はしかがヨロシク

娘・R(3才)も息子・タク(1才)も嫁も鼻汁ダラダラ。

汁マニアファミリーである。

タクなどは39度まで発熱してしまった。寝苦しいのか夜中起きてギャンギャン泣いていた。

「おおかわいそうに…」

水枕を用意しつつも実は僕も伝染させられてしまい、かなり辛い体調であったので倒れるように寝てしまった。翌朝、タクの熱は下がったが僕はそのままだった。

喉が痛い。頭が痛い。全身がだるい。関節が痛い。お股の特定部分だけは異常に元気。

すなわち風邪特有の症状である。

また風邪とは別にヒゲソリの際にカミソリ負けしてしまい、顔に赤い腫れがいくつか出来てしまっている。これが痒くてイライラしていたし、風邪で辛いし、ひどい有り様で仕事をしていたら同僚から

「熱っぽいし顔に発疹があるし、はしかじゃないの?」

と言われてしまった。ナウなヤングに大流行のはしかっすか…。

「いやいや違いますよ。風邪ですし、腫れはカミソリ負けですし、今大学生に流行ってますけど僕はそんな若くないですし…第一小さい頃にもうやってます」

「記憶あるの?」

「いえ、やったと母から聞いてます」

「怪しいんじゃないのそれー?」

「いやいや風邪ですって。うちのチビ達から伝染されたのです」

ねちっこくつきまとう同僚は、僕をはしか認定して面白がりたい意図が見え見えであった。とは言うものの弱り目に祟り目、同僚の言うことを真に受けてしまったわけではないが、母にメールしてみた。

「僕、はしかやってるよね?」

母からの返事は

「やってるよ!でも気になるなら医者に診てもらえ」

なんとも玉虫色なお答えで、ますます不安になってしまった。

更にその次の日も相変わらず不調で、会社では再びはしか疑惑をかけられたが、それに加えてもっとひどい疑惑を投げかける者がいた。

「エイズだったりして」

あんまりだ…。

いやらしい目で僕を見つめる同僚。ただれた性関係などを想像しているのだろうか。

「なんでそう最悪な方向に持ってくんですか…僕は嫁一筋ですよ」

「潜伏期間長いんだから結婚前まで過去を振り返ってみな?昔、行きずりの女と…とか」

「そんなやり捨てみたいな鬼畜なことはしてないっす!やるときはちゃんとした相手に、誠意を持ってコトに及びましたよ。当然結婚してからは嫁に誠意を持って」

「どうかなー。よく言うよ」

「それこそ誠意大将軍ですって。はしか疑惑の上にエイズ疑惑なんてひど過ぎますよ。幕府開きますよホントに」

誠意大将軍、はしかが尊氏。なんつって。

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