2007年08月19日
葉月の海月
前日のとおり、娘・R(4才)と息子・タク(1才)が海に行きたいとうるさいので稲毛海岸に行ってきた。
光るーうみ!光るーおおぞら!ひーかーるー一平ー!
という夏真っ盛りキラキラの太陽と海と真っ白な砂浜を想定していたのだが
どどーん。演歌と入水自殺がよく似合う灰色の光景。まるで「ねじ式」のような海。「ねじ式」とはつげ義春のマンガで、
メメクラゲというクラゲに刺された主人公が「イシャはどこだ!」とさ迷い歩くお話。
このようなどんよりとした海も、人生を考えながら眺めるとそう悪いものでもありますまい…と旅情に浸っていたがそう長くは自分の世界には浸っていられぬ。子供達を遊ばせなければいけない。おおそうじゃ。
早速Rを浮き輪に乗せて海にじゃぶじゃぶ。
「Rちゃん楽しいか?」
「たのしいー」
浮き輪ごと回転させると「ぐるぐるー」とか言ってはしゃいでた。去年までは海に入ることすら怖がっていたのに、今年は余裕である。
写真に撮ったら実につまらなそう。何故だ。
浜辺ではタクが嫁に手を引かれて貝殻を拾いながら歩いている姿が見えた。メルヘン少年か君は。
しかし僕のカップラーメンを奪って食うあたりはまことに世俗的であった。
「ふたりともずいぶん成長したなあ」
と感心していたところに波がRの顔を直撃。
「うわあああああん!」
「それぐらいで泣くなよー!」
「もう出るー」
Rが泣き叫ぶので一旦浜辺に撤退。僕も一息付いてジュースでも買うべかとその辺をフラフラ歩いていると、「救護室」があった。そこにはバケツに足を突っ込んでいる人達が何人もいた。
メメクラゲだ!メメクラゲに刺された人達なのだ!
そういえばクラゲとアカエイが出ているから注意してください、という放送がたびたび流れていた。こんなに被害者が出ているとは。
茶髪でロン毛で胸板が厚く「ナンパしに来ました」と顔に書いてあるやる気むんむんの兄ちゃんも、中学生ぐらいの男の子も、どこぞの親分さんですかっていう貫禄のあるおじさんも皆ショボーンとしている。
どんなキャラを持つ人達でも刺されれば皆同じ。一様にしょんぼりして足元のバケツを眺めている姿に哀れさを感じた。十把一クラゲというやつだろうか。
浜辺に戻って来て
「さあRちゃん。また海で泳ごうか」
と誘うと
「もういい…」
すごいテンションが下がっている。どうしてかと聞くと
「お水がお口に入っちゃうから…」
弱過ぎ。潮水ぐらいなんだ。AVギャルを見習え。お口で子種汁を全部受け止めているではないか。
「お父さんはもう少し泳ぎたいぞ。一緒に行こうよー」
「やーだやーだ。お水しょっぱいの!」
「世間の荒波のしょっぱさはそんなもんじゃないぞー!」
4才児にそんなことを言っても当然聞いちゃいない。
親子の足波が揃わなかったお話でしたとさ。
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