風邪のチチしゃぶろう

風邪を引いてしまった。

札幌出張時、ススキノでおっぱいと戯れていたことへの天罰だろうか。朝から喉が痛い頭が痛い体がだるいでも股間は超元気、というバテマラ現象(体が弱っているので早く遺伝子だけは残しておこうという利己的な遺伝子に基づく現象)まで起こっているのでこれは本物の風邪である。

「嫁~38度ぐらいあるよ~」

「この暑いのになに風邪ひいてんの!」

おっぱいの天罰が…とは言えない。

「風邪薬ある?」

「ない」

朝の会話はそれだけだった。この日はどうしても外せない仕事があったのでヨロヨロと家を出た。嫁のなんと冷たいことよ。きっと僕がどこぞで野垂れ死にしても眉ひとつ動かさないんだろうなあ…それならば僕は生きてても死んでてもどうでもいい存在になるわけだ。

そういえば、こないだ近所を散歩していて

「レトロな店だなー」

と趣があったので撮った写真があった。

あさリーマン
この店で練炭を買おう。会社なんか行かずに…と電車を降りようと思ったところでメールが入った。

「あなた大丈夫?辛かったら医者行ったほうがいいよ。風邪薬買っておこうか?」

嫁からだった。僕を励ますためか、娘・R(3才)と息子・タク(1才)の画像付き。ああああ、やはり持つべきものは嫁。心配してくれていたのだ…と涙をぬぐい

「医者行ってくるよ」

と返事をして会社を抜け出して病院に行った。

「保険証はお持ちですか」

薬師丸ひろ子に似た可愛い受付嬢に言われて脂汗が更に流れた。保険証のことなぞ全然頭になかった。

「しまった…診察券はあるんですけど」

「保険証がないと、まずいですねえ」

「でも、今こうして立ってるだけで辛いんです…」

「タイミング的に月末締めの時期ですんで、保険証ないと困ります…」

そりゃ忘れた僕が悪いよ。しかし脂汗が流れて息も乱れて、顔色なんかもう豊島園のお化け屋敷にノーメイクでレギュラー出演出来るぐらいやつれ切ってるのに、駆け込んできた患者の症状より保険証の心配をするこの姉ちゃん、なんなんだ。君がちょっと肩辺りを押すだけで、多分僕ぶっ倒れるよ。

弱ってなければ口移しで風邪菌を伝染してやるところだこの保険証女。

「忘れたのは申し訳ないけど、なんとか…」

しかしここはグッと堪え、あっもう死んじゃうかも、とか「死ぬ死ぬ詐欺」ばりの演技をさりげなく見せたところ

「じゃあ明日必ず持って来て下さい」

ようやく姉ちゃんは折れた。ここで僕がぶっ倒れても片付けるのは自分である、と悟ったからであろう。

ごく普通に「風邪ですね」と診察を受け、会社に戻って薬を飲んでいると

「ははは、シャブ漬けみたいだな」

隣の席の同僚にからかわれた。

「一緒に飲みますか?シャブシャブエブリバディ」

「とっとと帰れ。伝染されたら困る」

「今日は僕が進行する会議が…」

「じゃあ定時で帰れよもう…残業とかすんなよ!今日は元々ノー残業デーだしな」

「わかりました。ノー残シャブシャブ」

「まだおっぱい見足りないのか!」

やはりおっぱいの天罰と思わざるを得ない。

問題:一軒目の薬局に行った時、倒れそうになったことは何でしょう?

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