2007年01月31日
侘び寂びお詫び
テレビはあまり見ないのだが、なんかヒマだったのでたまにはよかろうと思いテレビを点けたところ、案の定面白い番組がやっていなかったのだが、チャンネルを切り替えているうちに
「これ見るー」
娘・R(3才)が目に留めた番組があった。それは…。
能。宝生流なんたらかんたらの…ボソボソとしたナレーションとひたすら厳かにシテ役が舞う能舞台…。
「ぱぱ、これおもしろいね」
「ほんとに?」
侘び寂びの心に目覚めた3才児。お父さんには高尚過ぎてついていけないかも。嫁の顔も能面のように固まっていた。アンパンマンの映画の方がまだましである。
「ぱぱ、これはだあれ?」
「えーと…能面マン」
「あれはなにをしているの?」
「えーと…世阿弥パンチ」
話が続かないので「ちょっとチャンネル換えていいか」と東京MXテレビに変えてみたところ
「ビリーズ・ブートキャンプ!これは短期間で結果を求められるアメリカ海軍で採用されたエクササイズなんだ。このプログラムは全身の筋肉を使うように出来てるんだよ。はいワンツーワンツー!」
日本の伝統芸能からうって変わってアメリカンマッチョイズム。股間にも同じ物があるんじゃないかってぐらいの黒々としたスキンヘッドおじさんがキビキビとストレッチをしていた。
これまた拷問的につまらない番組。
そういえば昔、「デニスのおはようエアロビ」という番組があった。確か朝の5時ぐらいだってのに、乳首が浮いてるレオタード姿のお色気むんむん金髪姉ちゃんが、滅茶苦茶なハイテンションでワンツーワンツーとやっていた。あれは早起きの爺さんに鼻血を出させるためとしか思えない番組であった…などと過去を思い出していたら、息子・タク(1才)が
「う、だ!う、だ!」
シュッシュッとスキンヘッドおじさんの動きに合わせてストレッチしている!このままではタクがマッスルボディになってしまう。どうしよう。オクレ兄さん!
「ぱぱー、だめなのー。さっきのにしてー」
Rがチャンネルを元に戻せと駄々をこねた。アメリカのエクササイズか日本の能か。イエスか能か。結局また能の番組に。
「…」
「…」
会話のないままテレビを見続ける。せっかくRが興味を持ったというのに、自分に侘び寂びの教養がないが故に能の素晴らしさを何も説いてやることが出来ない我が身を恥じた。
これを身から出たワビサビといいます。
問題:能で僕がちょっと自慢できることは何でしょう?
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