いやん、かばん

「パパ、かいしゃなのォ?」

「そうだよ、行って来ます」

「いってらっしゃーい」

娘・R(4才)と息子・タク(2才)に見送られて会社に行くのがいつもの朝の光景。

そしていつもカバンを持って電車に乗ったるのだが、今日に限って何かが違う。いつもより少し重いような気がするし、いつもよりもっこりもこもこしているような気もする。普段持ち慣れている感覚ではなく、何か違和感を感じる。

ひょっとしてカバンの中で弁当の蓋が開いてしまい、中身がゴパアとぶちまけられているのではないか。とは思ったものの満員電車の中でもあるし、カバンの中がゲロのような地獄と化しているヴィジョンを想像すると怖くて開けられなかった。

解き放たれたパンドラの箱には「希望」が残っていたが、この閉じられたカバンの中には「絶望」しか入ってないような気がする…。

いや嫁が作る弁当に限ってそんなことはあるまい。弁当箱は漏れ防止ストッパーがついているから多い日も安心。嫁のことだからうっかり閉め忘れた、なんてこともあるまい。嫁が作る弁当と嫁のお股はいつもガッチリと閉じている。大丈夫だ、気のせいである、などとブツブツ考えながら会社に着いて、ようやくそーっと開けてみると…

おもちゃのブロックがもっちゃりと入っていたのであった。こういうことをするのはタクしかいない。おのれいつの間に…。

「ではこの問題についての解決案を早急に組み立て…ってそこでレゴブロック組み立ててるんじゃねー!」

なんてことになったら下手なコント以下のポンチである。ともあれ弁当ぶちまけ地獄ではなかったのは幸いだが、このことはタクを問い正さなければなるまい。仕事用のカバンの中身を荒らされるとまいっちんぐなのである。

この日は早く帰れたのでまだ子供達は起きていた。タクの前にカバンを置いて、

「ブロックを入れたのは君かなー?」

と返してやると

「そうだよ」

あっさり認めおった。

「パパのカバンにおもちゃを入れてはいけません」

「たっくんも、かばん、持つの!」

「いやあのね、おもちゃを入れては…」

「パパ、かばん、貸ーしーて!」

「ちょっとまてこらー!」

タクは父の言うことをちっとも聞かず、僕からカバンを奪ってエッチラオッチラと歩き始めた。

「たっくん、かいしゃ、いってきまーす」

…もう何処へでも行くがいい。家中をうろうろほっつき歩いていたが放っておくことにした。

「ただいまー」

戻って来た時にはタクは手ぶらであった。

「ちょっとー!カバンはどこやったー!」

カバンは2分後にトイレで発見された。どんだけ雑な会社員なんだ…。カバンを取り返して戻って来ると、その隙に今度は僕のケータイを分捕り、振り回しながら踊っているではないか。

「それも返してくれえええ」

いつの間にかなんだか油断も隙もない男に成長したようである。

カステラ一番、電話にカバン、ってか。

問題:スーツのポケットにこれもまたいつの間にか入ってて超焦ったものは何でしょう?

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