いい加減に姉弟ー!

娘・R(3才)がとっとと寝てしまい、息子・タク(1才)がまだ起きていた夜。

Rのことが大好きなタクは

「お姉ちゃん、ボクと遊んでー。どうして寝てるの?」

とばかりに寝ているRにちょっかいを出す。頭を撫でてみたり手を握ってみたり。さながら嫁に夜這いをかける僕の如し。

タクよ、姉に夜這いはいかんぞ。しかしお前の蕾のような突起物ではどうにもなるまいて。僕のように、ナイフみたいに尖っては触るもの皆孕ませる程のウェポンを持っていなければ恐るるに足らず。

基本的に微笑ましいさまであり、そう考えながら遠巻きに見ていた。ただRの安眠は妨げてはならないので

「ははは、タクー。お姉ちゃんを起こしちゃだめだそー」

と声をかける程度に留めていた。それが間違いだった。タクが何やらRの顔をいじくり始めたので、さすがに「一体何を…」と少し心配になって近寄ってみると…

タクは一生懸命Rのまぶたを開けようとしていたのだった。

「た、タクー!それやっちゃだめよー!」

恐ろしい子!ひとつ間違えると大惨事に。子供って純粋なだけに恐ろしい。かつてトンボを捕まえていた幼き日の僕。トンボが弱ってきたので

「元気にしてあげよう!」

と昆虫採集セットの注射器を胴体に思いっきりブッスリ刺したら死んでしまった…そんな無邪気ゆえの残虐行為が僕にもあったっけ。

慌ててタクをRから引き剥がしながら、まぶたをめくろうとしているそのタクの姿が、寝ている嫁のパンツを必死にずり下ろそうとしている自分の姿と重なった。とにかく目を開けさえすれば起きてくれるだろう…とにかくパンツさえ脱がせばやらせてくれるだろう…1才児と思考回路が同じだったのか僕は。

「いつも昼間やられていることへの仕返しだったりしてね…」

嫁がニヤリと笑った。Rもタクのおもちゃを取り上げたり独り占めしたり、ごく稀にひっぱたいたり、などと結構タクに対して無礼なことをしているのである。これは弟の逆襲なのだろうか。

それでもタクは姉が好きなようである。そんな仕打ちを受けても甘えてRに抱きついたりする。

「やだやだ、たっくんやめてよー」

これまたタクの気持ちを無視したRの無礼な言葉を受けてもニコニコと笑ってめげない。無礼でもなんでも、かまってもらえるのが嬉しいようである。

無礼なお姉さんは好きですか。

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