幼児愉快事件

子供が生まれてからというもの、休日は公園に行くことが多くなった僕である。もしリストラされれば平日も仕事行くフリして公園で暇潰しをしたりして、年がら年中公園マスターということになるであろう。

今日も娘・R(3才)と息子・タク(1才)を公園で遊ばせていた。嫁も合流した。

「あら、こんにちは!○○ちゃんこんにちは~」

僕らより先にいた親子連れの多くは嫁のママ友であったらしい。

タクが恐竜戦車の如く、汚れるのも厭わずにハイハイで公園中を駆けずり回り、ハトと競争している中、

「ぱぱ、かっけぇんぼ(かくれんぼ)しよー」

Rからご指名がかかったので木陰に隠れようとしたところ

「あたしもかくれるー」

「ぼくもー」

「ぼくもー

「Rちゃんもー」

なんと先程の嫁のママ友のちびっ子達、エリちゃんやらリョウ君やら、あと、えーと、誰だっけ、次々と僕の後を付いてきてしまった。

「知らないおじさんに付いて来ちゃだめじゃないかキミタチ」

と言っても子供の耳に念仏。僕はいつからハーメルンの笛吹きになってしまったのだ、と思いつつみんなで隠れ

「もういいよー」

「…」

「…」

全員で隠れたので鬼がいなかった!

「じゃあつぎはこっちにかくれるの!」

とエリちゃんが仕切り出すので、いやその前に鬼決めようぜ、幼児といえどもそのぐらいの段取りは必要だぞ、と言おうと思ったのだが

「ぱぱ、こっちよ!」

遂にパパとまで言われてしまった。エリちゃん、僕には身に覚えがないことだ!僕は潔白だ!いや、待てよ…。

その内Rとエリちゃんには

「ばいきんまんになってー」

と言われたので、

「はっひふっへほー」

限りなく不審者に近い奇声と走りを心掛けてふたりを追いかけたら

「あんぱーんち!」

エリちゃんは僕にパンチを食らわせた後、リョウ君の許に走っていってしまった。ああ、エリちゃん、僕は迫真の演技をしたのに…そんな収入もない男の子よりおじさんの方がいいぜえ。

かくれんぼのつもりが横恋慕になってしまったとさ。


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