2006年11月12日
はらたいらじゃない母の腹
栃木から母がやって来た。
また少し太ったのでは、と思ったが言わぬがフラワーなので黙っておいた。母はぽっちゃりなのである。いや、はっきり言ってしまおう。デブ。ますますデップリして出っ腹彰晃、といった感じで少し心配なのだが。
娘・R(3才)が誰よりも似ているのがこの母である。目を背きたいことだが揺らぐことなき事実なのであり、僕と嫁はRの姿に母の面影を見出すたびに愕然としている。Rもあと60年後はこうなってしまうのだろうか。どうせ僕は死んでるけど。
そのRと息子・タク(1才)は母が好きなので大はしゃぎ。Rはばあちゃんばあちゃんとベタベタくっついてやたらと話しかけ、タクはひょこひょこと数歩ずつ歩き回って「オレ歩けるようになったんだぞー」というアピール。
「Rはどんどん喋れるようになったし、タクも随分と歩けるようになって来たし、ふたりとも大きくなったねえ」
母もご機嫌であるので
「母さんもまたお腹が大きくなったねえ」
などと水を差すようなことは禁句であった。Rは特にばあちゃんベッタリで、お風呂に入る時間になっても
「ばあちゃんとはいるー」
と言うので母は大喜びで風呂に連れて行った。僕と嫁はRが途中で泣いたりしないだろうかと風呂場の外で聞き耳を立てていたが、
「ばあちゃん、おなかおっきいね!」
僕でも言えなかった事をRが大声で言っていたので冷や汗が出た。更に
「ばあちゃん、おふろにはいれるかなあ!」
小さい我が家の風呂に母のでかい腹が入るのか、とこれまた大声で言っていたので、もうこれは心臓に悪いと思い、とっととずらかろうとしたら…
「ぷ…ぷぷぷ…」
嫁の顔が真っ赤になっていた。涙まで出ている。
「お前、ウケ過ぎ」
「だって…Rが…お義母さんの体見て…バスタブに入らないんじゃないかって…ぷぷぷぷぷ…」
ヒソヒソと笑いを堪えながら僕に言うのであるが、ちょいと乳を揉んだだけで大爆笑しそうな程に爆発寸前状態であった。嫁がこれほどウケてる姿はやまだかつて見たことがなかった。
「もうRちゃんには参っちゃったよ」
風呂から上がってきた母はケラケラ笑っていたが
「きっと始めて見たから…」
という嫁の一言には
「なにを?」
と鋭く返していた。嫁も「そんな大きなお腹を…」とはさすがに言えず口をつぐんでしまった。すわ嫁姑問題勃発かと思われたが、それだけは避けて欲しいものである。第一理由がバカ過ぎる。
母は僕にやれ煙草はやめろだの女はやめろだの、朝ごはんはちゃんと食べろだの好き嫌いをなくせだの、未だにうるさく言うので、僕も母の腹を心配してご進言申し上げたいところである。
しかしやはり母も一応女性ではあるのでつい遠慮してしまう今日この頃。
これをセク腹といいます。
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