契りの後の契り

露骨に書くとアレなので、その、なんだ、僕のおしべと嫁のめしべをくっつけようと欲したので

「まま、まま、んふんふんふ」

息子・タク(1才)が甘えるマネをすることにより嫁の母性本能をくすぐって僕の種まき本能を充足させん、と嫁の体にすがった。

「可愛くない。タクはあんなに可愛いのに。あなたと顔は似てるのに、あなたはどうしてこうも可愛くないのだろう」

全く効果がなかったように見えたが

「んふんふんふんふ」

引き続き1才児の気持ちになってすりすりしたところ(そもそも1才児は夜這いしない)

「あーもううざい!やるんだったら後でジュース買ってきて!」

お情けで受け入れられたのでまんざら悪い作戦ではなかったのかもしれない。三十路男としての威厳やらダンディズムやらは全くないが、名を捨て実を取る、いわば名を捨て乳を取る作戦である。

筆舌に尽くしがたい猥褻な契りの後、僕は約束どおりジュースを買いに行った。契りの後のけだるさは運動会の終わりのそれに似ている。頭の中でかすかし残響音がウワーンと回り、だるいのだけれども不快ではない。

夜の運動会の種目は玉入れじゃなくて竿入れだなウヒャヒャヒャ、と不審尋問されても申し訳ございませんとしか言えない淫らな笑いを浮かべて歩いていた。

嫁の所望は炭酸系。最寄の自販機にはコカコーラやペプシコーラや亀の甲羅といったメジャー系の飲み物はない。あまり見たこともないような品揃えしかなく、適当に炭酸系のものを選んで買った。

「こんなもんでいかがでしょうか」

「ふーん…初めて見るけど…

愛のスコール
あっ!『愛のスコール』って書いてある!なにこの恥ずかしいコピー」

「ふふふ、愛のスコールならさっき僕がたっぷりとお前の中に」

「しかも『乳性炭酸飲料』だって!色が白い!」

「おお、まさにそれだな」

「それだね!」

たわけた会話をポンポンしていたのであるが、同じノリで相手の言わんとしていることが分かる心の繋がり、体の繋がり以上に大切ななのかもしれない。単なるバカ夫婦かもしれんが。

ちなみに僕は何を飲んだかというと、

もちろんらぶじゅーすである。

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