大学祭。ごめんくさい。

息子・タク(1才)が昼寝していたので娘・R(3才)と散歩することにした。

折りしも世間は大学祭シーズン。

「そうだ。大学祭行ってみようか。学校だよ、がっこー」

「がっこー、いくー」

決して生女子大生が見たいというわけではない。家から歩いて数分のところに某大学があるからである。

キャンパスののどかな空気と、実社会に出る前のノホホンとした空気が抜けたような大学生の顔を見ていると、仕事に追われ嫁子供の扶養を背に負った自分と比べて本当にむかつく、いや心が癒される。そしてウフフンとした女子大生の華やかな姿を見ていると…すいません、本当は生女子大生が見たいのです。

大学構内に入ると、女子大生のみならず制服姿の女子高生もちらほらと見受けられた。やっぱ王道は女子高生かなあ、などとも思ったが、良く見たらその半数はニセモノで、女装した男子大学生だったのである。Rが泣いたらどうする。何故お祭りごとになると必ず女装する輩が出てくるのだろう。

Rでも楽しめそうなところはないかな、と教室棟をうろついていたら「世界の絵本展示会」なる催しを行っているサークルがあったので入ってみた。

「こんにちは~。どうぞ見てって下さいね」

それこそ絵本から出てきたような可愛らしい女子大生がお出迎えをしてくれ、イスラエル・中国・フランス・アメリカ・ジオン公国・ゆらゆら帝国…様々な国の本があった(一部適当)のだが

「…読めん」

外国の絵本は日本のそれとノリ違い、絵がドギツイ色で可愛いと言うより怖いものが多いように感じた。

「あ、ぱぱ、これみるー」

結局選んだのは日本のアンパンマンの絵本であった。

絵本展示会の教室を出ると、突然ライオンの着ぐるみを着た人が現れた。

「あっ。らいおんさーん」

Rが大喜びで笑うと、ライオンは握手をしてくれた。そして僕が

「何が出るかな♪何が出るかな♪」

と歌うとサイコロを振るモノマネをしてくれた。中の人はいい人だと思う。頑張れよ。おはようからおやすみまで…。

「おそと、でたいの」

Rがそう言うので建物から出ると、模擬店の屋台がたくさん並んでいた。僕の大学はミッション系だからか知らんが、学祭で酒を売るのは禁止されていたのに、ここは堂々と売っていたので羨ましく思った。もっとも密売しており

「水下さい」

と言うと日本酒を注いでくれたが。アメリカ禁酒時代のような学祭の思い出。

そういった屋台の中で、一際僕の心をそそったのが

「チアリーダー部・フランクフルト屋台」

であった。チアリーダーがフランクフルトである。とてつもなくエロい。そこから発想できるエロ妄想は無限大。チアリーダー達が前の晩、仕込みで何百本という数のフランクフルトに囲まれた姿を想像すると…ぶっちゃけお前ら今まで何本咥え込んで来た!と叫びたくなった。

「いかがですか?」

現役生チアリーダーであろうと思われる女の子が声をかける。如何も何も僕をチアして欲しい。チアチアしてチューチューしてソレガシのナニガシを咥えて欲しい。

これは買わずにいられない。フランクフルトはRの好物でもある。

「R、これ食べようよ」

しかしRの答えは

「いらなーい」

何故だ。チアガールの手汗にまみれたフランクフルトなんて滅多に食べられないのに。…まあいいさ。幼児には模擬店の食べ物はあまり食べさせない方がいいような気がする。僕も適当に作ってたし…。

1時間ほどキャンパスを回って後にした。大学祭はいい。しかしひとつだけ心残りがあった。

何故メイド喫茶がないんだあああああ。~完~


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