愛すれど、アイスれど、嫁姑の仲、楽にならざり

栃木帰省の最初の日、母の友人の孫娘・萌えっ子ノンちゃんと公園に行った時の話の追加である。

公園で遊んでいると、ピンピロリンポンポロポンとメルヘンチックな音楽を鳴らしながら、1台のファンシーなワゴン車が公園の駐車場に止まった。

「流しのアイスクリーム屋」であった。僕が子供の頃から変わらぬ音楽と変わらぬデザインの車で、もう20年以上前からそのまんまだったのですぐ分かった。まだあったのか…と思い出したことがひとつ。

子供の頃このアイス屋は僕の家近辺にも来ていた。僕はわりとよく買っていたので、その内僕の家が巡回ルートにガッチリ組み込まれたらしく、必ず僕の家の前で止まって、ピンポロリンポンポロポンの音楽を聞こえよがしに奏でるようになってしまったのを覚えている。

とはいえ買いたくない時も勿論ある訳で、そんな時は

「ごめんよう。今日は買えないんだよう。お小遣いがないんだよう」

と居留守を使っているようなバツの悪さを覚えながら、ピンポロポンポンポロポンが遠ざかるまで家の中で固まっていたものだった。同様にチャルメラが来た時もそうであった。要は僕は「流しの食べ物屋」に弱いのである。

この公園でも早速何人かの子供達がバラバラと集まって、手にしたアイスをペロペロ舐めていた。

「あ、あいしゅー!パパ、あいしゅだよー!」

その光景をアイスに目が無い娘・R(2才)が見逃すはずはなかった。買ってやりたいのは山々だが、今日のRは鼻水が垂れているし、おととい食べさせたばかりだから…と考えていたところ

「だめ!今日は買わないよ。おととい食べたでしょう。だから今日は『アイス屋さんバイバイ』って見送ろうね」

と嫁が真っ先に釘を刺した。するとRは素直に

「うん、あいしゅやさん、ばいばーい」

名残り惜しそうながらも手を振るのであった。

「そうそう、いい子だね」

「あいしゅやさん、ばいばーい」

「うん、よくできました」

「パパ見て。Rちゃんは、あいしゅやさんばいばーいってするのよ」

Rは何度も何度も僕に言うので、

「本当は食べたいんだよね…」

と察したことをそのまま言ってしまったら

「うん…たべたい…あいしゅ…たべたい…うわああああああん!」

せっかく我慢していたRの心に火を付けてしまい、

「ちょっと余計なこと言わないでよ!」

「お前はせっかくRが我慢しているのに!」

もう嫁と母からステレオで非難の集中砲火。それでも嫁は

「泣いてもだめです!買いません!」

非情のライセンスを以ってRのわがままを許さず、買うことはなかったのだけれども、そんなことがあったのに翌々日、また同じ公園に行ったのである。それがよくなかった。

お昼を回った頃に、遠くからピンピロリンポンポロポン…が聞こえてきて

「うわあああ!今日も来たあ!地獄のアイス屋がやって来る…僕はあの頃とは違う…もう買わない…買わないことに後ろめたさも覚えない…覚えるもんか…」

トラウマ混じりの回顧とブツブツと呟く僕に、

「早くRを!遠くに連れて行って!」

と嫁が叫ぶので我に返り、Rを音楽の聞こえないところまで抱えて行こうとしたのだが

「あ、あいしゅー!」

2才児もそこまで馬鹿ではない。ましてや号泣して断腸の思いをしたであろう2日前の出来事を忘れているはずはない。Rは速攻で指差して叫んだ。

「…今日は買ってやろうよ」

「うん。そうだね」

5分後、Rが幸せそうにアイスを舐める姿を眺めていたら、嫁がちょっとこの場を離れたのを見計らい、すーっと母が近付いて来た。

「おとといの○○さん(嫁のこと)、たまげたね。Rがあれだけ泣いてるのに買ってやらないんだもん。そこまで厳しくなくてもいいと思うんだけど…」

はっ。また嫁姑の確執のネタが現れたのか。そして僕はまたその間に挟まれたのか。夫として、息子として、僕はどう振舞えばいいのか正直些細なことでネチネチやっているのでどうでもいいとしか思えない。僕はどうやら女の争いというのは苦手っぽい。。柔軟に立ち回らなければならないのだろうけど。

柔よく剛をあいす…。

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