めんこい小娘。ハイド排尿丘の道。


「おしっこー!」

娘・R(3才)が朝一番で叫んだ。おむつに垂れ流しっ子だったRも、ようやくトイレでおしっこ出来るまで成長しつつある。「おしっこ」とストレートに書くのも無粋である。もっとおしゃれな書き方はないものか。「045」とか。それじゃ横浜の電話番号だ。

「はいはい、トイレ行きましょうね」

嫁がRの手を引いて連れて行こうとする。昨晩は僕と行ったが出来なかった。今日はどうだろうか…と見ていたところ

「ぱぱと!ぱぱとトイレいくの!」

Rは僕を指名してきた。そうか、この父と放尿プレイを楽しみたいのだな。

「よしよし、じゃあパパと行こうね」

連日Rとトイレに篭ることとなった。

「さて、今日はできるかな?」

と僕が身構える間もなく、

「でた」

Rの恥丘からしーっと出たではないか。

「おお。これぞ尿(ゆばり)ーヒルズ。Rちゃんすごいねー」

Rの恥丘から迸る尿の放物線は、栄光への架け橋だ。たかが尿の流れ一筋にこれほどの愛しさを覚えたことはない。昔、吉田戦車のマンガで、若い男が公衆便所で立小便をしていたところ、ひとりのおじさんが背後に立ち

「お若いあなたと中年の私の尿の流れが、今、ひとつに」

後ろから尿を合流させるという話があったが、その気持ちも今なら分かる。ああ、僕も将来Rと連れしょんしたい。しかしやってしまったら親権を奪われること請け合い。

ともかく今までのトイレでのグダグダがウソのようにすんなりいくとは…。転んでばかりいた自転車が、ふとした時にすーっと乗れるようになるが如く、人の成長というのは得てしてそんなものである。

「実は、こないだひどいことしちゃってさあ…」

この様子を眺めていた嫁が申し訳なさそうに言った。

「何をしたんだよ」

と聞いてもなかなか口を割らず断片的な事しか言わない嫁であったが、どうやらなかなかトイレで出来ないことにブチ切れた嫁が

「どうして出来ないのよ!」

と泣き叫び、それを見たRが更に号泣する、という修羅場がこの狭いトイレの中であったらしい。もしかしたら2、3発手が出たのかもしれない。まあ甘甘ちゃんのRには時には星一徹のような熱血教育も必要である。

血の尿流せ、涙を拭くな。ゆけゆけR、どんとゆけ。

あ、血尿はまずいか。


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