神社の忍者

近所にある氷川神社。

祀られている神はスサノオノミコトである。決して氷川きよしではない。うちの母なら本気で祀りそうだが。その氷川神社の例大祭において、娘・R(4才)と息子・タク(1才)を子供山車に参加させた。

もっともタクは嫁に抱かれたまま、Rはやる直前になって大泣きし、僕に手を引かれながら山車の綱を辛うじて引っ張るというヘタレっぷりであった。

子供達が本気を出したのはその後である。Rとタクの他に、幼稚園友達のみっちゃん・モナちゃん・リュウくん・コウくん達と共に遊びまくっておった。

神社の境内には屋台が出ていた。僕達が着いた時には既にみっちゃんとモナちゃんは屋台で買って貰ったプリキュアのお面をかぶっており

「わたしはプリキュアよ!」

と僕に襲い掛かってきた。プリキュアのお面でオヤジ狩りとはなんというバイオレンス。北斗の拳も真っ青な暴力の世の中。

「あああみっちゃんもモナちゃんもやめて。襲うなら15年後に襲って」

僕が襲われる一方で目を輝かせたのはRである。

「Rちゃんもプリキュアのお面欲しい!」

「えー…」

普段なら一蹴するのだが、お友達みんなお面をかぶっている。男の子達も仮面ライダーのお面で「とう!」とかなり切っている。このシチュエイションで「ダメ」と言うのは難しい…。

「じゃ、じゃあRちゃんはどのお面がいいのかな…」

「きいろいプリキュア!れもねーど!」

プリキュアは5人いるらしい。元々ふたりではなかっただろうか…と怪しんだら

「いまはプリキュアふぁいぶなの!」

とモナちゃんに教えられた。増やしてどーするんだ。キャバクラでも開くつもりか。仕方がないので屋台のオヤジに黄色いのくれ、と言ったら

「800円です」

うわ、高、と心の臓が飛び上がりながらRに買ってやった。

Rお面
R・みっちゃん・モナちゃんにより結成されたプリキュア5(ふたり欠員)。

「あっちにかいじゅうがいるわよ!」

とか見えない敵を追い回して神社の境内を走り回っておった。

そして姉だけがお面をゲットして弟・タクが黙っていないのは当然のことであった。

「たっくんもおめん!」

「お前にはまだ早いよ…(高いから)」

「アンパンマンのおめん!」

「それウチにあるだろう…それにお面させたら嫌がって泣いたじゃないか…」

説得が通じたのかどうかは知らんが、タクはお面を諦めたようで、みんなプリキュアだの仮面ライダーごっこをしているのを見て

タク
「たっくん、にんじゃだぞー。にんにん、にんじゃ」

独自のキャラ作りに励み、忍者キャラを確立させて境内を跳梁跋扈していた。するとそれを見た外人さんの団体が

「OH!ニンジャボーイ!」

タクの忍者ポーズを見て大受け。

「ヘイボーイ!ニンジャ、プリーズ!」

「にんにん、にんじゃ」

タクも調子に乗ってポーズを披露。

「OH!Good!」

外人さん
それにしてもこの外人さん、ノリノリである。

僕は酒でも飲むべかと神社の境内を出、商店街にも生ビールの屋台が出ていたのでそこで買うことにした。

「神社のお祭りだから神社ーエールはあるかナ?」

「ないっすよ」

完。

問題:R達が神社で必死に探していたのは何でしょう?

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