2007年08月13日
無気力の兄・機動力の弟
夕方、栃木の実家で母の秘蔵ビデオを見させられていた。
母は筋金入りの氷川きよし大ファンであり、彼が歌っているビデオなのである。
「あ、きよし!」
娘・R(4才)も母の洗脳の結果、彼がテレビに映るとすぐ分かるようになってしまっていた。
「Rちゃん、悪いんだけど、きよしじゃなくてきよし"くん"って言ってくれっけ?」
母よ、4才児に何をムキになっておるのだ…と呆れていたらドンドーンと花火の音が聞こえた。運動会を決行する時は朝7時に花火を打ち上げます、というようなアレである。
「なんだろう?お祭りでもやるのかな?」
と呟いてからしまった…と後悔した。
「おまつりー?」
Rと息子・タク(1才)の目がキラキラ輝いているではないか。今から何らかのお祭りに行ったら夜寝るのがものすごく遅くなってしまう。
「いや、お祭りかどうか分からないし、第一どこで何やるか分からないからね…」
そう誤魔化したのだが
「ちょっと車で見てくるわ」
何故か大張り切りの弟が鉄砲玉のように車で飛び出して行ってしまった。そしてあっという間に戻って来て
「運動公園の辺りで盆踊りやってたわ。人があんまりいなくて寂しげだったけど」
短時間で正確な情報を掴んで来てしまった。風魔忍者かお前は。さては弟も行きたいに違いない。Rとタクは盆踊りと聞いて更に目を輝かせていた。花火なんかに反応しなければ良かった。後の祭りとはこのことだ。
「盆踊りはもう今年何回も行ってるでしょう…おうちでご飯食べよう」
と問い質したのだが
「いくいくいくー!」
Rとタクが反乱。ここで止めに入るに違いないと思っていた嫁すら
「んー。しょうがないっかー」
「え、行くのかよ」
というわけで行った。弟が寂しげ、と言った通りなんだかあまり人出はない。屋台もポツンと数店あるだけ。ひなびた祭りもそれはそれで情緒があって嫌いではないが、盆踊りの中心にある櫓には
「町ぐるみ総出の盆踊り大会」
と、ものすごいタイトルが書かれていた。町ぐるみ総出でこれかよ。死霊の盆踊りにも劣る熱気のなさ。僕が子供の頃はこんなイベントやってなかった。その代わり通称「日立の盆踊り」という企業主体の盆踊りがあった。
僕の故郷のこの町は日立の大工場があり、工場と日立が有する病院やら幼稚園やらが町の中心部にどどーんとある企業城下町だったのである。当然日立の社員やその家族がたくさん住んでいて、僕の親父もそのひとりだったのだが、毎年日立の盆踊りは結構な人出であったと記憶する。僕も毎年楽しみに遊びに行ったのである。
しかしバブル崩壊あたりから業績が悪くなり、機能を海外移転したりリストラしたり規模がどんどん縮小され、病院も幼稚園もなくなり土地も手放し、思いっきり寂れてしまったのである。当然日立の盆踊りもなくなった。
企業主体の盆踊りがなくなったから町主体でやるようになったのであろうか。
Rとタクはこの場に来れただけで喜んでいたようだった。タクを抱いている嫁。Rを抱いている僕。そして…ぼさーっと一人突っ立っている弟。
彼女いないんだろうか。
家族ぐるみ総出で探してやらんといかんかなあ。
問題:屋台でRに買ってやったものはなんでしょう?
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