みどもの使い

独身時代、一人暮らしが長かったが恥かしい話、スーパーで買い物をしたことが滅多になかった。

いつも外食で済ませていたため、食料品を買うことがなく、ジュースや日用品は殆どコンビニで買っていた。僕はペットボトルの烏龍茶を常時買い置きしており、結婚してからもそれを続けていたらある日嫁に

「その烏龍茶、どこで買ってるの?コンビニ?何やってるのよあなたは。コンビ二だと定価でしょう?いくらで買ったの?320円?この辺のスーパーの最安値は158円だわよ!あーもったいない」

定価で買うバカがどこにいる、といった調子で捲くし立てられた。

「320円が…158円?」

おのれコンビニめ。CMで流れるフレンドリーなキャッチフレーズを信じて今まで買っていたのに。何がセブンイレブンいい気分だ。ものすごい嫌な気分になったではないか。何がまちのホットステーションだ。ボッタクリステーションではないか。

僕はズボラな家事とコンビニ文化にどっぷり浸かっていたため、スーパーのチラシを比較検討する「価格ドットコム」的概念がすっぽり抜けていたようだ。加えて僕はスーパーを避けていたフシがある。どうもスーパーというものはオバサンの聖域のように感じられ、ひとりでラーメン屋や牛丼屋に入れない若い女の子のように、僕もスーパーに近付けなかったのである。

それからというもの嫁がいつどこが安いかを見極めて買って来るようになった。但し僕が買う時もある。

ある時…烏龍茶と共に買い置きしているマックスコーヒーが切れていることに気が付いた。

「言われてないから買ってないよ」

と嫁。

「買って来て」

「自分で行きなさい。チョメチョメストアで1缶98円」

嫁はすぐさま一番やすく買えるであろうスーパーを提示した。

「じゃあ…行って来るよ」

「Rちゃんもいくー!」

「一緒におつかい行くか」

娘・R(3才)が付いて来たので一緒にお手々繋いでスーパーへ。

「かご、かご!Rちゃんが持つの!」

Rは自分がかごを持ちたいらしく、入口で籠を取って商品を入れてうんしょうんしょと歩いている。うーむ、これが文字通りの「子供の使い」というやつだ。

ふと見るとカップヌードルが100円で特売されている。おおこれはお買い得だ。買っていこう。確か定価だと140円台だったはず。これで僕もやりくり上手だ。やりくり上手にて夜はやりまくり亭主。これで嫁にも馬鹿にされなくなるだろう。

家に帰って嫁に得意げに言った。

「ほら、カップヌードルが安かったよー。100円」

しかし嫁はまた呆れた顔をして

「最安値は68円だよ!もったいない!もったいない!(ルー大柴調)」

僕が「子供の使い」でした。

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