嫁・姑・こりゃうめえ。


栃木の実家にて。

嫁と母が息子・タク(7ヶ月)を挟んで何やら会話をしていた。僕はその脇でテレビを見ながら「みかもの月」(地元の銘菓。「萩の月」のモロパクリ)をモゴモゴと食べており、要するにボーっとしていたのである。呆けていた故に突然

「ごん」

と鈍い音がした後

「お義母さん、何するんですかー!」

「ああっ!ごめんなさい!」

嫁の悲鳴と母のオロオロした声が轟いても、しばらく何が起こったのか分からなかった。

「なんだ、どうした」

「お義母さんが、タクの背中を押しちゃって、タクが転んで頭打ったの!」

「あああごめんねついうっかり」

肝心のタクの頭はコブが出来ているわけでもなく、逆にコブが出来ない方が危ないとかあるけれども、特に痛がって泣く様子もなかったので、まあ大丈夫だろうと思った。

母はそそくさと台所に引っ込んでしまい、嫁は「全くお義母さんは…」とブツブツ言っていたが、僕はタクが無事であれさえすればどうでもよく、そんなことよりも「むう、みかもの月うめえ」と自分の世界にトリップしていた。

その夜、嫁が風呂に入っている時、僕はテレビを見ながら黒糖どら焼きをモゴモゴと食べており、要するにボーっとしていたのである。呆けていた故に母がやって来てブツブツ話していたが

「○○さん(嫁の名)は、言うことがキツイ!」

と母が声を荒くするまで気付かなかった。

「え、何?」

「さっきタクが頭打った時のことだよ!お前もああいう時は『お母さんにそんなキツイこと言わないで』ってフォローしておくれよ…」

「アレも気が強いからな~」

「お前が亭主でしょ!」

ああああこれが嫁姑の確執というものか。そしてそのしわ寄せが僕に来てしまった。タクが頭をぶつけたのに、僕の頭が痛くなるのはコレ如何に。しかし僕はみのもんたではないので、

「まあよきにはからえよ」

バカ殿丸出しの態度で「むう、黒糖どら焼きうめえ」とトリップしていたら

「ちょっと話聞いてよ!」

母に怒られてしまった。僕は和菓子を食べていただけなのに、何故怒られなければならないのか。第一僕に嫁が抑えられるのならば、とっくに従順な嫁になっておるわ。

仰げば恐ろし。和菓子の怨。

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