入浴中の嫁が風呂場から全裸で飛び出し、僕らの前に仁王立ちになった時は、この人はもうダメだと思った。

裸で立ちはだかる。なんつって。

「なんだ。どうしたんだ。全裸暗黒舞踏の練習か」

僕は娘・R(3才)と息子・タク(10ヶ月)と戯れていたのだが、子供達もキョトンとしていた。

「で、出たのよ」

「尿道結石とか?」

「ゴキブリが出たのよ!ちょっとティッシュ取って」

「なんだそういうことか…」

我が家ではこれまで全く見なかったゴキブリであるが、最近出現率が高まっているようである。この前僕も真っ黒なゴキブリに遭遇し退治した。我が家は黒ゴキブリの巣になりつつあるのだろうか…ていうか嫁、そのお股にあるタワシ状の黒くて恥ずかしい部分を隠すなりしろ。ゴキブリが出たと知らされた今、僕にはそれがモサモサしたゴキブリに見えてならぬ。

とはいえ嫁にとっては緊急事態であるので、ティッシュ箱に手を伸ばしたのだが

「あ、中身がない」

「そういえばあなたが昨日の夜中、ゴソゴソ大量に使ってたでしょう!」

まるで僕が夜ひとりでみだらな行為をしていたかのような断罪っぷり。違うのだ。誤解である。昨晩は嫁達が寝静まった後、パソコン部屋でメシを食べようと思ったら皿ごとおかずをぶちまけてしまったのだ。

その後片付けの為にティッシュである。机下の奥までこぼれてしまったので、多少取り残しがあったかもしれんが…。って、そのせいでゴキブリがまた現れたのだろうか。僕のせいなのか。

だとしたらそれ以上のことは言わぬがフラワー。速やかに新しいティッシュをば出して風呂場に行くと、既に嫁がゴキジェットを噴射しており、ゴキブリは息絶えていた。

嫁は風呂場の入口で立ち尽くしていた。ていうかまだ隠してなかったのかそのタワシ状の黒い恥部。

嫁は自分ではゴキ死体を掴めないらしい。僕がティッシュにくるんで捨てないと再び風呂に入れない、にっちもさっちもいかない状態であるのだ。すまんね。嫁よ。僕が招き入れた黒い悪魔だったのかもしれない。

ここは歌のひとつでも歌って場を和ませましょうぞ。

にっ恥毛さっ恥毛どうにもブルドーッグ、はっ。

古い。


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地下鉄博物館オフ会に行った。

以前からネット上でやりとりがあった「むすこみっく」の高沢さん&息子君や、「ももいろきろく」の桃香さん一家とは初対面でキャーはじめましてーな出会いがあったが、何しろ大変な参加人数。

挨拶程度、いやそれすらも出来なかった方々も多く、「以前お会いしましたよね?」と声を掛けてくれた方を全く覚えてなかったり。失礼致しました。そして主催のチヨさんお疲れ様でした。

お会いした方のサイト(たぶん50音順):

チヨさん(主催)/おきらく極楽主婦の育児絵日記
あいぷみさん/あいぷみのひとりごと
あはさん/And You Tell Me..
sa ya kanさん/sa- WEB Diary
席さん/カルボンストリート
高沢浩里さん/むすこみっく
なりさん/笑うかどには福来る
のんさん/non
hinaさん/Retro to Modern
みちゃさん/ブックライスフィールド
桃香さん/ももいろきろく
ゆう。さん/よしくんの徒然なるままに
柚香さん/monimoni絵日記

博物館内は広く、大きな男の子達は縦横無尽に走り回っていたが、娘・R(3才)はちょっとそのペースに付いて行けなかったので、僕と嫁に手を引かれて見て回った。レトロな電車の中やパンタグラフをボタンで伸び縮みさせるのが特に楽しかったようだ。

ピノコ
Rにはピノコのコスプレをさせていたので怪しい親子に映ったかもしれない。

嫁は電車の動力系統の展示の、難しい解説が書いてあるところで固まっていた。

「これ分かる?」

と言われたものの

「分かるわけないだろう」

地下鉄はどうやって地下に入るの?という春日三球の問いに対し、最近やっと答えが分かったばかりの僕には答えられようがなかった。お子様が楽しめる施設からマニア向けの知識まである懐の深い博物館。その証拠に

「あっ!あの人見て!」

嫁が指差した先には電車の運転を疑似体験出来るシミュレーターがあった。そこには子供に混じって、ちゃんと白手袋を嵌めて運転する大きなお友達がいるではないか。彼は絶対ゲーセンで「電車でGO!」をやりまくっていた筋金入りの鉄ちゃんに違いない。

息子・タク(10ヶ月)に至っては博物館に着いた途端に爆睡。イベント時の肝心な時に寝てしまうことが多い彼は、きっと卒業アルバムの撮影日に風邪を引いて、ひとり欄外に写真を貼られるタイプに違いない。不憫な…。

その後チヨさんの誘導で昼食のため移動。ファミレスなどには行かず、カラオケボックスの大部屋を借りてちびっ子共々我々も隔離させてしまおうという妙案であった。

キャバレンジャー
関係ないが、移動中に見つけた「コスプレ戦隊キャバレンジャー」

カラオケボックスに入りようやく目覚めたタクは、男の子達が「マジレンジャー」などの戦隊物の歌を歌い始めると、

タク

割り箸を振り回してノリノリ。残念ながら「キャバレンジャー」の歌はリストに載ってなかった。

続いて僕がRのために「アンパンマンのマーチ」を入れたのだが、マイクですら拾えない小さな声で、もしょもしょ、と歌っていた。

「そーさ、おしょれないーで、みーんなのために…」

じゃんじゃん、と曲が終わると「ん?誰か歌ってたの」「誰も」という声が。Rの人生発のカラオケであったが、誰にも聞こえていなかった。

「すいません、うちの子のためにでしゃばりました…」

この時の僕&Rと地下鉄はよく似ていた。

どちらも陽の目を見ない…!


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昔のガラクタが詰まった箱を整理していたら、帽子が出てきた。

昔よく帽子を被っていたものである。しかし久しぶりに見たそれはホコリまみれで、この年になって被ってたらいかにも頭悪そうな感じの野球帽タイプのキャップだったので、捨てようと思ってたら、

「ぱぱ、ぼうしー。ぼうしー」

いつの間にか娘・R(2才)が被っていた。

キャップR
「ふおおお。R、カワイイ!カワイイ!ぬおおおお…」

Rのあまりの可愛さに頭がおかしくなるほど心を揺り動かされたことには、親馬鹿だけではない理由があった。今まで忘れていたけれども、僕は野球帽を被った女の子が大好きなのであった。

あれは僕が小学生の頃…。当時好きだったナオミちゃんと遊んでいるときに、ひょんなことで僕の野球帽を被ったのである。その時、

「ああ、女の子が野球帽を被るとなんて可愛いのだろう」

と子供心に思ったものである。当時は今のように邪悪な心ではなかったので、それ以上エロス方面な思考には行かなかったのだけれども、思えばあれが現在セーラー服やブルマにウホウホしちゃうようになった以前の、フェチズムの原体験だったと言える。

よし、僕もRと一緒に帽子を被って一緒にキャッチボールするぞー、と箱の中を更に漁った。他にも帽子はあった筈である。

しかし出て来たのは家族計画のために使用する、ゴム製の帽子であった。

やはり頭がおかしい。


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「おしっこー!」

娘・R(3才)が朝一番で叫んだ。おむつに垂れ流しっ子だったRも、ようやくトイレでおしっこ出来るまで成長しつつある。「おしっこ」とストレートに書くのも無粋である。もっとおしゃれな書き方はないものか。「045」とか。それじゃ横浜の電話番号だ。

「はいはい、トイレ行きましょうね」

嫁がRの手を引いて連れて行こうとする。昨晩は僕と行ったが出来なかった。今日はどうだろうか…と見ていたところ

「ぱぱと!ぱぱとトイレいくの!」

Rは僕を指名してきた。そうか、この父と放尿プレイを楽しみたいのだな。

「よしよし、じゃあパパと行こうね」

連日Rとトイレに篭ることとなった。

「さて、今日はできるかな?」

と僕が身構える間もなく、

「でた」

Rの恥丘からしーっと出たではないか。

「おお。これぞ尿(ゆばり)ーヒルズ。Rちゃんすごいねー」

Rの恥丘から迸る尿の放物線は、栄光への架け橋だ。たかが尿の流れ一筋にこれほどの愛しさを覚えたことはない。昔、吉田戦車のマンガで、若い男が公衆便所で立小便をしていたところ、ひとりのおじさんが背後に立ち

「お若いあなたと中年の私の尿の流れが、今、ひとつに」

後ろから尿を合流させるという話があったが、その気持ちも今なら分かる。ああ、僕も将来Rと連れしょんしたい。しかしやってしまったら親権を奪われること請け合い。

ともかく今までのトイレでのグダグダがウソのようにすんなりいくとは…。転んでばかりいた自転車が、ふとした時にすーっと乗れるようになるが如く、人の成長というのは得てしてそんなものである。

「実は、こないだひどいことしちゃってさあ…」

この様子を眺めていた嫁が申し訳なさそうに言った。

「何をしたんだよ」

と聞いてもなかなか口を割らず断片的な事しか言わない嫁であったが、どうやらなかなかトイレで出来ないことにブチ切れた嫁が

「どうして出来ないのよ!」

と泣き叫び、それを見たRが更に号泣する、という修羅場がこの狭いトイレの中であったらしい。もしかしたら2、3発手が出たのかもしれない。まあ甘甘ちゃんのRには時には星一徹のような熱血教育も必要である。

血の尿流せ、涙を拭くな。ゆけゆけR、どんとゆけ。

あ、血尿はまずいか。


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仕事から帰って来たら、息子・タク(10ヶ月)はもう寝ていたが、娘・R(3才)は起きていた。

…しまった。二日前の日記と同じ書き出しだった。しかしそれも仕方がないことである。人生というものは寄せては返す波のように、ただひたすら変化なく繰り返される終わり無き日常の繰り返し。ひたすら繰り返す家と会社の往復、ひたすら繰り返す心臓の鼓動、それがふと止まった時、引き返す波に乗って何処かへ去って行く。

「R、今日は何をして遊んだの?」

これまたいつものように娘・R(3才)に一日の出来事を話させる。Rが起きている時は必ず聞くのである。「えっとねー」と考えながら楽しそうに話す姿が堪らなく可愛い。まだこの世に生を受けてから3年しか経ていないRの目には、きっと日常が輝いて映っているであろう。

「Rちゃん、といれ、できたの」

「おや、トイレでおしっこできたのかい?」

「うん」

8月11日の日記にも書いたが、Rはオムツ卒業を目指し、トイレトレーニング中である。しかしなかなかトイレですることは出来ないでいたのである。僕らの会話を聞いて、それまで寝ていた嫁がむっくりと起き上がった。

「そうなのよ!今日はお漏らししないで、必ずトイレで出来たのよ!」

そこまで出来るように努力したのはワタシである、と誇らしげな嫁の顔が語っていた。

「R、またひとつ大人になったね」

「うん、できたの」

ああそうか。人生とは同じことの繰り返しであるようで、少しずつ進歩しているのだ。螺旋階段を昇って行くようなものなのかもしれない。

「今度パパにも見せてね」

「じゃ、といれ、いこうか」

「え、今行くの?」

「うん、いこう!」

余程得意だったのか、Rを即僕の手を引いてトイレへ。僕はRを便器にまたがらせ、Rと向かい合うように体育座りをしてRのお股とその奥の便器の底を凝視して、尿の放物線が走るのを今か今かと待ち受けた。まるで女王様の聖水を待ち受ける奴隷のようだ。

これだけお股を覗き込むのは嫁とのまぐわいぐらいだし、便器を覗き込むのは検便の時ぐらいである。ここで

「赤い紙いるかーい」

と便器の底から手が出てきたら僕が漏らしてしまう…などと考えつつ

「…まだ出ないかな?」

Rの尿意を伺ってみても

「…でない」

なかなか出来ないようである。そのうち便器にまたがったまま

「ぱぱみて~。ちょっきんちょっきんちょっきんな~」

両手をチョキにして踊りを披露し始めたので、僕も

「あははは!上手上手。ちょっきんな~」

などと一緒に踊りまくって…っておい。

「僕は狭い便器で何をやっとるんだ…」

素で当初の目的を忘れてしまっていた。

「ぱぱ。おしっこ、でない」

「はは、は…今回は無理だったね。じゃ、出ようか」

「うん」

いい加減クソ暑くなってきたので引き上げた。まだRのトイレトレーニングは完璧にクリアしていないようだ。僕も一度ムキになって「出るまでトイレから出さないよ」と言ってRを泣かせてしまったが、泣かせるぐらいならそんなに焦る必要はない。

他のRと同じぐらいの子で脱オムツに成功している話も聞くが、それと比較してうちの子は早いだの遅いだの言ってもしょうがないのだ。

元々Rはスロースターターなところがあるし、マイペースで行けばよい。そう思った。

位置について、尿意スタート。なんつって。


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バケラッタ

タイトルどおりなのだが…。

おしゃれな外観なマンション、そしてエントランスにも
おしゃれなロゴ。なのに、よく読むと

「baqueratta」(バケラッタ)

バケラッタ

地図にも載っているが、悲しいほどマヌケである。


畳の上で寝転んでマンガを読んでいたら、いつの間にか朝まで寝てしまっていた。

顔に畳の跡が付き、気分が悪い。しかも突っ伏していた場所は、ちょうどこないだゴキブリを叩き潰したまさにその場所で、更に吐きそうになった。しかし日本人の大半が病院のベッドで死を迎える現代において、畳の上で死ねたゴキブリは本望だったのではないだろうか。日本人として。ヤマトゴキブリだったし。

僕はどこで死を迎えるのだろうか。病院か。家か。車に轢かれてか。女体の上か。などと考えながらムックリ起き上がって本来の寝室に入ると、嫁と息子・タク(10ヶ月)は起きていて、娘・R(3才)だけは寝ていた。

「タク、お姉ちゃんを起こそうぜ」

「あうー」

ふたりでRの背中をぺしぺし叩いて起こそうとしたのだが、全く起きない。

「ははは、Rはお寝坊さんだなあ」

ところが嫁が言うには

「Rは朝5時に起きたのよ」

「えー」

「あなた隣の部屋で寝てたでしょ。だからRがそっちまで行って『パパおきてー』ってずーっと起こしてたよ」

「全然気付かなかった」

「うん。『パパおきない…』ってベソかきながらまた寝直したよ」

先に起こされていたのは僕のほうであった。ごめんよR。でも朝5時はいくらなんでも無理だ。

「あー…体が痛い…」

僕はR達に看取られながら死ねるのだろか。出来れば畳の上で。

そしてRとタクは僕の忘れ畳。なんつって。


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仕事から帰って来たら、息子・タク(10ヶ月)はもう寝ていたが、娘・R(3才)は起きていた。嫁はどうだったか忘れた。

「ぱぱ、いっしょにねんねしよ?」

若い娘っ子に「一緒に寝ましょ」と誘われた時の断る術を僕は知らない。断る理由もない。

「はいはい、ねんねしようね~」

鼻の下を伸ばして僕の布団に寝転んだ。

「ぱぱ、Rちゃんのふとんに、来て?」

おおおお、一緒にの布団で寝たいというのか。なんだか今宵のRは特に甘えっ子であるようだ。

「そんなにパパに甘えたいのか、よーしよしよし、かわいいですねー」

僕の鼻の下は更に伸び、デレデレになる余り、口調も動物をあやすムツゴロウのようになってしまったが、ぴたりとRに寄り添って横になった。

「はいねんねしよー。ねんねしよー」

軽く肩を抱いてポンポンと叩く。Rの瞳に眠気が落ちて来て、トロトロと虚ろな表情になっていく。無防備な顔がたまらなくかわいい。こうして枕を並べてRを抱いて、その眠りに落ちて行く様を見届けることが出来るのは、あと何年であろうか。

闇の中でひとりぼーっとしていると、ついそんなことを考えてしまう。Rもあっという間に3才である。10年後同じことをやっていたらただの変態親父である。

いずれ成長したRの寝顔を見届けるのは既に僕ではなく、どこぞの馬の骨…あああああああああああ!!身を引き裂かれる思いだが仕方がない。将来僕がどうあがいても手の届かぬところに行ってしまうのだ。それがRの幸せ僕のしわよせ。

せめて子供である内は、この胸の中に抱き止めておきたい…と、ぎゅっと抱きしめた。しかし

「だめっ」

なんとRが腕を伸ばし、ぐいいいっと僕を布団から押し出そうとするではないか跳ね除けるではないか。

「一緒に寝ようって言ったのはRちゃんでしょ!」

「めっ。ぱぱ、あっち!」

「…じゃあ、パパ、バイバイしちゃうよ。隣の部屋に行っちゃうよ」

「うん。いいよ」

あと何年枕を並べて、どころかものの10分で追い出されてしまった。何故コロコロ言うことが変わるのか!きっと一緒にいて暑苦しくなったからに違いない…。

「パパ本当に行っちゃうよ…。おやすみだよ…」

「おやすみんしゃい」

Rに布団を追い出され、たった10分間の枕を並べて寝たぬくもりに焦れてひとり寂しく書いているこの日記は、まさに僕の枕草子。

春はあけぼの、僕はのけもの…。


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日曜日、昼間はとしまえんのプールに行った後、夕方は麻布十番(あざぶじゅうばん)の納涼祭に行って来た。麻布十番は東京都港区の街で、「アザブジュバ~ン」と語尾上がりに発音するとフランス語っぽくなることで有名である。

一緒に行ったのは中学からの友達で、現在大学講師のRHと、丸の内美人秘書のちあきちゃん。ちあきちゃんは浴衣姿で現れた。日本の夏はイイ!!昼間はプールのビキニギャルを堪能し、夕方は浴衣ギャル。

夏の華 昼間ビキニで 夜浴衣 夜はあなたの 手で摘まれるの

歌のひとつも詠みたくもなろうというもの。

お祭りでは屋台をひやかしながらぶらぶらしようと目論んでいたのだが、とんでもない人出で歩くのにも苦労したので、そこで早々にイタリアンなカフェっぽいところにしけ込んだ。

RHとちあきちゃんは初対面であったので、その紹介も兼ねた話から始まった。

「RHは学術書を出版して、僕も貰ったんだけど、これがまた難しくて…」

「へえ、どんな研究ですか?」(←ちあきちゃん)

「メディア論。俺は読まなくてもいいって止めたんだけど、こいつ(僕のこと)がどうしてもって言うから送ったんだ」

「いや、ちゃんと読んでるよ。本のタイトルはね、えー…なんだっけ」

僕、最低。その後も酔いに任せてせっかくふたりを引き合わせる役であったのに、ちょいと余計なことまで言ってしまったり…わりと反省。そんなこんなで9時頃まで飲んでいた。

それと前後して麻布十番の商店街を練り歩いている時に、異様な集団に何度か遭遇した。

夜子ママとわたくし
思わず一緒に写真を撮ってしまったが、ちあきちゃんによると中央の人物が

「夜子ママですよ!知りませんか?」

とのことであった。麻布十番に根を張る超高級クラブのママであるらしい。そして「魔法使い夜子ママ」なるキャラでタレント活動(?)もしているらしい。夜子ママがTV出演した番組を収録したDVDが配られていたので、僕も貰ってしまった。

後で家で観てみたところ…

夜子ママ
呪文を唱える夜子ママ。素晴らしい。

夜子ママは麻布に住むことになったのは、タクシーで通りかかった時に

「この街に住みなさい」

という声が聞こえたからだと話していた。誰が言ったのかというと…

夜子ママ
と言い張っていた。

やばい。下手なお笑いタレントより100倍面白い。そしてキレイ。

僕らが歩いている時も、最初の写真の右側にいるような、すんごい格好をしたギャルが徒党を組んで街を巡回しており、ちあきちゃんなどは

「いいなー。あたしもあれ着たいなー」

などと言っていた。僕もその露出したナイスバディの肉付きに釘付けになっておった。

アザブジュバ~ン。ニクジュバ~ン。


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前日に引き続き、今日もプール。

今日はとしまえんの流れるプールと波のプールで子供達を遊ばせた。昨日は区内の無料子供プールだったが、大きなプールはいい(ギャルのオッパイなど!)

娘・R(3才)も息子・タク(10ヶ月)も順調に水に慣れ、特にRははじめは臆病で、波をくらっただけでも逃げ出してしまうのだが、それでも少しずつ少しずつ慣れさせていった。

タクはプールサイドの隣にシートを敷いて座っていた、うちの嫁の5倍ぐらい綺麗なママさんに笑顔を振りまけナンパしていたが、午後になるとスタミナ切れで寝てしまったので嫁がプールサイドで待機。僕はRと引き続き遊び、Rも他の子達と変わらぬ暴れっぷりを見せた。

「ああよかった。これだけ慣れてくれれば、海に行っても怖がらずに遊べる…」

「ぱぱー。おうまさんしてー」

「はいはい」

深さ30センチのプールで僕は四つん這い、というか腹這いになりRが背中に乗ってのそのそと歩いていたら、Rが浮き輪を僕の首にかけたので

「うおー、前が見えないよ、R、ちょっと、聞いてる?」

と浮き輪を外して後ろを振り返ったところ…

「うわー!R、大丈夫か!」

Rが仰向けにひっくり返ってアップアップ溺れているではないか。

「うわああん!うわあああん!」

すぐ抱き上げてみたものの、もうRはそれ以上泳ごうとせず、ここでもう泳ぎはおしまい、ということになってしまった。あああああ、せっかく慣れてきたのに最後の最後でぶち壊しにしてしまった。

「これがトラウマにならなければいいけどなあ…」

と嫁に言ったところ

「平気よ。わたし、Rを自転車に乗せていて、横倒しにぶっ倒れさせちゃったことがあるけど、今でも自転車怖がらずに乗ってるもん」

「君も結構ひどいことやってるんだね…」

ま、こういうハプニングを乗り越えて、子供はたくましく成長するんだよ、うん、と自分の不注意を正当化しようとする僕らであった。


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暑さから逃れるように、家族でプールに飛んで行った。
飛んでイスタンプール(前書いたネタだ)

娘・R(2才)と息子・タク(10ヶ月)はそりゃもう水を得た魚のように遊んでいたけれども、それぞれの遊び方に違いがあった。というかRが変。

始めは普通に水遊びをしていたのだけれども、その内プールそっちのけで

「ぱぱー。いっしょにあるこう!」

というので付いていったら、プールサイドを延々と15週ぐらい歩かされた。

「R、泳がないの?」

「ないの」

「楽しい?」

「たのしい」

一体何が楽しいのであろうか。

ようやくプールサイド巡回が終わったかと思ったら、今度は

「いなばうあーの、れんしゅうでーす」

何故かプールなのにフィギュアスケートに目覚めるし、

「ばれえの、れんしゅうでーす」

かと思ったら今度は何故かバレリーナに目覚めるし。

プリマ
皆プールに入っているのに、一人だけ踊りまくっているR。じゃあパパとグラン・パ・ド・ドゥ、ってバカ。頼むからプールで遊んでくれよー!

おそらく水着からフィギュアスケートのコスチュームとかバレエのチュチュを連想させているのかもしれない。しかしプールに来ても泳がないなんて、スキーしに雪山に行っても宿から出ずひとりコックリさんをやっているようなもんである。Rはそういう不思議ちゃんになってしまうのでは、と父は不安である。

一方でタクは、海に行った時もそうだったが、全く水を恐れない。放っておくとどんどんハイハイで水の中をペタペタ進んで行く。顔ごと水に突っ込んでゲホゲホする癖に、それでも懲りずにまた突っ込んで行く。

海の時の日記には「産卵を終えたウミガメが海に帰っていくようだ」などと書いた。その後テレビのニュースで

「ウミガメの赤ちゃんを海に放流」

というニュースがやっていて、ペタペタと健気に海に向かって砂浜を歩く亀の赤ちゃんの姿の方がより一層タクの姿と重なって見えた。

そうだ。お前は亀の赤ちゃんだ。ドジでノロマな亀だっ。堀ちえみだっ。

鶴は千年亀は万年。おめでたい生き物だから、息子をそのように例えてもいいだろう。

1時間ほど遊んだ後、さあ帰ろうかと嫁がオヤツにせんべいを出した。Rはポリポリと食べていたが、タクは既に昼寝の時間となり、ぐっすり眠っていたのであった。

鶴は千年亀は万年。
タクはせんべい噛めまへんねん。


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夜の街がサイレンス。
しかし我が街は最近バイオレンス。

こないだ駅前のキャバクラの店長が、従業員の給料400万円をバッグに入れて徒歩で搬送中、バイクに乗った2人組に金属バットで殴られ、バッグを奪われた。

まるで「北斗の拳」のザコキャラ(※1)のような手口だ。

北斗の拳
※1:イメージ図

目と鼻の先に交番があるというのに、大胆な犯行である。「大胆な夏。ワタシのホットホットサマー'06」といった感じだろうか。

そしてもう少し前は弁当屋が襲われて売上金を強奪された事件もあったし、俄かに物騒な街となりつつある。

もっとも弁当屋強盗は元従業員の犯人が捕まり、このキャバクラ店長強盗もおそらく内部事情を熟知した者の犯行だと思われるので、無差別犯罪ではないのだろうけれども、巻き添えを食ったらたまらない。例えば僕がビデオ屋にいる時に

「金を出せー!俺は元従業員の強盗だー!」(そこまで自己紹介しないと思うけど)

「ま、待ってくれ!僕はただの客だ!このビデオを借りたいだけなんだ!」

「うるさい。刺してやる」

「ギャアアアアア!」

ホラー映画開始10分でパニックを起こして最初に殺されるバカな役の如く扱われ、ニュースで

「今日午後11時ごろ、練馬区のレンタルビデオ店に強盗に入り、『おっぱいどうはでっかいどう』(※2)なるAVを借りようとしたかじりんさん(自称17才)が殺害されました」

おっぱいどうはでっかいどう
※2:ビデオではないが風俗店「おぱいどうはでっかいどう」

などと放送され末代までの恥となってしまったら嫌だ。

しかし本当に心配なのは自分より娘・R(3才)や息子・タク(10ヶ月)である。特にRは来年幼稚園に通うのだけれども、その弁当屋のすぐ近くなのである。幼稚園バスで通わせるか?とも思うが、家から徒歩5分なので些か大袈裟な気がしないでもないし、逆に幼稚園バスはショッカーに狙われる恐れがある。

結局はじめのうちは送り迎えすることになるのかな…嫁が…と他力本願な防犯対策なので、いまいち不完全燃焼な僕であった。

防犯とは何か…。カニが入っているほうが好きである。

それはチャーハンである。


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栃木の実家から戻って来たのは日曜日の夕方だったが、家の電話が繋がらなくなっていた。ネットも繋がらなかった。

「やばいよやばいよ!週末、雷が凄かったらしいから、そのせいかな」

というわけでNTTに携帯から電話してみた。

「あのー。電話とネットが出来なくなっちゃったんですが」

「おそらく昨日の近隣への落雷の影響で、電話線がダメになってるか電話機とモデムが故障している可能性があります」

「ウチにピカチュウのぬいぐるみとかが30体ほどあるんですが、そのせいで電気を呼んじゃったとか…」

「違いますっ!」

「僕の他にも繋がらないっていう問い合わせ、多いんでしょうか」

「凄い多いです」

なるほど電話口の向こうからは、他のNTT職員の「ADSLはどうですか?え、繋がらない?」という電話応対の声が聞こえてきて、おそらく電話が殺到しているのだろう。対処としてはNTTの人が来てくれて調べてもらうことになったが、この時既に夜遅くのことだったから当日中は勿論無理で、

「なにぶん問い合わせが多いもので、いつ行けるかまだ言えないんです…」

とのことであった。行ける時になったら僕の携帯に連絡をくれる、ということで話は終わった。

困った。電話は携帯で何とかなるにしても、ネットが出来ない。NTTってお役所的対応なところだから、一体いつ来てくれることになるやら…と不安で仕方がなかったが、自分ではどうすることも出来ないのでその日は寝た。

次の日の午前中、仕事中に「今から伺えますが」とNTTから連絡が来た。ありがたかった。僕は会社なので家にはいないが、嫁がいるのでお願いします、と伝え、また嫁にもその旨を電話しておいた。

会社から帰って来て、嫁がいろいろと伝えてくれた。

・電話線は大丈夫だったが、電話機とモデムがやられていた。
・モデムを新しいのに取り替えてくれた。
・でも電話機はメーカーに修理を出すなり買い換えるしかない。
・僕のパソコンの電源が入ってなかったので、接続の確認は自分でやれ。

ということで、パソコンを立ち上げてモデムを再設定したところ…繋がった!ビバ常時接続復活!

「はー。よかった。NTTの人、どんな感じの人だった?」

「普通のおじさんだよ。でも普段の5倍ぐらいの修理件数があるって言ってた。作業してる間におじさんの携帯が鳴ってね、多分家族からだと思うんだけど『お父さんまだ仕事だから。帰りは混むから気をつけろよ』なんて喋ってたよ」

「家族旅行の予定だったのかなあ。僕みたいな修理依頼がばんばん入っちゃって、おじさんだけ行けなくなっちゃったのかなあ」

お盆休みの家族を引き裂いてしまったのかも知れぬ。おじさんすみません。しかも見知らぬ人物の来訪で興奮しまくっていた娘・R(3才)と息子・タク(10ヶ月)にもちょこちょこと声をかけてくれたという。

お役所的なNTT、などと思っていた自分を自分で責めてやりたい。アナル責めされてもいい。翌日すぐの対応をしてくれたし、その次の日にも

「接続できましたか?」

と確認の電話も入れてきてくれたし。

「おかげさまで繋がりました。昨日はお出かけの予定だったんですか?すいませんね…」

「いやあ、まあ、ははは…」

電話越しでしか話していないけれども、なんとも人情味のあるおじさんではないか。ありがとうNTTのおじさん。あなたの対応は光回線より速く感じられたよ…。

そんなわけで愛と感動に満ちた(?)電話回線トラブル物語は幕を下ろした。余談であるが、Rに

「おうちに電話を直しに来てくれたおじさんが来たでしょう?」

と聞いてみたところ

「うん、おじいさんがね、もしもしーってしてたの」

Rにとっては老人に映っていたようだ。重ね重ねすみません。

ところで僕と嫁との情事接続はなかなか修復出来ないのだが、これはどうしたらよいのだろうか。


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ホフクゼンシン
友達から教えてもらった、とあるベビー服。

ホフクゼンシン
お尻に「ホフクゼンシン」と書いてある。

息子・タク(10ヶ月)はもうつかまり立ちしているのだが…。


息子・タク(10ヶ月)は夜泣きする。

お腹がすいたよーオッパイくれよーと泣くので、その都度どんな真夜中であろうが明け方であろうが起きて授乳する嫁には頭が下がる。

腹を満たされたタクはだいたいそのままフニャフニャと寝てしまうのだけれども、時々覚醒してしまうこともある。

今日の明け方3時半も、乳を飲み終わったタクは寝るどころかダバダバと家の中をハイハイしまくり、また布団に戻っては

「あうー。あうー。あーあー」

大きな声で何やら歌いまくっていた。このように真夜中なのに目覚めてしまう状態のタクを、僕と嫁は

「わくわくさん」

と呼んでいる。

「ああ、今夜もまたわくわくさんになってしまった…」

「わくわくさん、もう寝ようよ」

と言ってもタクは相変わらず歌を歌いまくったり、布団にチョコンと座って宙をじーっと見つめていたりする。真夜中の真っ暗な中でそういうことをされると、もしやそこに何かがいるのではないか…などと、稲川淳二な気分になってしまう。

「はいはい、わくわくさん、ねんこしてね…あー眠い」

逆に僕の方が寝てしまいそうになって、ウトウトしていると、

「はふー。はふー」

タクが僕の体に圧し掛かってくるのである。

「ああ、いや、わくわくさん、そんなとこやめてー」

僕はこの時ほど夜這いをかけられた時の嫁の気持ちが分かったことはない。眠りに落ちている時に盛りまくった僕が覆いかぶさった時、嫁はどんなに迷惑していたか…。

「ふん」

とハエ叩きのように引っ叩く気持ちも分かろうというものだ。

そんなことを考えながら、しかしまさかわくわくさんを引っ叩く訳にもいかず、苦しいよー苦しいよーなどと呻いていたらそのまま寝てしまった。

気付けば朝であった。目が覚めると、ひと足早く起きていたタクにまたもや圧し掛かかられていた。うおー。苦しい。もういやん。

最悪の目覚めの中、嫁が寝ている時は、夜這いをかけるのは自粛しよう…と心に決めたのであった。

そして僕が夜這いモードになった時の姿を、タクのわくわくさんに対し「むらむらさん」と呼ぶことにする。


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栃木の実家に帰る前に、子供達が遊べるプールがあるかどうか、母に教えてもらった…という話は前に書いた。

その時母は

「ビニールプール買っておこうか。庭でやればいいじゃん」

ということも言っていたのだが、

「たった1回こっきりの夏の帰郷のためだけに買うのは勿体無いよ」

と断った、というやりとりもあったのである。

あった筈なのに、実家に帰ってみると

「へい、ちょっと見ちらっせ(見てごらん)、実はプール買っちゃってさ」

空気を入れたらでかくなりそうなビニールプールを僕に手渡すではないか。

「母さん、いらないって言ったろう。頼むから金は自分の老後のために使ってくれ。孫に溺れないでくれ。」

「きゅうひゃくえん」

「は?」

「たったの900円だったんだよ。だからこれぐらい、いいでしょう?」

「えー。これが900円?」

思わず日本文化センターのテレビショッピングみたいなセリフを吐いてしまったが、驚きであった。さすがビニール傘も100円で買える時代である。昔、エロ本のことをビニール本って呼んでいたなあ、などとどうでもいいことを考えつつ、

「じゃあまあそういうことなら、ありがたきばば心に甘えさせていただいて…」

庭でプールを膨らまして水を張り、子供たちを遊ばせた。自宅なので娘・R(3才)も息子・タク(10ヶ月)もすっぽんぽんである。それに小さいプールだからいちいち子供たちを抱いたりしてなくても溺れる心配はない。こりゃ楽だわ。

「ごめんよう。お父さんが都内に庭付き一軒家を持てれば、毎日でもこうして遊ばせてやるのになあ…」

僕の頬を伝う水は、決して涙なんかじゃないわ。これは、プールの返り水なのよ。

タクは30分ぐらい遊ばせて終わりにし、Rも余程楽しかったようで、1時間ほどずっと遊んでいた。頃合を見計らって、体が冷え切らない内におしまいにした。

後片付けとして水を捨ててビニールプールの空気を抜いたが、ふにゃふにゃと小さくなっていくさまを見ると、僕はいつも途方もない虚無感を覚えるのである。

それは何故か。答えは自作の都都逸を以って代えさせていただく。

ビニールプールも 股間のアレも
コトが終われば すぐしぼむ~。


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栃木の実家にいる間に、1年ぶりぐらいになるだろうか、祖母に会って来た。

現在認知症が進んだり諸事情があって介護老人保健施設に入っているのだが、施設のわりとゴージャスな佇まいにしばし見惚れた。

「ばあちゃん、来たよ!!」

「おー…おー…こんにちは」

僕のことは辛うじて覚えているようであった。

「ひ孫連れてきたよ」

僕が娘・R(3才)を、嫁が息子・タク(10ヶ月)を抱いて見せてやった。タクはガーガー昼寝してしまっていたが、Rは

「ひぃばちゃん…Rです…」

照れながら蚊の泣くような声で自己紹介していた。耳の遠い祖母なので、声は聞こえていないだろうけれども、

「嬉しいねえ。なんだか涙が出ちゃう」

涙を拭っていた。Rの表情を見てくれたのだろうか。嫁には

「この子達をよろしくお願いしますよ」

頭をペコリと下げて、今日は調子がイイ感じの92才であった。耳と認知症の他は、どこも悪いところはないのだそうだ。大したものである。

「じゃ、ばあちゃん元気でね」

別れ際に握手をしたら、ガッシと手を掴まれて

「ああ、この手相は私そっくりだ」

などとやたら手相の薀蓄を披露していた。祖母と別れた後、Rの手を引いて施設の中を少し歩いて

「ああ、あと数十年後は逆に僕がRに手を引かれてこのような施設を歩くのだろうか」

傍らの嫁に話したところ

「何言ってんの。こんな高そうなところ入れる訳ないでしょう」

なんとも無情なことを言うのであった。

「姥捨て山しか残された道はないのかね…」

「大丈夫よ。Rが世話してくれるって」

「そうかな…」

僕の手を握ってこちらを見ているRを見た。

「R、お父さんのおむつを替えてくれるかい?僕がRにしてるように」

「うん」

ニッコリ答えてくれたのが嬉しかった。

おそらく祖母は今日会ったことをすぐ忘れてしまうだろう。Rも「うん」といったことを忘れてしまうだろう。少し悲しいが、僕が覚えておくだけでよいのだと思った。僕が今日のこの記憶をずっと大事に覚えておきたい…そう思った。

帰りの車の中で

「ばあちゃんが、僕の手相のことを色々言っていたよ。運がどうとか…ええと、なんだっけ…」

やばい。もう忘れそうである。


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「お義母さん、バリカン貸して下さい」

栃木の実家に帰っている今、バリカンがあると聞いた嫁が息子・タク(10ヶ月)の髪を刈ろうとしていた。

タクの髪は、現在スポーツ刈りのような感じになっており、地元栃木の男子中学生(卓球部所属)のような野暮ったさを醸し出しているが、嫁は更に短くしたいのだという。

「ふーむふむ」

やけに高校野球を熱心に見ていると思ったら、選手の坊主頭を見てイメトレしていたらしい。

「じゃあちょっとためし刈りを」

とばかりにバリカンを持った嫁は、いきなり僕の顔にそれを向けた。

「ギャアアアア!」

あっという間に右のもみ上げが半分なくなった。

「お、刈れてる刈れてる」

「勝手に刈るな!オヤジ刈りよりひどいぞ!」

「じゃあタクの頭を刈りますか」

「血も涙もないのかお前は…」

タクと共に風呂場に移動して、嫁が刈る人僕抑える人。レッツバリカン開始。いや~んばりか~ん。

ぞりりりりり…と嫁が刈り、タクの頭に一直線の坊主道が走る。

「あれ、ちょっと短くしすぎちゃった」

「うわ…ちょっと、これ、やり過ぎ」

なんとバリカンの設定を誤っていたらしく、高校球児というよりも少林寺拳法になって来てしまった。

「でも今更後へは引けない。このままで全部刈るしかないよ…」

「ごめんねータクちゃん」

「うわあああん!ぎゃああああん!」

海の波も怖がらないタクであったが、不気味なバリカン音と髪を刈られる感触は苦手だったらしい。両親の無慈悲な言葉も恐怖を与えてしまったのかどうかは分からないが、タクは火が付いたように泣き、悪戦苦闘の中ようやく全体を刈り終わったのであった。

シャワーを浴びさせて、新生ヘアスタイルのタクを改めて見てみると…。

「や、やばい…」

あまりの薄さに痛々し過ぎた。可哀想過ぎて、とてもここに画像を載せられない。なので例えて言うと…

松平健
松平健のような危機的な状況であった。僕はタクのことをよく「坊ちゃん」と呼ぶ。「坊ちゃん、それ触っちゃだめよー」といった感じで使っていたのだが、刈った後の顔を見たら、つい「上様」と呼んでしまった。上様、それに触れてはなりませぬ。

「…まあ、この子は髪の伸びが早いから」

「見慣れてくれば、これはこれでかわいいはずだ」

僕と嫁でできるだけ罪悪感から逃れようと、言い訳がましいことを言い合っていたが、嫁がタクの後ろに回って見たところ

「あっ!後頭部、全然刈れてない。虎刈りだよこれじゃ…」

とうとう致命的なミスも見つかってしまった。

「でもあんなに泣いてたし、あれ以上やるのは気の毒だったよ…」

フウと溜め息をひとつついて、嫁が言った。

「これがトラウマにならなければいいけど…。虎刈りだけに、虎ウマ」

「お前ね…」

虎なのか馬なのかハッキリさせて欲しい。


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お盆休みなので栃木の実家に帰った。

「ぷーる、いきたいの!」

すっかりプール好きの夏女になった娘・R(3才)が言うので、この辺にプールはあったっけ、と思い出してみたところ

「ああ、いかぬ。市営のプールがあるけれども、今話題の流れるプールだし、何しろうんこが流れるプールとして有名だった!」

うんこ、いや、断固として反対したところ、我がたらちねの母が

「いや、あそこは去年で閉鎖になった。今は新しいプールがあるよ」

ということだったので行ってみたところなるほど僕が栃木にいた頃にはなかったキレイででかいプールが出来ていた。

「ぱぱ、おいでよー」

浅い幼児用プールで戯れるR。そして息子・タク(10ヶ月)。ふたりの対比はおもしろい。Rは僕や嫁が手を繋いでいないと絶対水の中に入らない慎重派なのに対し、タクはひとりでもどんどん進む。潜水艦の生まれ変わりのように、さも当たり前のようにズンズン進んでいくので慌てて嫁が止めていた。

子供用のプールなので、こないだ行った海にいたような、たわわな乳房ギャルはいなかったが、セーラームーンの水着を着た5才位の少女から逆ナンされたので、平泳ぎとか教えて遊んでいた。

知らないおじさんに付いて行ってはいけないと教わらなかったのだろうか。もしRが僕のようなオヤジと戯れていたら、速攻で潜水して侵攻し、そいつにカンチョーする。

「雨が降ってきそうだよ」

嫁が見上げていた空には、どんよりと黒い雲が近付いて来ていたので、早めに引き上げることにしたのだが、着替えて出る頃にはポツリポツリと雨が落ち始めてしまっていた。駐車場の車まで結構距離があり、歩かなければならないのだ。

「うわー。あめ、ふらないでー」

Rがお空の神様にでもお祈りしているのか、キャーキャー言いながら雨の中を走る。

「そうだね、Rちゃん、もっとお祈りしてー」

と並んで走る母も言う」

「うん。あめ、ふらないでー」

「雨だから、アーメンって祈るの。ほほほ」

…さすが僕の母だ。


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仕事から早く帰って来れて、子供達と一緒に寝られる時もある。

嫁と娘・R(3才)と、息子・タク(10ヶ月)。子供達はどちらもそうは簡単には寝ない。タクは仰向けに寝る嫁に馬乗りになって

「あうあうー」

僕譲りの女体への執拗なガブリ寄りを見せていた。息子よ、やめよ。それはお前等が寝た後で僕がする仕事だ。しかしタクは嫁の股間を割り、10ヶ月前に通ってきた産道に帰ろうとする勢いだ。お前は鮭か。嫁は嫁で

「ああん、タク。あなたになら襲われてもいいわ~」

などと妙にノリノリだし、

「ああーん、いやーん」

僕と契っている時にはとても出したことがないような、メスの匂いプンプンの喘ぎ声を上げ、なんだかAV女優がかっていた。当然僕は下腹部に突き上がる黒い衝動が湧き出でたので、タクを押し退けるように嫁の乳に貪り付いたのだが

「ふん!」

圧倒的なラオウばりの嫁の張り手を食らい、諦めざるを得なかった。

「嫁、いくらなんでも息子に襲われるのはまずいのではないか。だって、僕とタクは親子なのに穴兄弟になってしまう」

「ああん、タクー」

「ちょっと嫁、聞いてる?」

「聞いてない」

嫁は僕の言う事に耳を貸そうとしない。このままでは親子相乱れる鬼畜道に堕ちてしまう。

「じゃあ僕はRになら襲われてもいいなー」

布団に「の」の字を書きながらRを誘ったが、

「だめ!」

物凄い目で僕を睨んでいたので、ひとりフテ寝するしか選択肢はなかった。

子供達がいなかった時は、もっと気軽に嫁に夜這いを行なえたのになー。その夜這いによるまぐわいの成果として子供が2人できた。家族が倍になった。

家族がニバイニバーイ。

そして今や息子がヨバイヨバーイ。

既に時代の主役は次世代に移っていたのであった。


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娘・R(3才)はまだオムツっ子である。

まだトイレで出来たことはない。同年代の子供と比べると少々遅いと言える。どうもトイレを嫌っているようなのである。時々朝起きた時などに

「へい彼女、トイレでおしっこしない?」

ヘイ彼女、ティーでもドリンクしない?と、横浜ナンパ橋でナンパするが如きの気さくなノリで誘ってみるのだが

「やーだ」

悲しいかな、ナンパ橋のギャルと同じリアクションで断られてしまうのであった。ああそうだよ、成功したことなんてないよ。

今朝、嫁はいつものおむつではなく、トイレトレーニング用のパンツを履かせた。

「あなた、頃合見計らってRにおしっこしたいかどうか聞いてね」

「わかった」

この試みは一歩間違えると尿が駄々漏れとなってしまう危険性を持つ。背水の陣ならぬ排尿の陣。

「Rちゃん、そろそろおしっこしたくない?」

「でない!」

間を置いて聞いてみたが、頑なに拒むR。本当に出ないのか、それともトイレを嫌がっているのか…。暫く様子を見ていたら、Rがお股をモジモジさせていることに気が付いた。これは放尿を我慢しているに違いない。

「さ、Rちゃん、トイレ行こうね」

「でない!」

ギャアアアアと泣き叫ぶRを抱えてトイレに連行した。

「さ、ここでおしっこしーってしてごらん」

さあトイレで熱いHOUNYOU!できたらパパと熱いHOUYOU!
きみの未来は前途YOUYOU!来週田舎で五十回忌HOUYOU!

僕のほうはもうノリノリでやれ出せほれ出せと意気YOUYOUだったのだが、

「でない!でない!うわあああん!」

「トイレで出来ないとお姉さんになれないよー」

「フギャアアア!ウギャアアアア!」

だんだん埒が開かなくなって来てしまった。尿より涙と鼻水とヨダレを流しにトイレに篭ったようなものだ。

「あなた、もういいよ…」

嫁もここでストップをかけた。仕方なくトイレトレーニングをこれにて打ち止めとし、オムツを履かせてやった。

昼、そのオムツを替えようとしたら

「…Rちゃん、おしっこ出てないの?」

「でない!」

オムツが全くのサラサラだったのである。サラサラのサラサーティ。多い日も安心どころか少なくて心配。

「嫁、R全然してないよう。さっきのがトラウマになってしまったのかよう」

「…かもしれない。おしっこするのが怖くなったのかもしれないね。あなたがあそこまでスパルタになるのは珍しいから。熱いから脱水症状気味って線もあるけど」

「R、ごめんよう。トイレには連れて行かないから、オムツの中でいっぱいしていいんだよ」

「…でない」

心配しながら1日を過ごしたが、なんと夜にまたオムツを交換しようとした時もRはしていなかったのだ。

「R~大丈夫か~。好きな時に好きなところでしていいからね」

「…でない」

Rのこの言葉を今日何回聞いたことか。何故僕は嫁が言ったように、珍しくあの場で熱くなってしまったのか。子供の成長を計るのに平均のデータは当てにならない。それは子供ひとりひとりによって違うから…と、いつも考えていたのに。

「○○ちゃんはトイレでできたよ」

などとRの同年代の子が着々と脱オムツしている話を聞いて、本当は焦っていたのかもしれない。しかしいくら強要してもRの心が耐えられなければダメなのだ。

…トイレが出来なくてもいいではないか。まだおむつを外せないけど、Rは自分の名前を大きな声で言える。リトミック(お遊戯)教室では踊りが一番うまいしリズム感もオタクDJの僕譲り(?)で抜群に良い。

「R、パパが悪かったよ…だっこしてあげるからね」

「ぱぱ、あそぼ~」

ああ、まだこの僕を父として慕ってくれるのか。その明るい性格が何よりの長所だよ。父は間違っておった。

お小水のことだけに、僕はお憔悴…。


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娘・Rは3才になった。

誕生日の朝、まだ寝ているRを起こそうと思った。さあ目覚めよ。目覚めた時から、君は3才だ。

「Rちゃん、起きて~!」

しかしRはしかめっ面をして目を閉じたまま首を横に振る。

開けようとしない。

「起きないの?」

頷くR。

「アンパンマン見ないの?」

再び頷く。Rは毎朝アンパンマンのビデオを見せろとせがむのだが、それにすら釣られないとは余程眠いのか。

「もうプレゼントあげちゃったら?」

台所から嫁の声が響く。僕が土曜日にヨコシマヤ百貨店(仮名)で買って来たものを隠してあるのだ。

「そうするか。どうせ夜帰って来れないし」

僕は隠し場所からプレゼントを取り出し

「ほらRちゃん、誕生日プレゼントだよ。中身はなんだろうなー?」

とRの目の前に置いたところ、ガバッと目を覚まし

「なんだろうねえ!!」

全く現金なもので、もう目をキラキラと輝かせていた。

「じゃあ開けるからねー」

「うん」

プレゼント用のラッピングを外す。

「あれ、ちょっと、待って…えーと」

なかなか気合の入った梱包で、しばし手間取る。

「ぱぱー、はやく、あけてよー」

Rちゃん、君は3才になってちょっと生意気になったね…。

「はい、これがプレゼントでーす」

ようやく梱包を解いて、プレゼントをご開帳。BRIOというおもちゃメーカーの機関車レールキットのうち、「踏切」と「トンネル」を買ってやった。汽車とレールはもともとあるので、それに付け加えることにより、Rはすぐに夢中になってしまった。もちろん息子・タク(9ヶ月)も一緒に遊んでいた。

そろそろ会社に行くか…と子供達の遊ぶ姿を見ながら腰を上げると、台所仕事を終えた嫁がやって来た。嫁はプレゼントが入っていた紙袋の中に、1枚のチラシが投げ込まれているのに気付き、それを見て言った。

「あら、ヨコシマヤで土曜日アンパンマンショーがあるんだって」

これを聞いたRが

「あんぱんまん、みるー!ぱぱ、あんぱんまんあんぱんまーん!」

新しいおもちゃに心を奪われて忘れていたのに、嫁のひとことで毎朝アンパンマンのビデオを見ることを思い出してしまったのだ。

「ごめん、もうパパは会社に行かなきゃ」

「うわあああん!うわあああん!ギャアアア!」

途端に爆竹のように泣き喚くR。せっかくほのぼのとした誕生日の朝だったのに、たった1枚のチラシと嫁のひとことで修羅場と化してしまった。おのれ赤い薔薇のヨコシマヤめ。

修復不可能なまま仕事に出る羽目になってしまった。

夜、やはり仕事が終わらなかったので、会社から家に電話を掛けた。嫁が出て、Rに替わってもらった。

「Rちゃん、誕生日おめでとうね」

「うん」

「じゃあママに替わって」

「うん」

「おお嫁、どうだった?今日のRは」

「いやー。お風呂の中でうんちしちゃってさー」

Rが3才になった日、我が家の風呂場はうんこく才になったようである。


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さらば、2歳の娘・R。

現在8月8日の朝。明日Rは3才の誕生日を迎える。仕事なのでRが起きている時間には帰って来れないだろう。すなわち会社に行くまでのこの時間が2才のRに会える最後の日なのだ。

「ああ、もう2才のお前とはお別れなんだね…R、よく顔を見せておくれ…」

「なにやってんだか」

嫁が鼻で笑っていた。

「もう僕は2才のRを見られないんだぞ。永遠に」

「3才になっても同じでしょうが!」

そりゃそうなんだけど。年齢などというものは人間が勝手に作った、目に見えない概念に過ぎず、実存するRは今日も明日も同じRである。しかしたとえ同じ人間でも、20才の誕生日を1秒でも過ぎれば表向きには大っぴらに酒が飲めるように、また、18才の時にギャルをナンパしてまぐわうのはOKでも、17才の時にやってしまうと逮捕されるように、やはり年齢は重要な区切りなのである。

「ぱぱ、あそんでー!」

Rがいつものように僕に甘えて来た。2才最後の日のRだ。なんだかとても名残惜しくなったので、

「R、パパにだっこさせておくれ」

ぎゅっと抱擁して仕事に行こうと思ったら

「だめ!」

思いっきり拒絶されてしまった。おのれ。ウチの女どもはどいつもこいつも。僕のセンチメンタルな思いに少しは同調してくれてもいいではないか。女って普段は叙情的なのに、変なところで恐ろしいほどドライなんだよなあ。それとも感傷的になるツボが全く違うのか。

「じゃ…次に会う時は3才だね、Rちゃん」

そんな誕生日イブであった。イブだけに愛撫したかった…。


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僕はセーラー服を探していた。

これだけ書くと危険人物に思われるかもしれないので、詳細を書くことにする。

練馬区一のセーラー服好きを自称する僕は、娘・R(2才)に着せるセーラー服を探しに、デパートの子供服売り場をうろついていて、時折水着やぱんつにも足を止めながら

「あらこれカワイイ」

などと手に取っていた。詳しく書いたら余計怪しい人物になったかもしれないがまあよい。何故セーラー服を探しているのかというと、元々ウチには

セーラー服R
こういうセーラー服があったのだが、ここ最近タンスの中で見かけないなあと思い嫁に聞いてみたら

「もう着れなくなったからリサイクルショップに売った」

とのことで大変落ち込んだのである。嫁よ、とんでもないことをしてくれた。セーラー服を売ってしまったら、その店はブルセラショップになってしまうではないか。初めて着たセーラー服であるし、着れなくなったとしてもずっと取っておきたいと思っていたのに。

「すぐ売れたみたいだよ」

「そりゃそうだろ…一応ブランド物だし。それに隠れセーラー服マニアのオヤジがどれだけいるか、君は知らぬ」

僕も知らないけど。

そんな訳でセーラー服を求めていたのだが、先程のヤツを買った時もそうだったが、いざ探すとなるとなかなかないものである。かと言って店の人に「セーラー服はありますか」と尋ねるのは本屋で「デラべっぴんありますか」と聞くことより恥ずかしい。

似たような物でブレザーはあった。紺色のブレザーばかりが置かれているコーナーがあり、そこには「お受験」と書かれていた。なるほど、お受験か。僕も就職活動の時スーツを買ったけれども、みんな紺だった。似たようなものなのかな。

「そうだ、お受験用にセーラー服を探しています、と聞くのはどうだろうか」

セーラー服もブレザーも紺色で、制服っぽい。お受験なんて考えたこともないので、セーラー服がお受験にふさわしいのかどうか知らないが、もっともな大義名分は立つ。

「しかしこの時期にお受験の学校(幼稚園)なんてあるのか?」

普通入試は2月頃であろう。まずい、ボロが出てしまう。ええい、アメリカンスクールを受験すると言ってしまえ。アメリカの入学式は9月だから、この時期でもおかしくなはい。

「この時期にお受験ですか?」

と店の人に聞かれても

「ええ、聖ドン・ガバチョ・アメリカン女学院を受けさせようと思いまして」

とでも答えておけば、怪しくないな!いや、充分怪しいかも…と延々悶々と考えていたが

「…どういったものをお探しで」

うわああああああ!ついに店の人から声をかけられてしまい、逃げ出しそうになった。ええい、ここまで来たらもうストレートに聞くしかない。

「セーラー服を探しているのです」

「あの、お子様用ですよね」

「はい」

僕が着るわけないだろうが。

「すいません、ないですねー」

だったら最初にそう言え。

このやりとりだけでもう真っ白に燃え尽きてしまい、これ以上探す気力がなくなってしまった。

嫁とRが大好きなハーゲンダッツのアイスを、内緒で買い食いして帰ったのであった。もしセーラー服があれば…

Rに着せて月に代わってお仕置きしてもらうのに…。


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「Rちゃん、うみ、みたいの」

娘・R(2才)がポツリと儚げに言うものだから、これは連れて行かなければなるまいと思い、海に行ってきた。

何回か海に連れて行ったことがあるのだけれども、いずれも怖がって波打ち際まで行くことすら大変であった。しかし自分から行きたいということは、今年はその恐怖に打ち勝つことが出来るのだろうか。そして息子・タク(9ヶ月)は生まれて初めての海である。どんな反応を見せてくれるだろうか。

そんな期待を込め到着した。見よ、視界いっぱいに広がる大海原。そしてオッパイ。海には若いギャルがわんさかいて、彼女らの水着の殆どがビキニであった。たわわなふたつの胸のふくらみを惜しげもなく揺らして歩いている。

…来て良かった!

更にはTバックの水着の人もいて、感動のあまりデジカメで撮ってしまった。

Tバック
ウホッ。

さて、早速子供達を遊ばせることにした。ところが…

「うわあああん!こわい!こわい!」

足元に波がかかっただけで号泣するR。きょ、去年と同じではないか…。

海にちょっとでも入ろうとすると大泣き。仕方なく波が押し寄せてこないところまで後退してゴソゴソと砂遊びをするに留まった。

一方でタクは初めての海なのに、家にいるのと全く同じペースでハイハイで砂浜を駆け巡り、

「うわータク、すごいねー。ちっとも怖がらないよ」

嫁と僕を驚かせた。それどころか産卵を終えたウミガメのように、ごく自然に沖に向かって一直線に歩いていくので慌てて抱き上げたほどである。

水着タク
海を背にRと並んで座るタク。その逞しさからか、姉を守って遊んでいるようにも見えた。

波の谷間に命の花が~ふたつ並んで咲いている~。

鳥羽一郎の「兄弟舟」の歌詞が思わず口から出てしまった。

水着R
Rはもうこんな笑顔を見せるのはビーチパラソルの下でだけだったので、タクのみを抱いて海に浸からせて遊んだ。

「あ、ごめん波が顔にかかっちゃったね」

「あうー!」

全く泣きもしないどころか気合が入っているように見えたタクは本当にウミガメの生まれ変わりなのかもしれない。

「そろそろ昼寝の時間だし、帰ろうか」

ひと通り遊び倒し、帰る前に海の家でシャワーを借りた。そのシャワー室の前で見たものは…シャワーを待つギャルの行列であった。

何が凄いって全員ビキニ。もうオッパイの二列縦隊。10メートル先までオッパイオッパイオッパイ。あれはRの5年後、あれは10年後…と思わず品定めしてしまった。

冒頭でも書いたが、ビキニのギャルしかいなかった。若い女の子は判で押したように皆ビキニ。スタイルも抜群。ビキニでない人もちらほら見受けられたが、それはうちの嫁のように第一線を退いた子連れのママさんばかりである。ビキニを着たくない女の子もいるだろうに…そういった子達は海に来ないのだろうか?

それともこの海岸には、「生類憐みの令」を定めた徳川綱吉のような将軍がおり、「オッパイ憐れみの令」を定め、オッパイを強調した水着以外で泳ぐことはまかりならぬ、という取り締まりをしているのだろうか。まさにエロ幕府!

波の谷間に乳房の花が~ふたつ並んで咲いている~。


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日記を書く前に、メールを頂いた方おふたりにお返事を。

まず某鉄道職員の「鉄道員」さん。

「自動改札の児童考察」で「小さな子が通り過ぎても自動改札は閉まらない?」という疑問に答えて頂きました。「間違いがあるかも」とのことですが、有用な情報ですしメール文転載の許可を頂きましたので紹介します。

ここから↓

自動改札の人間検知ですが、人間検知センサは複数個ありまして、それらのセンサからの検知結果を判定して閉扉・開扉動作をしているわけです。

身長何ミリで閉扉動作になるのかは設定次第かと思いますが、基本的に800ミリくらいのお子さんの場合、ドアがラリアットを食らわすのを防ぐため開扉のままとなるようです(何ミリから閉扉になるかは不明)

また、東芝の新型自動改札機は有人改札内の監視盤からリセット操作できる仕様です(私が勤務してる会社の場合)。電源の入切も遠隔操作できますが、反応にえらく時間がかかる(特に起動は3分ほどかかります)ので滅多なことでは電源は操作しません。

ここまで↑

これで安心して子供と改札を通れます。ありがとうございました。

続いて「だっちょー」さん。

メール返信をしたら宛先不明でしたのでここでお返事させていただきます。

「女は女に生まれるのではない。女に、なるのだ」と8/3の日記に書きましたが、これは僕のオリジナルではありません。ボーボワールの「第二の性」という本の言葉です。どうもすいません。

では以下日記でごんす↓


休日出勤した土曜日の朝、嫁は一言も口を聞いてくれず、出勤と共に失禁もしてしまいそうなほど恐ろしかった。

本当は娘・R(2才)と、以前隣に住んでいたジェームス君一家の娘っ子・サリーちゃんの合同誕生パーティーの予定だったのである。

サリーちゃんはRと誕生日が1週間違いで、イングランド人ジェームス君と日本人の奥さんとのハーフっ子。最近やばいくらい可愛くなって来ている。何がやばいのかというと、あと10年後ぐらいに僕がストーカーしそうでやばい。

パーティーはジェームス家で行なわれるので、急遽ひとりでRと息子・タク(9ヶ月)を率いて電車を乗り継いでいく羽目になった嫁は、僕を恨んでいるに違いない。

溜まった仕事よりそっちを考える方が気が重かったのだが、帰って来ると

「あなた、行かなくて正解だったかもよ」

と嫁が言うのだった。

「なんでー」

「ジェームス君の友達の家族がもう1組来てたんだけど、そこも外人さんの旦那さんと日本人の奥さんでね」

「みんなワールドワイドだねー。うちだけ日本ローカルなのかよ」

「その旦那さんとジェームス君、英語でずっと喋ってたから、あなた居場所なかったかも」

確かに。小さな子供達は言葉など関係なく遊んでいただろう。奥様方3人は日本人だけれども、女は女同士で盛り上がるだろう。その有閑マダム達の輪に勇敢に斬り込んでいくのは難しい。うちの嫁がまぐわらせてくれないんザマス、オホホホホ、などと話しても輪に溶け込めまい。

そして英語で盛り上がるジェームス君ともうひとりの外人さん旦那。ここでも会話に入れず取り残された僕。身の置き場がなく、ひとりでコックリさんでもするしかない僕の姿が目に浮かぶ。

「あとね、帰りの時にタクをおぶってRをベビーカーに乗せて階段を降りようとしたら、『持ちましょうか?』って担いでくれた人がいたの!」

「へー。親切だねえ」

「その人、すごいイケメンだったのー!ステキだった…」

もう嫁の頭の中では僕がいようがいまいが、どうでもよくなっているようであった。

僕も今度生まれ変わるとしたらイングランド人かイケメンランド人になりたいと思う。


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ここ何日か深夜までの仕事が続き、家に帰ってからネットを繋いだが、すぐたらそのまま寝落ちしてしまったようだ。

金曜日の朝、扉を叩く音で目が覚めた。開けると娘・R(2才)と息子・タク(9ヶ月)が並んでバシバシ扉にアタックしていたのであった。

「ぱぱ、あそんで~!!」

しかし僕はどうしても眠気と疲れが全く取れておらず、とても子供達と遊べる体力気力がなかった。

「ごめん、あと30分寝させて」

改めて布団に寝転るとRやタクがドカドカ僕を叩きまくったが、それも全く眠りの障害にならず、ガーガー寝直してしまった。ああ、僕は遂に

「パパ遊びに連れてって~」

「疲れてるんだ、寝かせてくれよ」

という典型的なダメオヤジになってしまった。テレビやマンガではよく見るけれども、なるほどこうしてそのようになってしまうのか。頭では分かっているけれど、体が動かないのだ。しかもあと30分寝たところで遊びに連れて行けるわけではない。仕事だ。

30分後、無情な目覚ましが鳴ったのでのろのろと起きて、出掛ける支度をする。

「パパは会社に行って来るからね」

「ぱぱー。ダンスしてあそぶー。アンパンマン見るー」

絶対Rが愚図ることは分かっていたことだった。しかし体力も気力も時間も、何ひとつ余裕がない。許せR。

「Rちゃんは、ままと、たっくんと、待ってるからね」

泣きながらRは言った。嫁によると、Rはいつも僕の帰りを待っているのだという。

「ぱぱ、こないねえ」

と言いながら眠りにつくのだそうだ。

「Rちゃん、待ってるからね」

「…」

待ってるから早く帰って来てね、というささやかな願い。今日も叶えてやれそうにないな…と思って返事が出来なかった。案の定、この日も帰りは深夜になり、しかも土曜休日出勤のおまけ付きとなってしまった。

愛する者達を養うために愛する者達との時間を犠牲にしなければならぬ。

愛ゆえに人は悲しまねばならぬ。 愛ゆえに人は苦しまねばならぬ。ならば愛などいらぬ。

聖帝サウザーはこう嘆いたが、世の親父達も同じ苦悩を背負っているのである。されどこの子達に愛のぬくもりを与えるために、愛を放棄してはならない。

わたし、待ってる、いつまでも待ってる、というけなげなR。

のちの「あみん」である(嘘)


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娘・Rは来週3才の誕生日を迎える。

「Rちゃん、もうすぐ3才になるんだよ。誕生日だよ」

と言っても

「?」

イマイチ分からないようであったが、ここ数日で嫁がいろいろと教えたらしく、

「Rちゃん、はっぴーばーすでー、なのよー」

とか

「Rちゃん、けーき、たべるのー。いちごがいっぱいの、けーきがいいなー」

などと言うようになった。

「そうかそうか。イチゴのケーキがいいのかー」

「ぱぱ、かって?」

「はううううう!」

この時のRの、上目遣いで思いっきりシナを作っておねだりをする様に、僕は図キューんと心を打ち抜かれた。

何せ初めて「買って?」と言われたのである。Rはあまり物欲がないのか、たとえばおもちゃ屋に行っても「欲しい」とか「買って」とかダダをこねないのである。それだけに初めて言われたこの一言は新鮮で抜群のおねだり効果を上げたといえよう。

あああ、恐ろしいことに何でも買ってやろうという気持ちになってしまっている。借金まみれになってもキャバクラ嬢に貢ぎまくる男の気持ちというのはこんなものであろうか。

3才の誕生日を迎えるにあたり、Rは去年よりしゃべれる言葉や出来るようになったことが増えたのは当然だけれども、なんだか女の子らしさを武器に父をたらしこめる技術も格段にアップしてきたような気がする。

来年はもっと手強くなっているだろうなあ。女の子は恐るべし。

女は女に生まれるのではない。女に、なるのだ。


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娘・R(2才)にメロメロの大甘な態度を取っていたらとうとう嫁に苦言を吐かれてしまった。

朝、出勤前にRにアンパンマンを見せていたのだが、

「はい、お父さん会社行くからおしまいね!」

「だめ!みるの!」

という駄々をこねるやりとりはもう何度も書いたと思うが、今日もスパッと断ることが出来ず

「じゃあアンパンマン音頭を見た見たらおしまいね」

「うん」

「はい終わったよ。おしまい」

「だめ!みるの」

「えー。じゃあドキンちゃんの歌を見たらおしまいね」

「うん」

「はい終わったよ。おしまい」

「だめ!見るの」

どうにも止まらない無限ループにはまってしまった。ああ、僕はなんてダメな親なんだろう。本来ならとっくに雷を落としておくべきなのに、出来ないのはどうしてだろうか。おそらくRの涙を見たくない、というのが根底にあるのだと思う。しかしそれは本当のしつけではないよね…とぐだぐだやっていたら

「もうっ!R!おしまいと言ったらおしまいなのよ!」

「うわあああん!」

とうとう僕より先に嫁の雷が落ちた。ああ、結局Rの目からは怒涛の涙が…。そして僕にも雷が落ちた。

「あなたがそうやって『おしまい』って言ってるのにダラダラ見せるから、『おしまい』の意味が分からなくなってるの!」

「うわあ。ごめんよー」

僕も泣きたくなってきた。涙、涙のダメダメしつけ物語。

ナミダこりゃ。


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家でタバコを吸う時は、窓を開けてそこから身を乗り出して吸っているのだが。今日もそうしようと窓辺でプカーとやっていたところ、

「ぱぱー」

娘・R(2才)がやって来た。

「R、隣の部屋に行ってなさい。パパタバコ吸っているから」

僕は出来るだけRを遠ざけようとしたのだが、

「だめ!ぱぱ、たばこすっちゃだめなの!!」

なんと僕にタバコを止めろと言うではないか。まさか2才の幼児が嫌煙権を発動するとは…。

「えー。一本吸わせてよー」

「だめ!たばこ、めーよ!!」

「はいはい、分かりました」

取り敢えずこの場はタバコの火を消して、少し間をおいてそーっとまた窓辺に行くと、再び

「ぱぱ、たばこ、だめ!」

どうしよう。どうやらRは本気のようだ。おまけに息子・タク(9ヶ月)もハイハイで付いて来て「あうあう」言っているし。何がきっかけでRはタバコ阻止を始めたのであろうか。隣の部屋のベランダで吸おうとしても、Rもガラス戸を開けて出てきてしまうし。

タバコを吸う度に付きまとわれるようになってしまった。Rが禁煙運動を表明したことに対し、僕は

「決して扉を開けてはいけません…」

「ぱぱ!めーよ!めーよ!」

付きまとい禁止運動を展開することにする。

これをノー・ストーキングといいます。


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