ちゃんとちゃんとの枕元

嫁が寝ようとしている枕元に僕が立つ時は、大抵ろくでもないことを考えている。

嫁の隣には、息子・タク(1才)がピカチュウのぬいぐるみと共に寝ており、嫁を挟んで反対側には娘・R(3才)がフゴフゴと鼻が詰まった寝息を立てていた。

頭の中は「猥」とか「褻」とか「淫」とかだいたいそんな感じである。ただ露骨に口にするのはインテリジェントではないので、他愛のない話から始めるのだ。

「…タクはピカチュウが好きなのかな」

「それは何故かRが『ぴかちゅうはここに寝るの!』って布団に突っ込んだのよ」

ピカチュウ
(ちなみにこれはRにリュックを背負わされたピカチュウ)

「Rは寝苦しそうだけど…今週は僕ら全員ハナタレになってしまったね」

「ほんとに。私は声も枯れて来たよ…」

「辛そうだね。ちなみに僕は今日でハナタレ治っちゃったんだけどね。えへ」

「何なのよ!あなたは!」

「鼻汁は止まったんだけど、別のところから別の汁がたれて来そうで、な…」

僕はそっと嫁の胸元から手を差し入れた。その刹那、嫁はくるりと身を翻し、

「私は今、出血期間中なの!」

僕の手を振り払った。垂れていたのはハナミズだけじゃなったのだ…。

「じゃ、お前には用はないわ!」

「うわ何それ、ひどい!あなたこそどっか行け!」

剃毛、いや、不毛な言い争いになり声が大きくなってしまったのだろう、突然タクがムックリと起き上がった。

「あ、起きちゃったか。ゴメン、うるさかったね…」

タクは座ったままボーっとこちらを見つめ、何も喋ろうとしない。

「完全に寝惚けてるな」

これが無我の境地というものだろうか。やがてタクは一緒に寝ていたピカチュウをぎゅっと抱いて

「だいすき、ちゅ」

小鳥が交わすようなキスをチョンとした後

「ままー」

と嫁に抱きついて甘えた。その一連の動作に嫁はアキバ系オタクのように萌えまくり

「いや~んタク可愛い~。私はタクには用がある。あなたには用はない。さ、出てって」

「お前は若い男の体を選ぶのか」

「いいでしょーえっへっへ」

抱き合う母と息子にはぶんちょにされた僕は

「と、特に寂しいわけじゃないし」

せめてもの抵抗としてこっそりすかしっ屁を枕元に発し、寝室を出るしかないではありませんか!

屁の用心 えっち失敗 枕元

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