旅の恥を書き捨て

岐阜・名古屋旅行の間、娘・R(4才)と息子・タク(1才)は楽しんだのだろうか。

出来るだけ母や嫁、子供達にも楽しんでもらえるよう心掛けたつもりであったが、手際の悪さを反省している次第である。

1日目の岐阜城は予想外に険しい山道で嫁母をゼイゼイ言わせ、

「明日は名古屋城見る?」

「いい加減に城」

と呆れられた。Rやタクは山道をだっこされていたけれども、所々自分で階段を昇り降りし、

「すごいでしょ、えっへん」

と得意顔を見せ、茶店ではちゃっかりソフトクリームを舐め舐めしてそれなりに楽しそうではあった。

2日目は多分雨だろうと予測していたらやはり呪われたような雨ガン降りで、名古屋港の水族館でも行くかと準備していたらRが

「ぷりきゅあみるー」

とかテレビに釘付けになって出発が遅れてしまい、そもそも名古屋の土地勘を掴めず移動にかける時間配分を根本的に間違えており、名古屋港に着いた時にはほとんどトンボ帰りで名古屋駅に戻らないと1時の待ち合わせ(名古屋友達と飯食う約束:昨日の日記参照)に間に合わなくなっていた。

更に水族館がコミケ並に行列が出来ていて「ダメだこりゃ」と諦めたら

「すいぞくかん…いきたかったの…」

Rが涙目になったので

「あ、あそこにアンパンマン列車あるぞ!あれに乗ろう!!」

水族館の隣りにあったデパートの屋上のような小さな遊園地のアンパンマン列車に乗ろうとしたら、「お休み中」というああ無情な貼り紙がしてあって悉くだめじゃんじゃんばるじゃん。

「そうか…アンパンマンって雨に弱いもんね…」

それならばと稼働している観覧車とメリーゴーランドと200円入れると動く機関車トーマスとアンパンマンと新幹線の乗り物に乗らせた。Rとタクはそれなりに楽しそうであったが

「ごめんな…こんなの名古屋じゃなくても乗れるよ…」

申し訳ない気持ちになってしまった。母も太っているのに

「まったく忙しい旅行だねえ…」

ボテボテハヒハヒ、と、取り組みが終わってインタビュールームに駆け込むスモウトリのように急かせてしまった。股ズレ起こさないか心配であった。旅は股ズレ世は情け。嫁は

「こんなことなら近場の名古屋城にしとけばよかったわ」

と言う始末。やだって言ってたのに今ごろ名古屋城言うか!名古屋城じゃなくマンガ道場でも見てろ…!カチンと来たがすべて身から出た錆。ここで僕が逆切れしては全てが終わる。岐阜と名古屋だけに美濃尾張(身の終わり)。なのでぐっと堪えた。

そんな穴だらけだった岐阜名古屋の旅。帰りの新幹線の中で子供達に聞いてみた。

「タク、君はこの旅行で何が楽しかったかい?」

「えーっとねえ、わかんない。おしりかいかいし(お尻かじり虫)~」

タクは旅行も何も年中楽しそうだ。それではRは、と聞くとこんな答えが返ってきた。

「電車の運転見たのが楽しかった」

名古屋から岐阜に移動する時に乗った電車が先頭車両で、運転席がよく見えた。Rが見たいというのでずっとだっこして運転手の操作を見せてやったのが、一番楽しかったというのだ。

「な、なんと地味な…」

何が楽しいかというのは人それぞれである。嫁や母が見向きもしなかった尻毛も僕は楽しかったし、逆に嫁や母はまた違う何かが楽しかったのかもしれない。旅とはそういうものである…と思いたい。

旅食う虫も好き好き。

問題:電車の運転席でRが特に興奮したのはなんでしょう?

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