明日は明日の風が服
栃木の実家に帰ることになった。
「ほら、あなたも着替えの用意をして!」
嫁がうるさく言うものだから、何を偉そうに、まるで世話焼き女房のような言い草しやがって、とぶち切れそうになったのだが、良く考えたら嫁というものは女房そのものだったので、誠に申し訳ございません、直ちに着替えの準備を致しますゆえ、とてジャージとTシャツを適当にセレクトして嫁の旅行用バッグに詰め込んでおいた。
たかが着替えの問題で「じゃあ夫を替えます」などと言われたらたまらない。
しばらくしてから嫁がバッグの中身をチェックし出した。
「あなた…こんなジャージ持って行くの?」
「うん、そうだけど」
嫁が言う「こんなジャージ」
「それと…こんなTシャツ持って行くの?」
「うん、そうだけど」
嫁が言う「こんなTシャツ」
「はあ…」
嫁の絶望感が漂う溜息が聞こえた。
「なに?なんか文句あるの?」
「いえ…あなたの妻になって5年。たいていのことには慣れました」
「ならよい」
嫁の考えていることはなんとなく分かる。実家に帰れば僕の母がいる。嫁にとっての姑である。
「そんな服を着させて嫁として恥ずかしくないのか」
などと言われることを危惧しているのではないだろうか。以前僕が激ヤセした時、母の目には僕がやつれた姿に映ったのだろうが、嫁に
「ちゃんと食べさせてるのか。健康管理をちゃんとしているのか」
などとチクチク言っていたらしい。そのことを嫁から聞かされた時、僕の知らない水面下で嫁姑の鍔迫り合いが行われていたわけで、「女って怖いわあ」と思ったもんだ。嫁は今回もそのような母の干渉を恐れているに違いない。
ちなみに痩せた理由は無論嫁が食べさせてくれなかった、とか、料理がまずかった、とか、または過労や仕事のストレスで…などではなく、ゲーセンでダンスダンスレボリューションをやり過ぎたのである。理由がバカ過ぎであっただけに、嫁が気の毒に思えたものだ。
しかし僕はいい加減三十路なのだから、着たい物も自分の分別で選ぶ。嫁を責めないで欲しい。それにこのような服はたまに受けがよいのだ。以前日記にも書いたが、特に娘・R(2才)のリトミック教室ではママさん達が面白がってくれている。
いわばマダムキラーな服であり、それを着るなとか脱げとか、言って欲しくないのである。
ここで問題をひとつ。今僕が歌いたい曲は何であるか。
はーい。自分で答えまーす。
マダムキラー服を♪脱ーがーさーないで♪
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