが正解だとしても未だ謎は解けぬが優しい姉であると言えよう。

「みっきーまうす!」

タクが自信満々で答えると

「ぶっぶー」

え、違うの?あんた鬼や。

「せーかいは、とんぼのおひげを生やしたミッキーマウスです」

ああああツッコミ入れたいいいいい。

「ではつぎのもんだい」

Rのクイズはまだまだ続く。

「小鳥さんをつぶしたり蟻さんをつぶしたりするものは何でしょう」

なんだよその黒くてグロい問題は!

「おっぱっぴー。おっぱっぴー」

タクは既に飽きていた。

「わからないひとは寝てくださーい」

司会者・児玉Rがそう仕切ると、Rもタクもコテンと寝てしまった。4才児の頭の中がディズニーランド以上の夢の世界だということがよく分かった。そしてようやく寝たか…と思ったら

「おきてくださーい」

がばっとゾンビのように復活するふたり。

「Rちゃん、ミッキーマウスにおひげ生えてたっけ?」

とうとう我慢できずにRに聞いてみると

「ミッキーさんにはおひげないよ!」

5分前に自分が言っていたことをあっさり覆しおった。そうなると僕もミッキーってヒゲが生えてたかどうか記憶が曖昧で分からなくなって来てしまった。どうでもいいことなのに。そういえば長いことディズニーランドに行ってないなあ…などと考えていたら

「いい加減に寝なさい!」

とうとう嫁の雷が落ちた。

東京寝ずニーランド。

問題:東京ディズニーランドで僕が唯一自慢できることはなんでしょう?

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細い家

すんごい細い家。

スモウトリが途中で詰まっていそうである。

ハロウィンエドウィン平等院。

今度の日曜日は川崎ハロウィンパレードに行くつもりで申し込んでいたのだが、仮装の準備を何ひとつしていないことに気付いた。

我が家にはセーラー服とかブルマとかナース服はあるのだが、それらは使用目的が違うというか、ハロウィンではなくて「エロ淫」な時にギャルに着用させるものであるので着れない。僕も着て着れないことはないのだが、そこはさすがにまだ恥も外聞もある花も恥らう三十路おやじ。逮捕歴ついちゃいそうだし。

そんなわけで衣装を探すべく、中野ブロードウェイに向かった。ここは一風普通のショッピングビルだが、フロアが上がるにつれ「まんだらけ」をはじめとする様々なマニア・コレクター向けの店が密集している。

古本屋・占い館・プレミアおもちゃのコレクターショップ・メイド喫茶・メイドゲーセン・コスプレ衣装屋…ありとあらゆるマニアックな店が集まっているのである。死体以外なら何でも売っているのではないだろうか。

僕はメイド喫茶に非常に興味があったのだが、本来の目的は衣装を探すことである。無駄な時間を取られてはならぬ。決して入りはすまい…と固く心に決め、早速何店かあるコスプレ屋に入ってみたら…

「は、恥ずかしすぎる」

やはりこのことであった。元々圧倒的に女性物が多いし、数少ない男キャラと思われる衣装は何のキャラか分からないし。ちょっとひねって考え過ぎたようだ。普通に東急ハンズで売っているようなパーティーグッズでよいのだ。

なまじ去年や一昨年のパレードで見かけた、ハードゲイやらハットリ君やら魔太郎のコスプレ猛者達の印象が強かったのでつい。

「それじゃ渋谷のハンズかロフトでも行くかね…」

と思い中野を後にすることにした。しかし長いことうろついていたので無性にタバコが吸いたい。ブロードウェイ内で吸えるところは…喫茶店とか…。

「お帰りなさいませ、ご主人さまぁ~」

タバコを吸いたいから喫茶店に入った。たまたまそこの店員がメイドだった。ただそれだけのこと。…無理はないな!

ていうかこのメイドさんたちは既に仮装をしているので羨ましく思った。メイド衣装なら秋葉原のドンキにもたくさんあったな、などとコーヒーをすすりながら考え、もし僕がメイド服を着たら…

ハロウィンよりビョウウィン行きかもしれない。

問題:中野のメイド喫茶が秋葉原のメイド喫茶と違ってるところは何でしょう?

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バーチャルネットストーカー・ヨシミ22歳(通称よっきゅん)にストーキングされてました。

以下日記↓

あまりのショックのせいか、風邪で頭が学級閉鎖を起こしていたからか、昨日のことなのに既に記憶が曖昧なのだが、

「うちは家庭崩壊しているから」

嫁にそんなことを言われた。確か娘・R(4才)が

「パパとママ、手をつないで~」

と戯れていた時に嫁はあっさり拒絶し、なんで繋がないのかと言われた時にした返事だったように思う。

確かによそさまと比べるとわりと好き放題やらせてもらっていると思う。アナルセックスとか。それが嫁にここまで言わせるまでの負担となっていたとは…。

「家庭崩壊…家庭崩壊…」

家庭崩壊ってちょっと仮性包茎に似ている…いやそんなことはどうでもよく、家庭崩壊という衝撃的な単語が僕の頭の中をグルグル回っていていたにもかかわらず、嫁は

「あしたの幼稚園は給食ね~」

あっさり次の話題に行ってるし。

翌朝、暗い気持ちで会社に行こうとすると、最寄り駅が人で溢れていた。止まっているのだろうか。しかし何のアナウンスもない。駅員に聞こうと思っても改札に3人ぐらいしかおらず、それらも人の波に飲まれていた。ホームに降りると「電車がきます」というサインが出ていたので期待して待っていた。しかし一向に来ない。

全く情報が入って来ないので携帯で調べたら「停電事故で復旧の目途立たず」とのこと。なんという案内の悪さ。アナウンスも張り紙も何もない。何も知らない人はじゃんじゃかホームに降りてくるというのに。走らない電車はただの鉄屑。使えない駅員なら駅は自動改札だけでよい。怒りを覚えながら駅員から遅延証明書と振替輸送券をぶん取り、歩いて15分ほどの別の線の駅から会社に向かった。

無駄な足止めと労力をのお陰で風邪の具合も徐々に悪化し、40分ほど遅れて会社に到着。すると嫁からメールが入っていた。

「駅前に救急車と消防車とパトカーとヘリがばんばん来てたけど大丈夫?あなた運ばれてない?」

嫁は僕が家を出た後にRを幼稚園に送って行き、その時に騒然とした駅前を見たという。地下鉄が立ち往生して乗客が閉じ込められ、気分が悪くなった人が運ばれていたのである。僕は風邪を引いてたのでもしかしたらぶっ倒れてるのではないだろうか、と心配してくれたのであった。

家庭崩壊などと言いながらもいざという時は心配してくれる嫁に涙が出そうになった。やはりウィーアー夫婦。夫婦善哉。夫婦万歳。

「大丈夫だ、ありがとう」

と返事をして仕事に就いた。確かにあと少し事故のタイミングが遅かったらその通り、閉じ込められてぶっ倒れていたかもしれないなあ…

とか考えていたら仕事中ぶっ倒れて早退する羽目に。どちらに転んでもぶっ倒れると定められた僕のフォーチュンであったことよ。

家に帰って来てやり残しの仕事を鞭打って捌く。予測していたことではあったが子供達の「遊んで攻撃」をかわしながら…。

「あら帰って来たの」

嫁はそっけなかった。このツンデレが。

地下鉄停電事故の原因はもっぱら調査中であるという。ていうかまだ分からないのか。

地下鉄はどうして止まったんですかねえ?それを考えると夜も眠れなくなっちゃう。

問題:電車が止まった時、僕が判断に迷うことは何でしょう?

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日曜日の話。

夕方、娘・R(4才)と息子・タク(2才)が

「おまつり行きたいの」

と言うではないか。お祭りなんてあっただろうか。秋だ一番ドラえもん血祭りとか?

「商店街のお祭りのことよ」

嫁が助け舟した。そういえばチラッと聞いたような。

「行きたいって言ってももう夕方じゃん。ほら、もう暗いし」

窓を見ると、外は既に暮れなずむ街の光と影の中。

「Rちゃん夜だいすき!」

4才児にしては問題発言。お前が高校を卒業するまで門限は6時じゃあ!

「私、ゴハン作ってるから先に子供達と行っててよ」

嫁は後から行くという。ていうかいつの間にか行くことになっていて、まあいいか。会場に行ってみるともう祭りは終盤に差し掛かっており、片付けを始めている屋台も多かったが

「なんかたべるー」

と子供達が早速ねだる。コレが目当てだったのだろう。夕飯前だし綿あめを買い与えた。遅れてやってきた嫁は

「何よ、屋台もうほとんど売り切れじゃないのよっ」

「お前も食いたかったのか?」

「当たり前でしょ!そのために来たんだから!」

子供達より食べる気満々だったようだ。

イベントとしては近所の音大生がコンサートをやっていた。ちょうど僕らが来た時は管楽器サークルが演奏しており、

「最後は『千の風になって』です。みなさんも歌ってください」

観客にも歌わせようとするではないか。

「わたしのおおおお、お墓のーまーえでええええ」

同じ音大生だと思われるゴスペルクラブも加勢し、商店街がレクイエムの大合唱で包まれるという、こっちが風で飛んでしまいそうな異常な空気に満ち溢れ、お祭りは微妙な絶頂を迎えた。

僕は風になってというより風邪引いてるんだよ、とテンション低めであったが、嫁は歌っていた。中学高校合唱コンクールでありがちな、ダッチワイフみたいに口と目を大きく開けて、アクメった恍惚の表情で歌っていたら

「だめ!だめなの!やめて!ママやめて!」

タクが本気で嫌がっていた。怖かったに違いない。

管楽器隊が引き上げた後、何故か一輪車のオークションが始まり

「1,000円からだよ!欲しい人いませんか?え、いない?誰か100円でもいいから上乗せしてよ~。コレ捌けないと私の立場がやばいんで…」

オークションおやじの声が虚しく響いていたので帰った。

家に帰ってから風呂入って飯食って、祭りに行ってたぶん寝る時間が遅れた。その晩、仰向けで寝ていた僕の上に、ウトウトし始めたRが覆い被さって来た。Rがもっと小さな頃はよくこうして寝ていたものであるが、久しぶりに乗られたので重くなったなあ…としみじみ感動しながらも、苦しさが増していくのであった。

わたしのおおお、おなかのー上にー、乗らないでくださいいいい。

問題:プーさんの被り物をしていた兄ちゃんがいたが、彼はどんなむごい目に会っていたでしょう?

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娘・R(4才)の幼稚園でバザーがあるんだと。

そこで数十人のママさん達が売り子として駆り出され、嫁もそのひとりであるから

「私、準備があるから開始時間になったら子供達を連れてきて」

と言われた。

「何の売り子やるの?」

「子供服」

なんだ。ありきたりではないか。メイド喫茶でもやればいいのに。主婦メイド喫茶「悦子」とかやれば町内のオヤジが集まるのに。

10時の開始時間に行ってみると、それは結構な賑わいで。嫁が売り子をしている間、娘・R(4才)と息子・タク(2才)を連れて見て回ることにした。

「駄菓子売り場」

Rとタクに小さなカゴを持たせて「好きなの入れな」とお菓子を取らせてお会計。

「袋は分けますか?」

とママさん売り子に言われたが、がさばるので「ひとつで」と答えてRに持たせたら

「たっくんのは?たっくんのわ?たっくんのぉぉぉぉ!」

タクが自分の全部取られたと勘違いして号泣。ママさんはこういうことを案じていたのか。素直に従っておけばよかった。

「紐引き」

ビキニ美女のブラ紐を引っ張っていやあああん、というゲームではなく、紐を引っ張るとその先に付いているオモチャが貰えるよー、というやつ。

Rもタクもコンビニ袋にパンパンに詰まったオモチャ類をもらってしまった。開けてみるとUFOキャッチャーで取ったと思われるキティちゃんのぬいぐるみやらガチャガチャの景品とかマックのおまけやら…バザーでここぞとばかりに放出した余り物オモチャ勢揃い。

「せっかくいらない物をいっぱい出したのに、またいらない物が集まってきてしまった…」

嫁が嘆いていた。

それでもRとタクは家に帰ってからオモチャ達をぶちまけて遊び、大喜び。たくさんのおもちゃの中でRが一番気に入っていたのは、何故かサッカーボール消しゴムというしょぼいもので…。

寝る時になっても手放さず、いつまでもいじっていてちっとも寝ないので

「ほら、サッカーボールはないないして寝なさい」

と言うと

「サッカーボールちゃんと一緒に寝るの。ひとりじゃさびしいってボールちゃんが言ってるの…」

サッカーボールに情が移っていた。お前はキャプテン翼か。

ちっとも寝ない原因を作ってしまった僕は、来年のバザーあたりに「不要夫」として出品されそうな予感がして、ドナドナを歌いながら寝た。

バザーに出されるファーザー…。

問題:バザーで一番人気があるという品物はなんでしょう?

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風邪を引いてしまい、娘・R(4才)と息子・タク(2才)が僕に近づくと

「ダメよそっち行っちゃ!風邪とオヤジ菌が伝染るから!」

嫁がえんがちょ扱いする。

「そもそもこの風邪はこの子達から伝染されたんだろうが」

と反論すると保険証をぺしりと投げつけ

「あそこの医者行って来なさい。じゃーね隔離隔離」

子供達と公園に行ってしまった。あそこの医者とはRとタクの掛かりつけの医院。小児科と耳鼻科があるので、鼻風邪を引いている僕もそこで見てもらえる訳だ。何度も子供達を連れて行ったことがあるが、僕自身を診てもらうのは初めてである。処女である。じゃなかった初診である。優しくしてね。

「ギャアアアアアア!」

子供の絶叫が響き渡る医院の受付で保険証を差し出すと、受付嬢が無意味に美人だった。これはよくない。そもそも病院は病気を治すところなのに、新たに恋の病にかかってしまうではないか。そしてそれは医者でも草津の湯でも治せないのである。

昔通院していた歯医者は、助手が皆美人でキャバクラばりのラインナップだったが、あれは歯科医の趣味だったんだろうなあ…。制服もマニア受けしそうなソソるものだったし。しかしここの医院は女医なので無関係である。

「耳鼻科でおねがいしましゅ。初めてでしゅ」

鼻水垂らしたこの有様ではいくらカッコつけても無駄なので、弱り切って母性本能をくすぐる可愛さアピールをした僕は体は大人でも頭が小児科。

混んでいるのでひたすら待たされる。病の身で待っているというこの時間が辛い。まさか子供用の遊び部屋でミニカーブーブーとか遊ぶわけにいかんし。

情報誌のラーメン屋特集を読んでいると僕の名を呼ぶ声が聞こえた。ちっ、せっかく練馬区特集を見ていたのに…と診察室に入ると、いつも子供達を診てもらっている女医がいた。

「風邪ですね。タバコは控えて」

診察は2分で終わり、最後にネプライザーという鼻から喉に蒸気を通すメカで蒸気吸引した。


アキバ丼
「ギ・おなら吸い込み隊」みたいな状態(ピエール瀧のお尻から延びるホースで、石野卓球と砂原良徳がおならを吸い込む、という設定)

元々アレルギー性鼻炎で子供の頃よく耳鼻科に通っていた僕。このメカもお馴染みである。但しやるのは久しぶりで、昔はこの吸引ホースの先が二股に分かれていて、それを鼻に突っ込むタイプだった。そして僕が子供の頃にはなかったが、子供がやる時のために蒸気にレモン味やイチゴ味などがあるのである。耳鼻科の治療も時代と共に変わるものなのだな…

蒸気吸引が終わるまで暇だったので、そんなことを考えていた。

鼻の色は移りにけりな、いたづらに。

問題:僕の薬をタクは何と勘違いしていたでしょう?

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「みてみて~」

朝、娘・R(4才)が野菜スティックの入った袋を持って僕に見せた。

「にんじんは、うさぎさんに。だいこんは、ヤギさんにあげるのよ~」

何のことやらさっぱり分からなかったが

「幼稚園に移動動物園が来るのよ」

と嫁がフォローした。移動動物園とは何だ…ライオンにまたがったムツゴロウ率いるゾウやゴリラの猛獣軍団が、目白通りを爆走して攻め込んでくる姿が目に浮かんだ。アニマル暴走族「夢都御牢」いや「6256」のほうがいいかな。全開バリバリパンツはガビガビ。

「おっかねー…キリン来んの?」

「来ねーよ!」

DA・YO・NE。

嫁の話によると、ヤギやら羊やらウサギやらの比較的おとなしめの動物が幼稚園にやって来て、園児みんなで先程の野菜をあげるのだという。

「たっくんも、うさぎさん!たっくんも、やぎさん!」

息子・タク(2才)も動物に会いたいと騒いでいる。タクは幼稚園児ではないのだが、午後嫁たちが迎えに行くまで動物たちもいるので、その時にタクも会えるのだそうだ。

「ふーん、いいなあ。ヤギさんたちによろしくね」

子供達がキャアキャア言いながら動物達に接する姿を思い浮かべながら僕は仕事に出たのであった。僕も一度でいいから0点の答案をヤギに食べさせてみたかった。生まれて初めて物理で0点を取り、鼻の奥につーんとしたものを感じた、高1のあの日。

仕事から帰って来て「どうだった?」と聞いてみると、嫁が迎えに行った時、Rは既に授業で動物に餌をやり終わっていたので見れなかったが、タクも充分楽しんだという。

タク
餌を食べてくれると

「たべたよー!やぎさん!もぐもぐって食べてるよー!」

嬉しくて駆け回り、嫁のみならずその辺にいたママさんにまでいちいち報告し、逆に食べてくれなかった時は

「いらないの…かな…」

非常にしょぼーんとしていたのだそうだ。

タク
我を忘れて駆け回り過ぎて、いつの間にかアニモー達に囲まれて泣くの図。

「じゃあ僕にもゴハンを用意してくれまいか」

僕は昨日以上に鼻水が出まくり、熱も多分あるのだろう、とてもダルかった。本来ならば僕の夕飯は嫁が作っておいてくれるので、暖めて盛り付けるだけでよいのだが、それすらもしんどく感じたので嫁に甘えたのである。ところが嫁はいつまで経ってもゴハンを持って来てくれない。

気が付いたら寝てた。

鼻をかみながら待っていたのに。僕はヤギ以下か。ヤギのようにティッシュでも食えってか…とまた鼻をかんだ。

僕もヤギが回ったようである。

問題:僕が死ぬまでに一度見てみたい動物はなんでしょう?

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ズビズバー、パパパヤー。鼻水がズビズバで助けてパパヤー。

元ネタ→「老人と子供のポルカ」(再生ボタンを押すと音と映像が出ます!)

娘・R(4才)と息子・タク(1才)がほぼ同時に鼻風邪。

「鼻水を吸ってやらないとなあ」

かわいそうだが泣いて嫌がるタクを押さえ付けて鼻水吸い取り器にて吸引。それを見て戦々恐々となったRが

「Rちゃんは、ちーん、できるのよ!」

鼻をかめるから自分にはやらないで、と言いたいのだろう。Rも嫌いなのである。

「うむ。じゃあお鼻ちーんしてな」

冗談でも次はRちゃんの番だぞ、などと言うとそれだけで泣いてしまうので、からかわないことにしている。タクはその後、微熱まで出てしまったので嫁が医者に連れて行った。

「やっぱ泣いたか?」

と嫁に聞いてみると

「いやそれがあんまり」

流石に鼻水吸引の時は泣いたが、それから後は泣き止み、お医者さんの「頑張ったね!」とか「お薬飲んでね!」という呼びかけに対し、健気にコクコク頷いていたという。同時期のRだったら病院に入ってから出た後まで泣きっ放しだった。今もそうかもしれない。

やはりこういう時は男の子の方がクソ度胸があるのだろうか。男は度胸女は愛嬌。西川のりおはホーホケキョ。

タクの熱は下がったので良かったのだが、引き続き鼻水は止まらず、深夜、寝苦しそうにゴホゴホ咳こむ子供たちの背をさすることもしばし。こういう時、子供達の鼻水を僕の鼻にワープできないもんかね、といつも思う。

さらにワイルドなイビキも聞こえてきたので、誰がかいてるのか、と思ったら

「ぐおおーん。んごごご…」

嫁だった。百年の恋も醒め、夜這う者のリビドオの高まりも一気に冷えるような、あたかもそこにどっかのオヤジが寝ているような嫁のイビキ。

イビキかいてる嫁を見ながらぁ~、あたしゃひとりでケツをかくぅ~。

都都逸のひとつでも唱えたくなるような何とも言えない切ない気持ち。かわいそうに嫁も鼻をやられたようである。そうなると残されたのは僕なわけで…。

と思ってたら翌朝見事的中。咳が出るし声も変だし、鼻水がエロゲのフィニッシュ時における白濁液体ばりにドバドバ出る。咳声喉に、朝ザーメンってやかましいわ。

一家鼻水いらずとなってしまったとさ。

問題:ティッシュを鼻に突っ込んでおいたらどうなっちゃったでしょう?

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仕事から帰って来ると、僕の机の上に落ち葉が1枚置かれていた。

こういうことをするのは娘・R(4才)である。

一生懸命描いた絵、工作物、幼稚園でもらったプレゼント、どんぐり、セミの抜け殻、等々、「上手にできて嬉しかったもの」「ゲットして嬉しかったもの」を僕の机の上に置いておくのだ。そして翌朝Rが起きるとその置いた物の説明を嬉しそうに話すのである。だいたい前の晩に嫁から聞いちゃっているのだが、Rがうきうきしながら喋るのを聞くことがまた楽しい。

嫁が言うには、Rはいつも

「パパに見てもらおーっと」

と言って机に置いているらしい。

「嬉しかったことはまずパパに報告したいらしいよ」

とのことで…なんていい子に育ったのだろう。パパべったりで嬉しい。

「んで、今日のこの落ち葉にはどんな嬉しいエピソードがあったのかい?」

「幼稚園の帰りに、優しいお姉さんがくれたのよ、それ」

「優しいお姉さん?」

なんという安らかな響き。僕の目の前にも優しいお姉さんが現われてくれないだろうか。疲れた体をぱふぱふとわかめ酒で癒してくれるような優しいお姉様が欲しい…。

「お姉さんと言ってもRのひとつ上の年中の女の子なんだけどさ、あなた覚えてる?」

「その子を?」

「去年幼稚園のプレ教室に通ってた頃、やたらとRにまとわり付く子がいるって話したことあったじゃない」

「あー。あの子か」

当時Rの姿を見付けるとすぐさま寄って来て、抱き付いたり手を握ったりチューしてきたりする女の子がいたのである。Rはイヤイヤしていたようだが、その時も僕の目の前にもいきなり口づけしてくる女子高生とか現われてくれないだろうかと思ったものである。

「でもあれから1年、Rに寄って来ることは寄って来るんだけど、チューしたりとかはなくて、本当に面倒見のよさそうな女の子になってたのよ。一緒になって話してくれたり、こうして葉っぱをくれたり」

翌朝、Rが起きてから説明した時も

「やさしいおねえさんにもらったの」

と落ち葉を嬉しそうに僕に見せていたので、1年前はイヤイヤしていたけれども今はその女の子に好意を持っているのだろう。会ったこともない子だけれども、1年でだいぶお姉さんになったと見える。

一方Rは…1年前とあまり変わらないような。落ち葉1枚で嬉しがるようなところは全然変わってなくて可愛いったらありゃしない。特にパパべったりなところは今のままでいて欲しい。いつまでも机の上に「嬉しかったもの」を置いてくれるような。

将来Rが中学に入学した時には、セーラー服を机に置いてくれることを心待ちにしている。たぶん僕が頬擦りしたりしてダメになるので、それは保存用にしてもう一着買い与える所存。

Rが中学生になる頃…僕は涙とヨダレで濡れ落ち葉。

問題:机の上に置いてあってちょっとイヤだったものは何でしょう?

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「おねえさんのお歌みして~」

娘・R(4才)と息子・タク(1才)がせがんでくるのは大好きなアイドル、perfumeの歌。

彼女らのDVDを見ていると

perfumeperfume
perfumeperfume
(perfume:チョコレイト・ディスコ)

踊る踊る。踊るマハラジャよりも踊っているかもしれない。踊る大捜査線よりも踊っているかもしれない。踊る大前立腺よりも踊っているかもしれない。

僕らの子供の頃全盛期だったピンクレディーも「地球の男に飽きたところよ」とか「わーたしピンクのサウスポー」とか、今考えると春先に出てくる自称キリストの戯言みたいな歌で踊り狂っていたが、いつの時代もアイドルにはダンスが必須のようである。

ピンクレディーといえばピンクサターンである。10年以上前だったろうか、199X年、Tバックならぬ「まえT」で現れた3人組アイドルがいた。すぐ「具」が出てしまうらしく、いちいちモザイクがかかっていたので大変そうであった。一緒にTVに出ていた大竹まことが大はしゃぎして

「ピンクサターンでーっす」

とひしゃくを振り回して女の子の「まえT」部分をパコーンと叩いていたのを見て

「これが性器末、いや世紀末か…」

退廃ここに極まれり。ノストラダムスが予言しなくても世界は滅びそうだと唖然としたのを覚えている。

perfumeに話を戻す。

Rもタクも何度もDVDを見て歌も歌えるようになっていたので

「今度はダンスしながら歌ってご覧」

僕が子供の頃もピンクレディーの振り付けを踊っていた子は何人もいた。時代は変わっても子供達はダンスが好きであろう…と思いやらせてみたところ

「ちょこれいと、びすこ♪ちょこれいと、びすこ♪」

と歌いながらダンスを始めたRは…

R
振り付けが全て小島よしおだった。

「Rちゃん、それ違う」

「でもそんなの関係ねえ!」

「おねえさんのダンスをやってご覧」

「おっぱっぴー!」

幼稚園で流行りまくっているので仕方がないか。嫁はやめなさいと必死に止めるのだが無理であろう。それより一緒に踊った方が楽しいのである。

「幼稚園なんかやめちゃって、デカダン酔いしれ暮らさないか!白い壁に『堕天使』って書いて!先公なんてただの看守人、校舎に火を付けろォバカヤロ共よォォ!」

子供たちと楽しむ退廃的なダンス。

これをデカダンスといいます。

問題:何故嫁は頑なにおっぱっぴーを禁止するのでしょうか?

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キッズルームがあるお好み焼き屋に行って来た。

運良くキッズルームのすぐ隣りの個室座敷に通されてメニューを見る。

「Rちゃん、たっくん(4才の娘と2才の息子)、何のお好み焼き食べたい?」

「おむらいす!」

お好み焼きっつってんだろ!と思ったらオムライスもあった。さすが子供への配慮がある店、子供に人気のメニューもある程度押さえている。ゴハンが来るまで遊んでていいよ、と子供達に言うとすぐキッズルームに飛んで行った。僕は時々キッズルームを覗きながら嫁とふたりで料理の来るのをしっぽりと待てばよい。

「楽だね」

「うん。ありがたい」

ところが料理が来てからも子供達は遊ぶことに気が散ってしまい、全然食べてくれなかったのである。不味かったわけではない。美味しかった。お好み焼きとオムライス自体子供達の好物なので普段ならガツガツ食べる。

なまじキッズルームのすぐ隣であったことと、周りも子連ればかりで子供が騒いでもノープロブレムだったところが逆に災いしたのだろう。食べるなら食べるで集中できるところでないとウチの子達はダメなのかもしれない。

大人向けの店でもノーパンしゃぶしゃぶやトップレス牛丼屋「ちちのや」等の女体も拝めるしメシも食べられるという店があるが、僕は魅力を感じなかった。性欲を満たすにしても食欲を満たすにしてもどちらかに集中したいからである。以前職場のおじさんが

「おっぱいパブ行きたいなあ」

お酒も飲めるしおっぱいも揉める店に行きたいと言っていたので

「おっぱいだけじゃ生殺しじゃないですか。飲むなら飲むで居酒屋でいいっすよ」

と反論すると

「下の方もいじれる店があるんだよ。いじる前にちゃんと手を洗わされて、爪が長い奴は切られるんだ」

「それこそ生殺しですよ!元気になっちゃった部分はどーしたらいいんですか!」

「俺みたいな性欲が枯れて来たおじさんにはそれぐらいのお色気でいいんだよ」

僕がそういった店を満喫できるにはまだ若過ぎるらしい。なるほどと思った。

…何の話だったか。手は綺麗にしておこう。違う。

そう、R達にとってのキッズルーム付きお好み焼き屋、というのは例えば僕にとってのノーパンお好み焼き屋みたいなものなのだろう。食べなかった子供達を責めることは出来ない。僕だったらきっとろくにお好み焼きを食べず、だらしのないツラで女の子を眺めているに違いない。

お好み焼き屋だけに、ヘラヘラと。

問題:男の子4人ぐらいがドタバタ遊んでいたのを見て、Rはなんと言ったでしょう?

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嫁がキムタクの映画を観に行きたいのだと言う。しかももう前売り券も買っているという。

「留守番してるから行っておいで」

そのようなことを言い出すのは滅多にないので引き受けたが、いくらキムタク好きだからといってそこまでするか。僕は好きなアイドルがいたとしても映画まで観ようとは思わないなあ…。実家で氷川きよしのポスターを貼りまくっている僕の母を嫁はもう笑えまい。

こっそり嫁が行った後、娘・R(4才)と息子・タク(2才)に昼ゴハンを食べさせた。

「ママは?」

「えーと、お買い物」

「ふーん」

ゴハンの後は、ふたりともハナ垂らしているから外には出さない方がいいだろうと思い、画用紙とペンを出してお絵描き開始。

「たっくんは何描いてるの?」

「ばいきんまん!」

「そうかそうか、上手だね。Rちゃんは?」

「見ないで!」

画用紙を覗き込もうとするとえらい剣幕で怒られた。

「そんなふうに言われちゃうとパパ泣いちゃうよ」

「じゃあ泣けば!」

ツンデレ喫茶
ツンデレ喫茶か。

どうもRはハナ垂れてるのと寝不足のせいか機嫌が悪い。ひょっとしたら眠いのではないだろうか。ツンツンしながらRがお絵描きしているのを遠巻きに見守っていると、着々と毒々しい絵が展開されている。

「どんな絵なのか教えてよー」

「パパじゃま!」

ツンデレ喫茶
やっぱりツンデレ喫茶か。

僕はいじけてひとりインターネッツでもやってるかとパソコン部屋に引き篭もったら、ようやく絵が完成したらしいRがやって来て絵の解説を始めた。

ツンデレ喫茶
「しゃぼんだまがたまごやきにぶつかって、ライオンさんが欧米か!」

「…そうか、よくわかった」

うわあちっとも分からない。このように支離滅裂なことを延々と言っている時は眠いのである。

「ねえパパ~。あそぼ~。プリキュアみる~」

Rのツンデレの「デレ」の部分が発動したようだ。決められた時間以外にはテレビやビデオを見せてはいけないのだが、嫁はキムタク見てるのでいいか、とプリキュア鑑賞タイムに突入。こうしてドタバタと遊んでいる内に、ようやく嫁が帰って来た。

「映画どうだった?」

「キムタクかっこよかったあああんあん」

嫁はヤンデレ(病んでいるデレデレ)のようである。

問題:嫁が僕に買って来たおみやげはなんだったでしょう?

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「白い恋人」に続いて「赤福」までも消費期限偽造。

よく旅行帰りの人からお土産としていただくいわゆる「地元の銘菓」は、経験上「自称銘菓にうまいものなし」と心得ているので殆ど手を付けない。

その中で例外的に僕がうまいと思えるのはこの「白い恋人」と「赤福」と「萩の月」(とそのパクリ菓子、栃木の「みかもの月)なのである。数少ない僕の好きな銘菓が次々と狙われている感じがしてならない。

そうなると次に危ないのは「萩の月」なのか(ついでに「みかもの月」も)。萩の月は大好きなのである。ネーミングもよい。「オギノ式」に似ている。萩の月は消費期限2週間過ぎて食べても大丈夫だったので問題ない。多分。

うちは小さな子がいるので食品管理については嫁がそこそこ気を遣っているらしい。生協のパルシステムだかなんだかを利用している。この日、昼飯を食べていたらなんか物足りなかったので、冷蔵庫を漁ったら生協印の納豆が出てきた。おお、納豆ネバネバ平城京。納豆好きな君と僕。キスの後でも納豆の白い糸が唇を結ぶ。ネバネバーエンディングラブストーリー。

これをゴハンにかけて食べようとすると

「納豆は30回以上まぜまぜしなさい」

嫁がうるさく言う。納豆の聖地・茨城に接した栃木生まれの僕に指図するとは猪口才な。東京人は佃煮でも食ってりゃいかんべ。茨城では乾燥させた納豆をチョコでくるんだ「チョコ納豆」が売っている。あれこそ名物にうまいものなしだ、と買って後悔した。

僕は45回まぜまぜしてから納豆を食べ、ふと納豆が入っていた容器を見てみると…

「嫁、これも消費期限過ぎてるぞ」

「元々腐ってるんだからいいでしょ」

「なるほど…ってあほか」

「だいじょうぶっしょ」

我が家では僕が食べた日が消費期限日である、と嫁に力ずくで説得された。これは僕を陥れるための嫁と生協のワナなのか。

納豆だけに、両者が糸を引いているに違いない。

問題:僕が嫁の作ったもので腹を壊したことがあるものはなんでしょう?

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朝、息子・タク(2才)のおむつを替えようとしたら

「たっくん、いま、うんちしてるの」

プルプルと震えていたので遠くから見守ることにした。

「そろそろ出たかい?」

「でた」

「じゃあゴローンして」

タクを寝かせてご開帳すると、娘・R(4才)が寄って来た。

「まるいうんち?しかくいうんち?みせてみせてー」

「四角いのは作るのが難しいなあ。ていうかあまり見るものではないよ…」

「かちかちうんち?」

「いや、バブルスライムバブルスライムかな」

牛乳飲み過ぎなんじゃ。

おむつを替えたついでにパジャマから洋服に着替えさせる。

「はい、ズボンはくよー」

「たっくんがする!たっくんがするの!」

どうやらタクは自分でズボンをはきたいようだ。

「じゃあこっちが前だからね」

はきやすいように置いてやるとうんしょうんしょと足を通し始めた。それでも左右間違えたりひとつの裾に両足入れたりするのはお約束。手助けしてやってようやくはき終えた。

「できたー」

「はい、じょうずにできました」

「もっかい」

「えー」

せっかくはいたズボンをわざわざ脱ぎ出してもう一度はき始めるタク。自分で出来たのが余程嬉しかったらしい。また手伝う僕。

「できたー」

「すごいねー。トレビアーン。セシボーン。ナガズボーン」

「もっかい」

「いい加減に戦艦ポチョムキン!」

タクはこの日、4回もズボンをはいて脱いでを繰り返した。これも練習である、と僕も良かれと思って言われるがまま手伝った。

「ぱぱ、きょうかいしゃなのォ?」

「うん、そうだよ…ってギャース!」

既にいつも家を出る時間を致命的にオーバーし、ああ、やはり物事には全て限度というものがあるのだなあ…と駅への道を走りながら嘆いたところで…

覆水ずぼんに返らず、でございます。

問題:タクの好きなおむつは、どんなおむつでしょう?

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夜中、眠っている娘・R(4才)と息子・タク(2才)の姿を見つめていると、嫁が溜め息を付いた。

「ふたりとも大きくなっちゃって、赤ちゃんだった頃の可愛さが懐かしいわ」

「気持ちは分かる」

布団を蹴り上げどどーんと大の字で眠る姿も見ていて飽きないものであるが、寝具の中に消え入りそうなぐらい儚げで小さな姿だった頃の可愛さというのもまた格別なものだった。

「タクなんか最近公園に行くと私より女の子の方に向かっていくのよ。ママ寂しい!」

「そういえばこないだ同じぐらいの年の女の子をナンパしてたな」

「そこで、もうひとり赤ちゃん欲しいの!」

「ええええー。赤ちゃんを可愛がりたいから、って言ってたら何人作ってもキリがないじゃないか」

「子供好きの私は、常々3人は欲しいと思っていたのです」

そうだった。元々嫁は子供好き。仕事も子供を相手とする仕事だった。結婚した時から「子供は3人…」と何度か仄めかしていたが、僕は軽く右から左に流していた。

「すまんが僕の稼ぎではふたりが精一杯だよう」

「なんとかなるっしょ」

「根拠は?」

「ない」

明るい家族計画のカケラもない。無意味に明るいだけである。

「あとこれは僕の心配事なのだが、3人目が出来ても、Rやタクと同じような愛情を注げないかもしれない」

「それ、タクが生まれるときも言ってたよね。どうしてもRに愛情が偏ってしまうんじゃないかって」

「タクはタクでRにはない男の子の可愛さがあるから、それはなかったんだけどさ…」

僕は嫁ほど子供好きではない。勿論我が子は大好きである。しかし元々の僕の愛情はそれほど大きくはないから、Rとタクに愛情を注ぐだけで「愛情切れ」になってしまい、3番目の子が男でも女でも「二番煎じ」と感じて興味が持てないのではないだろうか。僕には3人も愛せる心のキャパがあるのだろうか。そんな不安があるのだ、と嫁に話した。それでも嫁は

「ねえ~ん。作ろうよ~」

と僕のアレをまさぐり始めるではないか。いつもは僕の求愛ダンスを無視するくせに、

「こんな時だけ色仕掛けすんな!」

「いつも子種垂れ流してもったいないよ~」

「人のアレを水道の蛇口みたいに言うな」

3人目を頑張るべきなのか、そうではないのか。子作りの悩ましき問題である。大きな問題なだけに判断出来かねないでいる。占いのひとつでもやって縋りたい気分だ。

コヅクリさん、コヅクリさん…。

問題:それでも赤ちゃんが欲しいと言う嫁に、僕は何と答えたでしょう?

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我が幼子達の潤いあるほっぺたや唇を見ていると、くちづけのひとつでもしたくなるものである。

僕はいつも子供達にねだっている。まずは息子・タク(2才)。

「タク、ちゅーさせてー」

「やだ」

そっけない拒否り方は深夜のまぐわいを拒む嫁のそれ。愛しいけれどニクいお方。ちゅーを拒むならそれもまたよし。それがタクの人生。しかしこの父がタクぐらいの時は既に隣のタカコちゃんと毎日のようにちゅーをしていた。お前は父を超えられぬ。ふーんだ。ふーんだ。

「じゃあRちゃん、ちゅーしてー」

息子がダメなら娘・R(4才)である。

「お絵描き終わったらしてあげるから待っててね」

Rはタクよりやはり大人で、というより大人顔負けのたしなめ方で僕は

「は、はい」

としか言えなかった。それから待たされること十数分。

「お絵描きまだー?ちゅーまだー?」

最早どちらが親か分からなくないほど駄々っ子になっていた僕の元に、Rがようやくやって来た。

「いっぱいしてあげるからね」

と僕の首に腕を回して来たのでドキッとしたのも束の間、僕の唇を始め、ほっぺた、首筋、おでこ、まぶたにまでぶちゅぶちゅと濃厚なくちづけを連打するではないか!

「うひゃおおおおお」

「キッスは目にして」とはこのこと、「息が止まるようなくちづけを…」とはまさにこのことでありまするうううう…と80年代歌謡曲のフレーズが頭を過ぎり、Rのくちづけに陶酔する数秒間。しかしそれは何時間にも及ぶ恍惚のひとときにも思えた。やがてRは僕から離れ、

「はい、おしまいよ」

涼やかな目で僕を見、すっと指で己の唇をぬぐった。な、なんなんだこの一仕事終えた後のような表情は。まるでおしゃぶりテクニークに自信を持つ女性が、じゅるっぽんじゅるっぽん舐めまくった後、上目遣いで

「どお?」

と聞いて来る時のまなざしそのものだ。どこで覚えたんだろう。もしかして幼稚園で「おっぱっぴー」などと共に変なことを教わって覚えて来たのではあるまいか。先生が自ら「でもそんなの関係ねえ!」とかやっている幼稚園である。どんなものが流行っているか分かったものではない。「チューごっこ」とかが流行ってたらどうしよう!

こんな日活ロマンポルノのような濃厚なくちづけではなく、小鳥の嘴がチョンと触れ合う程度であったならばこれほど陰々滅々と悩むことはなかったのに。また要らぬ心配がひとつ出来てしまった。

くちづけは災いの元。

問題:逆にRが僕にしてくれとせがむことは何でしょう?

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夕飯に巨峰が出た。

僕は巨乳は好きだが巨峰は嫌いだ。皮とか殻のある食べ物は剥くのがめんどい。嫁に対して

「可愛い女の子が皮剥いて種取って、あーん、ってしてくれなきゃやだ」

「百歩譲ってお前でもいいから皮剥いてくれ」

と常々ほざいていたら、いつの間にか僕だけ果物やカニなどが一切与えられなくなってしまった。この日も巨峰があったのは嫁と子供達の皿にだけ。僕の皿に載せる気は皿だけにサラサラなかったようである。

但し自分はさておき子供達の分については剥いてやらなければなるまい。嫁はデザートのつもりで盛ったのだろうが、子供達はまず巨峰に手を伸ばしていた。

「どれタク、皮を剥いてやろう」

息子・タク(2才)を巨峰を取ろうとすると

「たっくんが、むく!」

ぐうたらなオヤジとは正反対で、ぴりぴりと真剣に少しずつ剥き始めた。片や娘・R(4才)も食べたい一心で、剥きながらちょっとでも果肉が現れるとすぐさま食らいついており、ふたりとも父が思っている以上に上手い。特にタクは神経質なまでにひとつひとつ綺麗に剥いている。

「タク、じょうずだね」

「たっくん、もうすぐ2才だから、むくの、できるの」

「いや、もう1週間前に2才になったんだよ…」

「…」

会話もそぞろにタクは皮剥きに集中していた。ただ一向に食べる気配がない。

「タク、剥いたの食べれるよ?」

「たっくん、もうすぐ2才だから、むくの、できるの」

「いやあのね…」

「おてて、拭いて!」

言うことを聞かないどころか、果汁でベタベタになり皮の切れ端が引っ付いた手を拭え、と僕に命令するほどのストイックぶり。タクはひたすら剥き続け、遂に全ての粒を剥き終えた。

「すごいね。全部剥けたよ」

剥けたのはいいんだが、そろそろゴハンを食べて欲しい…と思っていたら

「ふー。ごちそうさまでひた」

「おいこら一口も食べてないじゃないか!」

巨峰どころかゴハンも一口も食べず、さっさとエプロンを外してスタコラと隣のオモチャ部屋に行こうとするではないか。

猿にラッキョウを与えると皮が無くなるまで剥き続けるという。猿と同じではないか。猿にラッキョウ、タクに巨峰ときたもんだ。

「こらタク、ゴハンを食べなさーい」

怒りの葡萄になってしまった。

問題:最近タクが大好きなお菓子は何でしょう?

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娘・R(4才)とお風呂に入っていたら

「パパのお尻をかじり虫~」

娘・R(4才)が「おしりかじり虫」の歌を歌いながら僕のお尻を執拗に攻める。        

おしりかじり虫
「おしりかじり虫」とはお尻をかじるのが大好きな虫である。NHKのみんなのうたで放送されて子供達の間で流行っている。僕はおっぱい党なので「お乳かじり虫~」と歌いたいところだ。

お尻をつねられたりかじられたり、結構半端じゃなく痛い。親父のお尻を噛む娘、というのもビジュアル的に痛い。

「じゃあパパもRちゃんのお尻を齧っちゃうぞー」

「やだ」

人の尻を攻めといてなんと理不尽な。齧るのがダメならば…。

おしりかじり虫
「おしりかじり虫」の歌には「お尻とお尻でお知り合い」という歌詞がある。僕が子供の頃からほざいていたギャグである。当時「ともだちんこ」「なかまんこ」「おしりあい」が三大下半身ギャグであった。

「じゃあRちゃん、おしりとおしりでおしりあいしようぜー」

「いいよー」

これにはRもホイホイお尻を差し出してきたので、

「おっしりっあい!」

「おっしりっあい!」

餅つきのごとくペッタンペッタンお尻を合わせた。オヤジの僕の汚い尻とRのプリプリのお尻が、今ひとつに。

「ふー。おもしろいね」

「おもしろかった!」

将来Rの結婚披露宴で喋ったらRの気が狂いそうなエピソードがまたひとつ生まれた。嫁に知られたら「あんたら何バカなことやってんの」とか言われるに決まっているので

「ママには内緒ね」

「うん」

「じゃ、出ようか」

お風呂を出て、Rの体を拭いてやると、頭にバスタオルを乗せたままどどどどと嫁の方に走り出し、

「ママー!パパと、おしりとおしりでおしりあい、したのよー!」

台無し。

頭隠して尻隠さずとはこのことだ。

問題:息子・タク(1才)のお尻をかじらせてくれと言ったらタクはなんと答えたでしょう?

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栃木の母が娘・R(4才)の運動会に合わせて滞在中。

「そろそろプレゼントが届くよ」

息子・タク(1才)の誕生日プレゼントをウチに郵送したのだという。

「買わなくていいから、ってあれほど言ったのに」

「まあまあ、いいからいいから」

程なくして黒猫の使いがやって来て、母のプレゼントを置いていった。

「これなーにー?これなーにー?」

大興奮するRとタクを制して開けてみると、タクへのプレゼントはお絵描きボード。

「お母さん、すまないねえ。ほらタク、お礼を言いなさい」

「おばーちゃん、ありがと!」

これはよかった。しかし大きな包みはまだもうひとつあった。

プリキュアキャリーバッグ
「母さん、なんだこれはー!」

これは腐女子(オタク女)御用達、キャリーバッグではないか。

「それはRちゃんに。プリキュア大好きだもんね」

「Rは別に誕生日でもなんでもないじゃん」

「新聞のチラシに載ってたから、ついムラムラっと」

女子高生が乗ってたから、ついムラムラっと…痴漢の供述みたいなことを言う母。

池袋の通称「乙女ロード」と褒め殺されている腐女子の聖地では、キャリーバッグを転がして歩いているオタク女性がわんさかいる。その中には同人誌(ホモ漫画中心)やコスプレ衣装がギッシリ詰まっているという。

その乙女ロードはウチから程近い。そして僕がこの有様で嫁のイトコもバリバリ同人誌を描いている。ただでさえ地理的・DNA的にバッチリなオタク環境なので、せめて我が子はオタクになりませんようにと気を付けているのに、こんなものを与えてどーすんだ。

将来Rが腐女子になったらどーすんだ。小沢一郎が安部総理を犯しまくり、田中マー君がハンケチ王子のアナルを舐めまくってるホモ同人誌をキャリーバッグに入れ、乙女ロードを闊歩しちゃったらどーすんだ。

「パパが受けてタクが攻めね」

とか親子ホモカップリングされたらたまらない。禁断の近ホモの道は歩みたくない。

さて、どうしたもんかねと頭を悩ませていたら

タク
「いってきまーす」

「おいこら、どこ行く!」

Rよりタクのほうがコレを気に入ってしまった。Rはお絵描きボードを描き描き。母の目論見と逆になってしまった。タクは腐女子になってしまうのだろうか。男の腐女子はなんと呼ぶのだろう。あ、オタクか。
                                         
所詮カエルの子はカエル。オタク属性の子もまたオタク。家の中で電気グルーヴとかテクノを流し、Rにピノコをコスプレさせるような、オタク化の伏線を日頃から張りまくっている僕が悪いのだ。

家族全員総オタク。家族対抗オタ合戦。家族総出で乙女ロード。それで楽しいのかもしれない。幸せなのかもしれない。

「何でもないような事が、幸せだったと思う」

乙女ロード第1章。                                                                               
問題:タクがキャリーバッグに詰めまくったものはなんでしょう?

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娘・R(4才)の幼稚園の運動会。

朝7時半に場所取りに行ったら既にゴザが2列目まで埋まっていた。ドラクエ発売日か。

「Rちゃん、がんばれなー」

Rは朝からやる気満々。開会式にはキリッとした顔でまっすぐ立ち、園長先生のお話を聞いていた。

「皆さんお早うございます。天候に恵まれまして、今日は秋晴れ!」

秋晴れ!を

秋葉原ストリートニュース
アキバれ!と勘違いしてしまった僕は重度のネット依存症。

Rの年少組は、まずはダンスである。早速僕と嫁のカメラ撮影熱が高まった。嫁がビデオカメラを持ち、僕はデジカメを構える。息子・タク(1才)は母に託した。

僕らの席は本部席の反対側で、園児達は本部席に向かって整列するので僕らの席からは後ろ姿しか見えない。どうすんべかと考えていたら

「でもダンスだからぐるぐる回るのよ。だからどこから撮ろうと一緒よ」

ふふふ慌てなさんなと嫁は得意顔でビデオを構えていたのだが、僕は一応本部席横の隙間を拝借し、Rを正面から撮れる場所をゲット。お陰で最初から最後までRの一生懸命踊る姿を見ることが出来た。

「ていうか、全然回らなかったじゃん」

と嫁のところに戻ると

「後ろ姿しか撮れなかったあああああ!」

案の定絶叫していた。どうやら嫁の一人合点だったらしい。

「そんなことだろうと思って動画で撮っておいたよ」

「どこの方向からも見れるような振付をすべきだ!幼稚園にクレームつけてやる!」

モンスターペアレントが誕生した瞬間を見た。

次の出番はかけっこ。ほんの10メートルぐらいの距離だったのですぐ終わってしまったが、これは席からバッチリ見えたので問題なく嫁がビデオ撮影出来た…はずだったのだが、

「あれ?撮れてない!なんでえええ!このカメラおかしいよ!」

また嫁がしくじっていた。職場でもパソコンを使って仕事をしていてミスると

「ちゃんと操作したのに!このパソコンおかしい!」

と言う人はほぼ間違いなくちゃんと操作していない。自分のミスをメカのせいして逆切れする悪い例である。

最後は親子リレーである。Rが前で僕が後ろ、ダンボールで作った電車に入ってえっほえっほと走るのである。撮影はまた嫁に任せた。

「パパとRちゃんは緑組だからね!」

と指示してくれるRが頼もしい。本番も僕とRは息がピッタリ。きちんと走って次の走者にダンボール電車を託した。年少組の競技はこれで終わった。午前中で全て終わってしまい、後は親と一緒に観戦してよい。なのでRと手を繋いで戻ると嫁が怒っていた。

「何よ~。ちょっとはカメラの方に顔向けてくれてもよかったじゃない」

嫁が怒っていた。

「そうも考えたんだけど、仮にも競技なんだから走ることを優先したよ」

「でも同じ緑組のみっちゃんとモナちゃんパパは手を振ってくれてたよ」

「そんなんだから緑組はドベ2だったんだろーが!」

真剣勝負派の僕とイベント感覚の嫁が激突した。

昼食は嫁が気合を入れて作った弁当。午後の部はRの出番がないので閉会式までRとタクと遊んで時間潰すべ、と考えていたがなかなかどうして、オーラスの年長組クラス対抗リレーがかなり盛り上がっていた。

抜きつ抜かれつの大混戦!トップが替わる度に観客のどよめきと悲鳴が!各担任が頑張れと大絶叫!ラスト2人目でまた1位と2位が逆転!アンカー勝負で更に逆転!そしてゴール!そのまま担任の胸に飛び込む!大歓声!担任、感極まって号泣!

そんな大人達が手に汗握った大レースの一方で…

R
Rは友達みっちゃんとひたすら地面に穴を掘っていた。超地味。

こうしてRの初めての運動会は終了した。

「Rはよく頑張ったなあ。全部バッチリだったね」

とRを褒める一方で、嫁は録画ミスのショックをまだ引き摺っていて、

「かけっこ撮れなかった…でもどうせ撮っても見ないしね…私はしっかり生の姿を見ていたし…記録には残せなかったけど記憶には残ったのよ…」

うわあ、なんか後付けの理由付けをブツブツ言ってるぅ…。それを聞いていた母がそっと僕に

「しっかり者だけど失敗すると脆いタイプなんかね」

と耳打ちした。

「いや、そんなタマじゃないよ」

挫けても必ず捲土重来を図る。来年の運動会は今年以上に気合を入れて完璧な段取りを目指すはず。それがウチの嫁。撮影はアレだったが弁当はおいしかったので嫁にも1等賞をあげよう。

1等の旗は先っぽに「1」と書いたちんち…え、いらない?

問題:この日Rがもうひとつ初めてできたことは何でしょう?

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ぴーひゃらぴーひゃら、ぱっぱぱらぱと歌いながら娘・R(4才)が踊る。

「うんどーかいのれんしゅーしたの」

Rの幼稚園の運動会は明日開催される。練習も大詰めで予行演習をやってきたらしい。R達年少組は踊るポンポコリンの曲に合わせて踊るようだ。

「へえ…上手じゃないか。もう完璧だね」

さすがperfumeのPVを観ながら歌って踊るだけのことはある。Rのダンスは21世紀アイドル仕込みだ。

「ふざけて練習しない子とかは『赤ちゃん部屋』に連れてかれるんだって」

と嫁が言う。

「なんだそりゃ」

「説教・再教育部屋みたいな教室に集められるらしいよ」

赤ちゃん部屋という一見メルヘンっぽい名前が逆に怖い。また時節柄、時津風部屋を連想させられたこれもまた怖い。ホンワカしているようでRの幼稚園、意外とスパルタなところがあるんだなあ。

「Rのガッコの先生は、ビール瓶フリフリチーパッパ、ってか。ごっつあんです」

幸いRは素直というか幼いというか、照れたり斜に構えるところがないので素直に練習しているようであり、僕に踊りを褒められて得意顔をしていた。

子供達が寝静まってから、嫁は運動会に持って行く物などを準備。

「はい、あなたはコレ持って朝8時に場所取りに行くこと」

「サー、イエス、サー」

「去年一番早かった人は朝3時半から並んでたんだってさ」

「ダフ屋のバイトみたいだね」

さすがに僕はそんな時間から並ぶ気はさらさらないが、

「僕らも運動会しようぜ。ほれ、棒倒し」

正座して服を畳んでいる嫁の顔の前に棒は棒でも肉の棒をボロローンと差し出したら、嫁はこともあろうにその棒は棒でもうまい棒(苦い味)を思いっきりフルスイングで引っぱたいたではありませんか!

「うおおおお!痛いいたいイタイ!」

「私はそういう冗談が一番むかつくの!」

露出狂が現れた時、全ての女性はこのように対処すると良い。おそらく露出狂は絶滅するであろう。それだけ痛かった。

明日の運動会は雨天中止だが、夜の運動会は野暮天のため中止となりました。

問題:嫁に「どんな弁当にするの?」とたずねたら何と答えたでしょう?

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「R(4才の娘)の運動会、いつだっけ」

「6日だって言ってるでしょ!」

何度も運動会の日程を聞いていたので嫁に怒られてしまった。

幼稚園の運動会と言われてまず目に浮かぶのは、さながらストリップ小屋の如く我が子の姿を血走った目で見入る親達の熱狂ぶりであろう。ビデオカメラのCMも判を押したように子供を追い掛け回す親の姿ばかりだ。

「ふ、憐れなり親バカよ。誘蛾灯に引き寄せられる夏の虫の如き悲しい性よ」

かつては僕はそのような親バカのバーサク状態を醒めた目で見下していたのだが、いざ人の親の仲間入りしてみると朱に交われば修羅の道。僕も好きなミュージシャンのライブばりにテンションが高まってしまっている。血湧き肉踊り、ちあきなおみ踊る。

何しろRの初めての運動会である。可能な限りいいポジションで我が子を見たい、撮りたい、声援を届けたい。

「いい場所で見たいよなあ」

「そうだね。だから朝8時に現地に行くように。よろしく」

開場1時間前から場所取ってろ、と見事に嫁にハメられた。昨晩ハメられなかったのにハメられた。

「それと、園児と父兄が一緒に参加する競技があるから…あなた出てよ」

嫁が言うには、ダンボールで作った電車の中に親子で入り、エッチラオッチラ走るリレーがあるんだそうだ。

「えー。僕が出るのー?」

どうすんべかと僕が迷っていると

「親子一緒の競技は年少組の時しかないんだよ。年中組からはそんなのないんだから」

「そうなの?」

「小学校以降だってないでしょ?つまり、運動会で娘と参加できる最初で最後のチャンスなのよ!」

「最初で最後か。よし、出るぞ!」

「…って父親を口説けばイチコロです、って幼稚園の先生に言われた」

「ふおおおお!」

また嫁にハメられたああああ!考えてみたら嫁が出たって最初で最後じゃん…。このハメられた借りはRの運動会が終わった後、夜の運動会と称してものすごいプログラムを用意して報復することにしよう。組体操四十八手とか顔の上に棒倒しとか金玉入れとか。

「まあRと一緒にやれるのは嬉しいからいいけど…で、運動会いつだっけ」

「さっき言ったでしょ!」

運動会が楽しみでしょうがない!

うんどーかい。まーだだよー。

問題:運動会までにやっとけ、と嫁に言われたことは何でしょう?

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でもそんなの関係ねえ、とか。

そういう世間で流行っているギャグは幼稚園でも流行るようである。ウチではお笑い番組を見せていないので、娘・R(4才)は幼稚園経由で覚えて来る。

元ネタをテレビで見たことがないせいかそれほど面白がっている様子はなく、覚えたての時2、3回ぐらい言うと飽きてしまうようである。ただ中にはそのネタにハートをガッチリキャッチされてしまった子もいるようで…。

Rと同じ幼稚園クラスのマキちゃんのママとウチの嫁が話したことによると、マキちゃんは「でもそんなの関係ねえ!」「おっぱっぴー!」にどっぷり浸かり、家で連呼していたらしい。

「女の子はそういうこと言うもんじゃないんですよ」

とママが諭したところ

「なかむらゆうこ先生(担任)がやってたんだもん!」

と反撃されてガビーンとなってしまったという。先生自らおっぱっぴー。でもそんなの関係ねえ!

「先生もなんか溜まってたんかね」

「さあ」

嫁とそんなことを話した。園児の前でそんなことする先生の心理状態はどんなもんなんだろうかと案じてしまう。

「準備が終わらぬ運動会!でもそんなの関係ねえ!」

「園児の父兄に口説かれた!でもそんなの関係ねえ!」

「ヤックンフックンモックンだ!シブガキ隊スシ食いネエ!」

まあストレスの溜まらない職業はないであろう。クマのアップリケかなんかが付いているエプロンを着た可愛い先生が、あの下らないネタをやっているところを想像すると…なかなか性的な趣があるではないか。

「じゃ嫁、むらむらしてしまったのでいつもの契りを交わそう」

「ちょっと!今生理中!」

「でもそんなの関係ねえ!」

「血がおっぱっぴーなのー!」

逃げられた。

問題:僕がRに伝授した伝統芸能的ネタはなんでしょう?

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「おおいなるきぼうのちから、きゅあどりーむ!」
「おおいなるきぼうのちから、きゅあどりーむ!」
「おおいなるきぼうのちから、きゅあどりーむ!」

(以下30回繰り返し)

夜、プリキュアにはまりまくって叫びまくっている息子・タク(1才)がちっとも寝ようとしない。

大いなる希望の力、キュアドリーム、か。確かに始まったばかりのタクの人生、夢も希望も輝くばかりの可能性を秘めているだろう。

年を経ると僕のように「大いなる希望の力」は「多いなあ恥毛のてかり」程度になるのかもしれないが、とにかく今のうちは可能性だけは無限大である。

口が達者。ひらがなが少し読める。おしりかじり虫とプリキュアとperfumeとぼくはくまとチョコバナナとラムネが好き。怒るとすぐ手が出る。怒られると甘えてくる。タオルを手離せない。りんごをアッポーと言う。頭の上に手拭いをかぶり「おばさん」と言うのが持ちネタ。トイレで用を足させようとするとちんこをいじってばかりいる。

面白いよい子である。一体どんな子に育つのだろう。どのような将来が待っているのだろう。例えどんな道に進もうと、それはタクが、ひとりの男が決めたことである。親としては決して反対することなくそれを認め、全力を尽くして支えてやりたい。

「ねえたっくん。君は大きくなったら何になりたいのかな?」

「きゅあどりーむ!」

ごめん、それは認めん。せめてラオウとか言え。

いつまでも、たおやか、すこやか、にぎやかに。

夜が明けて今日、タクは2才になった。

「タク、君は2才になったんだよ」

「たっくん1才!」

「いや、今日誕生日でね、2才になったのだよ」

「やーだ!たっくん1才なの!2才ちがうの!」

「やだって言われてもなあ」

「たっくん1才がいいの!うわああああん」

何も泣かなくても。

「ほら、2才の『2』は、手でやるとチョキ!かーにーさん、かーにーさん」

「たっくん1才なのおおおお!」

いつまでも、たおやか、すこやか、タラバガニ。

問題:タクが生まれた時、立ち会ってた僕が驚いたことは何でしょう?

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「きょう、パパかいしゃなのォ?」

なのォ?と語尾上がりに聞いてくる息子・タク(1才)。

「うん。会社だよ」

「Rちゃん(4才の娘)はようちえんなのォ?」

「そうだよ。幼稚園行くんだよ」

「たっくんはようちえん、ない!」

「そうだね。たっくんはまだ小さいからないんだよ」

ほぼ毎朝このようなやりとりが行なわれる。まるでタクが1日の予定を確認する朝礼を行なっているみたいである。

「ねえパパ、会社どうなの?」

タクと僕の問答を聞いてて、次に口を開いたのはRである。

「やあチミ、最近どうよ、やってる?うしゃしゃ」

みたいな超漠然とした挨拶代わりのような質問。おやじか。

「んー。大変だけど頑張ってるよ」

わりと素で答えてしまった僕。

「そんなにおべんとう食べるの大変なの?」

Rは僕が会社に行くのは「お弁当を食べるため」と思っている。朝から夜中まで食べ続け…って退廃したローマ皇帝か。

「いや、お弁当食べてるだけじゃないんだけどね…お仕事もしてるのよ」

「ふーん」

多分何も分かっていないと思う。

「Rちゃんは幼稚園どうだ?」

逆にRに聞いてみた。するとRは

「こうたろうくんがたいへんなの」

「こうたろうくん?」

「ようちえんのおともだちだよ!」

「そうか。こうたろう君はどう大変なのかな?」

「えっとねー。こうたろうくんのパパとママがたいへんなの」

なんだか聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がする。

「ふ、ふーん」

一体何が大変なのだろう…と、先ほどのRの生返事のようになってしまった。あまりゴシップ的なことを聞いても下衆な気がしたので深くは聞かなかったのである。考えてみれば

「パパとママがケンカして」

ぐらいは幼稚園で会話していてもおかしくない年頃。そして「こんなことを言ったら家の恥」という判断力はまだない。ということは、家の内情がダダ漏れするということも有り得るのだ、とこのことに今更ながら気が付いて背筋が寒くなった。子供達の前でケンカとかはみちんとか、みっともないマネは出来ぬ事よなあ。

「壁に耳あり。ジョージにメアリーか」

と呟いたら

「ちがうよ!マイケルだよ!」

とRに訂正されてしまった。幼稚園で英会話の担当をしているのがマイケルという名前らしい。

壁に耳あり。ジョージマイケル(なんのこっちゃ)

ああ一体何が大変なんだろう。

Rは大変なものを盗んでいきました。私の心です。

問題:僕が会社に行く時、Rは何と言って見送ってくれるでしょう?

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後楽園遊園地で僕と握手!

でおなじみの旧後楽園遊園地・現東京ドームシティにおもちゃ王国というところに行く。おもちゃがたくさんあるのである。

水道橋駅を降りるとゴシック系な服に身を包んだ女の子達が重そうなカートをゴロゴロ引っ張って歩いていた。

「コスプレイヤーってすぐ分かるよね」

「そういやよくコスプレイベントやってるよね、東京ドームって」

キュアレモネード
とか言う我々も娘・R(4才)をプリキュアに。

タク
タクは子連れ狼になっていた。

この日Rとタクが一番夢中になっていたのがリカちゃん人形であった。うちにはリカちゃんはないからである。何故ないのかというと、夜中目が光ったりしそうで怖いから買えないのである。

リカちゃんハウスをいくつも使い、着せ替えだのお風呂に入れたりだの普段自分達が僕ら親にやられている世話をそのまましていた。出来るんだったら自分でやれよ!

嫁が展示されている歴代のリカを見て驚いていた。

「ねえ、リカちゃんのパパって音楽家なんだって!」

「知ってるよ…ピエールだろ。初代彼氏はワタル君で」

「なんで知ってんの!オタク!」

「男だってそれぐらいは知っとるわ!失礼な!」

そんなことを騒ぎつつあっという間に制限時間の3時間は過ぎた。

「じゃ、どっかで飯食うべか」

と店を探し始めると、隣接する遊園地ゾーンに向かうとそこには先程見かけたコスプレのギャル達がわんさかいるではないか。思わずフラフラとそっちに引き込まれる僕。

「あなた!そっちは遊園地じゃないの!お店ないよ!」

「…いや、ひょっとしたらRちゃん(かつて僕が大好きだった女の子。超可愛くてRの名前のルーツ。コスプレをよくやってた。現在消息不明)がいるかなーと思って…」

「…ひとりで挙動不審者してなさい。私は店探してるから」

やむなく引き返して飲食店があるゾーンに移動すると、広いテラスがあって、そこもコスプレイヤーがわんさか。あと何か男の子グループアイドルのイベントがあるようで、そこには女子高生が掴み取り出来るぐらい溢れており、愛咲ルイくんコンサートのような様相になっていた。あっちにはコスプレ、こっちには制服女子高生。なんというカオス。

「ほら、早く行くよ!」

嫁はとっとと行くよと煽るのだが、僕はこの女子高生達をリカちゃん人形みたいに着せ替え出来たらいいなあと考えてしまい暫く動けなくなってしまった。

私リカちゃん。でも足が3本あるの。

問題:飯を食った後、Rとタクは何をしたでしょうか?

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