2007年11月14日
3歩以上の散歩
「こんにちは、ぼく、たっくんです。よろしくね。2才です」
最近息子・タク(2才)が言い始めた自己紹介定型文である。
嫁によると僕だけではなく所構わず自己紹介しているらしい。嫁と散歩をしていても、佇んでいる街の人を見かけるとすぐ挨拶して話しかけているという。ドラクエの主人公か。
そのため人前に出るとモジモジしてしまう娘・R(4才)とは違い、散歩で出会う近所のおじさん達に可愛がられていることが多い。
「こんにちは、ぼく、かじりんです、よろしくね。下半身は15才です」
と僕が言ったところで可愛いがってくれるギャルがひとりでもいようか。悔しいがタクは可愛い。顔とかはともかく拙い口調で自己紹介する姿に愛嬌がある。
なのでタクに声を掛けられた近所の大学の守衛のおじさんは
「あそこにある百葉箱で計ってる気温が気象庁に送られるんだよ。天気予報で練馬区の気温として発表されるのはここの温度なんだ」
と口を綻ばし、タクにはどうでもいいことだが嫁が「へえー」と関心するようなことを語ってくれたり、店前に出ていた店主オヤジは
「向かいの犬小屋にいるのはモモちゃんっていうんだよ」
と教えてくれたりする。するとタクはお向かいにダッシュし、
「ももちゃあん、こんにちは、ぼく、たっくん…」
犬にまで自己紹介。そして
「見て見てー。これ、たっくんの笛だよー。だいじなだいじな笛だよー」
首から下げたホイッスルを自慢。しかしモモちゃんの反応が薄いとみると嫁の元に戻り
「モモちゃん、笛いらないって」
「お前犬と喋れんのか!」
嫁は思わずツッコミを入れてしまったらしい。
また歩いていくと今度は家の立て替え工事現場。ユンボが地面を掘り返しているさまを
「あ、ぱわーしゃべるー」
乗り物好きなタクは興奮し、しばらくその場を離れず見ていた。すると折り良く
「おーし、休憩ー」
とユンボを降りた親方がやって来て
「ボク、乗ってみるかい?」
親切にも乗せてくれた。ユンボの操縦席で目を輝かせてガチャガチャやるタクを見て親方は
「ははは、ボクの将来は決まったな」
そう言いながら笑っていたのだそうだ。
「そんなわけで親方にお墨付きもらっちゃったよ」
「タクが望むならいいんじゃない。」
「建築土木系で手に職付けるのもいいかもね!」
嫁の話を聞いてそんなことを語り合った。僕が何よりも羨ましかったのは、道を行くまま気の向くまま、犬がいれば犬と語り、ユンボがあればユンボを眺め、オマケに乗せてもらって、という成り行き任せの散歩が出来るのんびりした時間の流れであった。
同じく道を行くにしても、邪魔な奴らは跳ね飛ばせ、目的地まではノンストップ、の勢いで仕事に駆けずり回る僕とはえらい違いである。昔はよく電車に乗って敢えて見知らぬ駅で降り、目的地を定めずブラブラ散歩をしていたものだが、またいつかやりたいものである。
ブラブラちんぽはいつもしているのだが。
問題:2才の自己紹介は出来るのに、未だタクができないことはなんでしょう?
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