紅葉
11/1/2022/TUE
10月のアクセス解析
10月のアクセス解析

先月は何と言っても『谷間の女たち』(森山啓)の感想が読まれたことがうれしい。元の小説が新聞で紹介されたおかげでアクセスが増えた。

庭師(プロフィール)「#14歳の時に聴いた音楽」「1979年に見ていたテレビ番組」など、これまでほとんどアクセスがなかった文章も読まれた。

当月の箱庭(ブログ)にも、ふだんよりアクセスがあった。これもうれしい。

森山啓の作品は今は絶版。古書店でもあまり出回っていない。文庫本で再販されることを願っている。


さくいん:森山啓


11/2/2022/WED
プチバズりとネットで騙された話

昨日の昼ごろ、ニュースを見ていたら、ジブリパークの開園に合わせて現地からレポートをしていた。

レポーターが話している少し後ろに宮崎駿がゆっくり歩いて通り過ぎた。我が家のテレビはタイムシフト機能があるので時間を戻して見直した。やっぱり、本人に見える。

テレビを動画で撮影して、Twitterに投稿した。すると300を越える「いいね」がついた。

これは人生初の「バズる」という体験か、と興奮しはじめたところ、一通のリプライに「あれはモノマネ芸人」と指摘された。確かにその芸人も「ジブリパークへ行く」とツィートしていた。

ああ、恥ずかしい。モノマネ芸人の「釣り」に引っかかってツィートした上に、バズってるなどと興奮していたなんて。

つまり、私は「嘘」を何千人もの人に拡散させたということ。悔しい。情けない。

ツィートする前にはも真実かどうか、よく考えなければ。あらためて痛感した。

自戒の碑としてツィートは残した。少なくともこの事態を狙った芸人は喜ぶだろう。


さくいん:宮崎駿


11/3/2022/THU
秋の公園
コキア コスモス

日曜日の午後、久しぶりに大きな公園まで散歩した。

このところ、平日はほとんど外出していない。肌寒くなってきたせいもあるし、夕方、日が短くなってきたせいもある。

午後の公園は、まだ陽は高く、陽射しもたっぷりあった。少し急いで歩くと身体も温まってくる。

花壇ではコキアとコスモスが咲いていた。すっかり秋の景色に変わっている。

スーパーで頼まれた買い物をして帰宅した。


11/4/2022/FRI
プレ米寿の誕生会
デザート盛り合わせ

昨日は母の誕生日を息子と孫、総勢8人で祝った。場所は逗子、なじみのイタリア料理店。

デザートにイタリア語で「誕生日おめでとう」とメッセージを入れてくた。

今回はレストランにメニューをおまかせした。前菜、カルパッチョ、母の好きなピッツァ・マルゲリータ、パスタ、カルネ・ミスト、そしてデザート。盛りだくさんだった。

肉もデザートもワインも孫と同じだけ召し上がった。

母は今月で87歳

飲みっぷり食べっぷりにレストランの人も驚いていた。

姉も父もいないテーブルだったけれど、孫たちに囲まれて母はうれしそうにしていた。


さくいん:逗子HOME(家族)


11/5/2022/SAT
70年代の『少年ジャンプ』
1978年の少年ジャンプ

神田古本まつりでは探しているものがあった。70年代の『少年ジャンプ』。

マンガ雑誌はふだんあまり買ってもらえず、小遣いを出してまで買うことはなかった。その分、読んだ号は鮮明に覚えている。

江口寿史の読み切り「名探偵はいつもスランプ」はその一つ。1978年16号。以前、神田の古書店で見つけた。これは傑作。何度読んでも面白い。

今探しているのは秋本治の読み切り「柴又戒厳令」が掲載されている号。

古書店センターに雑誌専門の店があった。今回、行ってみたら閉店していた。

神保町にほかに雑誌専門の店はあるか。まず、それを探さなければならない。


さくいん:70年代『少年ジャンプ江口寿史秋本治


11/6/2022/SUN
最年少プロについて

最近、さまざまな分野で「最年少プロ」が誕生している。

あまりいい風潮には思えない。

教育の面からみれば、学業がおろそかになる。義務教育で学ぶことは、学業以外にもたくさんある。

競技の面からみれば、早過ぎるデビューは競技人生を短くする恐れがある。

プロの道は険しい。成績や怪我によって、若くして引退しなければならない可能性もある。成功者として生き残れるのはほんの一握りにすぎない。

その道で生き残れないとわかったとき、義務教育レベルの学力も知識もないとなるとやり直しのチャレンジはとてもむずかしい。

一つの道を究めるには、若い頃から本格的に活動した方がいいという考え方もある。

その意見には一理あるとしても、海外遠征や連戦が続く負担の大きいプロリーグへの参加には上に書いたような懸念が残る。

せめて中学卒業まではプロになるべきではないと思う。

プロフェッショナルとは職業のこと。中学校も卒業していない人を働かせるのはいろいろな意味でいいことではない。お金のやりとりも、自分一人ではできないだろう。そういう人が職業につくのはどこかおかしいと思う。

こういう考え方は、学業でもビジネスでも落伍した負け犬の僻みでしかないのだろうか。


さくいん:職業(労働)


11/7/2022/MON
ある面接で

1996年春。28歳だった私は仕事を探していた。大学院を修了はしたものの、進学も留学もあきらめて一から出直すつもりだった。人材紹介会社に登録して手当たり次第に応募した。

今でこそ人材紹介企業はテレビでCMを流すほど隆盛しているけれども、当時はまだ多くはなかった。唯一のスキルである英語力を活かして外資系企業を志望してみたけれども、外資系専門はさらに少なかった。

書類選考でたくさん落とされ、面接までたどりつけた企業は数えるほどだった。そんな中、ようやく面接にこぎつけたある商社に面接へ行った。担当者は開口一番こう行った。

呑む、打つ、買う、は大丈夫ですよね

そのときの私の表情で面接の結果は即、決まった。「は、は、はい」と何とか口にはしたものの、表情はかなりひきつっていたはず。

会社のことをよく調べずに行ったのがよくなかった。のちに、この会社は政府関係者への贈賄でニュースになった。数人の幹部が逮捕されるスキャンダルになった。

その後、米系のハイテク機器メーカーの営業職に拾われた。1996年の夏のこと。それから18年、外資系企業で営業職をした。2014年、身も心も疲労困憊して私は営業職を辞め、慣れ親しんだ時期もあったハイテク業界からも離れた。

1年休養1年就活して、障害者枠の非正規の契約社員として、今の会社に入社して今年で勤続5年になる

「呑む、打つ、買う」が業務の一部であるような会社、今でもあるのだろうか。


さくいん:労働英語


11/8/2022/TUE
給料は何に対する報酬か

給料を業務や成功に対する報酬と思える人がうらやましい。

私には、給料とは拘束と苦痛への代償にしか思えない。

どこまでもネガティブな職業観。どこでこういう考えを身につけてしまったのだろう。

大学を出て、新社会人になったときに、すでにこういう考えを持っていた記憶がある。

とすると、子ども時代に父親の背中を見てそう思ったのだろうか。

乱暴狼藉をはたらいたというわけではない。ただ、10年近く単身赴任していた父に対して微妙な感情が亡くなった今でも残る。

会社とは無理難題を押し付けるところ。そういう先入観は小さい頃から持っていたかもしれない。


さくいん:労働


11/9/2022/WED
宇宙の地図、観山正見・小久保英一郎、朝日新聞、2011
『宇宙の地図』

美しい天体写真とともに宇宙の広がりを実感できる優れた図鑑。写真に添えられた説明文も平易でわかりやすい。漢字にふりがなもついているし、天体の名称を和英で併記しているのもありがたい。星雲は"nebula"、超新星は"supernova"ということを知った。

三鷹の国立天文台で、10の0乗メートルに始まり、10の27乗の距離まで宇宙を案内する。途方もない距離と時間。137億年と言われても想像することさえできない。でも、想像もできない遥かかなたの光景を見ることができるのだから不思議な気持ちになる。

本書は2011年発行なので、その後の10年で観測や理論はさらに進展があるだろう。

宇宙の話というと、小学五年生のときにテレビで見た『コスモス』を思い出す。天文学者のカール・セーガンが本書のように宇宙の広がりを解説していた。

内容はわからないまま、夜遅くまで姉と二人で見ていた。二人で過ごした温かい思い出。

当時、高校生だった姉は、日本文学から宇宙物理学まで幅広い分野に興味を示していた。文庫本で出ている漱石は読破していたし、ブルーバックスの本もたくさん読んでいた。

進学にあたり、彼女が選んだのは、文学でも物理学でもなく英語だった。それほど、東京松本英語専門学校の影響は大きかった。

やがて彼女の影を追いかけて、高校二年生の夏に私も英語にのめり込んだ。

宇宙の果てについては今でも興味がある。自分が死んだあと、その全体像を知覚できるのではないか。全能ではないにしても、全知の存在になれるのではないか。そんな想像をすることもある。

姉も、全知の存在として、宇宙全体を見渡しているかもしれない。


さくいん:カール・セーガン英語死生観


11/10/2022/THU
サボタージュ

月曜日、書類100枚に事業部印を押す依頼を受けて出社した。

朝6時、ふだんより45分早く起きて、7時に出発、8時半前に出社した。

昼は、安いかき揚げそば。誰とも話すことがなく、4時半に退社した。

とても疲れた。見ず知らずの人に囲まれていることが苦痛だった。夜は9時半に寝た。

そして昨日、同じ用件で出社の依頼を受けた。「一度で済ませられないのか」。尋ねたところで曖昧な回答しかない。

そうなると、一気に落ち込む。「誰のせいでもない雨が」(中島みゆき)を聴きながら息子にもらったジンの最後を呑み干す。もっといい気分のときに空けたかった。

大事にしていたウィスキーも呑んだ。まだ足りないので、家にある酒はぜんぶ呑んだ。もう、うつの波はそこまで来ている。

涼しいので今から買いに行く気も起きない。そこでやけ酒も止まった。昨夜は半酔いのまま寝た。

明日は行かなければならない。そこで今日はサボることにした。

不思議なもので「休む」と決めたら本当に調子が悪くなってきた。時間はたっぷりあるのに、本も読まず、映画も見ず、ベッドのなかでうとうとして過ごした。

何もしないまま一日が終わった。


さくいん:うつ労働中島みゆき


11/11/2022/FRI
再び出社

昨日は会社を休んだ。理由は、月曜日に出社したのに、同じ用件で、金曜日にまた出社してくれと頼まれたから。一度にまとめてくれればいいのに。

実は、サボタージュにはもう一つ、理由があった。それは全従業員を対象にした対面の研修があったから。

ただでさえ出社恐怖症なのに、正社員の人と面と向かって話などできるわけがない。

グループを作って話し合う、という事前の説明をメールで見て、「これは行けないな」と思った。

そして、今日は今週二度目の出社。9時少し前に出社。午前中は、文書に事業印を押して終わった。午後は珍しく依頼ごとが重なり、17時に退社した。そのあいだずっと、誰とも話すことはなかった。

退社前、それまでメールでやりとりしていた隣りの部署の人が近くに座っていることが声で分かった。こちらから話しかけることができなくて、気づかれないように静かに退出した。健常者と障害者、正社員と契約社員。私は線引きにこだわりすぎているのかもしれない。きっとそうなのだろう。会社になじんでいる派遣社員の人もいないわけではない。

そんな風に振る舞うことが私にはできない。僻んでいるだけ、結局のところ。待遇を、輪のなかにいることを、仕事の楽しさを。

僻んだり、羨んだり、自己嫌悪したり。そういう気持ちとは無縁の暮らしを送りたい。

深夜、ロンドン・ジンを濃いめのロックにして呑みながら、そんなことを考えている。


さくいん:労働


11/14/2022/MON
【特集展】大社コレクション展會津八一記念博物館、東京都新宿区
大隈講堂 早稲田大学3号館

土曜日のこと。早稲田大学へ行った。夜に、忘年会を高田馬場で約束していたので、それまでの時間を早稲田で過ごした。

まず、南門の前にあるレストラン高田牧舎でランチ。カキとほうれん草のクリームソースのパスタ。写真を撮り忘れるほど、見た目から美味しそうだった。

次に向かったのはキャンパス内にある會津八一記念博物館。かつては図書館だった建物。難波田龍起の作品が展示されていると知り、見に行ってみた。展覧会は元教授が集めたコレクション。前にもここで別のコレクションの難波田龍起を見ている

展示されていたのは三作品。「生」、「時間の止まる時」、「霞」。いずれも、50cm四方くらいの比較的小さいサイズ。それぞれ、青、赤、緑を基調にした具象画。

難波田龍起に出会ったのはたぶん桐生の大河美術館。これまで吸い込まれるような大作を見てきた。こういう小品もいい。ずっと見ていたい配色。

具象画や抽象画はあまり見ない。難波田龍起だけは特別。理由はわからない。


さくいん:難波田龍起大川美術館


11/15/2022/TUE
一人カラオケ、高田馬場編
ひまわり

土曜日のことの続き。大学を出て早稲田通りを高田馬場駅に向かって歩いた。沿道に古書店が点在している。何軒か覗いてみたけど、目ぼしいものは見つからなかった。ときどき、一軒目で最初に見た棚で欲しいものが見つかることがある。最近、そういう出会いがない。先月の神田古本まつりでも出会いはなかった。

歩き疲れたので、駅の近くでカラオケ店に入った。一人カラオケ。4時間。

歌ったアーティストは、いつもの通り。松山千春かぐや姫さだまさし、グレープ小椋佳「歳時記」(さだまさし)を歌っていたら、なぜか泣きたくなった。

テレビドラマ『男たちの旅路』、「車輪の一歩」の主題歌、ゴダイゴ"The Sun Is Setting in the West"を見つけたので歌った。満足した。

のどの調子がよくなくて、いつでもイガイガした感じがある。咳払いが多いとも言われる。カラオケも、最初の30分はほとんどかすれ声。しばらくするとのどが開いてくる。一人カラオケはストレス発散とのどを鍛える健康法を兼ねている。

最後はミスチル"HANABI""himawari"を絶唱した。


11/16/2022/WED
忘年会、その1(F会)
クラフト・ビール プリン

土曜日の続き。大学時代の友人、4人で集まる通称F会。7月以来の集会。

まずは栄通りにあるクラフト・ビールの専門店へ。学生街なのに、土曜の夜、通りには人が多勢。店も7時前に満席で繁盛している。新宿を避けて高田馬場に来る人が多いのだろうか。ビールを2杯呑んで移動。

今回の店は、早稲田通りの坂道を登り切ったところにあるスペイン・バル。カウンターと樽の上に板を乗せたテーブルが一つという小さな店。女性の店主が一人で切り盛りしている。壁にはサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の道順が描かれている。

料理は絶品だった。話に夢中で料理の写真を撮り忘れた。上の写真はデザートのプリン。

よく呑み、よく食べ、よく語った。話題は、家族のことや仕事のことからウクライナ情勢やアメリカの中間選挙、AIの今後まで。ワインは4本空けた。気持ちよく酔えた。

気持ちよく酔いながらも、50歳を過ぎて、それぞれがそれぞれに悩みを抱えていることもわかった。業界も職種も違うからこぼせる愚痴もある。「出社が怖い」という私の悩みなど贅沢な悩みの類いということもわかった。

それにしても、第一線で働いている人たちの激務ぶりには驚かされる。「過労死ライン」などないかのように働かされている。何とかならないものか。憤怒して彼らの健康を願う。

次回は新年会の予定。場所は同じ店でいいかもしれない。

追記。久しぶりに夜遊びをしたせいか、日曜日は昼過ぎまで寝ていた。


11/17/2022/THU
東京に生きた縄文人、東京都江戸東京博物館・東京都埋蔵文化財センター・東京都埋蔵文化財センター編、TOTO出版、2021
『東京に生きた縄文人』

「東京には歴史が感じられない」。鎌倉に近い横浜の南部から転居した頃からそう思っていた。その後、江戸城本丸こそないものの、江戸時代から明治・大正時代の遺物や歴史的な建築があちこちに残っていることを知った

数年前のこと。自転車で隣町の床屋へ行く途中、公園に復元された竪穴式住居があるのを見つけた。教育委員会が掲げた案内板によれば、かなり広い集落があったことが発掘調査でわかったらしい。

東京には、奈良平安時代から鎌倉室町時代の遺構や建築は少ない。でも、それよりもずっと昔の縄文時代の遺跡はたくさんある。本書はそう教えてくれる。

世界史的には新石器時代にあたる縄文時代。土器や石器、住居など、当時の暮らしぶり、いわば文化が日本ほど博物館などで展示されている場所は珍しいと江戸東京博物館の館長である藤森照信がはしがきに書いている。それを支えているのは、考古学ファンとある。

なるほど。小学校の社会科見学で三殿台遺跡を見た私は膝を打った。公園にあった竪穴式住居、縄文式土器、土偶など、縄文文化はその時間的な距離の遠さとは裏腹に意外と身近に感じられる。

本書で面白く思ったのは、竪穴式住居を復元した際、頂点に花を飾ったこと。発掘でそういう習慣があったことがわかっているのだろうか。それとも考古学者の想像なのだろうか。いずれにしても、縄文人には「美の意識」があったのではないかと本書は結んでいる。

私が住んでいる場所に、何千年も前から人が住んでいたと想像するのは楽しい。東京にあるのは近世・近代の遺構だけではない。とても歴史的な場所で私は暮らしている。


さくいん:東京藤森照信


11/18/2022/FRI
本が読めない - 借読

以前、本を買ったまま読まないでいる「積読」(つんどく)に対して、図書館で借りても、本を読まないうちに返却期限が来ることを「借読」(かりとく)と名付けたと書いた

今週がまさにそう。日曜日に図書館へ行き、読みたいと思った本を5冊借りてきた。でも、読みはじめたのは『東京に生きた縄文人』だけ。借りてきた5冊は以下の通り。

読みたいと興味を持って手に取ったのに、いざページを開いてみると、読みすすめることができない。そういうことはよくある。そういうとき、私は無理して読まずそのまま図書館へ返却する。読みたくなったらまた借りればいい。

読みすすめないことには理由がある。難しすぎる。やさしすぎる。文体が気に入らない。難しすぎると感じた本は、一段階、やさしい本を読んでから借り直すことがある。文体が気に入らない、読みづらいと思った本は縁がなかったと想い、二度と手に取らない。

それでも、こんな本が世の中に出ている、と知っておくことに意味がある。もともと興味を持っている内容だから手に取ったのだから、同じ内容で別の本を探せばいい。

かつては、「あの本を読まなければならない」という義務感で本を選んだ時期もあった。最近は、ワガママに読みたい本だけを読むことにしている。この姿勢は立花隆に教わった。研究者や批評家のように職業として本を読んでいるわけではない。

読みたい本を読みたくなったときに読む。これが私の読書の流儀。


さくいん:立花隆


11/19/2022/SAT
初めてのストップ高

保有している、いわゆるグロース株の株価が今週、好決算を発表してためスにトップ高まで上昇した。初めての経験。

調べてみると、ストップ高の翌日に続けて上昇する確率は40%程度らしい。続伸する可能性が高いと思い、その日は利確しなかった。

翌朝、寄り付きで株価は下落した。自信が揺らぎ、早めに利食いしてしまった。案の定、株価は最初に期待していたところまで上がった。

待てなかった。上昇する確信が最後に崩れてしまった。S高のあと、続伸する確率は50%以下という情報にも惑わされた。

「売ったあとに株価が上がる」ことは取引では「あるある」らしい。欲張ることを戒める「頭と尻尾はくれてやれ」という格言もある。それにしても、今回の利確は自分で立てたシナリオを信じきれなかったという点でとても悔しい。まだまだ心が弱い

それでも今回はシナリオを立ててエントリーして、上昇を待ち、きっちり利益を出して利確することができた。これも初めての体験。

昨秋、株取引を始めてからこれまで「高づかみしては含み損を抱え、高値に戻したところで売りプラマイ0にする」の繰り返しで、利益らしい利益は出せていなかった。

今回の利益で、来年の春休みにまた家族旅行ができそう。

出口こそ、うまくいかなかったけれど、少し自信がついた。

「安く買って高く売る」。これだけのことを覚えるのに一年かかった。


11/20/2022/SUN
いのちの停車場、南杏子原作、平松恵美子脚本、成島出監督、吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、田中泯ほか出演、東映、2021
『いのちの停車場』

『流浪の月』で共演していた松坂桃李と広瀬すずが出演していることを知り鑑賞してみた。吉永小百合が出演する映画を初めて観た。ネット上のレビューでも指摘されているように、70歳を過ぎた俳優が現役バリバリの医師を演じることには無理がある。これが第一の感想。

映像のきれいな映画だった。ところどころに金沢の風景を入れているせいもあるだろう。吉永小百合主演ということもあり、映像美最優先の作品に思えた。

さまざまな生き方と亡くなり方を見せたあとで、重い問いかけを残す。耐えきれないような痛みを訴える人を目の前にして、それでも生きてほしいと言うことができるだろうか。私には自信がない。自分自身について言えば、死に場所と死に時は自分で選びたいと思っている。

このテーマは『世界で一番キライなあなたに』と同じ。あの作品では、一つの結論を提示して観客に判断をゆだねた。そのため結論を巡って論争が起きた。本作では結論を提示せず、観た人に結論を考えさせる選択をした。

確かに見終えてから考えさせられた。その一方で、結論を提示しない終わり方は臆病で、「手ぬるい」という印象も残す。『世界で一番』を先に観ていたので、私には結論を出せずに臆病になってしまったように思えた。金沢の美しい朝焼けがそう思わせた。

考えさせる結末にするにしてももう一歩、踏み込んでもよかったのではないか。眠り続ける父の横で医師である娘が電話をかける。どこへ電話しているのか、観客に考えさせる。そんなラスト・シーンでもよかったと思う。

田中泯の演技には凄みがあった。キャストがとても豪華なので、「有名俳優勢揃い」を見るだけでも一見の価値はある。

松坂桃李と広瀬すずは劇中の関係性も演技もとてもよかった。松坂はやはり好青年がよく似合う。個人的に、私は天沢聖司のような役柄を演じる松坂桃李を好む。


さくいん:松坂桃李広瀬すず死生観


11/21/2022/MON
小動神社、鎌倉市
江ノ電、300型 小動神社の鳥居 銀杏の木 ススキ 三浦半島 江の島

先週末、海と紅葉を求めて鎌倉へ。予想通り、江ノ電は大混雑。大河ドラマの人気が人を集めているのだろう。まず鎌倉高校前駅で下車して300型を撮影した。

それから次の腰越で降りて、小動神社まで歩いた。紅葉はなかったけど、銀杏はきれいな色をしていた。

家を出たときは快晴だったのに、着いてみるとくもり空。その代わり、江ノ島を午後の日差しが照らす写真がうまいこと撮れた。

陽が傾くと急に涼しくなってきた。鎌倉駅近くのスーパーで寿司を買い、バスに乗って帰宅した。朝比奈峠で渋滞があり、家に着いたときには6時を過ぎていた。


さくいん:鎌倉江の島、江ノ電


11/22/2022/TUE
昔のツィート

Twilogというサイトでツィートを保存している。2013年3月からのツィートが保存されている。Twitterを始めたのは2011年4月。開始当初のツィートは保存されていない。確か、2013年3月「すべてを終わらせる」つもりで、Twilogも解約した。

昔投稿したツィートを読むのは、昔書いた文章を読むより恥ずかしい。誤字脱字が多く、意味不明なつぶやきも少なくない。文章はあとで推敲しているし、恥ずかしい内容はあとで削除することもある。まだマシ。

言葉を換えれば、Twilogに残されている言葉は非常に生々しい。2014年末にうつ病が悪化して会社を辞めるまで、自分が壊れていった過程がつぶさにわかる。

やっぱり、ビョーキだったんだな

2013年から2014年末までのツィートを読み返した率直な感想。これはフツーではない。

あれから8年以上経っている。でも、投薬も通院も終わっていない。自分でも寛解したとは思っていない。とくに仕事の場面ではまだ不安や抑うつが強い。とはいえ、「あの頃」よりは落ち着いている。

それはともかく、こうして記録が残っていることは悪くない。自分が何についてどう考え、どう反応したのか、推敲される前の「気分」がわかる。森有正の言葉を借りれば、即応的な「感覚」がわかる。

私は、私についてもっと知りたい。私が感じていること、考えていること、私が何者かということについて。

今月、『庭』を始めて20年になる。記念日を前に、過去のツィートだけではなく、過去の文章を読み返してみるのも悪くないだろう。


さくいん:うつ病森有正


11/23/2022/WED
自費出版について

日経新聞、17日の朝刊に「自費出版は 「生きた証し」」と題した記事が出ていた。書いているのは、川井信良(NPO法人日本自費出版ネットワーク代表理事)。

まさに「生きた証」と呼べるような事例がいくつか紹介されていた。自費出版をする人の平均年齢は67歳という。

「生きた証」とまで言われると、一度はあきらめた「本を作る」という夢がよみがえる。

何年先になるかはわからない。実現できるかも今はわからない。それでも、「本を作る」ことをいつか叶える夢として、生きていく頼りにしていこうと思う。

「生きた証」という意味では、『庭』はまだ完成していない。「証」となっていない。

振り返り、思い出して、書いておかなければならないことはまだある。前を向き、考えて、書くべきこともまだある。67歳もまだ当分先。

生きているかぎり、考えることと書くことに終わりはないのかもしれない。いつかこれが私の「生きた証」と言えるところまで書けたら、そのとき、本を作ってみたいと思う。


さくいん:日経新聞


11/24/2022/THU
雨の休日
ジンとナッツ

昨日は雨の休日。一日中、布団のなかで過ごすつもりが、いつもの時間に目が覚めた。

朝食のあと、もう一度、眠ろうとしたけど眠れない。そこで、映画を観ることにした。

映画を観てから、缶ビールを開けた。それから、ミックスナッツと干しぶどうをつまみに安売りで買ったジンを呑んだ。ビーフィーターはこれで終わり。

何もしない。静かな休日。

何もすることはないので、開園20周年記念の文章を書いて、12月のページを作った。少し気が早いけれど、今年書いた文章を読み返して、2022年のベスト5を、本、映画、展覧会、それぞれで選びはじめた。

夕方、スーパーへ歩いて行き、新しいジンと餃子の材料を買ってきた。ちょっと高いけど、今回はコスパを選ばず、味の好きなボンベイ・サファイアを買ってきた。

それから、さだまさしのアルバム『私花集』と『帰去来』を聴きながら餃子を作った。

完璧な休日だった。


さくいん:ジン(マティーニ)餃子さだまさし


11/25/2022/FRI
透明人間

先週のあるリモート会議で。出席者は7人。

部長が部内で共有しておきたい課題があるかと一人一人に聞いた。

「そんな話題なないな」と思って聴いていたら、私は訊かれもしなかった。

存在感がない。強烈な疎外感。まさに透明な存在。ならば、このままずっと在宅勤務にしてほしい。出社したところで私の姿は見えていないのだから。

ここに私の居場所はない。それでもここにいなければならない。


11/26/2022/SAT
忘年会、その2
チキン南蛮 炭火の炎 渋谷の夜景 The Botanist

昨夜は渋谷で高校時代の友人と忘年会。渋谷といっても、センター街の方とは反対の246を超えたところにある宮崎鶏もも専門店。彼はいつもいい店に誘ってくれる。チキン南蛮が美味かった。炭火焼きの炎を見ながら生ビール2杯と麦焼酎を3杯。

お腹もふくれて、いい感じに酔いはじめたので、河岸を変えようと店を出た。ところが、あたりの店はどこも満席。そこで思い切って、246沿いにそびえたつ高層ホテルのバーに行くことにした。

これが正解だった。店は40階。澄み切った空気のおかげできれいな夜景が見えた。

若い頃のように翌日に持ち越すまでたらふく呑む必要はない。美味しい酒を呑めれば量は少しでいい。実際のところ、一軒目でかなり呑んでいた。

私には、安かったり無料だったりすると呑み過ぎる悪い癖がある。ホテルのバーでは財布と相談すると一杯しか呑めないので、メニューを念入りに見てオーダーを考えた。

選んだのはちょっと贅沢なジン、The Botanist。前に一度、奮発して買ったことがある。シングルモルト・ウィスキーで知られているアイラ島生まれ。The Botanistは香りが複雑で芳醇。味はなめらか。一軒目の焼酎3杯分の値段がしたので、ゆっくり味わった。

気まぐれに、高校の後輩に「元気か」とメールをしてみた。今朝、「来たかった」と返事が来たので年が明けたら会おうと返した。

実社会から滑り落ちてしまった者に声をかけてくれる友人がいる。ありがたい。帰り道、ひとり幸福をかみしめた。

追記。The Botanistの香りが忘れられず、ブラックフライデーの勢いで買ってしまった


さくいん:ジン


11/28/2022/MON
開園記念日

2002年『烏兎の庭』を開いて20年が経った。実際には、それよりも前から文章は書いていた。ある思いから11月28日を正式な開園日にした。

毎年、この日には、何か記念になる文章を書いてきた。多忙だったり、精神状態が不安定だったりで何も書けない年もあった

今年は体調はまずまずなので、記念になる文章を昨日書くことができた。

そのなかで「思索の焦点が定まってきた」と書いた。これは必ずしも思索が深まったことを意味しない。むしろ、考えるべきことがわかってきただけ、自分のなかにある悲しみ、迷い、苦しみ、矛盾が噴出してきた。うつ病になったことも過重労働だけが原因ではないと思う。

それでも、20年のあいだにしてきた読書音楽、美術展や映画の鑑賞、旅や人との出会いなどを通して、長年苦しんできた悩みが和らいだものもある。その一方、読み、書くことで、傷口が広がったところもある。

書くことを、こんなに長く続けられるとは思っていなかった。

追記。古くなったので、記念日に合わせて、20年前に書いたプロフィールを改訂した。


さくいん:うつ悲しみ


11/29/2022/TUE
診察日はハンバーガーの日
ハンバーガー

先週の土曜日、月一の診察日だった。10月に2回行ったので、これまで月初に通院していたのが月末に変わった。

新しいことへ興味がわかない、無気力、という相談をした。

S先生曰く、

  うつからの回復の過程で、不安や抑うつ、倦怠感の解消の後、気力を取り戻す、自力でQOLを高める段階がある。これは前の段階よりも時間がかかるかもしれない。でも焦ることはない。この段階に来たということは、確実に回復しているということだから。
  いきなり新しいことに取り組むのはハードルが高い。以前に読んで面白かった本を再読するとか、好きなジャンルの音楽や映画に接するとか、そう言うところか間口を広げていけばいい。

先生はいつも的確な助言をくれる。

診察のあとは恒例のハンバーガー。今回はビジネスホテルの地下にあるバー。この店へ来るのは三度目。セットがポテト一択ではなくオリオンリングが選べるところがうれしい。

前の晩にたくさん呑んだので、ビールはやめて炭酸水を注文した。この店は、店員の愛想がいい。そこも気に入っている。

駅下にあるスーパーに立ち寄り、夕食でムニエルを作るためにトラウトサーモンを買った。往きに歩いたので、帰りはバスに乗った。

夜にはオニオン・スープとにんじんのグラッセも作り、白ワインを一本空けた。


さくいん:S先生うつ


11/30/2022/WED
紅葉、井の頭恩賜公園
井の頭公園 紅葉 ビーフストロガノフ パイのつぼ焼き

日曜日。前日のくもり空とは打って変わって秋晴れ。井の頭公園まで紅葉を見に行った。

紅葉は見頃で、気温もウォーキングにちょうどいい感じ。たっぷり秋を堪能した。

ランチは、妻と娘と合流して、吉祥寺の写真館の地下にあるロシア料理店へ

ピロシキ、ボルシチ、ビーフストロガノフ、パイの包み焼き。どれも美味しかった。

メニューに簡単なロシア語会話が書かれていたけど、発音するのも難しそうで店員さんと会話することはできなかった。

ロシア料理店に嫌がらせをする人もいるらしい。幸いその日、この店では混乱した様子はなかった。

早く戦争が終わってほしい。