Happyプッチンプリン、すなわちレオナルド・デカプリン

「あなた、冷蔵庫を見てみて」

嫁があやしげな笑みを浮かべて言うので、はて、バラバラ死体でも入っているのかと思ったら

「うわああああーお」

そこには未だかつて見たこともない、でかいプッチンプリンがあった。

ハッピープッチンプリンハッピープッチンプリン
なんという大きさだろう。見てはいけないものを見てしまったような気がする。大きいことはいいことだ、という感動ではなく、まるで放射能で奇形化した巨大魚を見てしまったような禍々しい感覚。

「ファミマで見付けたからつい買っちゃったの」

と嬉しそうに話し嫁。おじゃる丸かお前は。

「…限定販売かなんかなのか?」

「買った友達に聞いたんだけど、プッチンしてお皿に乗せようとすると、でか過ぎで崩れちゃうんだって!」

「ハリを失ったおばさんの巨乳みたいなもんか」

「そうそう、そんな感じ」

共感できるほどでかい乳持ってないくせに…と言おうとしたが、口は災いの元であり嫁を怒らせ、そのなけなしの乳すら揉ませてくれないことになりかねないので黙っておいた。

「どうする?あなた、食べてもいいよ」

「…いや、いいよ。子供達と分けて食べなよ」

僕だったらこの大きさであってもおそらく全部食べられるであろう。しかし幸せな食後感を味わえない気がする。例えばヤクルトはあの大きさだからいいのであって、あれが2リットルのペットボトルでドンと出されたらそれだけで胸焼けを起こす。

「あらそう?ねえねえ、なんとこれでショートケーキ2個分のカロリーなのです」

なんとこれで1万円なのです…みたいなテレビショッピング口調で話す嫁。やはり食べなくていいや、と冷蔵庫に戻したのであった。

翌日仕事から帰ってくると、冷蔵庫の中にはまだプッチンプリンが残っていた。

「あれ、食べなかったのか?」

「うん…今日は暖かかったから…アイス食べちゃった。ハーゲンダッツ。てへ」

「なんだとー!」

ハーゲンダッツなら僕も食べたい、と嫁に猛抗議をした。

「まだ一個あるからどうぞ。ハーゲンダッツのアズキ味」

「僕はアズキ嫌いだー!」

嫁は僕のアズキ嫌いを知っているはずなのに、何故よりによってそれを残しておくのだ。頭がプッチンしてしまった。元々プッチンプリンよりムチムチプリンの方が好きな僕。女体という名のスウィーツを漁りに行っちゃうぞまじで。

これをプッチン不倫といいます。

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