アンビリーバリボー。

夜中、僕も嫁も寝てるというのに、娘・R(9ヶ月)が
むっくり起き上がってハイハイをしていることがある。
文字通りの夜這い。

それも最近は寝ている嫁に覆いかぶさってくるのである。
嫁の胸を鷲掴みにしたりおなかに顔をうずめたり。
一体何をしたいのか理解に苦しむところであるが

「ひょっとして…僕のアレを真似しているのか?」

僕のアレとは、Rが寝静まったのを見計らって
嫁に覆いかぶさって行う一連の運動というか
営みというか、まあソレである。
まさか、いつの間にか見られていたのか…と考えると
Rの嫁への絡み方が僕のそれに似てなくもない、と思えてくる。
なんかやだなあ。

「いやーん。Rちゃん痛いわー」

嫁は寝られなくて困っているがちょっと嬉しそうである。
それが羨ましかったので僕も寝っ転がって

「さ、R。お父さんにものしかかっておいで」

と誘ったのだが見向きもしない。何故だああ!

…しまった。Rが生まれてこのかた、僕が下になって致したことは
なかったのである。Rも真似しようがないわけね!

娘の真似っこ行為により明らかにされた夫婦生活のマンネリ。
なんだか反省すべきことのような別にどうでもいいような。

そんなことを考えてテレビでバレーボールを見ていたら
「ネットタッチ」「ひとり時間差」「マッチポイント」
などの用語が
「そっとタッチ」「ひとり痴漢魔」「エッチポイント」
などと頭の中で全て卑猥な単語に変換されてしまって困った。

とりあえずRも寝静まったし…と嫁にそっとタッチしたら
ものすごい勢いのスパイクで弾かれた。

嫁は高校時代女バレだったのである。

奥様は東洋の魔女。
.

投稿特攻許可局。

「私とR(9ヶ月の娘)の写真を撮って欲しいの」

嫁が猫撫で声でお願いしてきた。
何に使うのか、と聞いてみたところ、嫁とRの写真が
育児系雑誌「なまこクラブ」(仮名)に掲載されるという。
 
編集部から使い捨てカメラが送られて来、
それに撮影して送り返して欲しいというもの。

日頃から投稿マニアと化し、編集部にRの写真を送りまくっていた
嫁の執念が実を結んだらしい。親バカを増長させるだけなのに
いいんだろうか…。あ、もともとそういう雑誌だからいいのか…。

「はい、じゃあ撮るぞ〜」

しょうがねいなと思いつつ二人の写真を撮る僕であったが

「あなたもRと撮る?載るかもしれないよ」

なんて言われたのでホイホイRとにっこり写ってしまった。

そうして撮影したカメラを嫁が送り返してから数日後

「やっぱりあなたの写真は載らないって」

嫁が撮った、僕とRの写真は不採用だったとの知らせを受けた。
…ふん。分かってるよ。メインはあくまでRである。
それに僕がRを撮ったほうが可愛い写真が出来るのだ。
それは嫁も認めるところである。何故ならば、
僕には永遠の憧れの美少女Rちゃんを何かにつけ
撮りまくっていた長いキャリアがあるのだ。

カメラ小僧なのである。近頃は略してカメコと呼ばれるらしい。

美しい少女をより美しく(そうでない嫁はそれなりに)という
情熱を保ったまま、被写体をRちゃんの名前をそのまま付けた
娘・Rに変えただけだから可愛く撮れるのも当然である、
と自負している。

親バカカメラ小僧なのである。

略してオメ…。


よりすぎ。
.

ジャガイモ入り焼きそば/WINNY作者/髑髏

「あなた、栃木の街が載ってるわ」

嫁が雑誌を開いて見せた。僕は栃木県栃木市という街で
高校時代を過ごした。市内の高校に通い、弓道部だったが学校に
弓道場がなかったので放課後は栃木市営弓道場で矢を放ち、
ついでに女子高生のハートにも愛のアローを撃ちまくる日々を送った。
命中率は悪かった。

懐かしい。久しぶりに街をぶらぶらと歩いてみたい。
甘酸っぱい思い出に誘われてネットで栃木市の時事ネタを漁ってみた。
思わずへえボタンを押したくなるものもいくつか…

1.栃木、ジャガイモ入り焼きそばで町おこし。

へえ〜。しかし僕にとってはジャガイモが入っていて当たり前である。
ところが全国的には当たり前ではないようで、嫁の作る焼きそばにも
ジャガイモは入っていなかった。そこで

「おらの田舎ではジャガイモが入ってなきゃ邪道だで」

そう言い切って作らせてはみたものの、やはり嫁はピンと来なかったらしく、
栃木焼きそばの再現はうまく出来ず、

「お母さんが作ってくれた焼きそばはこんなんじゃない」

などと評したら嫁が実家の方角を向いて遠い目をしていたことがある。
そのへんのギャップを利用して全国に名物として売り込みたいようだが
なんとも貧乏臭い名物ではある。

10へえ。

2.WINNYの作者は、僕の高校のいっこ上の先輩である。

へえ〜。というか、ええー!という感じなのだが。今更ながら初めて知った。
ファイル共有ソフト「WINNY」を開発・配布したことにより
著作権侵害幇助で逮捕された東大助手の金子勇氏。
法に触れる触れないはともかく、氏のピアツーピア技術は
世界に誇れるものである。こちとらマウスツーマウスも怪しいのに。
ある意味同窓生の出世頭かも知れん。

47へえ。

3.栃木市営弓道場で、ドクロが出土した。

ギャー!もはや「へえ」どころではない!
部活やってる間、ドクロが埋まってる真上を歩いてたかも
しれないじゃないか!

もしかして、誤って矢で撃って殺しちゃって、
隠して埋めたんじゃ…などと考えるとシャレにならない
シャレコウベである。

おしおきだへえ。

…のどかな田舎町とはいえ、結構あるものである。
故郷はすなわち魔境であったようだ。
.

キスイヤ!

愛娘・R(9ヶ月)が可愛くて仕方がないので
ついムラムラっと口づけをしようとすると、
いつもサッと顔をよけられてしまう。
気を取り直してRが喜ぶことをしてみる。

「Rちゃん。高い高い〜」

それでRがキャア〜と喜んだ顔になったところで

「ぶちゅう」

と強引に唇を奪ってしまう。しかし、Rは必ず
苦いものでも食べたかのようなしかめっ面に
なってしまうのだ。

「Rよ、何故そんな嫌そうな顔をするんだい。
 お父さんは悲しくなってしまうよ」

ファーストキスの相手はこの父であるのだぞ、と
娘に訴えるのだが

「タバコ臭いのよ!」

嫁が速やかに突っ込みを入れた。うるさいっ。
多分そうじゃないかなあと自分でも分かっておるのだ。
それでもタバコはやめられないのだよ…。ていうか嫁、
君はずっとそう思っていたわけね。すまん。

嫁とも長い付き合いで、それなりにイチャイチャして
星の数ほど口付けをして結婚して、それからまた口付けしつつ
種付けしてRが産まれたわけで。嫁の人生の青春の思い出を
ニコチン漬けにしてしまった責任を感じた。

感じたところで既にどうにもならないが、
せめて娘にはヤニ臭い父ではあってはならぬと思った。

そこで自らを戒めるため、掟を作ることにした。

タバコを吸ってから1時間はRに口付けをしてはならない。

こうすればRに苦い顔をされずにすむし
ひいては僕の節煙いずれは禁煙のきっかけになるのではないか。
良い考えだと思った。

…1時間はきついかな。30分、いや、20分…。

娘の健康を損なうおそれがありますので
唇の吸いすぎに注意しましょう。
.

恋のからくり夢芝居。

嫁がいる身でありながら、他の女の子と遊んでいる夢を見てしまった。
しかも嫁と激しくナニをして、泥のように眠ってしまった
後にもかかわらず、他の女の子の夢を見てしまった。

その女の子は、僕の永遠の片思い美少女、Rちゃん。

かつて近所のゲーセンで知り合ってから、毎日のように
そこで会っていたが今は音信普通である。
ケータイもメールも繋がらない。

新しい番号やアドレスを教えてくれないのはわざとなのか
うっかりなのか不明。故意でないとしても忘れられてしまうような
扱いなんだね、と傷心状態だったところである。

夢の中で僕とRちゃんはある街で再会した。
何度か来た事がある街だった。歩きながら普通に会話をして

「今、私、ここに住んでいるの」

Rちゃんが笑顔をこちらに向けた瞬間、目の前の風景は
見慣れた部屋の天井に変わっていた。まだ明け方だった。

一呼吸置いて、夢だと気付き落胆した。
実は、近頃は娘・R(9ヶ月。勿論Rちゃんからいただいた名前だ)を
溺愛することで気を紛らわし、出来るだけRちゃんのことは
考えないようにしていたのに。夢にまで出て来られては
忘れようがないではないか。Rちゃんはやはり僕の
アニマ(ここでは理想的な女性像の意)なのかもしれない。
嫁に言うと殺されそうだが。
なんだか年甲斐もなく感傷的になり沈んで行く僕。

露と落ち 露と消えにし我が身かな 
アニマのことも 夢のまた夢。

…豊臣秀吉だったっけか。
で、その嫁は隣で寝息を立てている。
とりあえず尻を揉んでみた。

「ふしゅおおおお!」

マンモスのような荒い鼻息で寝ながら抗議された。
昨晩は猛烈にナニで盛り上がったのにこの落差は…。

ナニのことも 夢のまた夢。
.

不潔親父と呼ばないで。

休日。それは娘・R(9ヶ月)と風呂に入れるチャンス。
仕事のある日は僕の帰りが遅いから無理である。
Rを風呂に入れるのは午後7時と決まっているので

「Rちゃん!とと様と風呂に入ろう。1週間ぶりだよなあ。
 とと様はもうRちゃんと一緒じゃなきゃお風呂に入る気が
 しないのだよ」

7時ジャストにRをとっ捕まえ、服を脱ぎ脱ぎさせていたら

「入る気がしない、じゃなくて本当に入ってないじゃないの!
 この不潔亭主!」

嫁に横槍を入れられた。だって仕事から帰ってきたら
疲れて入る気しないんだもん…。

「ま、とにかく1週間ぶりの風呂に行ってきまどろす」

Rを抱いてそそくさと風呂に入る僕。

「ちゃんとパンツも替えなさいよ!」

嫁は追い討ちをかけた。そんな、子供みたいに…。

さて、僕がRを風呂に入れるとRは必ず泣いてしまうのである。
そりゃもう爆竹のように。それでも僕がRと一緒に入りたいのは、
ひとえに父の愛である。愛はいつか必ず伝わるはず、と、
毎回願いながら風呂場に入っていくわけだが

「Rちゃん、今日も泣いちゃうかな〜?」

今回はどうだろうか、と恐る恐る浴槽に入れてみると

「でへへーでへへー」

お、喜んでいるじゃないか。いつもは嫌がる洗顔とかも
全然泣かずにクリア。最後まで「うきゃきゃ」と上機嫌のまま
終えたのであった。

「嫁ー!父の愛が遂に伝わったよ」

「あら。よかったじゃない」

風呂から出て嫁にも報告し、じゃあパンツを替えるか…と
タンスに取りに行ったら嫁が猛然と怒った。

「パンツは私がお風呂場の前に出しておいたでしょ!」

「え…?風呂場の前の服は全部洗濯機に放り込んじゃったよ。
 脱いだのと一緒に紛れてたのか?」
 
「せっかく出してあげたのに!何で嫁の愛は伝わらないのー!」

嫁はヨヨヨと泣き崩れるのであった。すまん。
愛は伝わらなかったが、1週間はき倒したパンツの
臭いは伝わるぞ。

洗濯機を開ける時は覚悟してくれ。

…そんなやりとりをRは相変わらずニコニコと笑って見ている。
風呂場での裸のふれあいにより、父との絆が深まった!

これを裸身伝心といいます。
.

突撃隣のダンナサン。

午前中床屋に行った。髪切り席(というんだろうか)に座ると理容師が

「胸元開けてもらえますか?」

と言うのでパーカーのファスナーをじいいと下げた。
するとその下に着ているTシャツが見えるわけだが

のび太さんのエッチ!

しまった。何でこんなTシャツ着てきたんだろ。
理容師は物凄い勢いでばばばっと布を広げ、
やばいものを隠すかのように僕はあっという間に
テルテル坊主状態にされた。

拷問に等しい沈黙の中で髪を切られた後、
嫁と娘・R(9ヶ月)と合流してサリーちゃんの家へ行く。

サリーちゃんは、ちょっと前に引っ越してしまった
隣人一家の赤ちゃんである。Rとは誕生日が1週間違いで、
イギリス人と日本人のハーフ。

久々の再開だったので嫁同士はお互い盛り上がり、僕も
旦那であるイギリス人、ジェームス君に

「やあジェームス、久しぶりHAHAHA!」

と気さくなアメリカンスタイルで接したりしていたのだが
(イギリス人だろ)、当のRとサリーちゃんは、
向かい合わせてもお互いの存在をほとんど意識してなく
それぞれオモチャで勝手に遊んでいた。
赤ちゃんてそんなもんだろうか。

サリーちゃんは金髪で日本人の赤ちゃんにはない
可愛さがある。そこでジェームス君に頼んで
抱っこさせてもらったら

「HIEEEENN!」

なんだか英語っぽいイントネーションで泣かれてしまった。

僕の母や嫁の親父がRを抱いても、Rは必ずイヤイヤして
泣いてしうのだが僕はそれを見て

「ははは、だめじゃん」

などと笑っていたのだけれど、自分がその立場になると
結構ショックがでかいことに気付いた。

「ふ、僕に抱かれた女は必ずヒイヒイ泣くんだよ!」

などと心に言い聞かせても、初めて経験する心の痛み。

とにかく僕は抱っこしたり気が動転したりで暑くなり、
汗も出てきてしまったのでパーカーを脱ぎたかったのだが
Tシャツがアレ(↑)であることを改めて思い出し
我慢するしかなかったのであった。

考えてみればこんな怪しいおじさんに抱かれて嬉しい子供など
いないかもしれない。

帰ってから嫁と相談した。

「僕、サリーちゃんに泣かれてショックだったんだよ」

「アハハ!そんなこと気にしてたの?」

「それで、ハーフのサリーちゃんに対抗するには
 僕がニューハーフになるしかないと思うんだが」

「バカー!」

とりあえずジェームス君に英語を習うか…。
.

オタクのナニかけて。

嫁のパソコンが壊れた。嫁がメーカーに問い合わせた結果、

「ハードディスクが壊れています。新しいものを送りますから
 交換してWINDOWSを再インストールして下さい。
 但し今までのデータは回復できないでしょう」

データ全ぶっ飛び、という死の宣告を受けた。

初めは何とか出来ないものかと考えていた嫁だったが、
パソコンをいろいろいじくってる間に疲れて来たらしく、

「もういい!今までのデータいらない!メールアドレスとか
 分かんなくなっちゃうけど諦める!」

と拗ねてヤケになってしまった。

「まあまあ。おじさんが何とかしてみるから」

いつもオタク夫と言われる僕であるが、
そのオタクの名にかけて何とかせねばならぬ。

パソコンいじりなぞはれっきとしたオタクジャンルであり、
そこで何も出来ないオタクなど
ただ臭くて汚いだけのダメ人間である。
そういえばパンツ1週間替えていない。

というわけで大型電気店「ディックカメラ(仮名)」に赴き
ハードディスクケースを購入。
壊れた嫁のハードディスクをケースの中に接続し、
それを僕のパソコンに繋いで見たら…

あら、読み込めるじゃないの。楽勝!

ひとまず全データを僕の外付けハードディスクに
コピーさせ、嫁がとにかく回復させたがっていた
メールアドレスとメールのデータを嫁のパソコンに
インポートした。

無事復旧完了。パチパチ。嫁もほっと一安心していたが
なあに、礼には及ばぬ。僕らは夫婦なんだから。

そう。夫婦だから…。

データをインポートしたついでに、僕の、いつものアレを
ちょっとインポートさせてくれさえすればいいの…

おいこら、とっとと寝るな、嫁!

つれない態度にインポートになってしまいそう…。
.

燃える闘魂。萌える投稿。

夜、会社から帰ってくると嫁がヒマそうに
マンガを読んでいた。パソコンが壊れたため、嫁サイトの
WEB日記を書くことが出来ないためだと思われる。
しかし、僕の顔を見るなりマンガを放り投げ

「アナタ、R(9ヶ月の娘)の写真を印刷してよ!」

と言い寄ってきた。

「今?すぐに?何に使うの?」

「投稿するのよ!ネットができないから投稿に専念するの!」

忘れていた。嫁は育児系の雑誌「あそこクラブ(仮名)」に
Rの写真を送りまくる投稿職人であった。
何の気まぐれか知らないが2度ほど載ってしまったので
それに気を良くし、更にネットが出来ないための代償行為として
ますます投稿熱が燃え上がっているらしい。
Rの可愛さを世に広めるんだとかで、アサハラトウコウと
化しているのである。

しかし僕はそこに親バカ一代の情熱を見た。あんたにゃ負けたぜ。

「分かったよ。じゃあどれを印刷する?」

「これと…これと…これ!」

僕のパソコンにあるデジカメ画像から嫁が3枚を厳選し、印刷開始。
ところが2枚印刷したところで紙がなくなってしまった。

「嫁、紙のストックは今ないんだよ。2枚でいい?」

「だめよ!最後の1枚が1番可愛く写ってる写真なのよ!
 イヤー!どうしよう!本当に紙ないのおおお?」

嫁はキイイイと悲鳴を上げた。先ほど僕が感じた嫁の情熱は
暴走しまくって更年期おばさんのようなイライラに代わっていた。

「わ、わかった。探すから…」

「私、今はネットで日記書けないけど、ちゃんとノートには
 書き記してるのよね…」

怖っ。たかが紙がなくなったことで「使えない夫」などと
うらみ日記を書かれたら困る。

机をゴソゴソ探すと、幸運なことに数枚の紙が見つかった。
嫁の一押しだというRの写真を改めて印刷すると、

「いやーん。かわいいー」

嫁は満足して写真を収めて寝た。危ないところであった。
たまたま紙があったから良かったが、嫁のこの鬼気迫る勢いだと

紙の切れ目が縁の切れ目

なんてこともウルトラアリエール。
早くパソコン治ってくれ。
.

データのバックアップと愛の上書き保存。

嫁のパソコンが動かなくなってしまった。
1年ちょい前に買ったパソコンなのに早すぎる。
嫁は娘・R(9ヶ月)が寝静まるまでパソコンを
いじらないので使用時間も大したことないはず。
それに嫁のパソコンの使い方は

・嫁個人サイトの日記を書いて掲示板でやりとりする。
・娘・R(9ヶ月)のデジカメ画像を溜め込んでいる。
・育児系企業のサイトを見ている。

こんな程度であるので別に激しく使い倒してるわけではない。
それなのに動かなくなるとはひ弱なパソコンである。
どこのメーカーとは言わないが。

嫁がメーカーのサポートに電話したところ
どうやらハードディスクに原因があるので
交換用の新品を送ります、ということになったらしい。
取り替えるのはいい…しかしそうなると
全データぶっ飛びの可能性が高まってきた。

「嫁、データのバックアップは?」

「とってない」

最悪。あほんだらー。

「じゃあ、消えたら困るデータは入ってるか?」

「Rの画像ぐらいかなあ。日記はWEB上に残ってるし」

Rの画像はすべて僕のデジカメで撮ったものだ。
それは僕のパソコンに入っている。
それならばハードディスク交換でデータ全消えしても
憂うことはない。ほっと胸を撫で下ろしたのだが、
それもつかの間

「あ、メールのデータ…それがないとすごい困る…」

嫁が悲しそうな目で訴えた。がひょーん。
結局ハードディスクサルベージ作戦に取り掛からなければ
ならなくなった。自信はまるでないけど、嫁はパソコンについては
からっきしなので僕が出来る限り最善を尽くさなければなるまい。
愛する嫁のために!しかし

「平日は仕事で疲れて夜遅いので日曜まで待ってくれ…」

そう嫁に懇願した。スペックと値段だけは高いくせに
ヤワで世話のかかるパソコンである。

どこのメーカーとは言わないが。

しかしパソコンに対してはこれだけは言わせてもらう。

お前はもう死んDEいLL。
.

俺に電波を飛ばすのは誰だ!

仕事用の携帯を持たされている。
かかってくる時は思いっきりかかってくる。
今日もそんな1日。

出来るだけ肌身離さず持っているが、
それでもちょっとの隙を突いて着信履歴が残っていた。
見知らぬ番号だったがすぐかけてみた。

「じゃんじゃかじゃーん♪お電話ありがとうござ…」

がちゃん。

しまったああ!今どきワンギリ業者に
引っ掛かってしまったあああ!

仕事用の携帯にワンギリするのは卑怯である。
プライベートの携帯だったら知らない番号から
着信履歴があっても絶対にかけない。

しかし、僕の仕事用携帯にかけてくる仕事相手の
電話番号を全て把握するのは不可能であり、
加えて携帯にかかってくる用件は緊急のものが多いので
無視するわけにはいかないのである。

弱みに付け込むワンギリ業者の業の深さを恨みつつ
忌々しい履歴を消したら、また知らない電話番号から
着信が。

今度はワンギリではない。コールが続いている。
僕は5コールぐらい待ってからよし、と出てみた。

「はい。かじりんです」

「あ、そうですか。分かりました」

がちゃん。切られた…。え…?

こっちはさっぱり分からないんですけどォォォ!
ていうかアンタ誰!

わけの分からない嫌な電話ばっかりだった今日。
どうやら「電波が届きまくる場所」にいたようである。
.

いつもより余計に回っております娘。

夜中、会社から帰ってくると娘・R(9ヶ月)が
うつぶせになって「ぷしいい」と寝息を立てている。
一見静かに眠っているように見えるが

「もう2回転もしてるのよ」

添い寝していた嫁がくすりと笑った。
Rの寝相は物凄く悪い。まっすぐに寝かせたのに
寝返りを打って右に90度、逆さになって180度、
左に270度、で、また元に戻る。

「まるで時計の針だな」

僕が見ている間にもRはゴロンと寝返りをして
再び横向きになってしまった。寝ながらにして
時を刻み続ける人間時計・R。

さて、嫁もいつの間にか眠っていたので僕もそろそろ…と
思ったのだが、Rはうつ伏せのまま布団から
はみ出しており、顔面などはカーペットの床に
べたーっと突っ伏している。下手に動かすと泣くので
どうしたもんかと眺めていたら、

がばっ。

急にRが頭を持ち上げ、起きた。
2秒ほどキョロキョロと周りを診回した後、

ごん。

再びうつ伏せに倒れこんだ。そして

「ぎゃわああああん!」

突っ伏したまま大泣き。でかい音がしたもんなあ。
痛かったんだろうなあ。

泣き声で嫁が飛び起きた。Rはただの時計ではなく
目覚まし機能も付いていたようである。
ていうか自分も起きてどうする。

嫁がRをあやして再び寝付かせた後、僕はRに対抗し、

Rが時を刻むのなら、僕は腰のビートでも刻もうかと
嫁に擦り寄って接吻を試みたのだが、嫁は僕の
トマホークベーゼ攻撃をさささ、と巧みにかわし
全く相手にしてくれないのだった。おのれまた生殺しか。

娘は目覚まし時計。夫は…ほっ時計。
.

母性本能くすぐり作戦。

嫁は家事も育児もよくやってくれている。
ほとんど任せっきりなので、逆に僕は自分のモノが
どこにあるか分からなくなってしまう。

「はいはい、お母さんが今、行きますからね〜」

ちょうど嫁が娘・R(9ヶ月)の着替えを
させようとしていたところなので

「お母さん、僕のパジャマのズボンどこ〜?」

僕も甘えて聞いてみたら

「私はあなたのお母さんじゃない!」

と、怒られてしまった。

「いいじゃん別に。僕ちゃんコドモです。お母さ〜ん」

Rに惜しみなく注がれている母の愛。
たまには僕もそのぬくもりに溺れてみたい。

「そんな大きくて可愛くないコドモ、産んだ覚えはありません!」

しかし嫁はそれを認めてくれなかった。それどころか
小生の愚息をわしっと掴み

「でも、ここは小さいけどね」

僕に最大の屈辱を味合わせたのだった。
愚息は文字通り子供だってか!
こやつはいつの間にそんなえげつない切り返しを
するようになったんだ。

子供だっていうのならその部分だけでもいいから
母の愛でかまってくれよう…。悶々。

幼児虐待が何かと社会問題として取り上げられる今日この頃。
嫁の悪態にもスポットを当ててもらいたいものである。
.

勇猛果敢。剃毛あかん。

娘・R(9ヶ月)をお風呂に入れようとすると
号泣されてしまうので困っている。

僕に似て風呂嫌いなのかな?と思ったが
嫁と入る時は全然泣かないらしいので
僕と入るのが嫌、ということになる。
なので深く傷ついている。

普段は平気なのである。僕が笑えばRも笑うし
抱っこしても嬉しそうにキャアキャア叫ぶ。

僕が裸になる時に何か違和感を感じるようだ。

僕と嫁、何が一体違うのだろうか。
そりゃあナニが違うに決まっているが、
その違う部分というか、露出するとモザイクが
かかってしまう部分は僕だって努めて隠している。
Rに見つめられるのは恥ずかしいんだもおん。

では胸はどうか。僕と嫁、大して変わらない。
(この辺、サラッと書いているが嫁に見られたら
 殺されるだろうなあ)

となると、それ以外で違うところといえば…
乳毛。これしか思い浮かばない。

僕の乳毛は長い。松島トモ子のまつ毛より無駄に長い。
これがRに恐怖を与えているのではあるまいか。
自分でもちょっとこりゃねえだろとか思うこともある。
剃った方がいいのだろうか。

でも今まで剃ったことないし、なんか嫌だし…。
ええい、何を迷うことがある。ワシも男じゃ。
可愛い娘の為なら毛の1本や10本何するものぞ。

そんなわけで断髪式の相撲取りのように断腸の思いで剃り、
今夜の入浴に備えた。そして7:00PM過ぎ、満を持して
ばばっと衣服を脱ぎ

「さあRちゃん、お父さんとお風呂に入りましょう〜!」

爽やかに生まれ変わった父の乳を見るがよい、
と自信満々でRを抱き締めたのだが

「ぎゃわあああん!ひええええ!」

…いつも通りの反応だった。
どうして。どうして父の愛が伝わらないのー!

かつてどんな女性と裸で接する機会があっても、
乳毛を剃ろうとまで心を配ったことはなかった。
僕に生まれて初めて乳毛を剃らせた女。それはR。
やはり長女は最大の恋人である。

それでも報われぬ恋心。剃った跡もヒリヒリし、
心が痛けりゃ乳も痛い。

乳毛剃っても
父ゲンナリ…。
.

アカチャンホンポでトウチャン翻弄。

嫁が「アカチャンホンポ」(赤ちゃん用品専門店)に
一度行ってみたいというので錦糸町まで行った。
娘・R(9ヶ月)の洋服を買いたいんだと。

錦糸町は同じ都内にあってもウチからは遠いのだが
嫁は気合が入っており、店に入った途端、僕に
ベビーカーごとRを預けて売り場の中に消えて行った。

しょうがないので僕はベビーカーを押しつつ
店内をプラプラ見て暇潰ししていると…



この服の前で地縛霊のように動けなくなってしまった。
こ、これ欲しい。Rに着せたい。
Rにセーラー服を着せるのが僕の人生最大の夢。

しかし待て。セーラー服はまがいものではいかん。
ちゃんと女学校に入学させ、指定の制服を着せてこそ
真のセーラー服好きであり本物志向である。

2日前の日記でもそう書いたばかりではいないか。
バッタモンで満足してしまう半端者だったら
イメクラにでも行けばよい。

しかししかし、机上で考えるのと、目の前に
このようなぷりてぃな服がある状況とでは…
脂汗をかいて悩んだ挙句、結論が出た。

これはセーラー服を模したものではない。
マドロス服を模したものである、と。

この見解により、僕はポリシーを曲げることなく
この服を買えることとなった。

「嫁〜これ買って〜」

早速嫁の元に走り、おねだりしてみたら

「それ、男の子用よ」

…悩んだ30分を返せ。

そう叫んだところで時間が戻って来る筈はなく、
結局帰って来たら夕方になってしまった。

昼は「アカチャンホンポ」のために錦糸町まで付き合ったんだから
夜は「トウチャンチン○」のために付き合って欲しいものである。
なんつってぐへへ。

お下劣禁止町。
.

生死についてと妻子について。

お通夜から帰った夜、

「嫁ー。塩撒いてたもー」

既に寝ていた嫁を玄関先から呼ぶと、
嫁は水戸泉並みの勢いでばっさばっさと撒いてくれた。

仕事上の義理で行った通夜なので、はっきり言って
涙が出るほど悲しくもないのだが、それでも人の生死について
ふと考えたくなる機会ではある。

斎場で圧し掛かっていた「死」の重圧を祓うには…
塩よりも、新しくて出来立ての「生」を見ればよい。

娘・R(9ヶ月)が「ぷしゅー」と寝息を立てているのだ。
なんと瑞々しい。可愛い。ぷにぷにしたい。
(でもぷにぷにすると起きてしまうので我慢する)

人間は「死」には勝てないが新しい「生」を作ることが出来る。
僕は僕の「生」の一部を嫁に提供し、Rが産まれた。
「死」が重い分、「生」はもっと輝かしくて重い。
父親になってそれが分かった。そして僕はもっと「生」に囲まれたく思う。

で、囲まれつついずれ死ぬる。それがいい。

だから死ぬるまでに僕はもっと「生」であり「精」を
嫁に注ぎ込む。それが死すべき生ける者としての証なのだ。

生死について考えることは精子について考えることであった。
(単なる「種まき本能」とか言わないこと)

そう考えがまとまったところで、では、早速嫁に…。

「嫁ー。潮吹いてたもー」

「はあ?何言ってるの?」

やはり不謹慎であったようである。
.

せ・え・らー・服を♪ふ・ふ・ふ♪

水曜日のことになるが、体調が悪くて午後会社から
帰って来たら、家で待ち構えていた娘・R(9ヶ月)が

「うきゃおおおお!」

まるでナワバリを荒らされた犬のように
四つん這いで大きな声を上げた。

いや、変なおじさんじゃないからね。
君のお父さんだからね。
昼間の君はTシャツに短パンなんだね。
お父さんは、いつも夜の寝巻き姿しか見てないから新鮮だね。
腕と足がむちむちだね。
露出度が高くていいね。
さあ、お父さんがだっこしてあげようね。へへへへ…。

結局、変なおじさんになってしまった。
あまりにも娘の普段着姿が可愛かったので、つい。
これから成長するにつれ、思いっきり僕の趣味で服を選んで
着せてみたいものである。

僕が好きな服はセーラー服なので、一早く着てもらうには
制服がある私立小学校に入らせなければならない。
セーラームーンの服をオモチャ屋で買ってくるという
手っ取り早い手段もあるが、それはまがい物なので
本物志向の僕は妥協を許さぬ。すなわち、

やるべきことは、お受験!

…なんだけど、考えただけでとてつもなく面倒臭い。
対策とか全く分からん。調べる気もしない。
僕は私立小学校なぞない田舎生まれなので馴染みもない。

恐るべし、お受験!

おそらく親である僕も合格不合格の対象になるのであろう。
親も面接されるんだろうから、血筋・毛並みのよい親でないと
ウケがよろしくないかもしれない。
先祖が水呑み百姓か落ち武者狩りで、出身大学がアレで
勤めてる会社もソレな僕ではお呼びでないかも。

へぼい父の立場、超危険!

面接のシュミレーションも一応してみる。

「ではお父様、本校を選んだ理由は?」

「制服が可愛いので…」

「二度と来ないで下さい」

面接官、お邪険!

対策として、ロリコンで下らないギャグばかり言う性格は
隠さないといけないだろう。そんなダジャレ好きの僕は、

大学時代、落ち研!

いや、違うけどさ(よく言われるんです)

しかし、隠すといっても向こうも面接のプロ。
僕の本質を鋭く見抜いて来るかもしれない。

冒頭に述べたとおり、どうせ僕は変なおーじさん、
変なおーじさん。

それは、シムラケン!
.

娘の日記デビュー。

日記を書くのでパソコン机でキーボードをカタカタやっていると
娘・R(9ヶ月)が恐ろしい速さでハイハイして来て
椅子の下にまとわり付くのである。

そして上目遣いに僕をじーっと見るのである。
まるで「お父ちゃん、遊んで…」と訴えているかのよう。
あああそんな目で僕を見ないでくれー。

そうなると僕はネットを中断せざるを得ない。
どうもキーボードをいじりたいようなので
Rを抱き上げて椅子の上に乗せ、「メモ帳」を開いて

「ほら、Rも何か書いて見なさい」

と、キーボードをRの前に差し出してやった。
Rは待ってましたとばかりにキーボードを
思いっきり叩く。

かっしゅかっしゅかっしゅかっしゅ。

さあ、どんな字が出てくるかと思ったら…
いきなりシャットダウンされそうになった。ギャー!

「Rちゃん、字を書きましょうね」

慌てて打ち直しをさせて、出てきたのがコレ↓。

scxvぶv6vvtgv

娘・R、生後9ヵ月で日記デビュー。
ていうか日記じゃないけど。

しかし、キーボードでシャットダウン操作なんて
僕はどうやってやるのか恥ずかしながら知らん。
いつもマウスでやってるから…。
この子は天才かもしれない。おおげさか。

それともこれはRの意思表示なのだろうか。

僕にネットをやめて「ワタシと遊んで!」という…。

今でさえ上目遣いで見つめられるだけでメロメロなのに
そのうち言葉を喋るようになって

「ワタシとネット、どっちが大事なの!」

なんて言われたらどうしよう…。
嫁に言われても屁でもないけどRに言われたら真剣に悩む。

今のようにキーボード叩かせてお茶を濁すだけじゃ
ごまかせそうにない。

3時間〜のネットぐら〜い大目に見ろよ〜。

ヒロシ&キーボード。
.

マドンナを ひと目見たいね まあどんな人。

娘・R(9ヶ月)の寝相がものすごく悪い。

うちの寝室はRの布団と、嫁・僕の布団が並べられているのだが
Rはゴロゴロと寝返りを繰り返し、いつの間にか僕らの布団まで
流れ着いていたりする。

「わ、私が寝られない…」

布団を占拠された嫁が困り果てていた。
Rを移動させるにしても慎重にやらないとRが起きてしまう。
眠りを妨げられたRはバクチクのように怒り、泣き叫ぶ。

「じゃあ、そーっとやってみる…」

嫁が静かに静かにRを抱いて持ち上げたが…

「ぎゃわーーーーん!」

しまった。気付かれてしまった。
「Rこっそり移動作戦」は失敗に終わった。
こうなると再び眠るまで大変なのである。
布団に寝かせても泣きながらゴロゴロ寝返りを打つ。

今夜の我が娘。ライク・ア・ローリングストーン。

数十分間、あの手この手でなだめすかして、
ようやくRは夢の世界に。

じゃ、子供は寝たし…と、僕は見計らって
嫁のボデーの猥褻な部分に手を伸ばした。

「いやん。だめん」

…むかつく口調で拒否されてしまった。

今夜の我が嫁。ライク・ア・ヴァージン。

今更カマトトぶられても困る。
.

とんだ茶碗劇。

昨日の日記の続き。

こうの史代先生のサイン会の後、
友達の陶芸家、宇多田理恵さん(うたちゃん)の陶芸展に行った。
僕が家で使っているコップ・大皿・ドンブリ・茶碗は
全て彼女の作品。

僕と同い年なのに陶芸教室を経営する
立派な陶芸家である。僕は単なる恐妻家である。

※宇多田理恵さんの陶芸教室→おいしい器

さてこの日、うたちゃんは自分の陶芸教室の授業があり、
それが終わり次第来てくれるというので、
先に嫁と娘・R(9ヶ月)を抱いて作品を鑑賞。

「でへでへでへ」

Rが隙あらば手を伸ばして展示されている陶器を掴もうとする。
お前もうたちゃんの芸術が分かるのか。
じゃあお父ちゃんが茶碗を買ってあげよう。
というわけで茶碗1個購入したところでうたちゃん到着。

会うのは1年ぶりぐらいだろうか。ここでRを初披露し、抱いてもらった。
しかし昼からのお出掛けでもう限界に来ていたのか、
Rは泣き出してしまった。この後、うたちゃんと飲もうかなあと
考えていたが、雨も降っているし、嫁だけRを抱えて帰すのも
気の毒な気がしたので、せっかく来てくれたうたちゃんには
悪かったが帰ることにした。

茶碗

家に着き、R用に買ったこの茶碗を渡してみた。

「ほら、R、君の茶碗だぞ」

茶碗とR

いや、おもちゃじゃないから。

ともかく、これで僕とおそろいの父娘茶碗である。キャー。
いやーんばかーんちゃわーん。

茶碗虫
おまけ:タイトル「茶碗虫」(うたちゃんごめん)
.

サインは愛。

漫画家、こうの史代先生のファンである。

そんな僕に普段お世話になっている友人であり、
こうの先生の担当であるT編集長からメールが来た。

「こうのさんが池袋ジャンク堂書店(仮名)で
 サイン会をやることになりました」

なんですと!

「人が集まらないと恥ずかしいから来て下さい、と
 本人から頼まれました」

なんだそりゃ!

そういうことなので嫁と一緒に娘・R(9ヶ月)を抱いて
エッチラオッチラと行って見たら、会場には人が集まらない
どころか長蛇の列。僕らも列に加わると、一般の書店客が
こちらをジロジロ見やがる視線が痛い。

あーそうですよ、どうせオタクですよ。
しかもコブ付き子連れオタク。
Rよ、これより父は冥府魔道オタク道を行くぞなもし。

やがてT編集長とつれあいさんが到着し、

「初めまして、Rです」

おふたりに初めてRを見てもらった。
そして、サイン会開始。

いよいよこうの先生とお会いできるんだわ〜。
おおそうじゃ。Rと一緒に写真を撮ってもらおう…。
ドキドキしながら順番を待っている内に

R、寝てるし。

落胆している間もなく僕の番である。
会場の椅子に鎮座ましますこうの先生は
保母さんのような、素朴でホワーンとした方であった。
キャー。うちの嫁も元保母だし!関係ないけど!

僕は緊張の余り、写真を撮らせて下さいと
言い出せなかったのだが、T編集長が

「こうのさーん」

と、助け舟を出してくれて写真を撮っていただいた。
超感動。結局、緊張しまくり千代子で何も喋れなかった…。

こうの先生はサインとイラストを筆ペンで丁寧に
ひとりひとりに時間をかけて描いていた。
こんな凝ったものを描いてもらえるとは
思わなかったので更に感動。

その後、T編集長が

「…こうのさんが化粧してるの、初めて見たわ」

と僕に耳打ちしてくれたが、それもこうの先生の
気合の入りようがよく分かって微笑ましい。

ぴっぴらさん

これがサインとセキセイインコのイラスト。
こうの先生の単行本に描いて頂いた。

惜しむらくはこれを単行本の最初のページに
描いてもらってしまったことである。

最初のページなのに、
トリのイラストとはこれ如何に。

※こうの史代先生〜
最新単行本…「ぴっぴら帳 完結編」双葉社
連載中漫画…「長い道」(『Jourすてきな主婦たち』)双葉社
.

揉めば命の泉湧く。

ネットをやっていると、嫁がフラフラしながら
僕の元にやって来た。

「…肩が凝った」

「揉んでやろうか?僕、うまいよ」

「いえ、いい。…と言うよりも、胸が重くて凝って…」

「揉んでやろうか?僕、うまいよ」

「いえ、いい!」

ちぇー。

しかし「胸が重くて凝る」とは嫁も言うようになったものよ。
元々は洗濯板でフラット画面で関東平野並みのまっ平らな胸なのに
娘・R(8ヶ月)を産んだ育児特需により大きくなっているのだ。

それなのに、ボインは赤ちゃんのためにあるんやで〜
ということで僕は滅多に触れることが出来ないのだけれど…。
などと考えていると

「…やっぱ、肩揉んで」

結局嫁は僕の膝の上に座ったので、

嫁さんお肩を揉みましょう〜養豚ゼットンペットントン〜。

嫁の固くなった肩を揉みほぐしてやった。

「あら、あなた、うまいわね」

「初めに言ったろうが。小さい頃から母親に
 やらされていたのだ」

乳揉みの方は、嫁がモンゴル高原並みのまっ平らなので
腕が鈍ってるかもしれないけど。

「もういいわ。ありがとう」

5分も揉んでなかったが、嫁は満足したようだ。

「もういいのか」

「うん。じゃあお礼に…」

嫁は僕の膝から腰を上げた。まさか嫁よ…。
これからお前のしようとしていることは…。

「ここを揉んであげます」

嫁は小生の愚息を鷲掴みにしたのであった。ああやっぱり。

「お前、それ、絶対すると思ったよ」

「ギャー!読まれてたのね!」

長い間ツガイになってれば、それぐらいお見通しなんだよ!

僕らは恋愛結婚だと思っていたのに、実は
揉み合い結婚だったようである。
.

好色一代夫。

朝、娘・R(8ヶ月)が見ている前で嫁を押し倒したら
本気で泣かれてしまった日の続き。

謝ってもさめざめと泣くばかりで、ほうほうの態で会社に向かったが、
仕事も終わった夜、家に帰るとなると気分が重くなった。

明らかに僕が悪かったことである。うちの嫁は陰隠滅滅と泣くだけだが、
これが血気盛んな性格の嫁だったら訴えられてもおかしくない。

(親しき仲にもレイプあり、という使い古された駄洒落は口が避けても言わない)

「ただいま…」

おっかなびっくり家に入る。いつもの嫁のパターンだと、
僕がいくら話し掛けても全くのノーリアクションで、
仏頂面のまま口も聞いてくれないはずである。

はあ、沈黙が重い夜になるなあ…と、机にどすっと座ったら

「Rが起きてる前で発情しちゃだめー!
 ちゃんとRが寝てる時じゃなきゃイヤ」

なんと、いきなり背後から怒鳴られ、小生の愚息をまさぐられた。
これは怒ってるんだろうか。それとも誘ってるんだろうか。

試しに押し倒してみたら…嫁は拒まなかった。

なんだか知らないが許してくれたんだろうか。
外れたフスマと夫婦の仲は…ってやつなのだろうか。
ま、そういうことであれば本能の赴くままに失礼致します…。

おっと、親しき仲にも前戯あり、のマインドを忘れてはならん。

というわけで最後は親しき仲には吐息あり、な夜となりましたとさ。

めでたしめでたし。
.

○○のためなら女房も泣かす。

朝…間違えて1時間早く目覚まし時計をかけてしまった。
アラームの音で娘・R(8ヶ月)も起きてしまった。
Rは大変目覚めが良く、既に部屋の中をジタバタと
ハイハイを始めている。
隣で寝ていた嫁もモソモソと起き出した。

そして、僕は…唐突だが朝っぱらから猛烈に生殖能力が
高まってしまった。

もうどうにも止まらず嫁を押し倒し、「朝契り」を
試みたが

「やめてよー!Rが起きてるし!」

当然、嫁はRに見られているところでの契りを拒んだ。
僕もいつもだったらそこで止めるのだけれども、
今朝は違っていた。なんかダム決壊寸前って感じで。

嫁を押さえつけ強行突破してしまった。

すると…嫁は本気で泣いてしまった。

「ごめん。ごめんよ」

ここまで嫌だとは思わなかった。

何も分からないRはキャアキャア笑っている。

寝た子を起こすわ、寝た嫁は泣かすわ、
僕は世界で最低の夫であるよなあと落ち込んだ。
もう性欲、邪魔なんだけど。いらないから誰かにあげたい。

「悪かったよ。本当にごめんよ」

いくら謝っても嫁はさめざめと泣いているのみ。

相変わらず元気なRは動き回ってるうちに
引き戸の角に頭をゴンとぶつけていた。

僕も豆腐の角に亀頭をぶつけて死んでしまいたい。
.

日本寝かし話。

夜中…娘・R(8ヶ月)が元気だった。

本来寝ているべき時間なのに、眠くないのかジタバタ動き回り、
寝室の隣にある僕のパソコン部屋までハイハイして来るので
こういう時は「鶴の恩返し作戦」を開始することにしている。

「Rよ、お父さんはこの部屋でお仕事をするから
 決して覗いてはなりませぬ」

部屋を隔てるフスマをぴしゃんと閉め、寝室のほうは真っ暗にし、
嫁にRの寝かしつけを託すのだ。

しかし、そんなことでくじけるRではない。
フスマをがりがりと音を立てて引っかき、
なんとか突破口を見つけるのだ。

僕はその音を聞くとガラっとフスマを開けて
健気なRを抱きしめたくなってしまうのだが、なりませぬ。

良い子はもう寝る時間である。それに、
部屋で機を織った鶴のように僕も鶴と化し、

「乳頭の色は〜?」

などとえっちな動画の整理をしているのである。
鶴というより鶴光だけど。ていうか仕事じゃないんかよ。

そんな姿を見られた日には、お父さんは
飛び立たなければならない。

Rよ、耐えるのだ。子供が見てはいけないものがある。
心を鬼にしてRがフスマを引っかく音が止むまで待つ他ない。

がたたっ。

突然大きな音がした。フスマに視線を移してみると…

photo

しまった。フスマを完全に閉め切ってなかったのだ。

「R…あれほど見ないでと言ったのに…」

覗かれてしまったからには…

「あーん。もうお父さんと遊ぼう〜」

見つめられてしまったが最後、最初の決心はどこへやら、
深夜だろうがおかまいなくRを抱き上げて
遊んでしまう僕であった。

鶴の手のひら返し。
.

かぐわしき匂いと臭い。

娘・R(8ヶ月)の匂いが好きである。
母乳の匂いと石鹸の匂いが合わさって何とも言えぬ香しさで
マロを悩ませるのでおじゃる。

突発的にその匂いを求めてたくなるので
用もなくRをだっこしてムフーと堪能していたりする。

今日もRをだっこしながら歯を磨いていたのだが

「ふごお」

いきなり腕を掴まれて歯ブラシを口の奥に突っ込まれてしまった。
い、いいぞ、R、その角度だゲホゲホ。

その後、また凝りもせず娘の匂いを求める僕。
その時Rは嫁の隣で寝っ転がっていたので
嫁の元から奪おうとソーっと近づいていったら

…とてもこの世のものとは思えない臭いが。

「嫁…何だこの臭いは」

「…」

嫁は僕に背を向けたまま答えない。

「この臭いの元は君かな?Rちゃんかな?」

怒らないからおじさんにこっそり教えてごらん、
と嫁に言い寄ってみたら

「…両方」

嫁が真っ赤になって答えた。
とにかく尋常じゃない臭いだったので
僕は耐え切れずにその場を逃げ出したが、
Rだけのせいにしない嫁は偉かったと思った。

親子でブー。
.

神々の黄昏。

実家の母に「フラワーパーク」に連れて行かれた。

「ここにね、世界一大きい藤の木があるの。
 今ちょうど花が咲いているところなの。行こうよ」

あまり興味はなかったが、その、藤フラワーパークに行く途中には
僕にとって非常に重要なものがあるので(後で書く)
行くことにした。

僕・母・嫁・娘R(8ヶ月)の4人で車に乗って到着。

そこには確かに藤棚がトンネルになっていてその中を人が通るという、
とんでもなく馬鹿でかい藤の木があった。
しかし全体的にはオバサン園芸趣味の藤フラワーパークであり

「ほら、よく見なさい!ホントに大きいわねえ!」

母は感動していたが

「ホントにホントにホントにホントに…藤〜サファリパーク」

僕は退屈であった。

嫁は「名物藤まんじゅう」を「名物豚まんじゅう」と
読み間違えていたし。

そんな感じで帰り道。嫁が車の窓から通り過ぎる市街地を指し

「あ、キリスト」

「あ、ここにもキリスト」

といちいち僕に伝えてきた。「キリスト」とは



この看板のことである。

この街道沿いには他にも「死後裁きに会う」とか
「悔い改めよ」といった、聖書の言葉が書かれた
おどろおどろしい看板が多く貼られており、
冒頭で「藤より重要」と書いたのはコレのことである。

僕はこの看板が大好きなのだ。何故好きなのかと言われても困るが…。

以前から僕はこれらの看板を写真に撮ってコレクションしている。
嫁もそれを覚えていたのだ。

嫁、分かっておる。これのためにわざわざ母に付き合ったのだ。

しかし…娘・Rが「ふええええ」と、グズり出していた。
こうなると一刻も早く家に帰り、授乳したりおむつを
取り替えなければならない。この状態だと

「ちょっと止めて写真撮らせて!」

などとはとても言えない…嫁に怒られるであろう。
神の教えより娘のオシメである。

母も母で、以前の時は「オウムにでも入ったんじゃ…」とか
変な目で見てたしなあ…。

今回は涙を飲んで撮影を断念することにした。
ごめんね、キリスト様。それまで撤去されないで下さい。

キリスト御免。
.

ちちくりタンボ。

嫁と娘・R(8ヶ月)を連れて栃木の実家にいる。
僕が18才まで住んでいたこの家の周りは

田

こんな感じになっており、Rにいい空気を吸わせてやろう、と
散歩に出ることにした。

青々とした稲穂が風にたなびく田んぼは気持ちいい。
よく稲穂を引っこ抜いて遊んでいたよなあ、と思い出に浸っていると

「でもこれ麦でしょ?」

嫁がとんでもないことを言った。

「米だろ!僕は生まれてからずっと田んぼだと思ってたぞ」

「田んぼだったら水を張ってあるでしょ。麦畑よコレ」

…そうなんだろうか。

「でもさあ、僕の家の前にドブ川があるだろ?
 汚いけどあれ一応田んぼのための用水路なんだよ。
 あの水がここに流れてるんだよ。
 僕ら近所の子どもはここで立ち小便して
 『毒米になれー』とかやってたんだけどねえ…」

栃木の田舎に生まれたくせにオタクなので
自然に触れ合わなかった僕と、一応東京都民のくせに
兼業農家の娘の嫁。どっちを信じていいのやら。
ていうか常識として知ってろよ。

ともかくこうなりゃ村の長老に聞くしかない!というわけで

「オカアサーン!アレって米だよね!」

手短な地元の古株である母に尋ねたところ

「麦だべ」

あっさり答えが返ってきてしまった。

「でも母さん、うちの前の用水路は…」

「ああ、麦を刈り取ったら今度は稲を植えるんだよ」

そういうことだったのか。栃木の農家め。味なことをしよる。
しかし母よ、そんな重要なこと(でもないけど)
何故今まで黙っていたのですか。

しかしあれが麦だったとはなあ…。
今までずっと郷ひろみだと思っていた人物が
実は若人あきらでした、みたいな裏切られた感がある。

そういえば皇居をずっと「仁徳天皇陵」だと
信じていた漫画家もいると聞くが…。

そんな訳で「米か麦か」という
不毛な嫁との争いは
二毛作という答えで幕を閉じた。

米米ウォー。
.

ピローローク、実現遠く、疲労トーク。

嫁が娘・R(8ヶ月)の育児で疲れているので
夜の生活が絶えまくっている。

僕だって仕事休みなしの深夜帰りで疲れているのだけれども
何故か幸か不幸か生殖能力だけはゴキブリ並みにある。

そんな呪われた体を恨みながら嫁を口説くのだが

「私はね、今日はRに5時に起こされてるの。
 疲れてるし眠いのよ」

嫁に切々と訴えられてしまい

「僕も寝たいんだけど元気な『息子』に起こされて」

などと言ってもダメである。もう僕と嫁の間には
桃色ウフーンな雰囲気が殆どない。
昔はお互い張り切って契ってたもんだが
変われば変わるもんである。

「私は、今は愛情を全部Rに注いでるの!」

「僕もお前に注ぎたいものがあるの!」

「Rが大きくなるのが何よりの幸せなの!」

「僕の『息子』なんか既に大きくなってるぞ!」

いくら話し合っても平行線である。ていうか僕が
ただのバカである。

結局、こうやって夫婦って交わりがなくなって
いくんだなあ、という実感だけが残った。
今、なんとかレス夫婦への過程の真っ只中にいるのだなあ。

ここで不倫なんかしても、みのもんたの思うツボなので
嫁がその気になるまで気長に待つしかあるまい。

枕を抱いて寝ることにしよう。

涙で枕を濡らしちゃったりするんだから。
ひょっとしたら涙以外の「何か」でも
濡らしちゃったりするかもしれないんだから。

枕精子。←昨日より下品。(すいませんホントに…)
.

据え膳食えぬは嫁の恥?

ストレスだか何だか知らんが食欲がなく、
2日ほど夕飯が食べられなかった。

「私、もう寝るけどご飯は…?」

「ごめん、いいや…」

毎晩嫁が作ってくれているのに断るのは辛い。
そのせいか嫁の様子もピリピリしているような気がする。

しかし今日、ようやく食欲が出てきたので、
少しでも嫁の家事の負担を減らそうと思い、

「今日はどこか美味いものでも食べに行くか!」

努めて明るく振舞って嫁を誘ってみたが

「いえ、いいです」

冷たくつれない返事が。

「じゃあ、今日も作ってくれるのでしょうか…」

もう怖くなって目を合わせられずにオドオド聞いてみると

「作ってくれるじゃなくて作ってあるの!」

「ぎゃー。すみません」

僕が食べられなかったのを取ってあるんだね。
今日はそれを有難くいただきましょう…。

おそらく昨日か一昨日に僕が食べるはずだった夕飯を、
嫁が暖め直して持って来た。

2度火を通したからだろう、カリカリに固くなった肉を
「嫁、夕飯、固いぞ!」なんてことは怖くて言えないので
歯を食いしばって食べた。

どれもこれも食が細いおいらが悪いのさ。
布団の中でひとり泣き寝入りすればいいのさ。

はうう。

間もなく、腹が急激に下った。

「嫁、夕飯、痛んでたぞ!」なんてことは怖くて言えないので
トイレまで歯を食いしばって耐えた。

どれもこれも食が細いおいらが悪いのさ。
トイレの中でひとり泣きゲーリーすればいいのさ。

ゲーリーの波は何度か続き、トイレの往復でお尻が痛くなった。

これを「直撃アナルの晩御飯」といいます(お下品)
.
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