2006年06月21日
モノマネーの虎
「ぱーぱー。おいでー」
娘・R(2才)に呼ばれたからには行かねばならない。やれだっこしてだのおんぶしてだの馬乗りさせろだの遊びのリクエストから、今から歌うから座って聞いていろ、というジャイアンリサイタルばりの命令まで様々である。
逆らえない僕はRの愛の奴隷。さて今日の命令は…
「ぱぱの、まね、するの。みててね」
「僕のマネ?」
うん、とRは頷くと、コロンと寝転がって
「がー。がー」
いびきをかいて寝るマネをするのであった。なんということだ。
「嫁、僕はそんなにいびきをかいているのか?」
「うん」
Rがモノマネするほどひどいいびきをかくとは、自分自身分からなかった。夜「かく」のはマスター・オブ・べーションだけかと思っていた。
「あなた、みんな一緒に寝る時は子供達よりも早く寝落ちしたり、昼寝してる時あるからねー。でも私は絶対そんなことはないから、寝ている姿は見られてないし」
嫁はそんなことを得意気に言う。本当にそうだろうか。嫁だって子供達より先に眠りに落ちている時もあったぞ…。いびきこそかかないが、沸騰寸前のヤカンみたいな、ぷしゅー、という寝息を立てて寝ていることもある。
ツタンカーメンのような寝相で、眉間に皺をよせて寝ている姿をマネしてやろうか、とも思ったがイマイチインパクトに欠ける。こうなれば嫁が寝静まった後で枕元に立ち、じっくり観察してやろうか。寝っ屁などかましていればベターだ。
「R、見て見て。昨日のママのマネ。おならプー」
尤もそんなことをしたらイビキどころか寝首を掻かれるかもしれないので要注意である。そこまではいかないけれども、寝ている間に額に「アキバ系」と書かれるとか。
そんな命がけのモノマネはわざわざすることもないと思い、Rのいびきをする様を苦笑して眺めるしかないのであった。
命あってのモノマネ。
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