猫にまっしぐら

娘・R(4才)と息子・タク(1才)を公園に連れて行く途中、民家の庭に猫の親子がいるのを見つけて

「あーっ!ねこちゃんだー!」

「にゃんこ!にゃんこ!」

Rとタク
ふたりそろって立ち止まってしまった。

「これこれ、よそさまのおうちなんだから勝手に入っては…」

いけないよ、と言った時にはもうRとタクは猫をなでなでしていた。ま、まあいいか…僕がよそさまのおうちに入り、干してあるぱんてい等をなでなでしていたら通報ものだが、子供達が猫を愛でることについては家の人に見付かっても多少は大目に見てもらえるだろう。昔の人は言いました。猫泥棒には罪はない。違うか。いや、盗まないけど。猫泥棒と泥棒猫ではまたニュアンスが違ってくる。

「この泥棒猫!」

と罵られるような猫系の小悪魔的娘に、一度くらいはハートを盗まれて溺れてみたいものである。ええと、なんだっけ。ああそうだ猫だ。

「ねこちゃん、こんにちは、Rちゃんです!」

「こんにちは、わたひは、たっくんです!」

Rもタクも大真面目に自己紹介していた。猫達も暇潰しの相手が来た、みたいな感じで適当にゴロゴロしており、純粋な子供達は猫と会話が出来るのではないか…などと考えてしまった。

「Rちゃん、猫ちゃんが言ってる事分かる?」

「うん」

「まじで!なんて言ってるの?」

「にゃんにゃん」

…そりゃそうだけどさ。

3匹の猫。大きな猫2匹と子猫が1匹。両親と子供なのだろうか。子猫が両親(?)に甘えていて身を寄せる。なんとも仲良さげな親子ではないか。猫にも家族の絆がある、僕たち親子もいつまでもその絆を大切にしようではないか…などというオヤジめいた事を言いたくなったが、嫁に聞かれると鼻で笑われそうなので

「ねこちゃんが寝ているだろう。これが有名な『猫が寝込んだ』だ!」

ダジャレをひとつ伝授するに留まった。子供達は聞いちゃいなかった。Rとタクは飽きずに猫の親子を眺めていたが

「ほらほら、猫ちゃんたちにそろそろバイバイして公園行こう。日が暮れちゃうぞ…」

子供達の背中を押して公園に向かわせたのであった。既に陽射しは夕暮れに近いオレンジがかった色になっていた。

「むかし、夕焼けニャンニャンというテレビがあってな…」

これも聞いちゃいなかった。

問題:タクが公園に入った後、入り口付近にいたおじさんにやらかしたことは何でしょう?

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