みんなが笑ってる。おばさまも笑ってる

息子・タク(1才)が昼寝をしている時間、嫁が娘・R(3才)と遠くのショッピングセンターに行ってしまったので僕はタクと留守番していた。

しかしタクは程なく起きてしまい、家の中をタカタカと歩き回って体力を持て余しているようであったので、僕もタクを連れて買い物に行くことにした。といっても家から歩いて約5分のスーパーに飲み物を買いに行くだけなのだが。

スーパーに着くと、買い物カゴが積み上げられているのを見て

「たうわ?たうわ?」(タク語訳:これは?これは?)

と騒ぎ出した。Rもそうだったが、自分でカゴを持ちたいらしい。自身の体ですらすっぽり入ってしまいそうなタクがカゴを持って、あまり通路の広くない店内でエッチラオッチラ歩くのは他のお客の邪魔になる。

「いや、スーパーのカゴはパパが持つ。尾張名古屋は城で持つ」

タクのわがままを華麗にスルーしようとしたのだが

「んぎゃー!んぎゃー!」

爆音で泣き出すので持たせてやった。

「あらあらウフフ」

後ろにいた上品そうなおばさまが笑っている。もう邪魔となってしまった。

「すみませんすみません」

とりあえずカゴを持たせたタクごと抱き上げて店内に入り、出来るだけ邪魔にならなそうなところで降ろしてやったところで血の気が引いた。

さ、財布忘れた…。ポケットをまさぐると100円玉が2枚。これが現在の全所持金。先週サザエさんを見なかったから、きっとこれは磯野家の呪いに違いない。更にタイミングの悪いことに嫁から電話がかかってきた。

「今どこ?」

「タクと一緒にスーパー」

「じゃあコロッケ買って来て」

お前はコロ助か。こうして電話している間にタクはひょこひょこ店内の奥に進んでしまうし、お金の問題もあるしでイライラしていた。

「悪いんだけど今200円しかない」

「プッ。じゃあいいや」

嫁に鼻で笑われたので電話をガチャ切りし、すぐさまタクを追った。

「たうわ。たうわ」

タクはさも当然のように海苔を手に取り買い物カゴにポイ。随分と手馴れた手つきではないか。

「この海苔海苔ボーイめ!買いません!」

結局100円で特売されていたコーヒー牛乳1リットルだけを買うことにした。カゴに入れるまでもなかったが

「んぎゃー!んぎゃー!」

またもやタクがカゴに入れろ、そしてそれを持たせろと主張し始めた。

「どうせ持てないんだからダメ」

「ふぎゃああああ!」

タクは通路に座り込んで泣いてしまった。これは…まさしくダダッコ!Rがこのようなダダッコ行動を一切取らないので油断していた。おんぶ紐に括りつけて来るべきであった。

「あらあら、持ちたいんだよねー」

先程のおばさまの通行をまたしても妨げてしまった。

「度々すいません…」

タクとカゴとコーヒー牛乳を一気に抱え上げてバタバタとお金を払って出た。暴れる息子に手を焼いた上に買ったのは100円のコーヒー牛乳だけ。変な客と思われたであろう…。

帰り道はタクをおんぶ。家に着くまでには「おんぶらよー」とか上機嫌になっていた。家の前にはなんと嫁とRが立っており、僕らの帰りを手を振って出迎えてくれている。おお、我が家族よ。

「あはは、わざわざお出迎えかい?」

「家のカギ持ってくの忘れたから待ってた」

磯野家の呪いは恐ろしい。

問題:買い物カゴを取ろうとしたとき見つけたものは何でしょう?

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