Be My Valentine.

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クリスマス、バレンタインと恋愛強制主義のイベントが度重なるこの時期は、相手がいない者にとっては辛かろう。こんな矢継ぎ早に続かなくてもいいのに。波動拳を食らった後に昇龍拳のトドメを食らうようなものである。

既婚者にとってはわりと蚊帳の外的な疎外感を受ける時期である。バレンタイン1週間前ぐらいには「チョコくれー」などと叫んではいたものの、いざ当日の朝となると頭から抜け、さて会社いくべとモソモソ準備をしていると嫁と娘・R(3才)もなにやらヒソヒソ密談していた。

「Rちゃん、なにしてるの~」

近くば寄ってみると嫁がRへラッピングされた「ブツ」を渡すところであった。

「あっ!まだ来ちゃダメッ!」

時期的に察しろよ、というところであるが僕はポックリとバレンタインを忘れていたのである。

「ぱぱ、はいどうぞ」

フライングしてしまったとはいえ娘からもらうチョコは格別である。本命のハクいスケから貰った時とどちらが嬉しいかというと、どっちがおすぎでどっちがピーコか迷うくらい甲乙つけがたい。

そして嫁が冷蔵庫を開けて取り出したのはハート型のチョコレートケーキ。

「はいどうぞ。これはRと一緒に作ったのよ。ねーRちゃん」

「そうよー。Rちゃんがちゅったの(作ったの)」

Rは嫁と一緒にケーキのもとを一生懸命まぜまぜしたのだという。泣かせる話ではないか。

「Rの手作りか。どれどれ、では味見を…」

ハートの先端をちょいとつまみ、口の中に入れていたところ

「ぬをー!なんで食べてんのよ!まだ写真撮ってなかったのに!」

嫁に烈火の如く怒られた。「どうぞ」と渡されたから食べたのに何故それがいけない。何故食べてはいけない。何故カドを取らない(児玉清)

この様子を横からじーっと眺めていた者がいた。息子・タク(1才)である。お前もチョコ欲しいのか。彼も男である。当然嫁とRから貰う権利はあるのだが、嫁の方針でまだチョコを食べさせることは許可していないのである。なので

「ああ、これはタクは食べられないんだ。ごめんね」

とチョコケーキを冷蔵庫に戻したら

「うわあああん!うわあああん!」

オレも食べたいんだー!とばかりに大泣きしてしまった。

「はいはい、タクちゃんにはチョコは入ってないけどケーキがあるよー」

嫁が慌ててタク用のケーキを出し、つまんでポイとタクの口に入れるとようやく泣き止んだ。

「まったくもう!タクの前で食べたりするから!」

チョコを貰うのに都合3回も嫁に罵られた僕。バレンタインデーは甘いイベントではないようである。

バレンタインデー。嫁がツメタインでー…(去年と同じオチだ)

問題:2月14日は僕にとってある重要な記念日なのだが、それはなんでしょう?
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