可愛さを武器にする息子

仕事から帰って来た夜中、嫁が昼間の子供たちの様子を話してくれた。

ご飯を食べていた時、息子・タク(1才)がエンピツ立てを悪戯していて、がしゃあんとぶちまけてしまったそうだ。

「たっくん、だめでしょー!」

娘・R(3才)が怒った。

「何やってるの!食べもしないで悪戯ばっかり!」

嫁も怒った。そして

「たっくん、ごめんなさいは?」

「たっくん、ごめんなさいしなさい!」

Rと嫁はごめんなさいを言えとタクに詰め寄られた。僕であったら我が家最強の女2人に絡まれたらすぐさま土下座してしまうのだが、タクは違った。謝るどころか

タク
「ま~ま~」

上目遣いの猫撫で声で可愛い子ぶるではないか。媚を売り可愛さアピールで許してもらおうという、1才児なりの戦略なのであろう。そしてRにも

「Rちゃ~ん」

普段は「ねーね」と呼んでいるのにRの名を呼び、健気さアピール。嫁は見事可愛さの虜になり思わず笑ってしまい、Rも

「たっくん、『Rちゃん』ってちゃんと言えるようになったのォ?」

そこ突っ込むとこちゃうやろ、みたいなところに注目してしまい、怒るのを止めてタクの術中にはまってしまったという。

嫁の話はそんなところであった。

「ははは、タクは策士だな。でもRは単純だな…」

「そうなのよ。Rは怒られたらずっといじけっ放しか泣きっ放しなのに。あんな媚を売ることなんてどこで覚えたんだか。なんていうか、2人目は賢いわ」

「うん、ひらがなも読めつつあるしな…それはそうと、そろそろ寝ませんか」

僕はなんだかムラムラして来てしまったので、嫁を布団の中に誘おうとしたところ

「やる気満々の人とは寝たくありません」

やりたいオーラを見事察知されてしまった。こういう時こそタク直伝の可愛さアピールである、と革命的閃きを得た僕は

「ま~ま~」

嫁に抱きついて甘えてみた。しかし嫁は甘くはなかった。

「あなたは全然可愛くないから無駄」

明朝タクが起きたら弟子入りして可愛さを学ぼうとする次第である。

問題:最近のタクがやりたがって困ることはなんでしょう?

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