素心蝋梅
2/2/2020/SUN
日の名残り(The Remains of the Day), directed by James Ivory, produced by Ismail Merchant, Mike Nichols, and John Calley, Columbia, 1993

週末、実家に帰っていた。金曜の夜、ふと父が遺したDVDコレクションからNHK衛星映画劇場で録画した『日の名残り』を見た。

実は『日の名残り』を訳書で読んだあと、映画版を見てみた。そのときは本の印象が強く残っていて映画版に違和感があり、冒頭を見ただけで止めてしまった。あれから時間が経ち、今回は一つの映画作品として見ることができた。

それでも、見ていると小説との違いを見つけようとしてしまう。映画ではアンソニー・ホプキンスが演じるスティーブンスの厳格さと冷淡さ、そして薄情な性格が過度に強調されているように感じた。


誰かの想いにまったく気づかず、むしろ、その気持ちを裏切るようなことを私もしたことがあるだろうか。見終わってからふと考えた。

これは、あからさまに相手から告発されない限り証明ができない。たいていの場合、この作品と同じように、思いのすれ違いは時の流れのなかで黄昏に消えていくのだろう。

反対の立場になったことはない。想いがつのると告白しないではいられない性格なので、告白しては失恋するということを十代のあいだは繰り返していた。

そんなこともあって、私は自分を「モテる男」とは思っていないので、なおさら、そういうことがあったとは思えない。

それでも、振り返ってみると、想われているのに気づかないでいたことがあったような気もする。そう思うのは感情移入しながら映画を観たせいだろう。

それは罪なことだろうか。それとも想いをはっきりさせない方に問題があるのか。それはわからない。死ぬまで謎のままだろう。

すれ違いに気づいたあと、スティーブンスは後悔に耐えながら日常に戻った。そうするしかなかった。

勝手な思い込みかもしれない、何人かとすれ違いを思い出したけれど、私もまた、日常に帰るしかない。そうするよりほかに手立てはない。

後々になってから過去の想いを確かめようとするのは愚の骨頂でしかないから。


2/3/2020/MON
週末横浜ミニ観光
山下公園 ホテル・ニューグランド ホテル・ニューグランドの壁時計 中華街

日曜の朝、晴れていたので思いきって桜木町まで出た。バスに乗って海岸通りへ。

山下公園で降りて、ホテル・ニューグランドを覗いて、中華街をすり抜け、元街まで。

中華街では好物の泥付きピータンを2個買った。1個、80円。これを薄く切って綺麗に盛りつけると500円になる。

みなとみらい線の特急は飯能行き。眠ったら飯能かと思うと怖くて渋谷までずっと目に力を入れてまぶたを開けていた。


さくいん:横浜


2/5/2020/WED
迷い

今、迷っている。会社で唯一人親しくなった人に明日、「秘密」を打ち明けるべきか。

ただの会社の同僚に重い話をするのは身勝手とも思うし、親しくなった人に話さないのは嘘をついているような気にもなる。

これまで「告白」してよかったと思ったことはほとんどない。

やはり黙っておいた方がよさそうな気がする。

最近の、と言っても今に始まったことではないが、最近はとくに「勇気」に欠けている。

娘と二人で食事をしたときもそうだった。


2月6日追記

結局、話しかけるきっかけもなく、周りに人もいたので、話すことはできなかった。それでよかった。


さくいん:秘密


2/6/2020/THU
寒梅忌 - 裏庭へ続く木戸を開ける
寒梅一輪

寒梅忌

今日から2月最初の金曜日となる明日まで『烏兎の庭』の「裏庭に続く木戸」を開ける。

裏庭、という言葉は梨木香歩『裏庭』から、木戸、という言葉は小椋佳「木戸をあけて(家出をする少年がその母親に捧げる歌)」からそれぞれ借用した。


2/7/2020/FRI
ちょっとがっかり

「裏庭へ続く木戸を開けて」はほとんど読まれなかった。

清水の舞台から飛び降りるつもりでカミングアウトしたつもりが反応はなし。

反響を期待していた私は自意識過剰で承認欲求満杯であることを思い知らされる。

何か自分の人生を変えるような出来事が起きた2月最初の金曜日にも何も起きなかった。

木戸は閉じた。

来年までもう開けない。


2/10/2020/MON
心の傷を癒すということ 土曜ドラマ、安克昌原案、桑原亮子脚本、世武裕子音楽、柄本佑、尾野真千子、近藤正臣、NHK、2020

2/13/2020/THU
重い、辛い、苦しい

昨日のぼやき

うつ病の障害者であることを「オープン」にして入社したのだが、情報は表向き管理職しか知らない。とはいえ、話はどこかから漏れていく。

結局、中途半端に「何かのビョーキの人」と思われているのが辛い。


ちょっと前まで「転職活動始めよう」などと言っていたのが嘘のように気持ちが重い

何をやってもダメで、どこにも行き場がない気がする。考えがどんどん狭まっていく

毎年のことではあるけれど2月を乗り越えるのは容易ではない。

小林旭「北帰行」を聴きながら風呂に入り、8時半に寝た。


今日のつぶやき

今日は昨日と打って変わって気楽に過ごしている。

この気分の乱高下に心身が振り回されてとても疲れる。

隣の人と雑談が弾んだ。カミングアウトしかけてグッとこらえた。

今の親しい関係を壊したくない。その選択は間違ってない。

でも、その選択は一方で非常に不義理なことでもある。

確かにこの世界にいた人をいなかったことにしているのだから。

申し訳ない。


2/16/2020/SUN
河津桜、京急三浦海岸駅前、神奈川県三浦市
河津桜 河津桜 菜の花 水仙

河津桜を目当てに京急に乗り三浦海岸まで行った。

薄曇りの天気だったので、桜の色映えはいまひとつ。代わりに菜の花と水仙でいい写真が撮れた。

駅前のテントでマグロを買って帰宅。夕飯は鉄火丼にした。


2/18/2020/TUE
今後の動きに注目

近々、組織とレイアウトの大きな変更があるらしい。

フリーアドレスで、これまで個室にいた役員も平机に座るという。

雰囲気が変われば居心地も変わるだろうか。

驚いたのは、座席の数が社員数よりも少なくなるということ。営業職のように社外にいる時間が長い人もいるので、計測すると人数分の机はいらない。

要するに、今やオフィススペースさえ企業にとってはカットすべきコストになっている。

一般社員にも在宅勤務を推奨していくそう。週一回、水曜日が在宅なら心の健康にいいかもしれない。


2/19/2020/WED
初めての転職

これまでに6回、転職をしてきた。でも、今回の転職活動はこれまでのどの転職とも違う。今回は初めての本当の転職。

これまでは誰かに誘われて喜んで移ったり、倒産や解雇のせいで止むに止まれず仕事を探したりしていた。

今回は違う。誰も誘ってはくれないし「辞めろ」とも言われてもいない。いま、意思決定を迫られているわけではない

要するに、転職しなくてもいい状態にある。

転職活動に今ひとつ身が入らないのはそのせいだろう。


2/20/2020/THU
Pros & Cons of the current working environment
映画館のステンドグラス

Pros

  • 時間の融通がきく
  • 仕事がラク
  • パワハラがない(おとなしい人が多い)
  • オフィスがきれい
  • 責任が軽い
  • 長距離の定期がもらえる
  • 富士山が見える

Cons

  • 収入が少ない
  • 正社員になれない
  • 得意の英語を生かす場面がない
  • 働きがいを感じない
  • 障害者としてサポートを受けていない
  • 通勤時間が長い

Should I stay, or exit?


2/21/2020/FRI
教養主義の没落――変わりゆくエリート学生文化、竹内洋、中公新書、2003

Googole Analyticssでどの文章がよく読まれているか、よく調べる。

上位に来るのは決まって『未来少年コナン』の感想「山村良橘先生のこと」。この2つは不動。

最近、竹内洋『教養主義の没落』が上位に入っている。15年以上前に書いた文章がなぜ今よく読まれているのか、自分ではわからない。読まれてる、といっても3週間で40人くらい。まったく読まれていない文章がほとんどだから40人はかなり多い。

どこかの学校でレポートの課題図書にでもなったのだろうか。

何にせよ、読んでもらえるのはうれしい。

Google Chromeで行末が揃うように推敲した。

15年経っても書いたことは今も同じように考えている。

下図は今月1日から今日までのアクセス・ランキング。



2/22/2020/SAT
減薬達成
快眠度

月に一度の診察日。

この4週間、睡眠導入剤なしでもずっとよく眠れていた。

今日、先生と相談して導眠剤の投与は終了となった。

減薬、一歩前進。

 

みつまた 公園の小さな滝 玉川上水万助橋 山本有三記念館

写真は、散歩中に見つけたみつまた、小さな滝、玉川上水万助橋、山本有三記念館。


2/25/2020/MON
昭和の記憶―写真家が捉えた東京、木村伊兵衛、林忠彦、濱谷浩、土門拳、熊切圭介、薗部澄、田沼武能、長野重一 クレヴィス、2019
懐かしの吉祥寺 昭和29・40年、土屋恂写真、安田知代編、ぶんしん出版、2011
えほん 東京、小林豊、ポプラ社、2019

三連休の最終日は図書館で借りてきた本を眺めてのんびり過ごした。毎年調子が悪いこの時期に祝日ができたのはありがたい。

古写真古地図の本を好んで借りてくる。眺めるだけで歴史の勉強になるし、変わったもの変わってないもの、いずれにも発見があり面白い。

『昭和の記憶』は著名な写真家が撮影した昭和10年頃から昭和43年頃までの白黒の写真。報道写真とどこか違う。報道写真が速さとメッセージ性を優先しているとすれば、写真家の作品は雰囲気を大切にしている。「記録」でなくて「記憶」という書名からもそう言えると思う。

『懐かしの吉祥寺』はアマチュア写真家が記録した吉祥寺の変遷。驚くことばかり。

昭和40年でもまだ高架になってないし駅前も雑然としている。人と車の増加に街路がまったく追いついていない。吉祥寺駅は今、五日市街道と交差してる場所で計画されたが住民の反対にあい、今の場所の土地を所有していた寺が認めて場所が落ち着いたと『ブラタモリ』で見た。街路も計画的にできたのかと思っていたがそうではなかった。

北口はきれいに整備された一方、南口は昭和40年と基本的に変わらない。商店が並ぶ狭い通りを小田急バスが走っている。

小林豊は子どもに読み聞かせをしていた頃よく読んでいた。図書館で久しぶりに絵本の棚を歩いていて偶然最新刊を見つけた。初めて『せかいいちうつくしいぼくの村』を読んだときの衝撃を思い出した。本作は物語もゆるやかで、絵も小林独特の柔らかい線で描かれている。

江戸から現代に至る長い歴史のなかで街が活気を維持してきたことがよく描写されている。


さくいん:小林豊


2/26/2020/WED
置かれた場所で咲くしかないか
雛菊

仕事を抜け出して障害者専門の人材紹介会社と電話で話した。

いまの待遇と職場環境を伝えたところ

そんなに恵まれた場所は滅多にありませんよ。そこにとどまるのが賢明です。

そう諭された。50歳を過ぎて昇給する転職はほぼないとも言われた。

昨年末に思い立った転職活動は2ヶ月もしないで終わった。


2/27/2020/THU
なんとかなるか

今まで何度もピンチに落ちては何とかなってきた。

多忙で院試を受けられなかった時は翌年に受験できた。

修士の後、進学も留学も断念した時にいい仕事が見つかった。

リーマン・ショックでレイオフされた時も間をおかずに次の仕事が見つかった

2年間離職した時も仕事はあった

子どもが就職するまであと3年。

何とかなってほしい。


50歳を過ぎると健常者でも昇給する転職は難しい。

ESPPの償還までまだ3年あるからここにしがみつく、という選択肢もある。

でも今日の午後、何もすることがなくてただ液晶画面を見ていたら、収入が減ったとしても新しい仕事を探すべきではないか、という考えが浮かんだ。

要するに迷っている。


お金と時間、どちらが大事か

今の私には間違いなく時間だろう。

母は衰えていくから介護を考えないといけない。

子どもと一つ屋根の下で暮らす時間も限られている。

給料は少ないけれど、暮らしていけないほどではない。

借金はないし、蓄えもある。

とすれば、どんなに無為な毎日に思えても、ここに留まる方が賢明なのか。

五里霧中の毎日が続く。

しかし、焦ることもない。いま、仕事がないわけではないのだから。


2/29/2020/SAT
鎌倉散策

母と連れ立って薄曇りのなか、鎌倉を散歩した。

浄明寺でバスを下車。報国寺は庭の苔が美しい。浄明寺から鶴岡八幡宮まで歩き、さらに小町通りから表に出て若宮大路を歩いて駅前の島森書店まで歩いた。

島森書店には鎌倉や湘南地域に関連する本がたくさん並んでいる。今後の散策のために『鎌倉の花 小辞典』(かまくら春秋社、2005を買う。季節ごとの草花を名所ごとに分けて見せるガイドブックを兼ねた図鑑。

梅はほぼ終わっていた。代わりに沈丁花や椿がきれいだった。

コロナウイルスの騒動で国宝館は休館。楽しみにしていた「ひな人形展」は見られず。

そんな風だから外出する人は少ないだろうと思いながら歩いていた。ところが八幡宮まで来てみると、観光地らしい人出で賑わっていた。良くも悪くも鎌倉はいつもの鎌倉だった。


報国寺、松の盆栽 報国寺 庭園 報国寺庭園 桃色の椿 沈丁花 鶴岡八幡宮

いつもの通り、鎌倉駅から下の横須賀線に乗り逗子で下車、何度か来ているイタリアン・レストランへ。生牡蠣、スプマンテ、ピザ・マルゲリータ、シラスのペペロンチーノ。

珍しい取り合わせの二人だからか、店の人は覚えていた。これでもう常連客。気楽に来られそう。


さくいん:鎌倉