女子大生とわたくし

家から歩いてすぐのところにある大学の学祭に行って来た。

大学のキャンパスに入ると、若くて無責任でお気楽だった夢のような学生時代に戻ったような甘ったるいノスタルジアを覚え、涙が出て来そうになる。いや、今の人生が辛いわけではない。あの頃共にキャンパスを歩いていた彼女は今も僕の隣を嫁として歩いているし、ふたりの間には娘・R(4才)と息子・タク(2才)もいるではないか。

そんなわけで明るくいくことにする。メイド喫茶でもないかなーと探し回っていたらオカマバーがあった。即席の学生オカマ達が何やらコントをやっており、子供から

「あ、どんだけーのおばちゃんだ!」

と指差されていた。面白そうだから寄って行こうとしたら、Rが本気で怖がったので残念ながらスルー。当てもなくさ迷っていると、チョコバナナの屋台を発見。

「R、タク、食べるか?」

「たべるー」

チョコバナナ大好きのふたりはすぐ飛び付いた。何故かこの屋台は「他店の3倍はエロい」とか訳の分からないことが書いてあり

屋台
このようにAVギャルやアイドルのポスターがベタベタ貼られ、何やらアイドル研究会とかAV研究会とか、イカ臭そうな部室で陰隠滅滅と活動する姿が想像された。

僕はその向かい側にあった屋台で「チゲ鍋」を購入。こちらは比較的地味目な学生が多いこの大学の中で、一際派手なギャルっぽい女子大生ばかり。きっとこのサークルはヤリサーに違いない、と考えながら僕に手渡してくれたド派手な女子大生を「アスカ」と心の中で勝手に命名した。チゲ&アスカ。

オタク系とヤリヤリ系の対照的な屋台の間にあるベンチに座り食べる。

「お前もなんか食べないの?」

チゲ鍋をすすりながら嫁に聞いてみると

「いやー。学生達が作ってる屋台だからなんか怪しそうで…」

お前だって昔学祭で相当怪しいもん作ってただろうが。

「ギャルみたいな女子大生がこんな素朴な料理を一生懸命作ったんだなーって考えながら食べるのが美味いんだろうが」

チゲ鍋はなかなか美味かった。子供達もチョコバナナをもぐもぐと食べていたのだが、先程のエロ屋台ポスター群の中に何故か1枚だけプリキュアのポスターがあるのをタクが発見。

「あっぷりきゅあだー!」

「あ、こら待て」

タク
タクはそのポスターの元まで駆けて行き、釘付けになってじーっと眺めていた。

トランペットを欲しがる黒人少年
トランペットを欲しがる黒人少年状態。

しかし端から見ればどう見てもエロに目覚めた幼児にしか見えず、場末スナック屋台女子大生達が

「キャーカワイイ!」

「カワイイけどやばいよ!」

大受けしていた。

食べ終わってからもぶらぶら歩き回っていると、わたあめを手にした子供達の姿がちらほら。それを見たRとタクも「食べたい」と言い出したので探してみると程無くして見付かった。

女の子がぐるぐるとわたあめを作っている。すぐさまちんちんにザラメを貼りまくって

「僕の股あめも舐めてみるかい?」

と言い寄りたくなる程可愛い女子大生。ふたつ下さいと言うと

「はいどうぞ」

Rとタクにそれぞれ手渡してくれた。Rもタクも

「ありがとうございましゅ」

とか言いながら受け取り、ふたり並んで食べる仕草がどうも彼女のツボにはまってしまったらしく

「キャー、一緒に写真撮らせて下さい!」

とカメラを他の仲間に手渡して屋台から飛び出して来た。じゃあ僕も撮ろうとデジカメを出すと

「お父さんも入って!撮ってあげますよ」

一緒に撮ってもらって屋台を後にした。再び腰を下ろしてわたあめを食べながら

「ほら見れ。じょしだいせいと一緒に撮っちゃったー。この子超可愛い」

と嫁にデジカメのプレビュー画面を見せると

「興味ないし」

吐き捨てるように行った。そういやこの人も遥か昔は女子大生だった。時の流れは残酷である。その癖嫁がRをトイレに連れて行って戻って来た時には

「さっき大学生にナンパされちゃったー。白玉あんみつ買いませんかって」

と大はしゃぎ。それナンパじゃなくてただの売り子だから。

僕はその後もうどんやビールを飲み食いしていたら若干お腹が緩くなってしまい、大学祭がうんこく祭になってしまったとさ。

問題:僕が昔、友達の大学祭に行って驚いたことは何でしょう?

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