No Smoking(私は横綱ではありません)

元旦のことじゃった。

書くのも今更感があるが、紅白歌合戦のDJなんたらの場面で裸まがいのボディスーツを着ていたことで、善良なる市民達による「ふざけ過ぎ」や「一家団欒がぶち壊し」等の抗議がNHKに殺到していたというのに、

「ちょっと!そこ座ってこれ見てみな。すごいんだかんね。おっぱい出てんだかんね」

わざわざ録画したビデオを強制視聴させるうちの母は、初めて裏ビデオを入手した中学生のようであった。うちは僕も嫁も母もたかがおっぱい如きで気まずくなるような年齢ではない。
娘・R(3才)と息子・タク(1才)もまだ小さいし。

「フェイクでしょ」

見てしまったことに激しく後悔し、タバコを吸いに2階の元僕の部屋に上がった。いずれにせよおっぱい映像はひとりで見るに限るね…と考えながらミリミリとタバコを2本吸い、家族の元に戻ると

「ぱぱ、たばこすっちゃ、だめでしょ!」

いきなりRがもの凄いメンチを切って僕を怒るではないか。

「んふふー。怒る顔もかわいいね。どうしたの。急にそんなことを言うなんて」

「すっちゃだめなの!」

おちゃらけてみてもRは一歩も引かない。

「ふふ…誰に言えって言われたんだい?」

R越しに嫁と母を交互に見渡したが

「Rちゃんが自分の意思で言ったんだもんねー」

「ねー」

嫁と母が答えた。貴様らグルかっ。普通嫁姑って仲悪いだろ?みのもんたに愚痴こぼすぐらい陰湿じゃなきゃうそだ。なのに何故僕を取り囲んで結託する。

「わかったよ。約束だ…タバコは吸わないよ。煙を吸うからね」

自分では一休さんのトンチ並みの切り返しが出来たと思ったのだが、嫁と母から総攻撃を食らった。これじゃトンチじゃなくてポンチである。

しかし…僕は意思の弱い人間で、これまで80回ほど禁煙失敗している。読んだら禁煙できたという本を友達から借りてみたが、それでも駄目であった。馬の目の前にニンジンを垂らすように、何かモチベーションとなるものがなければ無理だと思う。

例えば1週間禁煙したら、嫁と契りを結べるとか。それだったら自信がある。元々男というものはタバコよりおっぱいを吸いたいのである。皮肉なことに禁おっぱいは成功している。というか性交させてくれないために成功しているというか。

やはりモチベーションが必要なのだよ!と力説したが、嫁が承諾してくれなかったので、結局モチベーションよりマスターベーションになってしまったのであった。

やはりおっぱい映像はひとりで見るものである。

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