江戸東京たてもの園の都電

前に読みかけて、怖くなって読み進めることをやめた本

昨年、過去の出来事を心のなかで整理する機会がいくつかあった。だから今なら読み切ることができるかもしれないと思い、再度手に取った。

今回読み終えることはできた。読み進めることを止めた先に書かれていたことはそれほど驚くようなことではなかった。これまでいろいろな本で読んだ内容を上手にまとめたもの。読み終えることはできたものの、やはり現在の自分に実践できるとは思えなかった。

これが率直な感想。


本書の核心であるトラウマから回復し成長するための6つのステップは以下の通り。それを提示する前に著者はトラウマの新しい見方を提案する。これも内容としては今までに読んだことのあるものだった。

トラウマだけでなく、一般的な人生観としても特別なものではない。人は一人では生きていけないし、苦しみを抱えて生きているのも自分だけではない。災害や戦争、突然の死別など衝撃的な出来事のあとでさまざまな自分でも理解できない反応をすることは特別なことではない。これは精神医学の世界では常識となっている。

そして旅。人生そのものを旅にたとえる人も少なくないし、不自然ではない。人はいつも発展途上にある


そして、著者が説く6つのステップは以下の通り。

  1. 1. 棚卸し
  2. 2. 希望を育む
  3. 3. 物語を書き直す
  4. 4. 変化を特定する
  5. 5. 変化を尊重する
  6. 6. 変化を行動で示す

難しい。私は1と3の手前を往復をしていて一向に進まない。「記憶の棚卸しは済んだ」と思ったときもある。ところが最近、知らなかった過去の事実を知ったために、1で転んでいるような状態にある。

「物語の書き換え」が上手に出来たときもないわけではない中井久夫の言葉を借りれば「心的外傷を引き起こした出来事」がその時は単なる「挿話」になった


希望とは何か。それがわからないから変化も起きないし、起きたとしても気づかない。

子どもの成長は希望ではあっても、自分の人生における希望ではない。近い将来、彼らは巣立つのだから。

静養の後、再就職できたことも希望の一つと言える。ただし、仕事は単調なので経済的な安定は手に入れたと言えても、仕事自体が希望になることは今のところなさそう

しかも、倒産や解雇を経験し、それらが引き金となってうつも深刻になり退職を余儀なくされたこともあるため、仕事とというものに対して良い感情を持つことができない。これは私の欠点と言える。

欠点。まさに私は自分の欠点につまづいてばかりで希望を見つけられないでいる。希望はいたるところにある。それに気づいていても、「棚卸し」でもたついているようでは、希望の小石を拾うことはできない。


本書はPTGを過剰に評価しないし、安易に手に入るとも言わない。その点ではこれまでに読んだPTG関連の本とは違う。

親切で冷静、なおかつ示唆に富んだ啓蒙的な本書を私は高く評価する。それだけに著者が期待する通りに進めない自分がはがゆくてならない。