プール開放からサイトばれの危険性


泉下の鬼が地獄の業火を焚きまくってるんじゃないかというぐらい暑かった日の夜、そろそろ娘・R(2才)と息子・タク(9ヶ月)をプールで遊ばせたいねえ、という話を嫁としていた。

「Rがオムツを卒業していれば、小学校のプール開放日を利用できるのに」

と嫁。

「でもRには小学校のプールは深過ぎやしないかね」

と僕。

「低学年用のプールだったら大丈夫よ」

「は?低学年用?なにそれ?」

「だから、小学校には低学年用と普通のプールが2つあるでしょうよ」

「僕の田舎(栃木)じゃそんなプールなかったぞ」

「えー普通あるよ。私のところ(東京西部)とか、他の地区の学校でもあったし」

「うそだあ!ひとつしかなかったぞ!」

「栃木の学校なんて敷地が広いだろうから作れそうなのになあ」

「栃木は土地よりプールのほうが高いんだよ!」

やーい田舎もん、という嫁の嘲りが語句から読み取れ、なんだかムカついてきた。

「まあ結局は『ちゃぷちゃぷ池』(仮称:本当の名前を伏せている理由は後ほど…)に連れて行くんだけど」

「ああ、あそこね」

『ちゃぷちゃぷ池』とは、とある公園内に設置されている幼児用のプールである。水深が大人のくるぶしぐらいまでしかない。無料であり、去年もRをよく連れて行った。今年はタクもプールデビューとなろう。

「今年はいつオープンするのかなってチイちゃんママ(嫁のママ友)と話してたのよ。私がネットで『ちゃぷちゃぷ池」で検索してみるって言ったんだけど」

「見つかった?」

「検索で出てきた一番上のサイトをクリックしてみたら『エキスパートモード』ってところでね…」

どこかで聞いたようなサイトである…っておい。ここではないか。嫁は勿論ここのことは知っている。知っててトボけているのである。但しもう長いこと見ていないと思われる。だから嫁の口から久しぶりにこのサイト名を聞いて、金玉が口から逆流しそうになった。確かに去年の日記でちゃぷちゃぷ池のことを書いたのだが、そんな一番上に持って来なくてもいいじゃないかよう…。

「へ、へえ…そんなサイトがあるんだ…」

僕も脂汗を流しつつ白々しくトボけるしかないではないか。

「そこ見てみたんだけどさ、『Rをちゃぷちゃぷ池に連れて行った』とかしか書いてなくて、役に立たなかったよ」

「ふうん…、そ、そんなこと書いてる人がいるんだねえ…」

「チイちゃんママもネットで調べるかもしれないって言ってるの!あの人、ネットで買い物とかしてるから、わりとネット慣れしてるはずなのよ!あなたのサイトに来ちゃうかもしれない!」

「ギャアアアアア!」

もしチイちゃんママが辿り着き、Rやタクの写真を見たら一発でバレる。普段嫁がやらしてくれないとか、いらんことを書いているのを読まれるわけにはいかない。

それだけではない。嫁は既に見てしまったということは、ちょっと前嫁が美容院に行って髪型を変えたのを見て「落ち武者」とか書いてしまったが、それも読まれてしまった可能性がある。検索でヒットした日記だけ見て引き返したことを願うばかりだ。

ともかくこの話を断ち切らなければ…そして「ちゃぷちゃぷ池」の単語をこのサイトから消さなければ…僕は遅い夕飯を食うために台所に行く、という態を装って嫁からツ…と離れた。

「今日は暑くて台所に立ってられなかったから手抜きです」

「ああそう」

手抜きでもテコキでもどうでもいい。今は話題がそれるだけでいい。

「あなた、落ち武者って何」

「ギャアアアアア!」

完。


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