統一痴呆選挙

栃木の実家から帰って来たらもう夕方だった。

「選挙行かないと!選挙!」

家に着いたら速攻都知事選の投票に行かねばならなかった。投票場所は歩いて5分の小学校なので、わざわざ子供達を連れて行くことはせず、僕と嫁が交互に留守番して選挙に行くことになった。ところが僕らの話を聞いて

「Rちゃんも、せんきょ行くー」

娘・R(3才)が付いて来ようとしたので

「Rちゃんはあと17年後に行こうね。君に投票用紙を渡したらうさぎちゃんの絵とか描いてしまいそうだ」

そう説得してまず僕が行くことに。ただ僕は選挙という実感がイマイチ湧いていなかった。というのも有力候補者はともかく面白い候補者が多過ぎる。まず

「北朝鮮からのミサイルをUターンさせる」

と公言する某ドクター。ドクター、僕は大学生の頃公演を聞きに行きました。「頭のよくなるスナック」も買って食べました。でもバカのままです。

そして

「おやまゆぅーえんちぃー」

が持ちネタのお笑い芸人。実家が小山ゆうえんち(もうなくなってしまったが)のすぐ近くであるので、

「都知事じゃなく小山市長に立候補すればいいのに」

「でもあの人東京育ちらしいよ」

「じゃいいや」

何が「じゃいいや」だかよく分からないが母とそんなことを話した。クルーザーやヘリコプターで選挙運動をするどこか浮世離れした建築家の候補については

「昔はカッコよかったんだけどねえ」

と母は語る。

さらにもうひとり、政見放送で「ぶっちゃけ言うと政府転覆しかない」と叫んで中指立てちゃってたアナーキーインザTYOな人。これにはもう

「こんなに笑ったのは東郷健さん(政見放送で「ちんちん」を連呼した人)以来だ…」

大笑いして身悶えるしかなく、選挙というよりもお笑い番組を見ているような気持ちになっていたのである。結果、誰に入れようかという判断基準が「一番面白かった人に入れちゃおうか」みたいなおちゃらけた考えになってしまったので

「差し支えなければ、お前は誰に入れるか教えてくれないか」

嫁の考えを請うてみたのだが

「それは…いくら夫婦でも…」

やはり教えてくれなかった。お尻とお尻を合わせてお尻合いをした仲なのに、投票する人の教え合いはしたくはないとはこれ如何に。嫁のお尻の穴まで見ているというのにそれ以上にシークレットな扱いの立候補者に軽く嫉妬し、思わず昔の歌を口ずさんだ。

けーつのしーわ、なーんぼん♪よんじゅうはーちほーん♪(「砂漠」By人生)

「なあいいじゃん、お互い全てを晒し合った仲だろう。いいじゃないかいいじゃないか今晩やろうじゃないか」

セクハラ丸出しで迫ってみようともしたが、選挙についてこのように迫ってはいけないのだと思い出してやめた。確か法律で定められている。

すなわち好色選挙法である。なんつって。

問題:投票用紙に記入している最中に思い切りビビッたことは何でしょう?
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エンピツ投票。

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