狸オヤジ寝入り。

電車の中で簡単に眠りに落ちる。

ふと目を覚ましたときの僕は、頭はがくんと垂れ、腰は思い切り沈み、
座席の上にふんぞり返り、大股開きでいた。

ああ、なんというみっともない姿をしているのだ。
駅のポスターにも書いてあるだろう。
やめよう!迷惑行為!まったくもって怪しからん。

残った眠気と仕事の疲労と、嫌な事があったことの鬱とで
体だけでなく心もドロドロに濁っており、もう死んでしまってもいいや
とさえ思えてくる。

とりあえず姿勢を立て直そうと頭と腰を上げたら、僕の正面には
制服姿の女子高生がいた。

腰は思い切り沈み、座席の上にふんぞり返り、
足は大股開きで…まるで僕と同じ格好ではないか。

やめよう!迷惑行為!まったくもって怪しか…ら…ん?
スカートの奥に桃色の…何かが…見え…

明日も生きてみようと思った。


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据え膳しか食えない男の恥。

僕は家事全般が苦手だが何よりも炊事が異常なほど嫌いだ。
台所に立っただけで憂鬱な気分になり、何も触りたくなくなる。
ちょっとおかしいかもしれない。

そんなわけで草木も眠る丑三つ時。嫁も当然寝ている。
ゴハンは出来ている。あとは僕が暖めるだけ…。

といった状況においてもどうしても台所に向かいたくはなく、
自室で空腹のまま寝てしまおうか、それとも覚悟を決めて
台所に立とうか、と煩悶していた。

…嫁を起こしたら怒るだろうか。当然怒るであろう。
飯を温めるぐらい自分でやれ。そんなことで私を起こすな。
そう言われるのが関の山である。

どっちにしろ、この時間はいつも熟睡している嫁。
声を掛けても絶対に起きないだろうと思い、ダメモトで

「嫁…嫁ぇぇぇ」

枕元に立つ先祖の亡霊のような、嫌な感じで呟いていたところ

「は?」

意外なほどにパッチリと目を覚ましてしまった。

「ママ…ゴハン食べたい」

「あっためればいいでしょ!」

「ママやってえ〜やってえ〜」

僕ちゃん君が作ってくれたご飯じゃないと嫌なの…と
返って嫁の逆鱗に触れそうな訴え方でアピールしたのだが

「しょうがないわねえ」

嫁はむっくりと起き上がり、台所でテキパキと僕の
食事を用意してくれ、

「はいよ」

ずい、と僕に差出した。なんて献身的な嫁であろうか。

「ありがとう…この恩は一生忘れないよ」

「何を言ってるの…」

拍子抜けしてしまうほど素直だった嫁はまたモソモソと
布団に入り、寝てしまった。こうしたわけで僕は深夜にも
かかわらず据え膳をおいしくいただくことが出来た。
持つべきものは嫁。ありがたや。

食べ終わった後に、嫁自身もレアでいただきたいと思ったが
さすがにそれは思い留まった。それこそ鬼畜というものであろう。

嫁を据え膳でいただく方が困難な今日この頃である。


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秘め事と姫の事。

お下劣なる秘め事を、できるだけ綺麗に綴ってみむとて
するなり。

週1回あるかないかの契りのチャンスを掴むことができた夜。
嫁に言い寄り衣服の裾に手を掛けると

「好きにして…」

字面だけ見れば、とても艶かしい言葉が返って来た。しかしその後に

「私、寝てるから」

と付け加えられた。こんな投げ遣りな「好きにして」は初めてだ。
もののあはれが解せない嫁よ。男女の駆け引きも何もない。
あるのは男女の出し入れのみである。

それでも僕は気を落とすことなく、好きなように嫁を蹂躙する
こととした。ただ気をつける点は、側で寝ている娘・R(1才)を
起こしてはいけない。厳かに前半の山場を迎えようとしたその時

「ひーんひーん」

出来るだけ音を立てないよう、立てるのは必要最小限の場所のみと
充分気を付けてはいたが、Rが感付いて泣き始めてしまった。
Rを穏やかな眠りに導く為に、何か優しい言葉を掛けてやらねば…

「R、今、本番中ですからっ」

台無し。

ここ嫁が手際よくあやして再び寝入ったR。僕もそれを
見計らってワンモアトライ。だが…

「ひ…ひーん。ウキャアア」

しまった。まだ眠りが浅かった。抜き差ししようかと
していた所に、これがホントの抜き差しならぬ状態に。
またもやRをあやさなければならない。

「はいはい、じゃあ歌を歌ってあげましょう。
 むーすーんーで、ひーらーいーて、
 てーをーうって、むーすんでー」

子守唄代わりにRの好きな歌を歌ってやった。Rはこの歌に
合わせて一生懸命踊るのだ。

「まーたひらいて、てーをーうーって…って
 さっきお母さんも、まーた開いてたのよイッヒッヒ!」

台無し。

やはり綺麗に綴れなかった。


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あなたの命を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう。

「ちょっくら煙草を買いに行って来るよ」

と嫁に言い残してコンビニへ。速やかに買って家に
戻ると娘・R(1才)がアキャキャと笑って出迎えてくれた。

「Rが大きくなったら、この父の煙草のおつかいを
 してくれたら嬉しいなあ」

煙草買ってきて、とRに頼むと、その代わりお釣りちょうだいね、
なんて言われたりして、と、ほのぼのとした将来像を想像して
いたら嫁が烈火のごとく怒った。

「Rにそんなことさせないでよ!煙草のお使いをさせられた子供は
 将来喫煙者になる可能性が高いのよ!」

「まじで!そんなことを調査した結果でもあるのか?」

「それは私が…えーと、保育士時代に…家庭を…見てた結果…
 そんな感じだったような…えと、4世帯ぐらい…?」

「お前、今4秒でデッチ上げただろ」

嫁の言うことは全く根拠のないものであったが、確かに
調べるまでもなく、何かしらの煙草に接するきっかけが
多い方が喫煙に繋がる可能性が高いに決まっている。
タイミングの悪い事に、こんな記事も見つけた。

たばこ多いほど自殺の危険

要約すると、一日の喫煙本数が多いほど自殺の危険性が
高まるという調査結果が出たという。これを見た嫌煙家は

「ご自分で毒吸ってご自分で毒吐いた上に、ご自分で死ぬなんて
 愚かな事ですこと。もっと沢山、もっと早く死んでくれれば
 私に煙がかからなくて済みますわ」

などと鬼の首を獲ったように喜ぶだろう。ますます喫煙者は
ダメ人間であると追い込まれていく一方である。

僕はヘビースモーカーだが、それでも娘・Rに対しては
気を使う。Rが側にいる時はなるべく吸わないようにして
いるが、誘惑に負けて家の中で吸ってしまうこともある。

こんな風潮と環境の中、僕も禁煙したいとは思うが、これまで
80回ぐらい失敗している。何か効果的な方法はないものか?と
考えあぐねた結果、

Rとしょっちゅうくっついていればいいのではないか。
そう思い付いた。Rの至近距離にいれば流石のヘビースモーカーの
僕も吸おうとは思わない。そして徐々に本数を減らせるのではないか。

Rがヨチヨチ歩いている後を僕もぴったりと付いて行く。

ヘビースモーカー解脱の後、
ベビーストーカーになるのである。


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トイレの我が子さん。

大自然が呼んでいたので、トイレに籠もって
スーパーサイヤ人と化していたら、トイレの
扉が「ぎいいい…」と開くではないか。

ちょっと待て!そんなのありえない!
出るものも引っ込んで固まったままの僕。
やがて扉の隙間が徐々に開き、姿を現したのは…

「あちゃぷー」

娘・R(1才)だった。何ということだ。
嫁にさえ覗かれた事ないのに。これは恥ずかしい。
たとえ我が娘だろうが1才児であろうが一緒にお風呂に
入ってようが、トイレで産む瞬間だけは見られたくない。

「Rちゃんのエッチ!」

とりあえずRをくるりとUターンさせ、背中をトトトと
押してRを遠ざけて再びトイレの扉を閉め、腰を掛けた。

ここで僕は思い付いた。かねてからRには80年代の
アイドルのようなキャッチフレーズを付けたいと、
親馬鹿な故に考えていた。、

かつてのアイドル、中森明菜のデビュー当時の
キャッチフレーズは

「ちょっとエッチなミルキーっ子」

であったという(ミルキーっ何だ…)それを踏まえて
我が娘のキャッチフレーズ。

「ちょっとエッチなノゾキーっ子」

…Rが聞いたらグレて少女Aになりそうな予感。


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