叱れる父。尻に敷かれる夫。

「Rちゃーん」

最近、娘・R(10ヶ月)に向かって名を呼ぶと、
サッと手を上げるようになった。

photo

ハイ、と片手を上げるのが正しいスタイルとして
教えてるのだけれども、勘違いしてバンザイしたり
何故か手をパチパチ叩いてしまうことも多い。
そういったお茶目な仕草も含め、呼べば反応してくれるので
可愛いったらありゃしない。

手を上げる、か。

僕はこの子に手を上げることはあるのだろうか。
そんな連想に至った。父は娘を叱る時に手を上げるのはアリ
なのだろうか。男兄弟しかいなかった僕は分からない。

という訳で嫁に聞いてみた。嫁の父は温厚な人だが、
叱る時はびしっと叱る父であったらしい。

「小学校までだけど、結構叱られてぶたれた時もあったよ」

「やはり女の子でも時にはぶつのも必要なのだな」

「手でぶたれたでしょ、あと布団タタキとかでもあるし、
 あ、掃除機の先っぽでぶたれたこともあったわ」

「僕としては掃除機で殴られるまでの過程を知りたいんだがね…。
 どんな悪さしたんだよ!」

嫁は不良娘だったのだろうか。昔・積み木崩し、
今・松葉崩し、みたいな。

「今は叱れない親が増えてるからね…。だから援交とか
 しちゃうんだよ」

嫁はRをちらりと見て言った。母子寮で母子指導員だった嫁にしては
単純な理論である気がしないでもなかったが、僕はRが心配になり

「R〜!援交なんてしちゃだめだよ!したかったら
 お父さんに言いなさい。胸揉んであげるから。2万で」

ぎゅうと抱きしめて頬擦りしたのだが

「あだだだだー!」

バカニシナイデ、とでも言いたげに僕の腕を振りほどき逃げてしまった。

娘に手を上げることは時には必要であり、
娘に手を出すことも場合によっては必要…なわけないか。

体罰はおしりペンペン限定にしたいと思う所存。
.

蛍の煙、窓のぞき。

僕は娘・R(10ヶ月)が産まれても家で煙草を吸うダメな
親父だったが、一念勃起いや発起し、蛍族になる決意をばした。

これでタバコを咥えながら日記を綴り、推敲することが
出来なくなってしまった。なのでぬあああ煙草が吸いたい
今後、日記の文に乱れが出ることであろう。お見苦しい箇所が
見受けられたらぬあああ煙草が吸いたいそれは禁断症状に
陥りつつキイボードを打っているものと察してぬあああ頂きたい。

「ではちょっくら行ってきますよう…」

煙草と灰皿を持って、茶の間でパソコンをやっている嫁に一声かけて
窓硝子をカラカラと開けて、ベランダにうんこ座りする。

娘のためとはいえ、我ながら何とも哀れな姿であることよ。
我が家は2階でありベランダには壁がなく、手摺りのみなので
向かいのアパートが良く見える。覗き魔と誤解されぬよう
我が家の窓を向いてタバコを吸うことにした。

カーテンの隙間からネットしている嫁の顔がちらちらと見える。
普段見慣れた嫁の姿もこうして窓越しで盗み見していると、
何やら淫靡な雰囲気が漂ってくるものだ。

へっへっへ、奥さん、ぱんつ何色〜?今朝見たから分かってるけどさ。

窓にべったりとヤモリのように張り付いても嫁は気付かない。ふふふ。
自分がまるで妖怪しょうけらになった気分だ。

せうけら
しょうけら(鳥山石燕「画図百鬼夜行」)

人の家の中を覗く、田代まさしのような妖怪しょうけら。
嫁、いい加減気付けよ、と、しょうけら行為に没頭してたら

ばたばたばたっ。

階下で音がした。振り向くと、向かいの夫婦が帰って来きたところで、
思いきり目が合ってしまった。

煙を吐いたまま固まる妖怪しょうけら。
Tシャツ+パンツいっちょう(しかもピカチュウ柄)の
あられもない姿の妖怪しょうけら。

「こ、こんばん…」

わ、と言い終わる暇もなく、夫婦はものすごい勢いでばたんと扉を閉め
家の中に入って行った。

しょうけら、チェケラされてしまった瞬間。

またあそこの御主人は変人だとか噂されるなあ。
.

真珠の鼻水を浮かべたら男の子なんてイチコロよ。

隣の寝室からウシガエルの鳴き声のようなイビキが聞こえる。
鼻風邪を引いた娘・R(10ヵ月)に違いない、と様子を窺ったら
嫁だった。

グモモーン。
グモモーン。

そういえば嫁が寝る前、Rの風邪が伝染った、と言っていた。
Rと同様に鼻がズルズル音を立てていた。

僕は鼻水ズルズルになった場合、家の中では真っ先に鼻の穴に
ティッシュを突っ込む。嫁は笑うが一番楽なのである。なので

「お前もティッシュ鼻に突っ込め!」

今度は僕が笑ってやる、と嫁にも勧めたのだが

「それは女として絶対できないわ!」

嫁は頑として断った。例え家の中であろうとも、見られる相手が
10年以上の付き合いの僕だけであろうとも、それをやってしまっては
女として何かが終わってしまう気がする、と嫁は言うのであった。

ドムゴオオオ。
ドムゴオオオ。

しかしその嫁の意地も虚しく、とても人のものとは思えない
イビキひとつごとに、女としての何かが終わっていく…と、
その女を娶った僕は、悲しさと共に感じざるを得ないのであった。

てか、どんどんでかくなってるんだけど!

いや、別に嫁に非があるわけではない。風邪が悪いのだ。
それもRから伝染ったのである。母として名誉の負傷とでも言おうか。
聞かなかったことにしよう。僕も寝床に入って寝ることにした。

…うるさくて眠れない。

目を固く閉じても容赦なく轟く爆音。逆に視界を遮断し、音だけの世界になると、
隣で寝ているのは嫁ではなく何か猛獣とか魑魅魍魎とか、そういった類のような
気がしてきて、恐怖心も加わり更に眠れない。

いつもは細い寝息を立て、いかにもオンナオンナしていた我が嫁。
寝床で獣になるのは僕だけだったのに、変われば変わるもんである。

鼻水は うつりにけりな いたづらに。
.

チャレンジ女医!

娘・R(10ヵ月)の鼻風邪はピークを過ぎたようだが

「鼻が奥で詰まってるのよ。綿棒じゃ取れないし、Rが苦しそう」

Rが最初に診てもらった小児科で、鼻詰まりだけ
取ってもらったらどうか、と嫁が言う。ふーん。

「そこって女医さんだし、若いナースもいたわよ!」

どうやら嫁は僕にRを連れて行かせたいようであるが、そんな餌には
釣られない。僕はブルマとセーラー服にしか心が躍らない…が、

「んー。じゃあRちゃん、行きますか」

たまには違う趣向も良いかなと思った。

「行ってくれるの!じゃあこの診察券持ってね!むこうに行ったら
『鼻が詰まってるので吸って下さい』って言うのよ!」

母親が出来の悪い息子に言い聞かせるような口調で嫁に指示を出され、
ひ…一人でできるもん、と緊張して初めて小児科のドアを開けると…

「こんにちは。今日はどうされましたか」

受付の女の子がすんばらしく可愛いかった。しまった。ますます
緊張するではないか。嫁に言われ通り伝えなければ…えーと、

ちんちんが詰まってるので吸ってください。いや違う。

ともかく何とか落ち着いて受付を済ませた。やがてRの名が呼ばれ、
診察室に入った途端

「ひええええっ。ぎゃー」

号泣して止まらないR。僕が必死に押さえている間、女医さんが
Rの鼻に管を入れて詰まりを吸引することになった。

僕も鼻炎持ちで、子供の頃よく通院したので分かるが、
コレ、何度やられても確かにイヤだった。

「じゃ、最後にアレをやって下さい」

女医は蛇腹のホースが伸びているメカを指差した。
これも僕は何度もやったことがある。ネプライザーだ。
ホースの先を鼻に当て、蒸気を鼻から口へ通すのである。

ここでもRはイヤイヤと必死に抵抗。これも僕は
嫌いだったから気持ちはよく分かる…。

しかし考えてみれば、僕が鼻炎持ちだったのは父が
ヘビースモーカーであり、母も掃除が苦手だったから
のような気がする。家のホコリが原因なのだ。

一方、我が家の嫁は掃除は完璧だから、僕がタバコを止めて
いればRが苦しまずに済んだのではなかろうか。

許せRよ。父が愚かであった。

ここに来るのは今回限りにしたい。受付の女の子は惜しいが。
Rに僕と同じ轍(わだち)を踏ませてはならないと
反省したのであった。

轍バカよね〜♪
.

ロリータ・ハラスメント。

会社の人で、エッチなおじさんがいる。
あらかじめ言っておくが僕ではない。
そのエッチなおじさんが僕に聞いてくるのである。

「エッチなビデオない?」

一応目上の人なので無下に断ることもできず、

「どんなんがいいんですか」

一応話は聞いてみる姿勢を取ると

「中学生の裏ビデオ」

なんとまあ、本格こだわり志向のリクエストであることよ。
このロリコン親父め。

「いや…持ってません」

よしんば持っていても、そんなイリーガルなモノ持っているとは
言えなかろう。しかし何で僕に聞いてくるのだろうか。ぷんすか。
「類は友を」とか「同じ穴の狢」とかそういった類の言葉が
頭の中をよぎったが、決して認めたくない僕である。

僕はエッチでもないし、おじさんでもないぞ。
いや、エッチかもしれないけど、おじさんじゃないぞ。
いや、エッチかつ今年33だから、おじさんか…。

となると。…。

落ち込んでいてもエッチなおじさんはやって来る。
僕のケータイをチェックするのである。
僕がいつも娘・R(10ヶ月)の写真を壁紙にし、ちょこちょこ
写真を変えているのを知っているのだ。

「また写真変えた?見せてよ〜」

一応目上の人なので無碍に断ることも出来ず
おずおずとケータイを差し出すと

「ひゃ〜可愛い〜。プクプクだねえ」

まるで自分の子供を見ているかのようなデレデレ顔になって
愛でてくれる。しかし、ああいったエッチなビデオを
所望してくるおじさんなので素直に喜ぶことが出来ない。

本当に赤ちゃんが好きで純粋に「可愛い」と言ってるのか、
実はその言葉の裏にはドス黒いリビドオが入り混じっているのか。

「ヌード写真はないの?」

ねえよ!あ、いや、ありません。

危ない。まじで切れそうになってしまった。
うちの娘を穢れた視線に晒してなるものかー!

僕もロリコンなので気持ちは分かるが(分かるのか)
こんなストレートに人にモノを頼むことはできない。

やはりエッチなおじさんであるからして、欲望に忠実。
厚顔無恥もいいところである。精力もパッツンパッツンで
脂が乗りきっているのだろう。

睾丸むちむち。
.

咳を防いで咳ュリティー。

娘・R(10ヵ月)、人生初の風邪。
嫁が昼間、医者に診せたところ薬をもらって来たようだが、
相変わらず咳と鼻水は続いていた。

考えてみれば僕の体質に似たのかもしれない。
僕も気管支が弱い方で、アレルギー持ちである。
ホコリっぽいところにいると鼻水が水芸のように
ドヴォーと溢れ出す。弟は喘息持ちである。

そういうことを考えると、Rの風邪の原因も家のホコリに
あるかもしれない。ホコリの最たるものというと…
やはり、僕のタバコであると認めざるを得ない。

嫁は毎日掃除をしており、チリホコリなど落ちていないので
「掃除が行き届いてないから」などと嫁のせいにはしない。

それこそ咳任転嫁というものである。

僕は家での喫煙をやめる他ない。そして苦しそうに寝返りながら
眠るRを見守りながら嫁と話す。

「薬は飲ませてるのか?」

「うん。咳止めシロップだと思うんだけど、1日3回」

「よく寝てることは寝てるよな」

「薬なんて生まれて初めてだから、ストレートに効くんだと思う。
 だからよく寝るし、でもお腹が下り気味なの…」

咳鼻だけでなく腹下りも!会話している間も、Rは寝ながら
ゲホゲホと咳をして寝返りを繰り返していた。
ああ出来ることなら僕が代わってやりたい。

「Rちゃん…お父ちゃんに伝染しなさい。
 さあ口移しで。ほれほれ。ぶちゅう」

ドサクサ紛れにRの唇を奪ったら、ぶぶう、とお尻で返事された。
これが薬の副作用であるか。

咳は止まらないのに余計な作用だけ働く。

咳止めシロップよ。お前なんか
咳止めおならプーだ。
.

娘…初めての病気。父…ほとんど病気。

「けへっけへっ」

ここ数日、娘・R(10ヶ月)が咳をするようになった。

「あなたのタバコが悪いのよ!」

嫁がここぞとばかりに指摘した。Rには悪いと思いつつ、
僕は家でタバコを吸っていたのである。さすがに同じ部屋では
吸わないが、嫁はこれを機に屋内全面禁煙の構えだ。

僕の最初の娘であり最後の恋人であるR。
俺にはお前が最後の女。お前のためなら喜んで死ぬる。

そう決心した僕は、その日1日家でタバコを我慢することに成功し、
翌朝得意満面で嫁に報告した。

「僕は昨日、家でタバコを吸わなかったぞ。
 見よ、このキレイな灰皿を」

いつも僕のパソコン机に置いてある灰皿には吸殻が一本もない。
これが動かぬ証拠である。しかし嫁は

「あら、あなたが自分で洗ったのかと思ってたわ」

夫の我慢にまるで気付いてなかった。

「僕がそんなことするわけないだろー!」

結婚してから僕が皿1枚洗ったことがあるか!
そのへん長くツガッてるんだから分かるだろ!
いや、突っ込みたいのはそこではなく、僕の
地味ではあるが我慢との闘いを分かって欲しかったのだよ。

もう嫁はいい。せめて、Rの咳が収まってくれれば
僕も禁煙をした甲斐があったというもの。

「Rちゃん、大丈夫かい?」

Rの顔を覗き込んでみたが…

「けへっけへっ」

振り向いたRは相変わらず咳を繰り返し、しかも…ぎゃー。
鼻水が滝のように流れていた。

「い、医者じゃあ!嫁、医者に連れてって!」

R、初めての病気である。可愛そうになってRを抱きしめた。
医学の知識がく、苦しそうなRを抱いてヨシヨシとあやすことしか
出来ない自分の無力さよ。

これで熱があるようだったら会社を休もうと本気で思ったが
体温は平熱なので嫁に託すことにした。

ここ連日の暑さのための夏風邪なのか、それとも僕のタバコが
悪いのか。タバコをやめてもRの症状が変わらなかったので、
無罪を主張したいところだが、昔の人は言いました。

非のないところに煙は立たず。なんつって。

しばらく家内禁煙は続けることにしよう、と決心しつつ

「じゃあね。行ってきますよ。しっかりね」

通勤電車に乗り込んだ。

はっ。ネクタイが鼻水だらけー!
.

父の悲→父の非→痴痴の日。

前回の日記の通り、池袋にて酔っ払い囚人と化していた日曜の夜。
家に着いたら日付が変わっており、嫁も娘も寝静まっていたので
こっそり布団に潜り込んだ。
翌朝、軽い二日酔いで頭が重いまま出勤しようとしたところ

「あなた!」

嫁に呼び止められた。ぎく。はい。覚悟はしております。昨晩の
午前様の件に関してのお咎めですよねきっと…。

「はう。なんでしょうか」

恐る恐る返事をすると、娘・R(10ヶ月)が何やらリボンの付いた袋を持って、
というか嫁に持たされてチョコンと座っていた。

「Rちゃん。お父さんに渡すのよ。父の日だからね」

嫁が横からRの肩を押した。

「なんだって!」

酒で霞がかった頭がようやく晴れてきた。

「本当は日付が変わらない内に渡したかったのに、
 全然帰ってこないんだもん…」

「ごめんよー!」

心から詫びるとともに、胸から熱いものがこみ上げてきた。
決して二日酔いのためのゲロではない。

僕は父の日なんてすっかり忘れておったのだ。
先週の日曜日に「今日が父の日である」とマジボケで勘違いしたまま
ここの日記に書いてしまい、「来週ですわよウフフ」と多方面から
指摘される、という痴態を見せてしまったので

「もー恥ずかしい。父の日なんかこの世からなくなってしまえ!」

父の日の記憶ごと無理矢理葬り、自己完結させてしまっていたのだ。
それに母の日には僕は何もしてなかったというのに…。

嫁よ娘よ。僕は幸せです。家族になってくれてありがとう。

こんな父の日ドッキリイベントをされると、会社など休み、
償いとして家族サービスに徹したくなるものだが、それでも
もう家を出ないと遅刻する。

愛しさと切なさと申し訳なさと。
出勤の足取りは重かった。

これを、父として進まず、といいます。
.

監獄居酒屋の監獄ロック…のダブル。

友達のマリコちゃんが家に遊びに来た。

「はう!」

はっとした顔で固まったまま彼女を凝視する瞳がふたつ。
娘・R(10ヶ月)、人見知りするお年頃である。マリコちゃんに抱いて
もらおうとしたが案の定泣いてしまい、時間を置いて再び挑戦したが
やはりだめで…結局失敗に終わった。残念。

その後、Rを嫁に託して僕は池袋に向かった。
これまた古い友達のRHが大阪から戻って来ているので
飲むことになっていた。マリコちゃんも一緒に付いて来た。

「私、ここに来てみたかったのー!」

マリコちゃんの勧める店まで行き、入口のドアを開けると…
なんと、眩いばかりの美脚と美顔と美乳(の谷間)を露わにした
ミニスカポリスが手錠を持ってお迎えしているではないか!

「どなたか1名、手錠をかけさせていただきます!」

そういう店なの?ま、それならそれでいいけど…。

実はこの店、巷で噂の(かどうかは知らないが)監獄居酒屋なのであった。
かつての巣鴨プリズンの地の真正面に作るなんざ、洒落が効いてるのか
たまたまなのか…手錠は有無を言わさず僕の腕にガチャン。

「当監獄は何回目ですか」

ミニスカポリスがそう聞くので初めてだ、と答えると

「初犯の囚人を連行いたしまーす」

手錠に付いた鎖で僕を引っ張っていく。ミニスカから伸びるおみ足が眩しい。
僕はチミの愛のプリズナー。この鎖でもって目茶目茶に卑しめてたも〜。
このプレイだけで金が取れるぞと恍惚に浸っていたら

「こちらが牢屋になります」

僕らを牢屋という名の個室に案内したミニスカポリスは
残念ながら去って行ってしまった。

落ち着いた我らは近況報告。RHは今年から女子大の講師になった。
男だったら一度は夢見る、女子高教師と並ぶトップクラスの人気職であろう。

「いいなー女子大生!早く捕まえてやってしまえ!」

しかし、RHをエロスの道にけしかけても

「自分は仕事中だとそんな気にならん。そういうケジメは出来ている」

などと殊勝なことを言うのでつまらなかった。
そこでマリコちゃんにけしかける。

「メニューにチンチロリンステーキというのがあるぞ!
 わざと間違えてチンチンステーキと言って頼んでしまえ!」

「うん!私、頼んじゃうー!」

結果:

マリコちゃん「チンチンステーキ下さい」

看守(店員)「はい、チンチロリンステーキですね」

ノーリアクションで鮮やかにスルーされ惨敗。ちっ。

そんなこんなで懲役(飲み時間)が長くなり、0時近くになってお開き。
ホテルに滞在しているRHと別れ、マリコちゃんを駅まで送る。

別れ際、酔っ払ったマリコちゃんに抱きつかれてしまった。
Rをだっこできなかったから僕にしちゃうのか…。

酔ってるとはいえああいけません。僕には妻と嫁と娘と子供が!

咄嗟の出来事に頭が沸騰した僕は、どうにかなっちゃいそうになったが
マリコちゃんは絶妙のタイミングでするりと僕をかわし、じゃあねと
駅の雑踏の中に消えていった。

…。

再び監獄に逆戻りするようなマネしなくて良かった。
家は戦国になること必至だ。
.

サヨナラ三角また来て地獄。

ボートが乗れる池がある街。そこは僕が長年恋焦がれている美少女Rちゃんが

「ここに住んでいるのよ」

と言っていた街。僕は嫁と娘・R(10ヶ月)と池で遊んだが、
たったそれだけの情報ではRちゃんには当然会えるはずもなく…
というわけで昨日の続き。

「Rちゃんに会いに行く?Rちゃんが仕事してるゲーセンに行ってみる?」

嫁が唐突に言った。半年前に会ったのが最後、電話番号も分からなくなった
今となってはRちゃんの職場に行くしか手掛かりがない。この街からは
電車でちょっとの距離で、都合がいいと言えばいい。
だが僕がアホみたいに惚れている美少女のために嫁はどうして
ここまでしてくれるのだろうか。ついうっかり憐れみを掛けて
みただけかもしれないが。

実はここだけの話、僕は嫁に内緒で最近何度か見に行っているのである。
しかし会えた時はなかった。だからこれから行っても会える
希望よりもとっくに辞めているんじゃないかという不安の方が大きく…。

悶々と重い足取りでやがてその場所に着き、店内をぐるりと見渡した。
ここが最後の砦ー!僕の美少女はいずこにー!…やはり、いなかった。

「1回ゲームやって帰ろう…」

僕が暗あくぺチポチとゲームをやっている内に、嫁は
どこかに行って、やがて戻ってきた。

「Rちゃんのこと、知らないって」

「は?何が?」

「さっき店員さんに『○○さん(Rちゃんの苗字)いますか』って聞いたのよ。
でも『少なくとも僕は知りません』って言われちゃった…」

「お前、聞いちゃったのかよー!」

僕だって聞きたかったのはヤマヤマだったのだ。
しかしストーカーみたいで怪しまれるんじゃないかしらんと
恐れて控えていたのである。実際やってることはストーカーと
同じだし。でも、これでRちゃんがここにはいないことは分かった。
もうこの場所に来ることもないだろう…。

トボトボと歩く帰り道、僕はちょっと前に買って日記にも書いた、

photo

こーいうTシャツを着ていたのだが、コレを知らないおっさんが指差してきて

「オリックスと近鉄も大変だよねえ」

うんうん頷いていた。いつの間にか時事ネタっぽいTシャツに
なっていたようだ。
…はっ。僕もRちゃんに戦力外通知されたってことなのね!

しょんぼりの極致に至って駅に着き、嫁がRのベビーカーを
押していたのでホームに降りるエレベーターを呼んだ。
嫁に手を振って早く来いと急かしたのだが、嫁も僕に向かって
戻って来いと急かしている。

「それ反対側のホームよ!一体何処に行く気なの!」

と、遠くに行きたかったんだよう…。
.

美少女探索。池池ゴーゴー。

こう暑いとプロヴァンス辺りに避暑に行きたいざんすが、そんな金も暇も
別荘もないので、嫁と娘・R(10ヶ月)を連れてボートを漕ぎに
近場の池まで行くことにした。

その池があるところは、僕の永遠の片思いの相手であり、Rの名前の
ルーツである美少女Rちゃんが住む街。
Rちゃんとはおよそ半年前、Rをお披露目して以来音信不通である。
携帯電話が変わってしまったのか繋がらなくなってしまった。

勤め先のゲーセンに行ってもいないし、この街に住んでいる、ということは
知っていても住所までは知らない。謎多き美少女になってしまった。

電車から降り、駅前に立つ。ここがRちゃんの現在住んでいる街…。
すーはーすーはー、と大きく深呼吸をしてみた。

「あなた、何やってるの?」

「せめて同じ空気を共有したいと思って。
 Rちゃんの匂いがちょっとでも入ってるかなと思って。
 Rちゃんの吐いた息をちょっとでも吸えるかなと思って。
 せめてせめて…ああああ…」

自分で言ってるうちに感極まってきたが、トイメンから
上半身裸の爺さんがすれ違ってきたので即座に中断。
嫁の「バカ」と呟く声が聞こえた。おええ。

「あの交差点を左よ」

嫁の案内で池に向かう。これが少女マンガだと、カドを曲がったところで
僕とトーストを咥えて走るRちゃんがゴッチーン☆とぶつかって

「あらやだ、偶然ねえ」

という感動の再開になるのだが、そんなわけなかった。
途中に本屋があった。Rちゃんは本好きなので、これが少女マンガだと
本屋から出てきたRちゃんと僕がバッタリ会って

「あらやだ、偶然ねえ」

という感動の再開になるのだが、そんなわけなかった。
やがて池に着いた。Rちゃんは乙女ちっくなので、これが少女マンガだと
池のほとりでRちゃんがカルガモを眺めており

「あらやだ、偶然ねえ」

という(中略)…そんなわけねーだろコンチクショウ。

ボート乗り場に辿り着いた。このまま入水しちゃいたい気分だったが
嫁とRを置いていく訳にはいかないので気を取り直すことにした。

ボートに乗り、池の小さな波を目で追いながら感傷に浸った。
僕がもっとイケてる男だったら、Rちゃんも連絡をくれないなどという
冷たいことはしなかったろうになあ、と。

僕はこの涼やかなる池の水面になりたい。

略して池面である。
.

入浴性欲交換条約

風呂嫌いの僕であるが、

「あなた、お風呂入りなさいよ!」

今日は嫁が特にしつこかった。いつもより厳しく詰め寄る理由が
あったのだ。それは昨晩の出来事まで遡る。

僕は娘・R(10ヶ月)が寝た後、嫁に求愛ダンスを繰り広げていた。

「なあ…いいだろ?」

「ダメ!不潔!お風呂入らないとイヤ!あなたさっきお尻
 ボリボリ掻いてたでしょう!」

「やなとこチェックしてるなあ。明日入るから。だって疲れてるし」

疲れてるならするなよ、と我ながら思えなくもないのだが、
明日必ず入浴するということで嫁を押し倒すことができた。

入浴することを条件に契る権利を得る、というこの
『風呂エロ交換条約』を嫁はしっかり覚えていたのである。

「早く入りなさいよ!」

嫁は何度も容赦なく僕を追い詰める。

「んーでも僕チンお腹空いたでしゅー」

僕は出来るだけ先延ばし先延ばしにしようと考える。
嫁は、あっそう、と夕飯を用意してくれた。

しめしめ。甘い嫁であることよ。ゴハンを食べたら
何食わぬ顔で寝床に潜り込んで寝ちゃえばいいや。
そんなことを考えながら飯を平らげ、ふいー、と
布団に手をかけたら嫁がとうとう切れた。

「お風呂入らないと、Rをだっこさせないわよ!
 不潔な体で娘にさわっちゃダメ!」

「そんなー!」

嫁を抱けないのは辛いがRを抱けないのはもっと辛い。
こうなっては僕も従うしかなかった。いそいそと服を脱ぎつつ

「じゃあ、替えのぱんつ出しといてよう」

一家の長としてせめて一矢報いたいところだったが

「ああ?自分で取ってきなさい!」

嫁に物凄いガンタレをかまされたので、全裸のまま
洋服ダンスまでいそいそと取りに行ったのだった。

不潔だけでなくおけつまで晒された一家の長。
性欲の誓約は厳守しないといけないようである。
.

お掛けになった番号は、現在使われててたまるか。

時々、娘・R(10ヶ月)が好きなあるモノを握らせている。

「ほーら見てごらん、大きいだろう」

Rの目の前でフリフリちらつかせると、まっしぐらにそれを掴み
べろべろしゃぶり出すのである。

あるモノとは、もちろんRを作った僕の種イモである。

もとい、僕の携帯である。携帯を手にしたRはヒトミを輝かせ、
一生懸命いじくり倒し舐め倒す。

携帯がヨダレでもって壊れてしまう恐れがあるので
なるべく触らせたくないのだが、そこは僕も人の親、
そんな娘の喜ぶ姿を見たくてこうして時々貸してあげて
デレデレしているのである。一方嫁は絶対貸さない。

しばらく好きにさせておいた。そして、そろそろ返してもらっても
いいだろうか、と携帯をRの手からヒョイとつまみ上げたら

「あだだだだー!」

Rが大きな声を上げて反抗した。ヒイイ!まだ遊び足りなかったようだ。
お怒りを鎮めて頂くべく携帯を戻して差し上げたら、Rは番号のボタンを
ポチポチと押し始めた。

「Rちゃん、どこに電話しようとしてるのかな?」

画面を覗き込んでみると

photo
そんな番号ねーよ!

所詮赤子。デタラメな数字であることよ…あ。ちょっと待て。
…よく見ると番号のはじめに184。番号非通知設定ではないか。
この子は天才かもしれん。

それともこれは「携帯を奪っちゃ184」という意思表示なのなのだろうか。
未だ「パパママ」すら言えぬRであるが、携帯によって言葉を伝えたかった
のかもしれない。ポケベルを駆使した一昔前の女子高生みたいなヤツだ。

朝起きて、携帯を渡してあげると

「084」

などとRが入力してくれたら、故障覚悟でますます貸してあげたく
なってしまいそう。

photo
082-4649!
オヤジヨロシク!

.

レッド・ホット・おしりペッパーズ。

晩御飯のおかずが、血のように赤かった。

おかずの名は知らんが「鶏肉のなんたら」であろう。
鶏肉だから。しかし肉が赤い!皿の底に溜まった汁も赤い!
トウガラシがやたらとぶちこまれている!
食べる前から分かる。これは辛い、と。

「うん、辛いよ」

嫁はあっさりと言った。いや、辛いと言われてもさあ。
しかし我が家では今晩、これ以外の食物の提供はないので、
ありがたくいただくしかないのである。

もごもご。やっぱり辛くて、噛むごとにじわじわと増してくる。
舌がピリピリし、頭皮と鼻頭から汗が噴き出し、
3分の1を残した段階でギブアップせざるを得なかった。

「ごめんよ嫁。残してもいいか…僕はもうだめだ」

「あ、あらそう?わ、私も食べたんだけどぉ」

嫁は目を合わさずに笑いを浮かべた。さては心の中では
トウガラシを入れ過ぎたと思っているのではあるまいか。
おのれ嫁。ならば

「体が熱くなってしまったので償ってもらおう!」

とりあえず食欲は満たされたのでその後は…と嫁を押し倒したが

「余計暑い!鬱陶しい!」

いつものように跳ね返されたのであった。

たんまりトウガラシを入れるくせに
性欲はデガラシのようである。

さて僕はこのところ胃腸の調子がよろしくなく、
来るかなーと思ったら、翌日やっぱり来た。

レッドホット下痢ペッパーズ。
略してレッゲリ。おヒップが痛い…。
.

愛してる〜♪ホントにぃ〜?

娘・R(10ヶ月)と嫁が、寝床でくんずほぐれつのじゃれ合いを
していた。それを見て僕も嫁とくんずほぐれつになりたいと
思うのは当然の成り行きであろう。

「なあ嫁…イッヒリーベ…」

Rが寝た後に、スマートかつ甘い囁きでもって(どこが)
ウフーンな夜に誘おうとしたが

「寄らないで」

ぺしっとにべもなく断られてしまった。

「Rとはじゃれ合ってたくせに…」

「Rとあなたで連続で来られると鬱陶しいの!」

ひ、ひどい。ケンもホロロとはこのことだ。
しかしくじける訳にはいかない。ここで断わられては
僕の体内の情熱というかリビドオというか、
ホトバシリの行き場がなくなる。

断られても、もうひと踏ん張りすることが大切である。
仕事においても人生においても商売においても…。
近江商人のどしょっ骨を見せてやるわい。栃木生まれだけど。

「お願いですこの通りです」

考えうる限りで最もみじめな口説き方をしてみたが

「もう。どっか外で済ませて来てよ!」

嫁がとうとう切れおった。僕は犬かなんかか…。
それにその返事、嫁としてどうよ。

実際は女の子と内緒で飲みに行っただけで
烈火の如く怒るくせに。

Rが産まれてから、嫁の愛情は僕からRにそっくり移って
しまっているようだ。特にソッチ方面の淡白さに拍車が
かかっている。

嫁のほうから僕にじゃれついてきて、
くんずほぐれつだった頃が懐かしい。

母娘のくんずほぐれつのじゃれ合いは
母となった嫁の愛が溢れていて微笑ましくも美しい。

僕だけ昔から相変わらずお下品なまま。

くんずおげれつ。
.

俺のカラダを越えてゆけ。/父の非。

娘・R(10ヶ月)を寝かせようと、嫁が添い寝をする。
しかしはRは寝るどころか、最近上手になった「捕まり立ち」で
嫁の体によじ登るのである。

近頃この「母のぼり」がRの中でブームらしい。
暗闇の中で嫁とRがじゃれあっているのを見ると、
並なみならぬジェラスィーを覚える。なので僕も
すさかず布団に横たわった。じっと待つ。

「あぱぱー」

「きゃあいやーん」

Rと嫁は僕に全く見向きもせずお遊びを続ける。

「…お父ちゃんのところにおいで」

そっとRに声をかけるのだが

「あぱぱぱぱー」

「もう寝なさいよ〜ウフフ」

全く状況は変わらない。ほれRよ。父はこうして無防備に
体を横たえておるぞ。それRよ。父のバディを思う存分
まさぐるがいい。貪るがいい。好きにして!めちゃくちゃにして!

痺れを切らした僕はガバアと起き上がり

「父ちゃんとも遊んでー!」

思いっきりRに迫って懇願したのだか

「あばばばーーっ!!!」

Rはぐわっとこちらを振り向き、僕を叱りつけたのであった。
娘にフラれた〜。

「急に叫ぶからRがびっくりしたのよ」

嫁が、まるで恋のバトルに勝ち誇ったかの如く
涼しげな顔で言った。Rは何事もなかったように
再び「母のぼり」に没頭していた。

放置プレイも嫌いじゃないけどさ…。

母のぼり。
父しょんぼり。
.

父の悲。

僕が娘・R(10ヶ月)を肩車していたら、嫁がケータイカメラを
こちらに向けてシャッターチャンスを狙っていた。
そういえば僕が子供の頃にも、今は亡き父に肩車されている
写真があったなあ、と思い出しながら嫁に撮られるに任せた。

何日か後になって、田舎の母からメールが来た。
嫁が肩車写真を母に送ったらしく、

「この頃年かな…写真を見ると涙腺がゆるみます」

と書かれており、また大げさな母であることよと笑っていたのだが
文の結びを読みハッとなった。

「写真を見ると、お父さんとあなたの時がダブるのです」

…ああそうか。母もあの写真を思い出していたのか。
僕も不覚にもゆるんでしまった。

父に肩車された僕の写真。
父に似た僕に肩車された、僕に似たRの写真。

Rが産まれた時、父に見せることができたら
どんな顔して喜んでくれただろうか、そんなことを思っていた。

そんなわけで父さん元気ですか。
父さんのことだから、時々孫の顔をこっそり
見に来てるんでしょうね。

僕に似て子煩悩でしたからねえ。
って僕が似たのか。

父親になって初めて迎えた父の日。
.

中華人民今日も書く。

休日出勤でひとり電車に乗る悲しさよ。

携帯を広げ、娘・R(10ヶ月)の画像を眺めながら
心を慰めていたら、隣から腕がにゅっと出てきて
携帯画面を指差した。

振り向くと、テイトウワのようなメガネをかけた青年が
ニカッと笑い、フヤンフヤンと中華人民系の言語で
話かけてきたのであった。

おおそうか。この青年もRの画像を見てときめいたのか。
僕の娘の可愛さは東洋共通なのだ…と思いきや、
中華青年はノートと鉛筆を取り出し、

「携帯。機種。SO505@」

実際は中国の漢字なので若干違うが、大体こんな感じの
漢字を書いて僕に見せ、

「ジスタイプ、ハウマッチ?」

と、僕に問いかけたのだった。青年はRの画像ではなく
この機種のケータイそのものが欲しかったのだ。ちぇー。
まあいいけどさ…。

さて、答えてやろうにも僕は中国語を知らん。
なので日本語と英語のチャンポン、それに加えて自分なりに
中国っぽいアレンジをして答えることにした。

「僕が買った時は20サウザンド円だった大三元。
 バット今はニュータイプが出てるからもっとチープだ回鍋肉」

青年はふんふんと頷く。あらやだ通じちゃったよ。
再び青年はノートに筆を走らせる。今度は

「携帯機械。中古SHOP。DO YOU KNOW?」

と書かれており

「アイム・フォリナー。アイ・キャント・バイ・アット携帯SHOP」

と尋ねるのであった。外国人は携帯買えないんだっけか?
僕は疑問に思ったが、この青年はハードそのものが欲しい
ようなので、通話出来る出来ないは関係ないのだろう。

しかし、携帯の中古店なんてものは僕は知らなかった。
秋葉原に行けばそういうジャンク屋があるのかもしれないが…。

「アイドンノウ。ごめんね北京五輪」

こう答えるしかなかった。電車は間もなく僕の職場の駅に到着し、

「サヨナラ食在広東」

と、青年に別れを告げた。残念だ。仕事でなければ
秋葉原に行って一緒に探してもよいと思ったのに。
実は、Rが僕のケータイをいじるのが大好きなのだ。
R用にひとつジャンク品を買ってやるのも妙案である。

また、中国青年のお眼鏡にかなうケータイジャンク屋を
見つけることが出来れば

「ありが豆板醤」

「どういたしまし天安門」

日中友好の素敵な会話をすることができた…わけないか。ポコペン。
.

眠気とお色気。

育児とは、眠気と闘うことと見つけたり。

僕は休日以外は娘・R(10ヶ月)の寝顔ぐらいしか
見れないが、Rの横で倒れるように眠っている嫁を見ると
そんな風に思えてならない。

Rが腹減った、と夜泣きすれば叩き起こされ
授乳のために長い時間を取られるし、夜が明けてからも
Rから目が離せず昼寝することも出来ない。

24時間緊急体制でRを守る、ALSOK綜合ベイビー保障。なんつって。

また、嫁のみならずRも眠気と戦っている。

僕が夜中会社から帰ってくると、その物音でRが起きてしまった。
一旦目が覚めると遊びたいらしく、

「うきょー」

絶叫しながら部屋の中を這いずり出した。それでも眠いことは
眠いようで、そのうち大あくびをしたり目をゴシゴシし始めた。
そしてハイハイを止め、布団の上でうつ伏せになったり
うにょーんうにょーんと体をくねらせるようになったら
いよいよ疲れて寝る前触れである。

その様子を見て、そろそろ寝るだろうと思って隣の部屋で
パソコンをやっていたら、

「だー!」

部屋越しに、再びむっくり起き上がったRが僕を見つめていた。

じりっとハイハイの手を一歩進めるR。こっちに来たいらしい。
しかしそこで大あくびして止まったR。眠いらしい。

Rは四つん這いのままこちらを睨みつける。
まだ遊びたい茶目っ気と、もう寝たい眠気が戦っているらしい。

ぼてっ。

やがてRはうつ伏せに倒れ、そのままzzz…。
どうやら眠気には勝てなかったようだ。

しかし、倒れる時も前向きに倒れる坂本龍馬のような娘・R。
見事じゃ。男だったら立派なモノノフになっていただろう。

一方で眠気より色気の僕。

子供が寝た後はお色気の時間〜。

と、思っても冒頭で述べたとおり、
何よりも眠気に勝るものはない嫁は
倒れるように寝ており、

「眠気」のせいで、「夫そっちの気」で「ほっと気」
なんである。

分かっちゃいるけど寂しい僕ちんを
誰かおたす気…。
.

暴く娘。嘆く夫。裁く嫁。

暴く娘。嘆く夫。裁く嫁。
---+---+---+---+++---+---+---+---
家の中は嫁の手が行き届いて片付いてるが、
僕のシステム机だけは治外法権である。
嫁には絶対触らせない。というよりも触りたくもないのだろうが。
それほど乱雑している。

しかし、娘・R(10ヶ月)は違った。

僕が机に向かって椅子に座り、パソコンなどをやっていると
「でへへー」とハイハイして来て机の中に潜り込むのである。

何故にこんな狭い空間が好きなのだろうか。
なんだかエロ映画に出てくる、机の下で社長の
イチモツを咥えている秘書みたいでやだなあ。

まさか娘が僕の「息子」を、などということは無論ないが、
Rが何をするのかしばらく観察してみる。

いつもなら机の下にあるパソコンケーブルを引っ張って
イタズラしするのだが…

なんと、机付属の本棚を漁り始めた!

ハードカバーの単行本を掴み、カバーを外しまくって
遊んでいるではないか。何でもいじり倒したいお年頃。
本はボロボロになっていくが、娘の好奇心を尊重し、
やりたいようにやらせようと思ったが…

はっ。ヤメテー!

ハードカバーの単行本の奥には
ハードコアーな○○本が隠してあるのだー!

慌ててRを抱き上げて中止させた。
なんと鼻の効く娘であろうか。国連の査察よりも恐ろしい。
今後、隠し場所を変えねばならない。

しかし、一体どこへ?我が家ではこの机以外は
全て嫁の管轄下にあるのだ。
どこに隠してもたちどころにばれてしまう。
嫁に見つかったらかなり恥ずかしい。

かくなる上は捨てるしかないのか…はっ。

ゴミ出しも全て嫁がやってるのよー!

「はっはっは。たまには僕がゴミをまとめるよ〜」

などとやろうとしても、結婚してから一度もやったことが
ないのであからさまに怪しすぎる。

隠すもダメ。捨てるもダメ。八方塞がり。

こうなったらこっそり川原にでも捨てるか。
なんだか不法投棄をする違法産廃業者の趣になってきた。

本の中身は、不法性器である。
.

辛酸なめ夫。

6月9日は舐め舐めの日である。
皆まで言わずともエッチな人には分かるであろう。

一方我が家では、毎月9日は娘・Rの誕生記念日でもある。
今日を以ってRは生後10ヵ月となった。そして我が家の
習わしで、9日の晩御飯は必ずカレーと決まっている。

「10ヶ月おめでとうございます。いただきます」

Rを拝んでから、さあ食べようと思ったら…

ひょい。

Rにスプーンを取られてしまった。がっしりと両手で握り、
べろべろ舐めまくっている。

「スプーン、お父さんにちょーだい」

手を差し伸べてもお構いなしにべろべろ。

「モノを『取る』ことは出来ても『あげる』ことは
 まだできないのよ。ちゃんと出来る子もいるのよ。
 ワタシがちゃんと教えてないから…」

隣で嫁が急に嘆き出した。育児の壁にぶつかったか。
それならば奪うまでよ、とスプーンを取り上げたら

「あうあうあうー!」

Rにしては珍しく怒りの声を上げた。返してあげると
また満足そうに舐め回す。一方でスプーンがないので
10ヶ月記念日カレーをなかなか食べられない僕は

「じゃあ10ヶ月記念☆祝福のチュウだよーん」

Rの唇に接吻をしようとしたら

「あうあうあうー!」

再び怒りの声を上げられてしまった。
6月9日の舐め舐めの日。Rはスプーン舐め舐めに没頭。
しかし僕は

スプーンを取り上げられ、
セプーンもおあずけ。

せめて嫁とは舐め舐めしようと思ったら、嫁も
いつの間にか寝てしまっており、これも叶わぬ夢。

舐め舐めの日ではなく
ダメダメの日になってしまった。

涙を舐めて寝ることにしよう…。
.

尻に敷かれて尻に惹かれて。

夜になっても暑い。仕事から帰ってきて

「ムシムシしてるね」

「うん」

嫁とそんなやりとりをしながら、寝ている娘・R(明日で10ヵ月)を
見やる。部屋の中も暑いのでRはショートパンツ姿だ。
あんよがあらわになっており、うつ伏せで腰を微妙にくねらせて
お尻をぷりっと突き出している。これがRのいつもの寝姿だ。

「…ムチムチしてるね」

「うん」

このところ嫁はRにショートパンツとかブルマっぽいものを
着させているが、僕は元々体操着・ブルマフェチである。
ロリコンと笑わば笑え。

実際我が娘のそういう姿に既にときめいてメモリアルなのだ。
今でこそ「可愛いなあ」と顔がニヤけるぐらいで
留まっているが、ここだけの話10年後どうなるか分からん。

お子様の手の届かないところに置いて下さい、ではなく
お子様を親父の手の届かないところに置いて下さい、
といった感じかしらん。

ま、その時はその時で密教寺にぶちこんでもらうとか考える事にして、
それはともかくRのお尻は可愛い。

「Rちゃん、むちむちー」

起きないようにそーっとお尻をツンツンすると、嫁が横から

「むちむちー」

と、自分のお尻を突き出した。ひとまず無視して
もう1度やってみる。

「Rちゃん、むちむちー」

「むちむちー」

「ええい、お前の尻ではないわ!」

「ひどい…」

嫁はヨヨヨ…と崩れ落ち、やがて先に寝た。

その後、嫁尻に挑発された効果がむらむらと時間差でやってきて
僕は妙に悶々となってしまった。
しかし既に寝た嫁のお尻をつんつんしても石のように動かない。
あの時喰らいついておれば…。

ああああこの激情をどこへどうやったらいいのやら。
ひとり混乱して眠れなくなったのであった。

尻滅裂。
.

立てば爆薬座ればボカン。

娘・R(9ヶ月)はハイハイがうまくなった。

ハイハイからやがて立って歩けるようになるはずだが、
そのエボリューション過程の間に「捕まり立ち」という段階がある。
僕は嫁に聞かされて初めて知った言葉だけれども…。

Rはちょうどその「捕まり立ち」にトライしていた。
テーブルに両手で捕まって、んしょんしょと立とうとしている。
そばで手に汗握って見ている僕。

「立て、立つんだR!」


立ち上がろうとしても、足がガクッと折れて立て膝の状態に。
まだ足の力がないのか、体が重いのか。
それでもお尻をプリプリさせながら何度かチャレンジした後に…

ひょっこり。

「Rが立ったわ!」

Rは嬉しそうにテーブルをばんばん叩く。
遂に娘が自力で立ち上がった。僕もRを讃えて拍手喝采。が…

「あー…」

Rはそのまま横に倒れて行った。幸い柔らかいモノが
置いてあったところにぼすっと。

…そうか。捕まり立ちは出来ても、そこから再び座ることは
まだできないのだ。

「うぎゃーん!」

「ごめんよ、お父ちゃんがうっかり者だったよ」

ビックリして爆竹のように泣くRを慌てて抱いて謝った。
こうなるともう立ってようが座ってようが目が離せない。
成長を手放しで喜んではいけないようだ。
いつ転げるか分からん。

立って兜の緒を締めよ、とはこのことであるな。

Rの場合はヨダレかけかな。
.

肉を食わせて骨まで愛して。

雨の中、娘・R(9ヶ月)を抱いて焼肉を食いに行った。
嫁の誕生日祝いである。

店に入るとウキウキとした嫁が言った。

「ねえ、私、冷麺食べてもいい?前、雑誌にこのお店が載ってて、
 冷麺がオススメ!って書いてあったの!」

「レーメンより僕のザー…」

お下品なギャグが喉まで出掛かったが
Rの汚れなき瞳が僕を見つめていたので自粛した。

さて、カルビだのロースだの色々頼んだのだが
ハラミが出てきた時には

「触らぬ女にハラミナシ〜」

お陳腐なギャグが喉まで出掛かったが、実際とっくに
嫁を孕ませてしまった実績があるので自粛した。

タン塩が出てきた時には我慢できずに

「タン塩包茎〜」

お下劣なギャグがとうとう出てしまい、嫁には黙殺され
Rの汚れなき瞳の視線が痛かった。娘よ、こんなオヤジに
引っ掛かってはいけないよ…。

腹いっぱいになっての帰り道、嫁が

「やっぱりサンチェをお肉に巻いて食べると
 いいよね」

などと言っていた。

【サンチェ】

1.昔、巨人にいたピッチャー。

あ〜o
2.井沢が飼っていたニワトリ(オヤジ)

「いや、サンチュだからね…」

僕に指摘され嫁は恥ずかしそうだった。
しかし、後にそれの何十倍も恥ずかしいことが
僕に待っていようとは…。

家に着いてひと段落していると、嫁が僕の
恥ずかしい部分をまじまじと見つめていた。

「あなた、チャックが全開だけど、まさかお店でもずっと…?」

ギャー!恥ずかしい!もうあの店に行けないお嫁に行けない。

サンチュー丸見え…。
.

巫女みこナース。/WIRE娘。

■WIRE娘。

娘・R(9ヶ月)はコードとかケーブルとか
長いものが好きである。
すぐ引っ張ったり舐めたりしてしまうので
電源のコードやパソコン関係のケーブルは
彼女の手が届かないところに配置するようにしているが、
ついうっかりインターネット用のケーブルをパソコンから
引っこ抜いたまま床に放置してしまった。

それをRが見逃すわけがない。

ドドドドドと物凄い勢いの速さでハイハイし、
むんずとケーブルを掴む。そして…


べっちょりー。

口に入れないと気がすまないようである。
これでネットに繋げなくなったらどうしよ。

嫁はRの写真を育児系雑誌、「なまこクラブ」や
「ぴよこクラブ」(仮名)に送りまくっている。

赤ちゃんモデルにさせたいようであるが本人のこの様子だと、
どうやらモデムになりたいようである。

目指せ一流モデム。

■巫女みこナース。

池袋を歩いてたら、巫女さんがティッシュを配っていた。
さては

「創業治暦元年!
 交通安全家内安全商売繁盛に長年の実績!
 天照大神をはじめ、各種八百万の神様を取り揃え、
 かしこみかしこみ申します!」

などというティッシュでも配ってるのかなあ、
神道業界も口寄せだけじゃなく客寄せもやる時代になったのか、
などと感慨深げに眺め、巫女さんも可愛かったので
ついティッシュをもらってしまった。が…


…なるほど、こういうことだったのね。
行ってみたい気はするけれど、
あの巫女さんの中身は別売りなんだね。

彼女も街中であんな格好をして恥ずかしいのではないだろうか。
頑張って欲しいものである。

神社ーエール。
.

ハッピーバースデー・つゆだく〜♪

今日は嫁の誕生日〜。
別にラブラブのカップルでもないし、若くもないし、
しかし一応、形だけでもとケーキを買って帰ると

「あなたあああ。覚えててくれたのねえ」

嫁が意外そうな顔付きで言った。失敬な。
僕が愛する君の誕生日を忘れたことが一度でもあるか!

二度ほどあったか。

ケーキに加え、この間の日曜にこっそり買っておいた、
ウサギが鼻血を出しているイラストが描かれた
Tシャツをプレゼントした。嫁はウツロな目をしていた。

「ケーキはメシの後に食べよう。
 さ、腹減ったから早速メシをくれ」

僕がそうせかしたところ、

「あのね、ごめんね。今日は私の誕生日だから
 思いっきり手抜き料理なの」

嫁は訳の分からないことを言った。
どーいう理屈だ。おじちゃん意味が分からないよ。

出てきたのは牛丼。ま、好きだから別にいいんだけどのだけども。
はぐはぐと食べていると嫁は更に意味不明なことを言った。

「これから私の誕生日はずっとこうなるかも」

なんでよー!

誕生日の牛丼…。これはもしや、私をツユダクにして!
という嫁の謎かけなのかしら…。ふふふ、嫁よ、お前の
思いは通じたぞ。伊達に十年以上付き合っておらん。
じっちゃんの名にかけて謎を解いたぞ。
お父ちゃんのナニをかけてあげよう。

と、意気込んで風呂に入って出てきたら
嫁、既に寝てるし。

僕の立場ないじゃん!
コレじゃただの変態妄想親父じゃん!

ところで8月9日には娘・R(9ヶ月)の誕生日も控えている。
嫁が産気付いた時、僕がカレーを食っていたという故事(?)にちなみ、
毎月9日には必ずカレーを食べることになっている。

嫁の誕生日には牛丼。
娘の誕生日にはカレー。

なんだか松屋みたいでやだなあ。
.

父は二度死ぬ。

ものすごく早い朝、物音がするので目が覚めた。
娘・R(9ヶ月)が既に起きており、ひとりで遊んでいたのだった。
僕の枕元にたくさんのおもちゃがぶちまけられていた。

な、なんだかお通夜の供え物みたいでやだなあ…。

しかし僕はまだ眠かったので、二度寝することにした。
すると今度はRが何やら唸っている。

「う〜あう〜まう〜あ〜たたた〜」

な、なんだかお経を唱えられているようでやだなあ…。

それでも僕は眠気には勝てず、断固として二度寝を決行
することにした。ら…

ぶおお!…ハンケチを顔に落とされた。しかも白いの。

とうとう僕は殺されてしまったようだ。
とにかく眠いのだよ。
どうせ仏にするならせめてホットケー。

「Rちゃん、お父さんは眠りたいのだよ」

僕がそう言ってもRはよく分かってないのか、何故か

「でへへ」

と笑ってパチパチ手を叩いた。

ああっ。なんて可愛いんだっ。もう眠気も吹っ飛んで
イチコロざんす。でも娘よ、仏様には拍手は打たなくて
いいんだよ。ってそういう話じゃないか。

イタズラで殺され、笑顔で殺された僕。

京の五条の糸屋の娘
姉は十八、妹は十五
諸国大名は弓矢で殺す
糸屋の娘は目で殺す

うちの娘は二度殺す。
.

目には目を。父には乳を。

仕事から帰ってきて

「腹減った、めし」

嫁に夕飯の支度をさせると、傍で寝ていた娘・R(9ヶ月)が
物音に気付いてムックリと起きてしまったので、
Rと遊びながらゴハンが出来るのを待っていたのだが

「あばー。あばばばばー」

Rがだんだん暴れだしてきた。どうやら嫁にかまって
欲しいらしい。僕はRをだっこして、台所で料理をしている
嫁のところに連れて行った。
Rは手をぶんぶん振り回し、嫁に「遊んでちょ」と
アピールする。嫁は

「はいはい、ちょっと待っててね」

と、料理をしながらRをなだめる。
そうそう。お母さんはお父さんのゴハンを
作ってくれてるんですよ。

しかし嫁は次にとんでもないことを言った。

「お父さんにおっぱいあげるまで待っててね」

なんだとコラー!

「僕をアカチャン扱いするなー!」

「あらやだ間違えちゃった。ついうっかり。あはは」

嫁にとってはRも僕も手がかかるという点では
同じ乳飲み子レベルに映ってるのかもしれない。

ただ、おっぱいくれるというのなら貰うけどね。
但し顔が埋もれるぐらいのたわわなおっぱいを
希望する。そんなことを嫁に言ったら

「私は持ってません」

あらまあ、つれないお返事。
いや、それは重々承知致しておりますが。

ま、ただでさえ空腹でお腹と背中がくっつきそうなのに、

そんなゴージャスな夜の「オカズ」を出されたら

お腹と○○○がくっついてしまいそうである。
.

舐める嫁。啜る夫。

嫁はラーメンが好きなのに一人でラーメン屋に行けない。
そんな恥ずかしがる年でもないのに
なにかわいこぶりっこしてるんだよオウオウ。

と、凄みたくもなるが娘・R(9ヶ月)が産まれてから
外食自体しづらくなってしまったので嫁はますます
ラーメンに飢えている。

その反面、もうひとつ嫁が好きなのはアイスである。
こっちの方は僕と一緒じゃなくてもRを連れてホイホイと行く。
その証拠に嫁はハーゲンダッツのスタンプカードを
持ち歩いており、そこにはスタンプがずらずらと
押されているのである。

「えへへ、スタンプが溜まったから
 ゴールド会員になっちゃった」

溜まったのはスタンプだけじゃなく
乳脂肪も溜まりまくってるんじゃないのか。

スタンプを見ると光が丘店に池袋南口店に…おのれ嫁。
僕に内緒でいつの間に行ったんだよ!

ハーゲンダッツショップのあるところなら
たとえ手がかかる乳飲み子が一緒でも
労力を惜しまず出かける女。それが嫁。

何故ここまでネチネチ書き続けているかというと、
僕もハーゲンダッツが好きだからである。
僕も行きたいんだい。確かに日曜日に行ったけど、
嫁はその何倍も行っている。僕は昼間汗水たらして
働いている間に…。

とかいって、僕は僕で昼飯に九州じゃんがららあめんだの
を啜っているのだけど。嫁には内緒だ。妬まれるから。
嫁が乳脂肪ならこっちは背脂だ。

と、お互いコソコソ食っていてもいつの日かばれてしまい、
食い物の恨みが爆発する恐れがあるで良い傾向とは言えない。

良策としては、いつか休日にでも一緒にお出掛けして
原宿のじゃんがららあめん→渋谷のハーゲンダッツカフェという
夢の黄金リレーをし、お互い食い物の遺恨は残さず
愛を育むことが一番なのではないだろうか。

結婚式の時に、チャペルで誓ったのである。

病める時も健やかなる時も、
生涯アイスることを誓いますか?

ラーメン。
.

シシ・キャバブー。ハイ・チャン・バブー。

近所にトルコ料理の店が出来たので行ってみた。
勿論嫁と娘・R(9ヶ月)も一緒に。
水タバコが吸えると聞き興味を覚え、颯爽とトルコ行進曲を
口ずさみながら出かけたのである。

虹の〜都、光の〜港、シネマの天地〜。

そりゃ蒲田行進曲だ。

さてその店はビルの地下にあった。下に降りる階段を覗いてみると
なんだか真っ暗である。でも「OPEN」という看板は出ている。
川口浩探検隊の趣で階段を下っていくと店の扉があり、
開けてみたらやっぱり真っ暗であり…。怪しい。

中から全身が油でヌルヌルのカラクジャク(トルコのレスリング)の
レスラーが襲って来たりしたらやだなあ…引き返すのなら今のうち、
と思った途端、店の中からガタガタガタと物凄い音が響き、
店長らしき中東系おじさんが飛び出てきた。

「ヘラッシェー!」

さては今まで寝てたな。大丈夫かこの店。

…と危惧したのも束の間、よく見ると店の中はきれいだし
出てきた料理は美味かった。

photo
どどーん。手前がシシ・キャバブー。奥が鳥の煮込みとピクルス。
飲みものは石榴ジュースとトルコビール。

店長はRを見て指をぱっちいんと鳴らし

「ンー、アカチャン、カワイイネ」

Rのためにジュースをサービスしてくれたり、更に
トルコのお菓子、トルコの紅茶…次から次へとサービスの嵐。
トルコのオジサマって素敵。
Rはしばらくオリエンタルな佇まいの店を物珍しげに見ていたが、
そのうちぐずり出してしまってどうしようかと危ぶまれたが、
やがてすやすやと寝てしまった。

うむ。いい子だ。トルコは育つ。

そのお陰で食後、お待ちかねの水タバコをぷっかーと
ゆっくりとくゆらすことが出来た。ビールのアルコールも
手伝いホロホロと体がリラックスしてくる。
なかなかけだるくて良い。いい店だ。

いい店なんだけども…食事に30分、水タバコをぷかぷかして40分。
1時間以上もいたというのにその間、20席ほどある客席には
僕ら以外誰もいなかった…。願わくば潰れませんように。

トルコ飯。
トルコビール。
トルコ菓子。
トルコお茶。
トルコ水タバコ。

トルコを満喫して家に帰ったが、Rも目覚めたことだし
締めくくりをしたいどころである。締めはやっぱり…

トルコ風呂じゃあー!

「Rちゃん、お父ちゃんと一緒に入ろう!」

「ぎゃわあああああん!」

…号泣された。冗談だよう。
君も僕も娘なのだからおやじ臭いギャグにも
耐性をつけてもらわないと。

そこんトルコよろしく。
.
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