俺のカラダを越えてゆけ。/父の非。

娘・R(10ヶ月)を寝かせようと、嫁が添い寝をする。
しかしはRは寝るどころか、最近上手になった「捕まり立ち」で
嫁の体によじ登るのである。

近頃この「母のぼり」がRの中でブームらしい。
暗闇の中で嫁とRがじゃれあっているのを見ると、
並なみならぬジェラスィーを覚える。なので僕も
すさかず布団に横たわった。じっと待つ。

「あぱぱー」

「きゃあいやーん」

Rと嫁は僕に全く見向きもせずお遊びを続ける。

「…お父ちゃんのところにおいで」

そっとRに声をかけるのだが

「あぱぱぱぱー」

「もう寝なさいよ〜ウフフ」

全く状況は変わらない。ほれRよ。父はこうして無防備に
体を横たえておるぞ。それRよ。父のバディを思う存分
まさぐるがいい。貪るがいい。好きにして!めちゃくちゃにして!

痺れを切らした僕はガバアと起き上がり

「父ちゃんとも遊んでー!」

思いっきりRに迫って懇願したのだか

「あばばばーーっ!!!」

Rはぐわっとこちらを振り向き、僕を叱りつけたのであった。
娘にフラれた〜。

「急に叫ぶからRがびっくりしたのよ」

嫁が、まるで恋のバトルに勝ち誇ったかの如く
涼しげな顔で言った。Rは何事もなかったように
再び「母のぼり」に没頭していた。

放置プレイも嫌いじゃないけどさ…。

母のぼり。
父しょんぼり。
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