嫌われん坊将軍


僕は疎まれているのだ。

夜、娘・R(2才)と戯れている時、Rは容赦なく蹴りをかまし、馬乗りになっては僕の腹の上ではばんばん暴れる。ああそんなに父を虐げないでおくれ。

更に横で寝転がっている息子・タク(5ヶ月)にもちょっかいを出し始めたので、タクにはそんな暴力を振るわないでおくれ、加減を知らないんだから…と注意して見ていたところ

「あっくん(タクのこと)、ちゅ」

なんとタクには優しくちゅーをするではないか。弟に甘いキスをしてくれる姉。僕もそんなお姉さんが欲しかった。しかし僕の今までの人生においては、姉はいなかったし、これからもいないであろう。松井秀喜に似た弟がひとりいるのみである。タクよ、お前が羨ましい。

「パパにもちゅーしてくれないかなー」

「めっ」

「なんでよー!」

しかしRは頑なに僕にちゅーしてくれない。再び僕に馬乗りになり
腹の上で暴れるだけだ。ドロップキックをかまされて本気で痛い。

「Rー。パパにも優しくしておくれよー。お腹痛いよー」

マジギレしそうな痛みを堪えつつRを制止しようとするのだけれども、Rはそんな僕の気持ちを知ってか知らずか、またタクの方に寄って行き

「あっくん、ちゅ」

「どうして父の愛が伝わらないのー!」

じらしプレイとしか思えないRの仕打ちに、僕はこの子に疎まれているのだと思わずにはいられなかった。

翌日の朝、嫁が目覚めて新聞を読んでいたので、後ろから乳房を鷲掴みにして揉みほぐしてみた。

「ああん、ちょっと、やめて…」

「へっへっへ。口ではそんなことを言っているが、ほれ、体はこの通り…」

という日活ロマンポルノ風のみだらな展開を予想してそうしたのだが、現実は

「やめて!タクに飲ませる母乳が漏れるから!もったいない!」

ピシャリとかわされてしまった。それぐらいのもったいないはマータイさんだって目をつぶってくれるだろうに。嫁のこのような厳しい仕打ちに僕は嫁に疎まれているのだと思わずにはいられなかった。

家族の中で嫌われてる…って思うのは私だけ?

どーでもーいーですよ。

憎まれっ子世にだいたひかる。

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