卒乳時代

「タク(1才の息子)がオッパイ卒業しました…」

「よかったじゃん。どうやってオッパイ離れさせたの?」

嫁が悲しそうに言った。タクはさすがに毎食飲んでいる訳ではないが、ほぼ毎晩夜泣きをするので最近はその時だけ与えていた。いつまでもオッパイをさせてるわけにはいかないが、オッパイ離れしたらしたで母としては悲しいのだろう。僕もあのスヤスヤと眠りながら飲んでいる姿をもう見られないのだと思うと少し寂しいような気もする。

と思ったら違った。

「いつものように夜泣きしたからオッパイあげようとしたけど拒否されて、抱いてるだけでまた寝ちゃうの。それでもう4日ぐらいあげてません。そんなわけで勝手に卒業しました」

なんて手のかからない子!娘・R(3才)の時はあれこれ仕込んで卒業させたのだが、タクが自分から離れていってしまったのが悲しいようだ。

「これで私のオッパイはどんどんしぼんでいくのね。また元の小さな胸に…。全盛期に写真撮っておけばよかった」

「あほか君は」

これも悲しい原因のひとつなのかもしれない。しかしこれからタクは母の使用済オッパイから離れた後、性の目覚めとともに若い娘のオッパイを求めていくことになろう。

「まあそんなに悲しがらずに…まだ僕が卒業してないからいいじゃないか。さあ吸わせろ」

と嫁を慰めたら

「あんたは早く卒業しなさい!」

僕はいつまで自分で自分を慰めなければならないのか。タクはこれからいくつものオッパイを揉み歩く人生が開けているが、僕にはお前が最後の乳なのに。

「タクよ。世の中は広い。オッパイがイッパイでいいぞ」

それはそれとして僕はタクの成長を喜んだ。これからタクも僕が歩んできた同じ道を辿るのだ。このクリクリした瞳の中に、これからどんなオッパイが映っていくのだろう。

君の瞳にオッパイ。

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