露呈風呂

子供達とお風呂。

息子・タク(1才)を先に上がらせ、娘・R(3才)にも

「Rちゃん、そろそろ上がろうか」

と言ったのだがまだ遊び足りないらしく言う事を聞かぬ。

「パパ、みてみてー。ぶくぶく…ぶばばー」

Rはお湯をがぶがぶと口に入れ、そのまま吐き出す。

「やめなさい。マーライオンかお前は」

僕の体の下の方にあり湯船の底の方で漂う、モサモサとした昆布のような黒い物体とナマコのようなこれまた黒い物体が漬かったお湯など飲ませたくなかった。いわば昆布とナマコの特濃ダブル出汁である。

そんなことをするぐらいなら、と

「ほら、お父さんがだっこしてあげよう」

僕は顔が水に浸からない程度に仰向けになり、下からRの両脇を掴んでRの体を持ち上げた。「飛行機ブーン」のポーズである。「飛行機ブンブン」だとビリーズブートキャンプになってしまうのでワンモアセッ。

ちょうど水面の高さにRを持ち上げれば、Rが自力で浮いて泳いでいるような格好になるので

「ほら、Rちゃん自分で泳いでるよー。すごいなー。足バシャバシャさせてごらん」

水泳シミュレーションをさせてみたらRは喜んだ。しかし狭い浴槽の中である。本来ならもっと離れているのだけれども、僕とRのバディが殆ど密着していたので、湯の中でたゆたう僕のナマコがRの腹にそよそよと当たってしまうのである。

これはいかぬ。実の娘にナマコを当てるとはなんたること。嫁の頭にはナマコを載せたりするけれども、Rに対しては厳粛な僕である。

「おしまいっ。じゃっ、そろそろ出ようか」

慌てて飛行機ブーンをやめた。惚けてとっとと出てしまえばRはナマコが当たったことなど気づかないだろう。何しろRはこないだ「パパにはちんちんあるの?」と言っていたぐらいナマコには無関心なのだから…とタカを括っていたが甘かった。

「パパのちんちんがあたったよぉ~」

ニヤリと笑ったRはナマコ接触をしっかり分かっていた。全身の血が引き、全身の汗が吹き出た。

「ちょっ。違うっ。ちんちん違うっ!」

「ちんちんだよぉ~」

「いや、当たってたのは、ほら、Rも持っていたろう、魔法のステッキなのだ」

「まほおつかいの?」

「そうそう。それ。魔法だから消えちゃったのだ。もうないよ。」

「そうなのかー」

…Rが素直でよかった。

魔法のステッキの正体。それはナマコ。一振りすると子供が出来る魔法が使えるのさ。

テクマクナマコン。なんつって。

問題:体を洗う時、Rが一番嫌がる体の箇所はどこでしょう?

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