恐怖の無人店「ショップ77」
東京都練馬区の豊島園駅近辺にある奇妙な店を紹介する。
まずこの店は無人である。そして狭く小汚い。八畳間ぐらいだろうか。あまり高価な商品はなく、中古の服や電気製品、UFOキャッチャーの景品みたいなものが多い。もっと言えば
「練馬区豊玉上の六畳一間アパートに住んでいる武蔵大学生(21・童貞)の部屋の中身をそのまま持って来ました」
といった感じの品揃えである。正直あまり商品に触れたくない…。実際店の奥にはさっきまで誰かが寝てたような布団敷きっ放しのベッドもあった。
商品の値段に必ず「77」が入っており、地元では「ショップ77」と呼ばれている。しょっぷなな、なな、ななななな…ああ歌いづらい。
特筆すべきは会計ルールが独特であること。右側写真にある料金箱の上には監視カメラが設置されており
「カメラに写るように顔と商品とお金を見せて下さい。それからお金を入れて下さい」
という指示書きがなされているのである。もしその掟を破った場合は
このような恐るべき自己中ルールで裁かれるらしい。
…どうやって請求するのだろう。確かに監視カメラがいくつか取り付けられているが、いちいち録画記録を警察に届けるのだろうか。警察にも
「ていうか人置けよ」
とか言われそうだけど。田舎にある野菜の無人販売のシンプルさとは違い、「見てなけりゃ人は盗むもの」という前提の態度が鼻に付き、イタズラのひとつでもしてやりたい気分にもなる。見つけられるもんならやってみろ、とばかりに根こそぎ持っていくとか、犬のうんこを5、6個置いて「ひとつかみ77円」と値札を付けておくとか。
しかし実はこれは壮大な罠で、万引きをしようものなら突然壁がどんでん返しでぐるっと回り、そこから屈強そうなマッチョの店主が現れて
「うはははは盗んだな!お前今盗んだなアアアアア!」
と叫びつつブレイクダンスを踊り始めたらどうしよう…と考えてしまい、イタズラ心も引っ込んだ。店の中をこうしてカメラで撮影したが、いくつかの監視カメラに睨まれているような気がして、額に汗が滲んだものである。
無人島にひとつだけ持って行くとしたら?という問いかけがよくあるけれども、
無人店にひとつだけ持って行くとしたら、それは「お面」かもしれない。
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