神代植物公園のスイレン
6/1/2021/TUE
5月のアクセス解析
5月のアクセス解析 アクセス数ランキング

突然、2002年に書いた児童書『シキュロスの剣』(泉啓子)の感想文がランクインした。理由はわからない。ベストテンの残りは毎月の常連。

アクセス数は3,000以下。「このウェブ世界の片隅に」、という感じ。

表紙にはアクセスがあっても、そこから先へは進んでもらえていない。

先月は『君の膵臓をたべたい』月間だった。映画から原作とアニメサントラ盤オフィシャルガイドブックまでたくさん書いたけどほとんど読まれていない。

一番読まれている映画の感想でも、Twitterで告知を3度したにもかかわらず、ベストテンにも入らないし、アクセス数は50に届かない。

そもそも、箱庭と呼んでいる5月のブログが読まれていない。検索して見つけた文章に直接来る人はいても、継続して読んでいる人はほとんどいないとみえる。

気にならないと言えば嘘になるけど、文章は自分のために書いていることを忘れてはいけない。見えない読者に遠慮したり忖度したりする必要はない。書きたいことを書けばいい。

アクセス数は参考直でしかないのだから。

『君の膵臓をたべたい』の感想は、中井久夫『徴候・記憶・外傷』ドナ・シャーマン『親と死別した子どもたちへ』の感想に匹敵するくらい、私が書いてきた文章のなかでも私自身にとって、とても重要なものと思っている。ブクログでも、最上段に置いた。

言葉を換えれば、3本の文章はどれも重たい。また、真実と本心を書いているので、すこし恥ずかしい気もする。読んでほしいような、読んでもらいたくないような、複雑な気持ち。

だから、この程度の読者数でちょうどいいのかもしれない。


さくいん:泉啓子『君の膵臓をたべたい』中井久夫


6/2/2021/WED
紫陽花の季節
青い紫陽花 紫の紫陽花

今年初めて見つけた紫陽花の写真を掲げておく。

1枚目は前に住んでいた団地で見つけた。2枚目は横浜の実家の庭で咲いていた。


6/3/2021/THU
Oceans 11, Directed by Steven Soderbergh, Produced by Jerry Weintraub, Starring George Clooney, Brad Pitt, et al., Warner Bros, 2001
Oceans 11

先週末、気軽に観られる作品を映画通に訊いて紹介してもらった。寛いだ日曜にちょうどよい作品だった。

主人公たちがほとんどピンチに陥らず、鮮やかに事を進めていく様子が痛快。

ラス・ベガスが懐かしい。2002年から2005年までの4年間、毎年、1月にラス・ベガスに行っていた。もちろん仕事で。宿泊はいつもMGMだった。

カジノではほとんど遊ばなかったけど、あの華やかで騒々しい雰囲気には親しみがある。

会社の金で、豪華なホテルに泊まり、豪勢な食事をして、華やかな街並みを散歩した。

いい時代だった。仲間にも恵まれて楽しく仕事をしていた。

巨大見本市はコロナ禍でオンライン開催になったし、仮に今も同じ業界にとどまっていられたとしても、あんな出張はもうできないだろう。

もっとも、その「仮に」という前提にはまったく意味がない。


さくいん:ラス・ベガス


6/4/2021/FRI
メガネ新調
新しいメガネ

新しくメガネを作った。10年以上使っている今のメガネは、昨年の健康診断で視力が出ていないと警告された。フレームも10年使ったのでだいぶ疲れている。

新しいフレームはプラスチック製で、色はブルーグレー。これまでのメタルフレームからは印象がだいぶ変わった。

メガネは小学生の頃からかけている。一時期コンタクトレンズも使っていた。ソフトレンズでも目が赤くなり、泣いたような顔になるので、コンタクトレンズはやめた。

新しいメガネは遠近ともによく見える。ところが、中距離のパソコンの画面が見づらい。

パソコン用には別のメガネを持っている。文庫本を読むときにはメガネの上にメガネ型のルーペをかける。

結局、複数のメガネを使い分けることは変わらない。


6/5/2021/SAT
Twitterカード

ツィートにURLを貼り付けてもほとんどクリックされない。そこで、見映えのいいTwitterカードを作ることにした。これでクリック率は数パーセント上がるらしい。

公式ページを含めていろいろなサイトを参考にして、ひとまずカードはできた。残る問題はツィートにURLが残ってしまうこと。

これは、文字列の最後尾にURLを置くとツィート後に非表示になることがわかった。

これですっきり、カードだけが表示される。

ようやくわかった、Twitterカードの仕組み。


作ってみたTwitterカード。


6/7/2021/MON
受贈記念 コレクター寺田小太郎―難波田龍起、相笠昌義を中心に―、早稲田大学 會津八一記念博物館、東京都新宿区
會津八一記念博物館

雨の日曜日、難波田龍起を見るために早稲田大学まで出かけた。

寺田コレクションは前にオペラティーのギャラリーで見たことがある。

「心象風景」がよかった。大川美術館で見た作品よりずっと小さいけれど、好みの色合い。

二人の息子を亡くしたあとに描いたと解説にある。柔らかな線で構成され、青のグラデーションが混じりあっている。難波田にとって悲しみは青い色をしていたのだろうか。

相笠昌義の日常生活シリーズ、「駅にて」の昼と夜もよかった。たくさん人はいるのに誰も他の人と視線を合わせず、心も通じ合わせていない都会の人波。寄り添っている恋人のような二人連れまで心は離れ離れに見える。

エドワード・ホッパーの"Night Hawks"の日本版という感じがした。

よい展覧会で無料というのにほかの観覧者はいなかった。大学の歴史を見せる歴史ミュージアムも見た。歴史も古く、超大規模の大学の全容はわかりづらい。

学生街にはラーメン屋がたくさんある。老舗が休業だったので人が並んでいる店を選んで、「鶏つけそば」を食べて帰った。


さくいん:難波田龍起相笠昌義エドワード・ホッパー


6/8/2021/TUE
15年前、何をしていたか
徴候・記憶・外傷

Twitterで、#おまいら15年前何してたよ、というタグがまわってきた。

ツィートしてみようかと考えたあとで、160字では収まらない気がしてやめて、ここに書くことにした。

2006年の6月に、中井久夫『徴候・記憶・外傷(sign, memory, trauma)』を読んだ。本書をきっかけにしてトラウマやPTSDについて考えはじめた。

まだ、うつ病にはなっていなかった。ただ、定期的にひどく落ち込んだり、悲しい気持ちになることが気になっていた。その原因は十代の頃にあるのではないか、と考えはじめたのがこの頃。トラウマとまでは言い切れないまでも、ある二つの出来事が私の成育に大きな影を落としている、そう思いはじめた。

中井久夫を読んだことは、その後の私のものの見方、考え方に大きな影響を与えた。

うつ病になる前にメンタルヘルスに関心を寄せていたことに、自分でも驚いてる。

トラウマレジリエンスPTG

そういう言葉に興味を持つきっかけになったのがこの本だった。

いつかはたどり着く場所だった、ということだろうか。


さくいん:中井久夫うつ病


6/9/2021/WED
15年前、どんな暮らしをしていたか

昨日のつづき。15年前の日常を思い出してみる。

朝は7時半ごろ、クルマで出勤。運転時間は30分ほど。

当時働いていた会社はすでに潰れかけていて、営業活動する新製品もなかったので、出勤はしても仕事はほとんどなかった。4人の社員は、会社がどこか大きな会社に買収されることを期待して本社からの報せを待っていた。

2003年から2005年にかけてはそれなりに忙しく、毎週、関西に泊まりで出張していた。あの頃は、夜の新地でもよく遊んだ。シンガポールシリコンバレーにもよく出張していた。

あまりにもヒマなので始めたのが、『森有正エッセー集成』さくいん作り。朝から夕方まで、文庫本を1ページずつ精読して索引を作った。それくらいヒマだった。

18時に退社して帰宅。まだ子どもは小さかったので、日の長い夏には帰宅してから公園でキャッチボールをした

米国本社の上司から、どこにも買収されない可能性もあるので「転職活動をはじめよ」という指示も来ていた。会社はどこにも買ってもらえず、結局、12月に倒産することになる。

転職活動は5月には始めていた。同じ業界の大手企業から内定をもらったのは12月の半ば。ギリギリのタイミングだった。クリスマスの朝、出勤したときに「倒産した」と伝えられたことをよく覚えている。このクリスマスの思い出は2009年まで払拭されなかった。

何とか転職はできたものの、この会社では2年後に整理解雇された

15年前、2006年は、未来に不安はあったものの、心理的、経済的には今よりずっと余裕のある暮らしをしていた。それで満足していた。

結局、私はバリバリ働くことができない人間だった。


追記。

小学生の子どもを連れてブリュッセルに旅行したのも2006年のことだった。


さくいん:日常森有正労働ブリュッセル


6/11/2021/FRI
膵臓忌

今日は山内桜良の命日(映画版。原作では8月18日)。

春樹と初めて言葉を交わしたのは4月12日だから、二人の交際はわずか二ヶ月だったことになる。

桜良の冥福を祈りながら、深夜に一人、実家で映画を再見した。


さくいん:『君の膵臓をたべたい』


6/12/2021/SAT
恋は雨上がりのように、眉月じゅん原作、永井聡監督、小松菜奈、大泉洋ほか出演、東宝、2018
恋は雨上がりのように

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を観た人へおすすめされていた作品。小松菜奈つながり。

面白かった。高校生が中年男性に恋するという設定は、元気そうなのに余命が一年という設定より無理がある気がしたけど。恋に恋する年頃、ということなのかもしれない。

オレは何をやっても中途半端なんだ

この台詞は耳が痛かった。

「夢をあきらめない」ではなくて「好きなことに執着する」

言いたいことはわかるけれど、それこそ50を過ぎたうつ病非正規社員のオッサンは、一体何に執着すればいいのだろう。

今の私に何か執着したいものがあるだろうか。毎日何かしら書いているので、「書く」ということには執着しているかもしれない。その先に夢がある。

本をつくる

確かにそれは夢としてある。どうすれば実現できるかはわからない。最近は気分が不安定なせいで、どうでもよくなっている

自分の心はまだスッキリしないけど、この映画は、見終えたあとにさわやかな感じが残る作品だった。

悲しみに沈んでいた気持ちも少し浮上した。

気分を落ち込ませず安定させるためには、こんな感じの軽快な映画をもっと見るといいのかもしれない。

横浜、それも京急線沿い、能見台駅が舞台、ということもよかった。


さくいん:横浜京浜急行


6/14/2021/MON
フラッシュバック

フラッシュバックとは、過去の光景が目前によみがえることと思っていた。

そうではなかった、少なくとも私の場合。

過去の、あの日あの時の「感情」が腹の底から喉元へ迫り上がってくる。

何も手につかず、気もそぞろな日が続いている。


6/15/2021/TUE
クールベと海汐留ミュージアム、東京都港区
「クールベと海」展

先週、金曜日を午後を休みにして、美術館へ行った。平日で時間予約制というのに会場は大混雑。

クールベは大学受験の模試で間違えて以来、忘れられない画家。展覧会には必ず行く。

初めてクールベの作品を見たのは、高校の修学旅行で行った大原美術館。そのときに見たのは「秋の海」だった。

どの作品も、波が砕けて白い波頭がうねっている荒々しい海を描写している。

少し趣きの違う静かな海岸を描いた「エトルタ海岸、夕日」もよかった。

いつもクールベの作品を観て思うのは、過剰なほど自信に満ちた迷いのないタッチ。写実主義であるとともに、描いている自己を意識させる実存主義を感じる。今回、観たいずれの作品も強烈に画家の自我を感じさせる力強さを感じさせた。

ところが、パリ・コミューン以後、亡命を余儀なくされた晩年、海のないスイスで描いた海にはその力強さがなかった。不遇の晩年が偲ばれた。


さくいん:ギュスターブ・クールベ


6/16/2021/WED
当事者研究

考えてみれば、私がここに書いている一連の文章は、ある意味で、当事者研究と呼べるものかもしれない。

何の当事者なのかは、ここではあえて書かないでおく。


6/17/2021/THU
『キミスイ』卒業

ようやく、『君の膵臓をたべたい』を毎日観ずにいられない習慣が止まった。もっとも、まだ好きな場面を選んでときどき観ている。観ても泣いてしまうことに変わりはない

『アリバイ崩し承ります』『思い、思われ、ふり、ふられ』など、浜辺美波を他の作品でも観て、山内桜良とぴったり重なっていたイメージから一人の女優へと落ち着いてきた。


ふと、思う。

もし、桜良が不治の病ではなくて、健康な、ふつうの高校生で、ただ通り魔に殺されていたなら、どんなシナリオになっていただろう。

もし、彼女の死が、遺書もない突然の自死だったら、小説や映画にできただろうか。

そんな仮定に意味はないだろうか。

でも、世の中にはそんな風に、事故や犯罪や自死で大切な人を失くした人はきっと少なくない。彼らの死別体験は、彼らの悲嘆は、「物語」として語りうるものになるだろうか

映画は観なくなったけれど、この映画がきっかけになった記憶の蘇り猛烈な悲嘆モードからはまだ脱出することができていない。


さくいん:『君の膵臓をたべたい』自死・自死遺族悲嘆


6/19/2021/SAT
思い、思われ、ふり、ふられ、咲坂伊緒、集英社、2015 - 2016
思い、思われ、ふり、ふられ 第1巻

実写映画が良かったので書店で原作を立ち読みしてみた。

読めなかった。

人物が判別できない。誰の台詞かわからない。どのコマから読めばいいのかわからない。時々現れるギャグ調の顔になじめない。

本を読むよりずっと時間がかかる。

こんなに漫画リテラシーが低いとは思わなかった。

いつか再挑戦したい。


さくいん:咲坂伊織


6/21/2021/MON
夏至の日
夏至の日の青空 夏至の日の太陽 夏至の日の夕日 夏至の日の月

夏至の日。仕事を終えて外へ出た。涼しくて快い。

はっらぱのある大きな公園まで歩いた。青空が広い。

今日はサッカー少年たちはいない。静かな夕暮れの公園。

コンビニで缶ビールとコロッケを買う。駐車場で一服。

これが私の休息時間。


6/22/2021/TUE
江戸から東京へ-地図にみる都市の歴史東洋文庫ミュージアム、東京都文京区
モリソン書庫 モリソン書庫 蘭亭序 知恵の小径

土曜日、そぼ降る雨の中、東洋文庫ミュージアムへ行った。

モリソン書庫はいつ来ても心が落ち着く。今回はいつもと違う角度から撮ってみた。

所蔵品からの展示では、王羲之「蘭亭序」を見ることができた。

企画展では東京の広さをあらためて感じた。東京は歴史とともにどんどん広くなってきた。

今住んでいる東京の西部は武蔵国ではあっても江戸ではない。江戸の範囲は朱引と呼ばれ、現在の山手線の範囲。そこから西は多摩と呼ばれていた。

現在では東京のふりをしているけれど、元々は多摩だったところに住んでいることになる。

だから、東京人を気取るようなことはしてはいけない。私は多摩人だから。

江戸の範囲

さくいん:東洋文庫ミュージアム東京


6/23/2021/WED
子羊のグリル

土曜日東洋文庫ミュージアムへ行った帰りに新宿三丁目で百貨店に寄った。目的は父の日ディナーの材料を買うこと。買うものはラムチョップと決めてあった。

先週、羊肉は健康によいとテレビで見たので急に食べたくなった。以前は近所のスーパーでよく見かけたのだけど、そのスーパーが閉店になってからは買って食べたことはない。好きな料理なのでレストランでは「羊肉のグリル」をよく食べる。

美味しいラムチョップの焼き方。

  1. 脂のついた(骨のある)面を焼く
  2. ひっくり返してフライパンの縁にかけて赤身の部分を焼く
  3. 横に倒し、弱火で中までじっくり焼き上げる

付け合わせは蒸し野菜。ブロッコリー、にんじん、アスパラガス。葡萄屋が閉店する時に買ったヴィンテージの白い皿に盛り付けた。

酒は安いシャルドネ。

味は上出来。家族にも好評だった。

せっかく美味しくできたのに写真を撮るのを忘れてしまった。


6/24/2021/THU
カウンセリングについてのカウンセリング

今、カウンセリングを受けるべきかどうか。

カウンセリングを受けられる心理状態にあるかどうか。

まず、そういうことをカウンセラーに相談したい。

精神科の先生はこの問いに答えてくれるだろうか。

自分では、心理状態は安定していてうつや理解不能な不安もないと思っている。その一方、強い悲嘆モードが続いているので、誰か聴くことが上手な人に話を聴いてもらいたい。


6/25/2021/FRI
思い、思われ、ふり、ふられ 2, 4、咲坂伊緒、集英社、2015
思い、思われ、ふり、ふられ 2 思い、思われ、ふり、ふられ 4

先日、書店で立ち読みしたときは、久しぶりの漫画を読みこなすことができなかった。

図書館で検索したら、サントラ盤がない代わりにコミック版が所蔵されていたので、借りられる巻から借りてきた。ストーリーは知っているので、どこから読んでもいい。

腰を据えてじっくり読んだ。ゆっくり読めば読むことができた。面白い。原作もいい。

映画に採用した場面、しなかった場面、映画の名場面をつなげる台詞と表情。原作あっての映画ということがよくわかった。

同時に、原作の中核を凝縮した映画の構成がよくできていることを再認識した。

2巻と4巻を最初に読めたこともよかった。2巻には由奈が理央にふってもらう場面がある。4巻には由奈が理央を叱る場面がある。どちらも映画で印象に残った場面。

原作を2冊読んでから、映画を観直した。

映画と漫画、比較は難しい。映画には音楽と演技、情景描写、そしてテンポのよい展開がある。原作には映画に入らなかった多数のエピソードがあり、それだけ物語は複雑で深い。

4人の心情を絡ませながらも均等に描いている原作は素晴らしい。『君の膵臓をたべたい』同様に、原作と映画は相互補完的で二つの一つの作品と考えたい。


さくいん:咲坂伊織初恋『君の膵臓をたべたい』


6/26/2021/SAT
上田司さんのこと

5月19日に上田司さんが亡くなったという報せを受けた。

上田司さんは、よく行くライブハウスのハウスバンドのリーダー。その店には通いはじめてかれこれ30年になる。

30年、音楽で楽しませてくれた。励ましてくれた。

早すぎる別れに正直、別れの言葉が出てこない。

ありがとう、司さん。


さくいん:ケネディハウス銀座


6/28/2021/MON
ストロボエッジ、咲坂伊織原作、廣木隆一監督、桑村さや香脚本、福士蒼汰、有村架純ほか出演、東宝、2015
ストロボエッジ

咲坂伊織原作作品を映画やアニメで続けて観てきた。この作品は『思い、思われ、ふり、ふられ』『アオハライド』のような群像劇ではなく、一対一の恋愛物語の王道。

片想い、二人から告白、邪魔をする恋敵など、恋愛モノに不可欠な要素がたっぷりと盛り込まれている。そういう意味で、観たあとに十分、満足感が得られた。

でも、どの場面が好きか、思い出そうとすると、お決まりの「走って会いに行って告白」のラストシーン以外はあまりに印象に残っていない。他の2作品では記憶に残る場面がいくつもある。

ストレートと言えばそうだろうし、一本調子と言えなくもない。観る順番が逆だったかもしれない。『ストロボエッジ』『アオハライド』『思い、思われ』の順番で観ていたら、この作品に対する評価はもっと高かっただろう。

最近、キュンキュンする青春恋愛モノにハマっているのはなぜだろう。本は最近、ほとんど読んでいない。湿った季節に湿った気分。そんな状況で爽快感を求めているのかもしれない。そうとしたら、どの作品もいい効果をもたらしてくれた。

高校生が主役の作品を観ても、キラキラしたエピソードも思い出さないけれど、特に悪い記憶を思い出すこともない。何も思い出さない、という言い方が一番近い。高校時代3年間の記憶はどういうわけか、とても薄い

咲坂作品の中でも、青春三部作と呼ばれる作品を観てきた。私の好みは実写映画『思い、思われ、ふり、ふられ』

4人の思いが交錯する展開が複雑で見応えがあるし、映像と音楽がとてもきれいだった。


さくいん:咲坂伊織


6/29/2021/TUE
死ぬまでにしたいこと

今、余命1年と宣告されたら、何をするだろうか。

一言で言えば、「もう一度、旅行したかったなぁ」。旅したいところは他にもあるから、生涯を終える時には「あそこにも行きたかった」と後悔するのだろう。

ほかにもあるけど、ここには書けないことなので割愛。

あとは今の日常が最後まで続けば、それでいい。

それでは、したいことに向かって、私は準備を進めているだろうか。

旅行はお金と時間があればできる。節約して貯金して投資して、増やす努力はしている。

問題は「本作り」。作りたいと思っているだけで、何の準備もしていない。

ただ作るだけならお金さえ出せばできることは知っている。でも、縦書きで行末揃えを実現するとなるとかなり手間がかかりそう。それで準備が進んでいない。

もう一つ。本を作ったところで何になるのだろう、という気持ちがまだ心の片隅にある。学者でも作家でもないのに。

夢に優劣なんかない

朱里のように励ましてくれる人がいてくれたら。そう思わずにいられない。


6/30/2021/WED
思い、思われ、ふり、ふられ 1, 3, 5、咲坂伊緒、集英社、2015
思い、思われ、ふり、ふられ 1 思い、思われ、ふり、ふられ 3 思い、思われ、ふり、ふられ 5

2巻と4巻に続いて図書館で借りてきた。これで1巻から5巻まで読んだことになる。漫画の読み方にもだいぶ慣れてきた。

朱里の性格は映画よりも原作の方が繊細で愛らしい。早くから和臣への想いを自覚して、由奈と共有しているところが大きく違う。

由奈の変化と成長も丁寧に細やかに描かれている。漫画はすごい、と思いなおした。

考えてみると、直球の恋愛ものの少女漫画を読むのは初めてかもしれない。

これまでに読んできた作品は、『キャンディ・キャンディ』『エースをねらえ!』『ガラスの仮面』『ナースエンジェルりりかSOS』『カードキャプターさくら』など。どの作品にも、恋愛の要素はあっても物語の中心ではない。

気持ちが動かされるのは、初めて読むジャンルだからだろうか。

十代の頃、周囲の少女たちはこんなに複雑な思いをもっているのだろうか。我が身を振り返れば、確かに相手の一挙手一投足にどんな意味があるのか考えたり、それで悩んだりもしていた。

友人とも意中の異性とも、付き合い方はもっと淡白で、行き当たりばったりだったように思う。「誰が好きか」など、そもそも恋愛の話を友人としたことがない。いつも自分の中に秘めたまま。何でも話せる、という間柄の友人が私にはいない。

とにかく、この作品は4人の心理描写が細やか。錯綜する「思い、思われ」に心が揺れて、胸がキュンと狭くなる。

今回読んだ3冊で気に入った場面。由奈が理央を好きと自覚する(かなわない恋に向き合う決心をする)ところ。映画では前面に出ていない朱里が和臣にどんどん惹かれていく過程。理央が好きな相手がすぐ変わってしまった自分に戸惑い、自己嫌悪すら感じるところ。

映画のレビューで「簡単に好きな人が変わっている」という指摘を見かけたけど、短時間の映画ではどうしても変化は突然に見える。原作では、心は揺れ動きながらなだらかに変わっていく。そういう場面では、作者が「ノっている」ことが伝わってくる。

まさか50歳を過ぎて少女漫画に心ときめかせることになるとは思ってもみなかった。


さくいん:咲坂伊織『キャンディ・キャンディ』『エースをねらえ!』『ガラスの仮面』『ナースエンジェルりりかSOS』『カードキャプターさくら』