娘感激の観劇

近くのデパートメントで「アンパンマンショー」が行われるというので、正月ヒマな上に娘・R(3才)と息子・タク(1才)が大好きなので行って来た。

開演30分前に赴くと、アンパンマン達の控え室なのであろう、殺人現場によく被せられるブルーシートで覆われたテントと、司会のお姉さん自ら会場のセッティングを地味に黙々と行っていた光景を目のあたりにし、地方巡業の辛さを垣間見たような気がした。

「こんにちはー!」

「こんにちはー!」

「みんな元気がないな、こんにちはー!」

というお約束のやりとりが交わされた後、アンパンマンの登場である。このショーには「フランケロボ」というキャラが物語の鍵を握っていた。彼は悪役バイキンマンに作られたロボットであるが、生みの親バイキンマンの悪事を嫌い、アンパンマン達と善の行動を共にする。なんだか仮面ライダーみたいな境遇である。

しかし今回、フランケンロボはバイキンマンにが作った腕時計を嵌めたことによりバイキンマンに操られ、アンパンマン達にビームを食らわせてしまう。

一度退散したアンパンマンは

「よし、鏡を用意しよう。鏡でビームを跳ね返すんだ」

などと策略を立てるが嫁がいちいち

「アニメだとアンパンマンはこんなに頭良くないよ」

とか

「うわー。ドキンちゃんの着ぐるみ汚~い。洗ってんのかしら」

とかちびっ子及び僕の純粋にショーを楽しむ心に水を差す。

「ねえあなた、フランケンロボの声ってちびまる子と一緒だよね!」

「うるさいなあ!TARAKOだって頑張って仕事してるんだよ!」

そんな親どものノイズがうるさい中、Rは僕が声をかけても聞こえていないようで、じーっと舞台だけを眺めていた。北島マヤのような集中力である。

一方でタクは途中で腹が減ったようで、フニャフニャぐずっていた。本物のアンパンマンだったらここで頭のパンを食べさせてくれるだろうに…。

ショーの最後はフランケンロボと仲直りしたバイキンマンがフランケンロボの手を取るのだが、フランケンロボは素手で触ると感電してしまうため、バイキンマンが痺れて終わり、というオチだったのだが、

「それって漏電してんじゃん。やばいよ」

と考えてしまった僕は嫁と同様にちびっ子のピュアな心を失った大人なのであった。

ショーが終わりアンパンマン達との握手会になると、結構我先にと親どもがひしめき合うのでいささか疲れた。前の日から風邪を引いてしまったのでちょっと気分が…。

咳と、病気だけがとーもだちさー…。

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