盆踊りでオヤジ狩り

町内の盆踊りがあった。

嫁と子供達を連れて見に行くと、浴衣姿の近所の女子中高生がわんさかいて大変眼福である。ああ、浴衣のギャルに囲まれていんぐりもんぐりなことをしたい…とみだらな妄想をしたが、あまり注目し過ぎると町内の危険人物としてマークされるので、若いギャルを眺めるのは程々にすることとした。

しかしギャルよりも可愛いのが娘・R(3才)の浴衣姿。息子・タク(1才)も甚平姿で寺の小坊主のようである。新しい浴衣と甚平に袖を通した子供達を今年初めて見る事が出来た。

「Rちゃん可愛い浴衣だねー」

「かわいいでしょー。さくらんぼのゆかたなのよ!」

「そうだねー。タクも甚平可愛いねー。トンボの柄だよ」

「たっくん、たんぼ!」

「いや、田んぼじゃなくてトンボ」

「たんぼ!」

田んぼ柄の甚平って…。うーっ。たんぼー。

「みっちゃんがいないねー」

とRが言った。みっちゃんとはRの幼稚園の友達である。そういえばみっちゃんの他にマユちゃんやソラちゃん等の友達も来る、と嫁が言っていたことを思い出した。

やがて彼女らとそのママさんパパさん達が集まっているところに合流することが出来た。早速みっちゃんがすっ飛んできたので

「みっちゃんこんばんは。可愛い浴衣だねー」

と挨拶すると

「マユちゃんにも!」

「ソラちゃんにも!」

わたしにも声をかけなさいよ!と次々に言われたので、

「マユちゃん、こんばんは。マユちゃんも浴衣着て可愛いねー」

「ソラちゃんは青い浴衣だね。素敵だねー」

場末の売れないホストになった気分で女の子達を愛でた。

「ねえRちゃんパパー。うさぎさんやってー」

とマユちゃんが言う。どんなプレイだ、と思いつつも頭に手を当てて耳とし、ぴょんぴょんうさぎ跳びで

「マユちゃーん、うさぎだぞー、がおー」

僕なりのエンターテイメント精神でうさぎを表現し、マユちゃんに襲い掛かると

「きゃー!きゃー!」

マユちゃんを含め全ての3才浴衣ギャルが僕を取り囲み袋叩きにした。Rまで僕を殴っている。Rよ、お前もか。浴衣ギャルに囲まれたい…という夢は叶った。だが何かが違った。

「何故こんなことに…」

と嫁に愚痴ると

「あなたはいじられキャラなのよ」

全てを悟っているようなしたり口調で答えるのでむかついた。

いじられキャラだというのなら、夜、僕のみだらな部分をもっといじってくれてもいいのに…と、きよしのズンドコ節を聞きながら今夜もズンドコにはなりそうもないな…とひとり呟くのであった。

問題:僕は盆踊りの前に、嫁に何をやらされていたでしょう?

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