2007年06月06日
花の散るらむ洟の出るらむ
嫁の誕生日が明けた早朝。
娘・R(3才)も息子・タク(1才)もまだ寝ていた時、嫁が苦笑しながら言った。
「Rがよくままごとで『たんじょうびおめでとー』とかやってるでしょ?」
「うん、やってるね」
Rはままごとをよくやっているのだが、その中でも「誕生日ごっこ」がお気に入りのようで、ケーキを作る真似事をしたりして、
「きょうはままのたんじょうびです。はい、けーきでーす。はっぴーばーすでーとーゆー」
などと歌っている。嫁はそのことを言っているのである。
「でも昨日に限っては全然やってくれなくてさー」
「そりゃ昨日がお前の誕生日だなんてRには分からないだろう。やったとしても偶然だよ」
「偶然でもいいから『ママ誕生日おめでとう』ってRの口から聞きたかったな」
母の日でも僕がカーネーションを用意し、メッセージを書き、手渡しするのだけは子供達にやらせよう、と考えていたら嫁に断られた。ヤラセをしてもらっても意味がない、子供達が自分の意志でやってくれてこそ嬉しいのだ、という考えの嫁である。この発言も分かるような気がした。
こんな話をしていたらRもタクもむっくり起き上がったので
「R、ちょっとこっちにおいで」
僕はRに手招きをして隣の部屋に連れ込んだ。
「なーにー?」
「ママにな、誕生日おめでとう、って言っておいで」
もう誕生日は終わってしまったのだが、そう言うようにヒソヒソ声で耳打ちした。しかしRは
「わかんない!」
声が小さ過ぎたらしい。もう一度Rの耳を寄せてヒソヒソと囁いたが
「わかんない!いやあああ!うわあああん!」
どうやら耳をいじられるのも嫌なようで、泣き出してしまった。そうか、嫁に似て耳を攻めると弱いか…じゃなくて、Rにはまだそのような策略は通じないようであった。
「ごめんな、パパが悪かった」
もう少し前もって入念に仕込めばよかった…と泣いてるRをだっこして部屋に戻った。そしてタクに視線を移すと、なんだか女の子っぽい。よく見たら女の子用の肌着を着ているではないか。
「なんでだ?胸にピンクのリボンなんか付いちゃって、まるで女の子みたいじゃないか」
「Rのお下がりに決まってるでしょ!」
「面白いから写真撮っておくか」
昨日嫁にプレゼントした花束をタクの側に持って来て、「はいタク、にっこり笑ってー」とパチリ。
撮ったこの写真を嫁に見せたら
「雁屋崎みたい」
ひどいコメントであった。よく見たらハナミズが垂れているし。
「ほいタク、チーンできるか?」
ティッシュでタクの鼻をぬぐった。花も恥らうハナミズ息子、か。
すなわちハナカミ王子である。
問題:僕の母から貰った花も一緒に写せばよいのに、と嫁は言ったのだが
気が進まなかった。何故でしょう?
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