セイント性夜。

「あなた、クリスマスプレゼントで欲しい物ある?」

と嫁に聞かれ、まさか女子高生幼な妻が欲しいと言う訳にもいかず、

「んー。別にない。お前こそないのか?」

「いえ私も別に。ごめんね、気の利いた贈り物とか思い浮かば
 なくて」

「あ、いや。僕もそうなんだけど…」

「じゃあ、今年はナシってことでいいよね」

嫁と結婚して4年(5年かもしんない)、その前に付き合ってた年数を
入れると15年程になる。僕らが付き合い始めた頃に生まれた女の子の
中には、クリスマスに初ニャンニャンしている子もいるだろう、と
考えると妙に興奮するが、一体何の話だ。

つまり、それだけ長く付き合っていると欲しいプレゼントのネタも
枯渇するのである。だからもう考えるのも面倒なので、だったら
いらないや…と思ったのだが

「おおそうじゃ。頼むからやらせて下さい。プレゼントは体でいい
 です。お願いします」

クリスマスにおける巷のカップルはあの手この手でムードを高め、
性交を崇高なるものにすべく励んでいるだろうに、僕はといえば
直球の土下座外交…いや、性交を目論んだのである。

娘・R(2才)と息子・タク(2ヶ月)の育児に疲れ果てている嫁は
とても僕の下の世話まで回らず、大変頻度の低いものとなっている。
それ故のお願いである。

「わかったわかった。はいはい」

嫁もそのこと以上に僕が欲している物はないと確信したらしく、
またそれ以上考えるのも面倒だったのであろうが、あっさりOK
してくれた。

「え、いいの?わーい。メリークリトリス!」

歓喜のままクリスマスイヴの夜。勿論猿のようにすぐまぐわう
訳にはいかない。まず僕がRとタクを風呂に入れ、その後嫁が
風呂に入る。嫁が風呂から出るまでの間に子供達を寝かせないと
いけないのである。

タクはまだ乳児なのでフニャフニャ言いながらすぐ寝てしまうが、
Rはそうもいかず、

「すなばいってぇ、しゅー(滑り台)やってぇ」

今日一日の出来事のダイジェストを延々と語るので

「そうだねー楽しかったねえーまた明日遊ぼうね」

にこやかに相槌を打ちながらも「早く寝ろ」と念力をかけていた。
ようやくRが布団の中で静かになり、

「ああ、ようやく寝たようだ。これで全ての準備が整った…」

と安堵したら…そこから記憶がなくなり気付けば午前4時。しまった。
寝落ちしてしまった。なんということだ。せっかくのチャンスを自ら
潰してしまうとは。しばらくするとタクの夜泣きが始まり、嫁が
むっくり起きた。

「あなた、寝てんじゃん!せっかくお風呂で体を綺麗にして
 出て来たのに、ガーガー寝てるし!」

「ごめん…Rが寝たところまでは覚えてるんだけど…今からでも
 遅くない!今からどうよ!」

「ダメ」

来年のクリスマスプレゼントは「まぐわい券(いつでも有効)」を
要求することにする。

エンピツ投票。
.

クリスマスコスプレをシルブプレ。

クリスマスイヴ。カップル達は発情した猿のようにウホウホ
まぐわっていることと思うが、ウチはほのぼのとしたもので
ある。

嫁は朝から腕によりを掛けで料理を作っていたが、もともと
嫁は何故かこういうイベント事になると異常なテンションを
発揮しつつ微妙に嫌な感じの演出をする。

よってほのぼのしながらもどこか狂気が漂う、やばげなクリス
マスサバトが繰り広げられることとなった。まず娘・R(2才)
がサンタのコスプレをさせられた。

コスプレ娘

Rは「かあいいでしょー!」と自分でも乗り気であったので、
これはまあよい。しかし、息子・タク(2ヶ月)は何も理解して
いないだろうに、嫁の魔の手が伸びトナカイにコスプレさせら
れてしまった。

コスプレ息子

主従関係で言えばサンタが主でありトナカイは従である。ちょっと
パソコンちっくに言うと、サンタがマスターでトナカイはスレイヴ
である。あらやだ、スレイヴって言ったら奴隷のことですわよ奥さん。
タクはなす術もないまま強制的にRの下僕となってしまった。憐れな
我が長男。

そして嫁自らもサンタのコスプレをして(見ると寿命が100日縮む
ため画像は載せない)

「ほら、写真撮って撮って!」

ここ1年で最大級のはしゃぎっぷりを見せていたため、せっかくの
料理が全部冷え冷えになってしまうという本末転倒振りを見せた。

そんな中で僕だけコスプレなしで素のままであった。理由は僕は
コスプレよりもアナルプレイの方が好きだからである。ところが
やはり家族で統一感を出したい嫁が

「来年はさあ、あなたもコスプレしてよ。全身トナカイのやつとか
 あるじゃない」

と話を持ち出して来た。

「えー僕もトナカイなのー?つまりタクと僕がトナカイで、君と
 Rがサンタなわけ?」

つまり、我が家では女性陣が「主」となり僕ら男どもが「従」と
なれ、と言っているように思えたのだ。僕は既に嫁にもRにも頭が
上がらないが、タクの我が家族での位置づけも定まってしまうよう
で…やはり憐れなり我が長男。

しかし今更気付いたところで、トナカイでありサンタのスレイヴで
ある僕らは嫁とRには逆らえない力関係は、もう崩せないように出来
上がっている気がしてならない。

サンタが大将。

エンピツ投票。
.

ベリー理解にクルシミマス。

ザクリ!グサリ!ドチャリ…町は一瞬にして血に染まり…

花中島マサル作・「黒いクリスマス」を口ずさみながら街に出ると
なるほど一面の血の色で…というのは嘘だが、クリスマスイヴだけ
あって様々な人がうろついているものである。

サンタのコスプレをした売り子などは数え切れず、また、

キリストの血は罪を清める

このように神のお告げを掲げる宗教団体の人々などがいたりして
街中が混沌として浮かれまくっている。

サンタコスプレ

娘・R(2才)も浮かれポンチに便乗してサンタコスプレで(後ろは
息子・タク(2ヶ月)繁華街にレッツラゴー。するとサンタや神の
使いだけでなく、人の姿でない異形の者もちらほらと見受けられた。

セサミストリート?

セサミストリートのパチモンのような彼(?)は、Rの姿を見るやいなや
ハーイと両手を上げるポーズをして、Rに握手を求めてきたのである。
Rはその突然のアプローチに、まるで露出狂に全てを包み隠さず見せら
れてしまった女子高生の様に固まってしまった。

ちょっとお前!うちの娘を怖がらせるんじゃねえ!自分のキャラ考えろ!
どう考えてもキモいキャラだろうが!と、着ぐるみの上から殴ってやろう
かと思ったが、Rはすぐ打ち解けたようでニコニコと握手をしていた。

幼女って意外とああいうのがツボなんだろうか。逆に嫁の方が

「こわいよー。きもいよー」

と近寄ろうともしなかった。この紫色のニセセサミと別れた後、
次に遭遇したのはリラックマである。

リラックマ

これは文句なく可愛い…。

「R、ちょっとリラックマの隣りに立ってくれ!写真撮るから!」

Rをベビーカーから降ろし、リラックマの隣りに添えてデジカメを
構えたのだが

「こわいー!こわいー!うわああああん!」

泣いて逃げ帰ってきてしまった。

「どう考えてもさっきの紫ニセセサミの方が怖いだろうが!」

幼女の感覚というのは理解に苦しむ。いや幼女一般ではなく、Rが実は
ゲテモノ趣味なのかも知れぬ。男の趣味もゲテモノで、将来バリバリ
アキバ系入ってますみたいなのを

「これアタシの彼氏〜」

とか言って連れてきたらどうしよう。リラックマとRの写真を諦め、
再び歩き出すと、またしても神の使いが。

死後さばきにあう

Rの将来の彼氏は神の教えに従い、死後と言わず速攻で父の裁きにより
ザクリ!グサリ!ドチャリと血の海に沈めることを決意したのであった。
.

僕のツンデレラなシンデレラ。

朝、僕が仕事に出掛ける時の儀式。それは嫁とのちゅー。ではない。

確かに新婚時代はしていた記憶があるが、いつからやらなくなって
しまったんだろう。遅刻しそうなのに玄関で、朝の小鳥のさえずりの
ようにちゅっと口を合わせて、慌てて飛んでも8分歩いて接吻、と
駆け出して行ったもんだが…。

何がさえずりだ馬鹿野郎。今はせいぜいせんずりがいいところだ。
話を戻す。

朝、僕が仕事に出掛ける時の儀式。それは娘・R(2才)との握手と
バイバイ。一緒に握手をして

「あーくーしゅーでばいばいばい」

と手を振って僕は仕事に出掛けるのである。これをしないと僕は
仕事に行く足取りが5倍重くなるので重要な儀式なのである。
ところが今朝は何故かRの機嫌が悪くて

「じゃあパパ行って来るよ〜行っちゃうよ〜」

いくらRに誘い水をかけてもその手に乗ってくれぬ。それどころか

「めっっ!ばいばい!」

とっとと行け!と言わんばかりの冷酷な態度で追い出そうとする。

「何を怒ってるんだよ…もういいよ…」

Rをかまうのは諦め、息子・タクに向けてばいばーいと手を振って
みると、最近笑顔が増えてきたこの赤子は、満面の笑みを惜しげ
なく見せてくれる。おお我が天使よ。穢れなきその微笑よ。お前
ならイタリアにあるという幻の美男子学校に行ける。

「それじゃあね」

嫁に一声掛けて、靴を履いて、ドアを開けようとした瞬間

「ぱぱ!ぱぱ!」

Rが叫びながら走って来て僕の腕を掴み

「あーくーしゅーでばいばいばい!」

先程の意味不明の怒りの態度とは打って変わってニッコリ笑って
朝の儀式を済ませたではないか。

「どうしたんだ急に!」

と驚きを隠せない僕であったが

「ほら、Rはツンデレでから」

嫁が最近覚えたオタク系用語を口にした。ああそうであった。
Rはツンツンとデレデレの態度を非常に巧みに使い分け、僕の
心を捉えて離さない。

「か、勘違いしないでよね!Rがあくしゅしたいって言うから
 してあげるんだから!」

僕もRにツンデレ返しをして朝の儀式を済ませ、ようやく仕事に
行けるのであった。

嫁、君とは夜の儀式のオギノ式で…。
.

音楽の世界だ!

ひええんひえええんと泣く息子・タク(2ヶ月)をあやすために、
クラブフロアが思いっきり盛り上がりそうなアゲアゲのテクノを
ズンドコズンドコかけながら抱いていたら

「タクもテクノ好きにする気?」

嫁が突っ込みを入れて来た。そう。僕はテクノミュージックが
大好き。そして娘・R(2才)にも産まれる前から胎教と称して
テクノを聞かせていた。胎教にはクラシックがいいとよく言わ
れるが、うちにはそんな音源はないし、そもそも妊婦が好きな
音楽であれば何でもよいのである。嫁も僕とクラブで踊ってた
クチなのでテクノも良かろう、と判断した次第。かくしてその
成果は抜群で、この時もRは

「いえーい。いえーい」

テクノを聞きつけて早速踊り始めた。どこで覚えたんだろうと
思う程見事なステップを踏み、よくクラブにいるヘロヘロで
フロアにたゆたっている酔っ払いクラバー(僕のこと)よりも
サマになっている。ちゃんとブレイク(曲の途中でバスドラ音が
スコーンと抜ける時のこと。フロアが盛り上がるタイミング)
にもちゃんと

「いえーい!」

とか叫んで両手を上げているし、教えてもないのにクラブの
「お約束」をある程度心得てしまっているのが不思議である
程テクノに馴染んでしまっている。僕から受け継いだクラバー
の血がそうさせているのだろうか…。かと思うと

「ぱぱー。うちわ。うちわ」

そうだった。Rは踊る時には必ずウチワを持ちたがる。クラバー
だけじゃなく何故かジュリアナギャルを彷彿とさせる一面も
あったりして。かつてジュリ扇と呼ばれたボアが付いた扇子に
ボディコンに身を包んだジュリアナギャル…。しかし僕はそんな
ディスコには行ったことがないのでボディコンの遺伝子はない。
ロリコンならあるが。

おそらく音楽に合わせて踊る楽しみ方というのは大人も子供も
そう変わらないものなのだろう。そう考えるとパラパラなども
お遊戯の延長に思えてくる。

さて、Rはテクノを受け入れたようだがタクはどうだろうか。
基本的にテクノ好きというのは見てくれがオタクっぽいのであまり
モテない。いや、モテないとまでは言わないがパッとしない。
ダンスミュージックの他のジャンルでモテそうなのは、あくまでも
僕のイメージだが、ヒップホップ系ではないだろうか。見た目
がオサレだし。

タクには将来父の轍を踏ませず、男の幸せを目指して歩ませるよう、
ヒップホップを聞かせるのもいいかもしれない。そして年頃になって
からは適度な性の情報を小出しに指導していく。

え、何故そこでエロ情報が出てくるのかって?それは、そうすれば
タクは

東京生まれヒップホップ育ち エロそうな奴らはだいたい友達

になるからである。
.

蒼白歌合戦。

露出度の高い元一級建築士を思い浮かべながら、カメハメハ大王の
メロディで

「アネハネハーアネハネハーアネハネアネハネハー」

と歌っていたら娘・R(2才)が

「あねはねはー」

一緒に僕と歌っていた。しまった。不謹慎な歌を覚えさせてしまった。
こんな歌を外で歌うようになってしまったら…と真っ青になり

「うわー。覚えなくていいから!」

慌てて違う歌を歌って忘れさせようとしてしまった。Rはこれまでも歌う
ことが好きだったが、それは

「あでべれぶれー」

とか意味不明のものが多かったが、最近Rはちゃんとした歌詞を歌う
ようになって来ている。近頃特にお気に入りなのは、お遊戯教室で
よくやっている

「かわいいRちゃんは、おりこうさん。かわいいRちゃんはお手手を
 あげてー」

という歌である。この後「Rちゃーん」と呼んで

「はーい」

とRに手を上げて返事をさせる、というものである。これをRはよく
歌い、替え歌までするようになった。すなわち

「かわいいぱーぱーは、おりこうしゃーん。かわいいぱーぱーは
 おててをあーげてー」

Rの名前のところを僕にして歌うのだ。そして

「ぱぱー!」

とご指名してくるので

「はーい」

Rに教え込んだお返事を僕もすることになってしまった。三十路を
過ぎてお利口さんも可愛いもないもんだが。照れ臭いものである。
Rが言う「可愛い」は、前の日記にも書いたが、息子・タク(2ヶ月)
から山田邦子までとても幅広いものを指すので、僕が本当にお利口で
可愛い…なんてことは

姉も歯もない噂でございます。
.

元ゲームセンターあらし。

「アド街ック天国」という番組で、「アキバ」(秋葉原)の名物を
取り上げていたが、アキバのゲーセンで「太鼓の達人」という、曲に
合わせて太鼓を叩く音楽系ゲームの名人が出ていた。

まだ中学生であるが腕前はトップレベルで、彼がドンドコと太鼓を
プレイするとその見事さに人だかりが出来てしまうという。だが

「別に今更珍しくもない…気に入らん」

というのが感想だった。恥ずかしい話僕もゲーマーなので分かる。
彼に限らず上手い(もしくは気持ち悪い)ゲーマーには人が集まる
ものであり、少し前までは横浜のゲーセンで気持ち悪い踊りを踊り
ながら「ポップンミュージック」というやはり音楽系のゲームをする
男がいて、気持ち悪がられながらもたくさんのギャラリーがいたし、
その前には僕自身、音楽系ゲームの草分け「ビートマニア」という
ゲームをやっていた全盛期には20人ぐらい見物人がいた。

…などと威張ってもオタクをカミングアウトするだけで痛さ倍増で
あり、大体ギャラリーの半分以上は感心して見ているのではなく

「うわ。キモイ」

という猫の死体を見るような怖いもの見たさで見ているのである。
それに当然僕の前にも達人プレイヤーの先輩はおり、遡れば

「俺のインベーダーゲームのプレイには何十人とギャラリーが集
 まったもんだぜ」

というアーケードゲーム(ゲーセンのゲームのこと)黎明期にも
そういう人はいたはずだし、更に歴史を紐解けば

「俺が海に浮かんだ船上の扇を射落とす時は、源平全員ギャラリー
 だったぜ」

などというところまで永遠に遡れてしまうので意味がないので、
どちらが先かを張り合うのはナンセンスである。

では何故気に入らなかったというと、その彼が中学生だから。
ゲーセンで遊ぶには金がかかる。更にあそこまで上手くなるのは
相当金をかけているだろう。僕もビートマニアにはかなりの大金を
突っ込んでしまったが、中学生にその金を稼げるわけがない。
つまりは親の金を湯水の如く使っているであろう。ここが気に食わ
ないのである。

もっとも「太鼓の達人」は家庭用ゲームでも出来るので、家で目一杯
練習してたまのゲーセンで腕を披露する、というのだったらその彼に
はゴメンナサイだが、家庭用とアーケードではコントローラーや画面
のサイズが異なり勝手が違う。ゲーセンでいいプレイをするにはやはり
ゲーセンで慣れてないと駄目なので、この彼も相当ゲーセン慣れして
いるものと想像できる。

僕がよく行っていたゲーセンにも、入り浸っていてゲームがとても
上手い小中学生がいた。たいてい医者の息子とか、裕福な家の子達で
あった。

僕がゲーム好きの遺伝子を持っているだけあって、子供達、特に息子
のタクがゲーセンどっぷりのやなガキにならなきゃいいが…そして
オタク化して将来は電車男に…と少し心配してしまうのであった。

でも子供にゲーセンで使わせる金があったら僕が使うけど。

ああ、家庭用ゲームにハマる、という危険もあった。将来

「プレステ買って」

などと言われたら要注意である。それとも

「ゲームやるより女体とやるほうが面白いよ」

とオタクよりエロスの道に進ませたほうがいくらかましだろうか。
少なくとも女の子に近付くために、少なくともアキバ系のルックス
は避けるようになるだろう。

プレステよりヤリステ、などと悟られても困るが…。
.

にせものたべものやさんごっこ。

娘・R(2才)はままごとが好きである。

いつも家にある食器やら食べ物などのままごとグッズを引っ張り
出しては

「いらっしゃいましぇ〜」

とレストラン店員の真似をするのがお気に入りのようだ。最近は
本物のお店に行った時まで真似してしまうので少し恥ずかしい思い
をすることもある。

嫁とRと息子・タク(2ヶ月)を連れてパスタ屋に入ったときのこと。
僕らがモソモソと食べていると、女性2人組の客がやって来ると

「いらっしゃいましぇ〜」

店員よりも早く声を掛けてしまい

「わー。言わなくていいから!」

嫁と大慌てする羽目になってしまった。それどころではなく、
近所の音大生らしい女性客が僕らの席の前の扉を開けてバタンと
入っていくと、Rは

「おねえしゃん。しーしー」

と指差して言うのである。

「…しーしーってなに?」

「さあ何だろう…」

嫁と不思議に思ってRに聞いてみても

「しーしー。おねえしゃん。しーしー」

と繰り返すだけ。ようやくピンと来た僕が

「ああ。しーしーっておしっこのことか。…ってそういうこと
 大きな声で言わないの!」

またもや恥ずかしくなってしまった。

「でもよくあそこがトイレだって分かったわねえ…」

嫁は感心した口調で言う。

「いや、おしっこじゃなくてうんこかもしれないじゃん」

「いや、そういう話じゃなくて…」

とても食事時の会話にあるまじき話題となってしまい、肩身も
狭くなってとっととカルボナーラを食べてサヨオナーラしたの
であった。
.

かわいい先生、ハイハイ。

娘・R(2才)が通うお遊戯教室のクリスマス発表会があった。

お遊戯マスター・ヨシコ先生(推定年齢20代後半〜30台前半:怖くて
誰も聞けない)の指導の下、今月に入ってから

「発表会のために練習しましょー」

と色々なお遊戯をやったものの、どれを発表会でやるとかは全然
知らされてなく、練習そのものもわりとユルユルであった。

もっとも2才児達をいくら綿密に練習させたところで覚えられる
のはたかが知れているからであろう。しかし親は真剣である。
親もお遊戯の間に子供を持ち上げるとか重要な役割があるのだ。

息子・タク(2ヶ月)が産まれてからは、嫁の代わりに僕が出来る
だけRを連れて行っていたので、発表会の今日も僕がその役目を
果たすべくRとスタンバっていた。嫁はタクを抱いてギャラリー席
で座っていたが、

「あのさ、私が代わろうか?」

始まる直前にニヤニヤと言い出したので、何故に土壇場になって…
と断ろうとしたのだが、周りを見ると子供と演じようとしている
父親は僕だけなのである。あとはみんなママ。

「人妻の中にぃ〜オヤジがひとりぃ〜」

と囃し立てられるのではないかと急に恥ずかしくなって嫁とチェンジ
した。以後僕はカメラ役となった。

さて発表会が始まったものの、結局は先生が前に立って

「さあ歌って踊りましょー」

と手本を見せて子供達が踊るという、つまりいつもの教室と変わらぬ
内容だった。ギャラリーも身内だけである。どこが発表会なのか…と
首を捻っていたら、お遊戯も20分程度で終わってしまった。そこで
今迄ピアノ演奏していたヨシコ先生(既婚か未婚か不明:怖くて誰も
聞けない)がススス…と正面に現れ、

「それでは〜次はワタシのピアノのミニコンサートということで…」

照れ笑いをしながらニコリと挨拶をした。発表会のメインって実は
コレだったのでは…恐るべしヨシコ先生(彼氏or旦那がいるか不明:
怖くて誰も聞けない)。彼女の本職はピアニストであるらしい。

挨拶の後ヨシコ先生は姿を消した。

「先生どこ行っちゃったのかしら」

「着替えてるのよ。ほらさっきまでジャージだったじゃない」

「そか。一応コンサートなのにそれじゃサマにならないもんねえ」

「そういえば、化粧だけはいつもよりしっかりしてたわよ」

僕の隣の人妻達は言いたい放題。おばちゃんかあんたら。
やがてヨシコ先生は綺麗なドレスに身を包み戻ってきた。

「しぇんしぇい、かわいいねえムフフ」

Rが2才児とは思えない嬲るような口調で感想を述べた。
おっさんかあんたは。

無事に発表会を終え、夕飯の時にテレビを見ていたら山田邦子が
映っていた。それを見たRがひとこと。

「かわいいねえ」

Rの「かわいい」はストライクゾーンが広すぎるようだ。
.

練馬発の夜行自転車。

娘・R(2才)に買った自転車が家に届いていた。

Rが寝ている間に枕元にそっと置いてやるにはでか過ぎたので
今年はクリスマスプレゼントっぽい演出は出来なかった。Rは
夜だというのに自転車を早速家の中でいじくり始めてしまった
ので、なし崩し的に1週間以上前倒しのクリスマスプレゼントと
なってしまった。

「ぱぱー!ぴかちゅうー!」

どうやらRは自転車の前面のカゴにピカチュウのぬいぐるみを
乗せないと気が済まないらしく、僕にピカチュウを取って来させ、
ぎゅうぎゅうと無理矢理カゴに突っ込んだ。このピカチュウは
Rが生まれた時からずっと側に置いておいたので、Rは自分の弟か
子分ぐらいに思っているらしい。

おむつを替える真似をしたりゴハンを食べさせたり色々世話好きな
面を見せている。Rはいつも自分がされていることをピカチュウに
やってやりたいのだろう。自転車も僕がいつもRをチャイルドシート
に載せているので、それの真似のようだ。

ピカピカの自転車を転がしてRは嬉しそうだった。勿論自分で
ペダルを踏んで進むことなど出来ないが、またがったり降りたり
ハンドルを持って転がしたり…と夢中。

ああ、買ってやってよかった…考えてみればこの自転車は、僕が
乗っている西友で買ったママチャリよりもずっと高い。親になる
というのはこういう事なのか、と様々な思いが重なって瞼が熱く
なった。

子育てには金と愛情を幾らかけても足りないという事はないのだ。
子作りにはアレを量りきれないほど嫁にかけたが(量ったら怖いが)
アレのように金は無尽蔵に湧いてくる訳ではないので難しいところ
である。

Rがエッチラオッチラ自転車を動かしていた。慣れるまでまだ相当
時間がかかるであろう。カゴのピカチュウは何度もコロコロと落ち
てしまうのだが、その度に

「ぱぱ!ぴかちゅう!」

と僕に取れ!と命令するので

「自分でやったんだから自分でピカチュウを起こしてあげなさい」

厳しい態度で出たところ

「めー!ぴかちゅう!ぱぱ!ぴかちゅう!」

僕よりずっと厳しい口調で跳ね除けられてしまった。

「はいはい、しょうがないね、もう…」

Rが自転車に慣れるより僕が高飛車に慣れてしまったようである。
.

息子のファーストクリスマス。

「タクにもクリスマスプレゼントを買ってあげようよ」

娘・R(2才)へのプレゼントを買った後、息子・タク(2ヶ月)
にも平等にあげるべきだ、と嫁が言った。

それは僕も考えていたことである。しかし生まれて初めての
クリスマスを迎えるタクはまだ2ヶ月で、おもちゃを与えても
全くのノーリアクションなので意味がないかなあ…と思って
いたのだ。

「でもRの生まれて初めてのクリスマスには、ネックレス
 買ってあげたでしょ!」

「うん。そうなんだけどさあ」

男にとって長女は人生最大の恋人である、と言われるが全く
その通りで、僕は大本命の恋人を口説き落とすぞ、ぐらいの
本気モードでプレゼントを物色した結果、気付いたら宝石店で
買ってしまっていたという訳である。

Rを作成するときに迸らせた本気汁を、クリスマスでも出し
まくってしまった形だ。それにRはクリスマスの時には生ま
れてから4ヶ月経っており、物をいじくるぐらいのことは
出来ていたのである。

「それでもやっぱり買ってあげようよ。ミニカーとか」

「そうだね…かわいそうだもんな。でも速攻でRに奪われ
 そうだけどね」

まだ物欲を知らないタクの唯一の持ち物は「おしゃぶり」
であるが、これですら

おしゃぶり娘

Rに強奪されこの通りである。Rの初めてのクリスマスとは
違い、姉という妨害人物がいるタクは果たして無事にクリス
マスプレゼントを手に入れることが出来るのか?

願わくばRには、星飛雄馬を柱の陰からそっと見守る明子姉ちゃん
のような慈しむ目で見てやって欲しい。

ストーカー娘

ってそれじゃストーカーだ。
ヨシミさんみたいだな。 →※ヨシミさん
.

クリスマス恥部。

池袋のおもちゃ店・トイザマス(仮名)に娘・R(2才)の誕生日
プレゼントを買いに行った。他の買出しもあったので嫁もRも
息子・タク(2ヶ月)も一緒で一家総出。

Rのいるところでプレゼントを買ってしまうと、サンタさんが
プレゼントしてくれたー、とかの演出が出来ないのであるが…
仕方あるまい。

トイザマス店内に入ると、早速Rが大好きなアンパンマンの
おもちゃがずらりと並び、

「あんまん!あんまん!」

Rは大喜びであった。さすが子供に人気が高い物を最前線に陳列
するトイザマスの謀略はさすがザマス。でも高いザマス!幸い
Rは駄々をこねない子なので、目移りすることなく目的の物を
目指してまっしぐら。

今年のプレゼントは自転車にすることに決めたのだ。嫁と三輪車
にするかどうか迷ったが、三輪車はどうせすぐ卒業してしまう
だろうとの嫁の考えで、3輪を飛び越えて2輪にすることにした。
尤も僕はどちらでもよく、2輪や3輪より乳輪の方が好きであった
ので、乳輪車というものはないか?と思ったらあるわけなかった
ので自転車でいいやと思った次第。

トイザマスの自転車コーナーは広かった。そこは自転車や三輪車
や、足蹴り車(↓のようなやつ)を試乗できるのであった。

車

僕らがどの自転車にするかを選んでいる間、Rは特にこの車が気に
入ってしまったらしく、ずっと乗り回していた。もともとRは女の子
なのに車や電車といった乗り物が大好きである。駅などに行くと

「きいろ!あお!ばいばーい!」

それぞれの色の電車が通る度に大喜びして声を上げる。車も大通り
などに出ると

「ぶうぶ、いっぱい!」

とこれまた大喜びなのである。今でこそ「きいろ」とか「あお」で
済んでいるが、その内「E954型」とか「700型」とか言い出す鉄子
(鉄道マニヤ女)になりやしないかとパパはちょっぴり心配症。

さて、Rが乗っている車の値段を見ると何故か自転車より安い。いっそ
のことこれをプレゼントにしようか…とも考えたが、こんなでかい物
家に置いておけないし、

「自転車に慣れた方が一生役に立つんだよ、R」

との親心でミッフィーのイラストが描かれた自転車に決定。

「さあRちゃん、帰るよ〜」

ずーっと車に乗って遊んでいたRを連れて帰ろうとしたところ、

「いやあああ!ぶうぶ!ぶうぶー!」

なんと今までアンパンマンおもちゃの前でも駄々をこねたことが
なかったRが、初めて帰るのを嫌がった。初駄々である。ネオダダ
みたいだ。周りの家族連れたちの視線が痛い。ああ、駄々こねられた
時ってこういう風に見られるのね。お恥ずかしいところをお見せして
おります…と早々に退散。しかし、初めておねだりした物がおもちゃ
とはいえ車だとは、末恐ろしい娘である。僕だって持ってないのに。

もしRが乗り物好きのまま大きくなって

「パパ、クルマ買ってー」

などとおねだりするようになったらどうしよう。

クルマを買ってやる代わりに、Rが履いた
ブルマと交換してくれる、っていうならパパ考えちゃう。
.

挽き肉を切らせて夫を断つ。

土曜日にラーメンを食べた事は日記に書いた。その時僕は
餃子も一緒に食べていた。

そして日曜日は池袋に買出しに出掛け、その時超有名ラーメン店
「青葉」の前を通りかかったので

「嫁〜。青葉だよ。わりと空いてるからすぐ入れそうだよ」

ラーメンは好きなので、連日のランチになろうとも一向に構わない
僕は、嫁を誘い込もうとしたのだが、

「えー昨日食べたし。せっかくの青葉なんだからまたにしようよ
 連日だと感動が薄れるわ」

とのことであまり乗り気でなかった。昼は青葉で夜は松葉崩しで
しっぽり、と行きたかったが

「うん。そうだよね。連続はきついよね」

と嫁の意見を受け入れた。

次の日、仕事から帰って来ると、家の中がニンニクの匂いで充満
していた。これはまさか…嫁が作っておいてある夕飯のおかずを
覗いて見ると、やはり餃子であった。

「あの、嫁…今晩は餃子ですか」

「うん!」

「僕、土曜日に食べたばっかりなんだけど」

「そうだね!」

そうだねってアータ…。

「僕は連日ラーメンはやめようって昨日は青葉を諦めたのに
 そりゃないよー」

と、ネチネチと抗議したのだが

「挽き肉を処理したかったの!」

ピシャリと一喝されてしまった。はい。喜んでいただきます。

この日の餃子の皮はとても固かった。すっかり厚みがついた嫁の
面の皮のように…
.

ドッグイヤーン。

某友人Tさんから

「Rちゃん(僕の2才の娘)のコスプレにぴったりのものを
 送ります。来年の年賀状写真にいいかも〜」

というメールが入り、翌日このような物が我が家に届いた。

シロ

これは…「クレヨンしんちゃん」に出てくるペットの犬「シロ」の
着ぐるみである。来年は戌年だから、これをRに着せて年賀状
写真にすれば、なるほど日本一親馬鹿な年賀状が出来そうで
ある。

しかし…残念な事に、Rに着せるにはでかすぎたのである。
およそ全長100センチぐらいはあるだろうか。ところがRの
身長はまだ80センチ代なのだ。そんなわけで

「すいません。着せるのにあと2〜3年待ってください」

とTさんにお礼とお詫びのメールを出し、この着ぐるみは
しばらくお蔵入りになるかと思えた。

思えた…のだが…僕の心の中の「娘にコスプレさせたい魂」が
むくむくと湧き出でて、

「R、着てみる?」

とチラつかせてみたところ、

「着うー!」

犬の着ぐるみに猫まっしぐらで飛び込んで来た。

「はい。じゃあパパがコスプレさせてあげるからね。うへ。
 うへへへへ」

犬娘

そして着用完了。やはりでかい!袖が余りまくりで足の裾も
忠臣蔵の松の廊下並みに引き摺りまくっていた。それでもRは
結構ノリノリであり、

「さあお前は犬だ。跪いてワンとお言い!」

僕のサディスティックな扱いにも

着ぐるみ

「わん!」

と、それはもう無邪気で元気な鳴き声を上げたので、僕自身の
汚れた心を大いに恥じることとなった。そういった心の穢れが
晴れるほどの可愛さに心を奪われること暫し。

「Rちゃん。僕のハートを盗んだ泥棒猫、いや、泥棒犬…」

と魅入っていたところ、やはりだぶだぶの着ぐるみに苦しさを
感じてきたのか

メソ

徐々にメソメソとベソを掻き始めたので、

「はい頑張ったね」

短い時間であったが脱がせることにした。これでRのコスプレの
レパートリーがまたひとつ増えた。これまでのRのコスプレ歴は
セーラー服・チャイナ服・トナカイ・サンタ…そして今回の犬、
と場末盛り場のキャバクラ嬢並みのキャリアを持つことになった。
自慢できることではないが…単に僕のフェチズムが露呈されて
いるだけであるが…。

Tさんは時々ひょんなタイミングでこのような変な…もとい、
ありがたい物を送ってくれる。今回も面白い…もとい、

後姿

尾も白い物をありがとうございました。
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麺類は皆友達。

近所のラーメン屋で昼飯を食うことになった。

歩いて2分のその店は、最近開店した新しい店で、美味いとの評判が
既に出ていたのだけれども、開店早々店主が怪我をしてしまい、

「足の肉離れのためにしばらく閉店します。ごめんなさい」

みたいな貼り紙がされていて、肉離れで客離れしなければいいがと
他人事ながら心配していたのであった。そしてようやく最近営業を
再開したようなので行ってみることにしたのである。

僕は娘・R(2才)の手を引いて、嫁は息子・タク(2ヶ月)を抱いて
店内に入ると、まだ若い店主がきびきびと働いている。

「もう足は大丈夫なんですか?」

「ええ、まだ痛むんですけどねえ」

とのことであったが、待ち侘びたラーメンはとても美味かった。
もともと麺類超好きのRも、

「らーめん、おいしいねえ」

かなりの量をバクバクと食べていた。

僕らの他にいた客はすぐ近くの高校から学校帰りに立ち寄った
高校生が殆どで、それを見た嫁が

「私なんて学校帰りの買い食いなんて50円コロッケとかだった
 けどなあ。ここのラーメンだって結構するし、最近の高校生は
 お金持ってるんだなあ」

などと羨ましがっていた。

「そうか?僕もたまにラーメン屋寄ってたよ。毎日ってわけじゃ
 ないし…」

と僕が言うのだが

「そうかなあ…いいなあ…贅沢だなあ」

いまいち納得せず、恨めしい目で高校生達を見ていたのであった。
嫁の高校時の懐具合はちびまる子ちゃん並の貧しさだったので
あろうか。

ちなみにその近くの高校は、毎年何十人も東大に送り込んでいる
スーパーエリート高校なので、

「羨ましいなら、彼らが社会に出て手が届かないステイタスに
 就く前に今のうちに殴っとくとか。ははは…」

などとデンジャラスな冗談を言ったら

「ははは…」

嫁は乾いた笑い声を上げていた。

ラーメン屋で切り捨て御麺。
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母娘乳。

娘・R(2才)が、弟である息子・タク(2ヶ月)を指差し、

「ぱぱー、あっくん。あっくん(タクのこと)」

タクを自分の膝の上に乗せろ、と僕に指示をするので

「んー?タクをダッコしたいの?」

と、その通りにタクを乗せてやると

「あっくん、おっぱい」

なんとRは自分の上着をめくり上げてタクにおっぱいをあげ
ようとするではないか。嫁の真似をしたいらしい。

「あはは、さっきおっぱいあげたばかりだからいらないわよ」

しかしRは嫁の言うことも聞かず、タクはRの胸に顔を無理矢理
ぎゅうぎゅうと押し付けられる格好になってしまい、

「ふえええええ」

とてつもなく困った顔を僕に向けて救いを求めてきた。タクは
姉の乳の出ないペッタンコの胸などはどうでもいいらしい。
しかし僕は違った。

「Rちゃん、パパにおっぱいちょうだい」

抵抗できないタクの身代わりになってあげよう、ていうか僕に
授乳プレイをさせろとばかりにRに言ったところ、

「はい、ぱぱ、おっぱい」

Rは僕の顔をばふっと押し付けたのであった。ああ、娘の胸に
顔を埋められる幸せよ。温泉のようにじわーっと至福感が体に
染み入る。娘を作ってよかった!

「あんたらナニやってるのよ!エロい!」

僕らの姿を見た嫁が悲鳴を上げた。果たしてそうなのだろうか。
親子の関係として許されざるプレイなのだろうか。誤解なきよう
書いておくが、Rの生乳を吸ったわけではない。Rは上着を脱いだ
とはいえ、もう1枚肌着を着ているので別に乳首を貪ってるとか
そんなんではないのだが…。

ほのぼのとした親子の触れ合いとして受け取って欲しい。

いずれにせよあと10年、いや5年後には

「パパにおっぱい吸わせて」

と言っても

「死ね」

とか言われるに違いないので今の内に吸っとけ、という目論見である。
逆に僕が刺激をしてあげればRの胸はものすごい勢いで成長し、僕の
夢であるロリ巨乳の娘を育てる、という野望に一歩近づくことになる。

それこそエロであるな。

ともかくRの胸には破乳首の勢いで成長してもらいたいものである。
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父のモーニングコール8:00AM。

朝、会社に行く時には娘・R(2才)に「ぱぱ、ばいばい」と
手を振って見送られたい。

しかしこのところRの起きる時間が遅いのである。放っておくと、
僕が家を出る時間まで寝ている。これでは見送ってもらえない。
ああ我が家の眠り姫よ。寝る子は育つとはよく言うが、起きる
父は巣立つのだぞ。夜帰ってくるけど。

そうなれば王子様のキスで起こすのが王道である。ちなみに結石が
落ちてくるのは尿道である。え、誰が王子様だって?僕である。
三十路を過ぎたからといって王子を名乗って悪いわけがない。千代
田区にお住まいの我が国のやんごとなきお家の王子様は皆僕より
年上だ。問題ない。

しかしRはうつ伏せで寝ており、キスをすることが出来なかった…。
意外とガードが固い娘。こうなれば後は揺さぶるしかない。

「Rちゃん、起きてー。朝ですよー」

父による優しいモーニングコール。背中をちょいちょいとさすって
起こしてみた。するとRはモソモソと反応を見せたが

「ごめんなしゃい!」

僕の手を振り払ってまた寝てしまった。いきなりゴメンナサイ
とは、告白してないのにフラれた気分である。ああ、中学の頃
告白したナオミちゃんにも同じこと言われたっけ…今何してる
かな…。

などと郷愁モードに入ってしまったが、もう会社に行かないと
ヤバイ時間であった。えーと、何してたんだっけ。おおそうじゃ、
Rを起こさないと。

「Rちゃん、起きてください」

もう一度Rを起こすと、今度はRはむっくり起き上がった…と
思ったのも束の間、

「おやすみんしゃい」

ピョコンとお辞儀をしてまた寝てしまった。もう朝だっつの!
息子・タク(2ヶ月)はとっくに起きてホゲホゲ言ってるのに。
いよいよ時間がなくなった僕は、Rの見送りを諦めて

「じゃあね子供たちよ。ばいばい」

声だけ掛けて家を出ることにした。すると、寝ているRがうつ伏せ
のまま手だけヒラヒラと振っているではないか。眠いなりに必死に
見送ってくれてるんだね。偉いぞ。一方では単なる寝ぼ助ではない
のか…とも思ったが僕はそれでよしとした。

こうして僕は辛うじてRのお手振りによる見送りだけはしてもらい、
労働意欲に燃えて仕事に行くのであった。

父のバーニングコールというお話でありんした。
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息子を落下させた嫁。

夜、寝床で嫁がショボーンとしながら告白した。

「今日、タク(2ヶ月)を床に落としちゃったの…」

昼間、児童館で娘・R(2才)を遊ばせており、帰り際Rに声を掛け
ようとした時にタクがずるっと嫁の腕の中から落ちて行ったらしい。

「だ、大丈夫なのか?」

「タクは大泣きしたんだけど…周りのママ友が皆集まって来て
 『すぐ泣いたから大丈夫!』とか『今日吐かなければ大丈夫』
 とか励ましてくれたんだけどおおおお」

嫁は今にも泣きそうな顔で今日の出来事を述べた。嫁の慌てぶりが
目に浮かぶようだ。勿論僕だってその場に居合わせたらどんなに
動揺してしまうか分かったものではない。速攻で救急車を呼んで
しまいそうだ。嫁のママ友達に感謝である。

当のタクはすやすやと何事もなかったように眠っている。幸い吐く
こともなく、今のところ大丈夫のようである。嫁は情けない表情で

「ゴメンネゴメンネ」

寝ているタクに謝っていた。しかしそんなに自分を責めることも
よいと思った。無論僕も責めることは出来ない。育児にトラブルは
付きものであるし、Rとタクふたりも抱えてると絶えずドタバタして
いるのだろうし。

僕もRを「高い高い」した時に照明にRの頭をゴンとぶつけた時が
ある。あ、でもその時は嫁に猛烈に怒られたなあ…おかしいなあ…。

ともあれ、取り敢えず無事なタクの寝顔を眺めながら、

「落とされて災難だったねえ…」

と頭を撫で撫でしながら「タクの落とし子」などというどうでも
よい駄洒落を思い浮かべたのであった。
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眠れぬ森の幼女とオヤジ。

■お知らせ

バーチャルネットストーカー・ヨシミ22歳さんの定期的ストーキングです。12月5日の記事にあります。

■お知らせオワリ

ちょうど娘・R(2才)が寝るか寝ないかという時間帯に仕事
から帰って来る時は緊張を伴う。

せっかく嫁が寝かせている時に僕がバァーンと家の中に入ろう
ものなら、Rはパッチリと目を覚ましてはしゃいでしまうので
嫁の苦労が水の泡になるのである。

なので今日はそーっと音を立てないように帰って来たのだが、
玄関に足を踏み入れた途端

「ぱーぱー!」

Rのとんでもないでかい声が響き渡った。何故気付かれたの
だろう。ばれてしまったからには仕方あるめえ、とドスドス
寝室に入って行ったところ、

「ぱぱー!Rちゃん、おうち!Rちゃん、おうち!」

Rは寝床から飛び起きて「アタシはここ、家にいるのよ!」と
自分の存在をアピール。そして

「とんぴん、とんぴん」

お遊戯教室で習った踊りを始めてしまった。夜中のワンマン
ライブの始まりである。息子・タク(2ヶ月)はそんな騒がしい
姉のせいで眠れず、目をパチクリさせている。僕の帰りをRが
喜んでいる様を見るのは、僕としてもこう、胸が締め付けられる
程嬉しいことであるが、それでも1時間近くも暴れられてしまうと
いい加減寝てくれよ、という気持ちにもなるので

「R−。もー寝なさいよー」

嫁とふたりで布団に入れさせようとするのだが、Rはなかなか
言うことを聞かず相変わらず踊りのワンマンリサイタル。

「ほら、パパ寝ちゃうよーん」

僕も取り敢えず横になって寝たフリをすると、

「ばちーん」

Rが「私のダンスを無視するな」とばかりに思いっきり顔面を
ビンタしてきた。

「いってええええ!」

ジャイアンリサイタルかこれは!

Rは平気で僕の顔をを引っ叩くようになった。いつの間にか手癖の
悪い娘になったものだなあ…と嘆いたのだが、嫁に聞いたところ
では、嫁やタクにはそういうことをしないのだという。

何故僕だけがやられキャラなのか…と、憤慨するところであった
けれども、その後すぐRは

「ぱぱ、あっこ(ダッコ)」

と両手を広げて甘えて来たので、おおそうかよしよしと抱き締めて
しまうのであった。

これが飴と鞭というものであろうか。それともツンデレ?
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抱かれたい娘と抱かれたい息子。

「ぱぱ、あっこ」

和田アッコのことではない。娘・R(2才)が僕にダッコして欲しい時に
言うセリフである。甘えたい時に両手を広げて抱擁を求める姿は、娘を
持つ父親であれば誰でもメロメロになることであろう。

抱き上げるとRはもっと強くダッコしてチョ、とばかりに両腕両足で更に
僕の体をぎゅうと締め上げるので、ますます愛らしくてたまらない。

Rが「あっこ」と要求してくるのは僕と嫁だけであるので、いわば僕が
「若い娘が抱かれたい男ナンバーワン」である。

Rだけではない。息子・タク(2ヶ月)もそうである。おむつも替えて、
嫁の授乳もして腹が減っているわけでもないのにフニャフニャなく時
がある。それはやはりダッコしてチョ、と甘えて泣いているので、抱き
上げてよしよしとあやすとピタリと泣き止み、ウットリした澄んだ瞳で
こちらを見上げるのである。

いわば僕は「若い男が抱かれたい男ナンバーワン」でもある。

栄光の2冠に輝いた僕(但し調査対象者数男女各1名のみ)であるが、
惜しむらくは嫁が

「抱かれない女ナンバーワン」

ということなのだけど…。

もっとも他に僕に「抱かせてくれる女」がいたら、それはそれで問題
なのであるが…。
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質問魔娘。

娘・R(2才)は好奇心旺盛なお年頃。

色々な物を指差しては

「これは?これは?」

と僕に質問をしてくる。その都度木だとか葉っぱだとか
おじゃる丸だとか朝青龍だとか阿耨多羅三藐三菩提だとか
答えているのだが、一番恐れているのは例えばRとお風呂に
入っている時に、Rには付いてなくて僕に付いている物を

「これは?これは?」

と指差されることであった。いくら僕でも露出狂のように

「ほーら、お父さんの種イモだよーん」

とぶらぶら晒す程の睾丸、もとい厚顔無恥ではない。お風呂
の時には出来るだけ目立たないように心掛けているのである。
僕は羞恥心旺盛なお年頃。

ところが僕とRがお風呂から出て来て、嫁もやって来てRを
タオルで拭いている時、突然嫁が

「Rちゃん、これは?」

と僕の無防備なイチモツを指差すではないか。Rの視線が
僕の股間に集中する。

「わ!ちょっとやめてくれ!」

一瞬の内に僕は手で隠した。しかし嫁は

「えっへっへ」

と意地悪い笑みを浮かべるのみであった。いったい嫁は
何を考えているのだろうか。もしやこれは

「今夜ちょうだい」

というサインなのではないのだろうか。子供の手前なので
直接言えないものだからあんなことをしたんだね…。

このような結論に達した僕は夜中、子供達が寝静まった後
下半身を大解放大解禁大ご開帳して嫁に

「これは?これは?」

と迫ってみた。さあ嫁。食らい付いてくるがいい。むしゃ
ぶるがいい。しかし嫁の反応は

「…何やってるの?」

まことに冷たいものであった。

「いやその…さっきやってたもんだから…」

僕は急激に恥ずかしくなってしまった。嫁が自分からネタを
振ってきた癖につれないことである。

僕は寂しくひとり腰を振るしかなかった。
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幸せカニ挟み。カニー!

休日なので嫁と娘・R(2才)と一緒に食べる夕飯である。息子・
タク(1ヶ月)は母乳オンリー。

ゴハンは「カニ飯」であった。カニと一緒に炊き込まれた飯に
数本の蟹の足の身が乗っている。僕は直感した。カニがこれ
だけだときっとRはペロリと平らげてしまうだろう、と。ならば
僕は自分の分には手をつけずにおこう…と思った。

別に献身的な親を気取ろうという訳ではない。僕はカニは好き
だが、自分で殻から身を取るぐらいだったら食べない方がマシ、
程度のものだからである。だったらより喜んで食べるであろう
Rにあげてやったほうがカニも浮かばれると思ったのだ。

とれとれぴちぴちカニ料理より、とれとれぴちぴち女子高生の
方が好みだ。であるからして、


「R、カニだよ〜」

と、Rに食べさせようとしたのだが、Rは

「めー!めーよ!」

顔を背けて食べようとしない。この舌の肥えた娘はエビが大好き
であるからカニもきっと好きだろうと思ったのにこれいカニ。

「そういえばRはカニは初めてだっけ」

「この子は初めてのものはなかなか食べないのよね」

食べず嫌いの僕に似たのかイマイチ食い付きが悪い。しかし
隙を見計らってちょいと口の中に入れてみたところ

「おいしー!かに、おいしー!」

一転してむしゃむしゃと食べ始め、僕の予想通り自分の分を
あっさり平らげ

「これは?これは?」

丸々残っている僕のカニを「食べないの?」と目敏く見つけ、
突撃オヤジの晩御飯とばかりに箸で突つき始めた。これも僕の
思った通りであったので

「はいはい、お食べ。全部あげるよ」

カニの身をほぐしてRのゴハンの上に乗せてやったのであった。

「えー全部あげたの?」

嫁は驚いていた。すまん嫁。せっかく僕に用意してくれたのに。
でもRの嬉しそうな顔を見てみたかったの。これがスキヤキの肉
だったら一歩も譲らないところだが。

「Rちゃん、パパにありがとうって言いなさい」

「ぱぱ、ぁりがとー」

舌足らずの娘のお礼の言葉は、カニの味より身に染みる。これ
だけで充分だ。こないだ見たテレビでは立派な越前ガニが出て
いて一杯4万も5万もするという。越前ガニとは高級ブランドガニ
なのだろう。勿論食べた事はないが、僕はイタリアにもの高級
ブランドガニがあるのを知っている。

ヴァレンチノ・タラバガニ。なんつって。

と帰った
のだが、

これはウチの奥様には言えネーゼ。

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