娘のハッピーラブラブ

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ハッピーラブラブ。

娘・R(3才)とアンパンマンを見ていたところ、ドキンちゃんという小悪魔的な女の子キャラが発した単語である。15年前の嫁が、ボロが出る前の僕に吐きそうな言葉だ。ドキンちゃんはしょくぱんマンという2枚目ポジションにいるキャラが好きで、

「しょくぱんマン様とハッピーラブラブ~」

彼と結ばれることを夢見てそんなことを言っているのだが、これがRの心の琴線に触れたようである。ハッピーラブラブ、ハッピーラブラブと連呼し、

「えーっとねえ、どきんちゃんははっぴーらぶらぶなのよ~」

唐突に嫁に言ったりして嫁の目を白黒させていた。Rは幸せと恋心という概念を分かっているのだろうか。この子がいずれ恋することになるなんて想像もしたくないのだけれども、現時点でRにとって一番身近な男といえば僕であろう。そういう自信があった。

「Rちゃんは誰とハッピーラブラブなのかな?」

朝ご飯の時にRに聞いてみたところ

「え~」

ちょっと照れくさそうな顔をして笑った。3才でも恥じらい乙女の片鱗が見えてお父さんは少しときめいてメモリアル。そこで僕は満を持して畳み掛けた。

「Rちゃんはお父さんとハッピーラブラブだよね!」

「やだ!」

朝倉義景
朝倉義景
朝倉義景

この胸を削られるような痛みは何。ああ、結婚してから忘れていたが、これは失恋の痛みだった。そうだよね。こんな変態親父、ラブラブの対象じゃないよね…。もう恋なんてしないなんて、言わないよ変態~。

「じゃあ…Rちゃんは誰とハッピーラブラブなんだい」

「えーっとねえ、たっくん」

タク(1才の息子)か!タク…おそろしい子!私のライバル…。

「Rちゃんは優しいよね。昨日も児童館で障害物がある時はタクの手を引いてたし」

と嫁。そうか。Rはタクとハッピーラブラブだったのね。やはり若さには勝てぬ。あとは若い者同士でよろしくやってくれよ。

「じゃあ僕はママとハッピーラブラブかな!」

しょうがないので最後の砦の嫁にすがる思いで、半ば泣きそうな気持ちになって叫んだところ、Rとタクどころか嫁までノーリアクションにて無言。

「あの、ラブラブじゃないんすか…」

「ほらRちゃん、ご飯こぼれるよ」

しまった。思い切り会話が滑った。恥ずかしいことこの上なし。

僕のラブとハピネスはどこにあるのだろう…。

ラブアンドハピネス。

太った人がスポーツジムでダイエット。

それはデブアンドフィットネス…。

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