はたらけど、はたら外道

「嫁~。明日休日出勤になっちゃったよう」

「まあどうしましょ」

会社から帰って来た金曜日の夜、嫁に伝えたところズガーンとしたリアクションだった。

「なんかすることあった?」

「R(4才の娘)がパパと遊べるってすごい楽しみにしてたのに」

そのへんのところをつつかれると一番心が痛む。

「許せ。しがないいち労働者でしかないパパを許しておくれ…」

「明日パパと公園で遊ぶの。Rちゃんブランコ立ち乗りできるようになったからパパに見せるの…って言ってたよ!」

「そりゃ僕だって見たいさ…」

「パパ、立ち乗り見せたらすごいねーって言ってくれるかなーっ…って言ってたよ!」

「そりゃすごいって言いたいさ…」

「すべりだいもパパといっしょに乗るんだー…って言ってたよ!」

「そりゃ僕も一緒に乗りたいさ…そうか、パパのお嫁さんになりたいと言っていたのか」

「それは言ってない」

Rだけでなく、息子・タク(1才)もRが喋っている間に

「たっくんも、ぶりゃんこ!」

「たっくんも、すぶぶだい!」

とテンションが高かったらしい。これは悪いことをしてしまった…。そんなことを知らずにスヤスヤと寝ている子供達。朝起きたら僕と遊べることを微塵も疑わず、期待に胸を膨らませながら寝たことであろう。

「私も明日パパお休みだからいっぱい遊んでもらおうね…って言っちゃったよ!朝合わせる顔がないよ!」

僕もどうやってRとタクに説明したらよいか…考えただけで恐ろしい。おしっこちびってしまいそうである。休日失禁。なんつって。Rは泣くか、怒るか、それとも両方か。

しかし朝の来ない夜はない。寝苦しい夜を過ごしていた僕にも容赦なく日は照りつける。子供達も起きて、Rは絵本を読んでいた。言うしかないだろうなあ…とゴクリと生唾を飲んでから

「Rちゃんごめんね。パパ、今日会社なんだ…」

絵本をめくるRの手がピタリと止まった。そして返事はない。ドラクエの屍か。

「聞いてる…?」

Rの視線は絵本を見下ろしたまま。目を合わせようとしないところが怖い…。そしてそのままこちらを見ようともせずボソボソした言った。

「Rちゃんねえ…今日…パパと…公園行ってブランコ立ち乗り…見してあげようって…思ってたの…」

岸田今日子が訥々と喋るより怖かった。

「ごめんなー。明日遊ぼうな!明日ブランコ見せてくれな!」

ショックのためかしばらく動けないR。

「それともとしまえん行こうか?アンパンマン来るらしいぞ」

「としまえんいく!」

こうしてようやく機嫌が上向いた。一方タクはというと

「ぱぱ、かいしゃいくのー?」

「うん、そうだよ。タクもごめんなー」

「そっかー。いってらっしゃい」

ドライなもんである。

嫁もドライなもんで、仕事から帰って来て求愛ダンスをしてみたら

「そろそろ血が出る日になりそうだし、もう既に出ている気がしないでもない」

という非常にあやふやかつ超やる気ないコメントで軽くあしらわれた。

休日ファッキン。

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